ここからは物語を世界へと移し総司たちの活躍を描いていけたらと思っていますのでこれからもよろしくお願いします。
では今回も楽しんでいただければ嬉しいです
簾木 健
七星剣舞祭は怒涛のままに終了となった。優勝したのは一輝。ステラとの決勝戦で会おうと約束を誓い、そこで運命という輪廻の外側に立つことで勝利をした。そして表彰式の後。破軍学園理事長・新宮寺黒乃を通して二人は呼び出された。聞くところによると、黒乃と寧音を交えた4人に、月影から秘密の話があるとのことだった。呼び出され場所は湾岸ドームのリング。いまだに闘いの熱気の残るこのドームには夜の冷たい風がちょうどよかった。そこにいたのは現世界ランキング4位フランスのA級騎士《黒騎士》、アスカリッドだった。総司とステラは不意打ちでありながら少し剣を交えた。ステラは不意打ちに憤慨していたが、それも許させたところで月影が本題を切り出した。
「君らを呼んだ理由はいくつかほどある。話さなければならないことに、聞きたいこと、そして聞いてもらいたいことがあったからだ」
月影の真剣な口調にステラと一輝が背を正す。
「まず話さなければいけないこととは一輝君。君がステラ君との闘いの中で起こった変化についてだ」
そして一輝はついに自らの肉体に起こった変化についてその現象は《
「今日本には《
その質問に月影は少し目を細める。その表情は何かを憂いているような気がした。
「まず《闘神》南郷寅次郎氏と《天陰》玖原鷹丸氏。そして南郷氏の愛弟子である《夜叉姫》西京寧音君。さらに《瞬神》玖原恵。そしてつい先日に一人、一輝君よりも少し早く至った人がいる」
「・・総司先輩ですね」
「ええ。一輝君の言う通り《閃光》玖原総司です。もっとも彼にその二つ名は適切ではないと私は考えていますけどね。そんなことよりもステラさん彼についてもう一つ聞きたいことがあります」
そこで月影の告げた一つの疑問はここにいる全員が驚いた。
「アリスカッド君もしくは寧音君と彼どちらの方が強いかな?」
「「「「えっ」」」」
二人はすでに《
「正直に言うと二人の強さの底は見えないわ。でも・・ソージ先輩の底はもっと深かった気がするわ・・・いえ、回りくどいわね。はっきり言うわ。ソージ先輩の方が私から見たら強いと感じる」
その言葉に月影以外の全員が息を飲む。息を飲むかわりに月影はハァと一つため息をついた。
「やはりそうだったか」
「やはりとは先生どういうことですか?」
その黒乃の問に月影は言った。
「今回の一件。玖原総司は七星剣舞祭を棄権となった。その理由としては審判を傷つけたことと会場を破壊したことだった。しかし実はそれは《玖原》からの圧力の結果だ。実際会場を壊したことや審判を傷つけるということは、まれではあるが起きているが問題には上がっていない。というかそもそも、会場は《魔導騎士》が防御しているから壊れることは本当にまれだがね。しかし今回《玖原》は一方的に玖原総司を棄権させた。予測だが《玖原》にはなにかがあるんだろう」
「そういえばさっきから《玖原》って言ってるけど《玖原》も日本に所属する家でしょ?日本政府の力でなんとかできないの?」
ステラの問にそこにいる全員の顔がサッと曇る。そして寧音が説明を始めた。
「ステラちゃん。実は《玖原》には日本政府でも手がでないんだよ」
「え?」
「確かに日本出身ではないステラ君がこれついては知らないのは当たり前だ。では少し《玖原》について説明しよう。ステラ君はどれくらい《玖原》について知っているかな?」
「えーと……九州の山奥に家があって《天陰流》という流派を扱う。元々は政府の裏役を行っていたニンジャっていうくらいですね」
「なるほど。一度は《玖原》に行ったこともあり大枠は理解しているようだね。かれらは昔から日本政府の忍び・・影として仕えてきた一族だ。表の《黒鉄》、裏の《玖原》。この二つの家が表裏一体として日本政府を支えていた。しかし戦後、《玖原》は連盟に入るおり日本政府から独立し様々なところからの依頼を受ける傭兵のような一族となってしまった。所謂《玖原》は日本にありながら日本に所属しない一族なんだ」
「でも、政府にはネネ先生みたいに力のある
「《玖原》には《天陰》がいるんだ。しかも《玖原》の人間は全員凄まじい戦闘訓練を受けた精鋭部隊。それらとあの自然の要塞の中で戦うのは正直愚策だ」
「《天陰》ってそこまでの
「《天陰》こと玖原鷹丸氏は《大英雄》黒鉄龍馬以外に唯一《暴君》を撃ち倒したと言われる
「え・・それって・・」
「これは後の話に少し関わることですが、今世界は三大勢力によって秩序を保っている。それは各勢力に力を持った
「もし《玖原》に敵対して《天陰》が出てきたら三大勢力を崩壊させる力があるってこと?」
ステラはその事実に驚愕する。確かに実際に会った時、果てしなく強いと感じたがまさかここまでとは思っていなかった。そこで寧音がガシガシと頭を掻く。
「うちのくそじじいも同じくらいの強さを持ってるけど、もう関わらないと決めたらしくてこの辺には一切手をださないんだ。何かあれば手を貸してくれるかもしれないけど・・基本的にはノータッチ」
「・・ということはかなりマズイ状態なんではないんですか?」
この話を自分の中でまとめきった一輝が口を開く。
「今《
それは月影の懸念していたことではあったが本筋ではなかった。だから月影は首を横に振る。
「その心配は今はない。なぜなら日本政府はもっととんでもないことをしてしまったからね」
「もっととんでもないこと?」
ステラが首を傾げる。それに月影は頷きハァとため息をついた。そんな月影の代わりに黒乃が口を開く。
「玖原総司と玖原恵の二人はすでに日本にいない。あの棄権騒動で私たちがバタバタしている間に日本から出ていっている」
「「なっ!!!」」
それが意味することを一輝とステラはよく理解していた。日本における最大戦力を国外に出してしまったしかも監視もなにもなく。それはあまりにも危険でそして何がおきるのかわからない。
「どうするのよ!?しかもソージさんは・・」
「たぶんだが彼ほど危険で恐ろしい能力を持った
月影の言葉は重かった。総司は能力を奪うことの出来る
「でもどうする?すぐにでも探すのでしょう?」
「そのつもりだったのだがね。実は彼らの居場所はもうわかっているんだ」
月影の表情がまた曇る。この事実は寧音や黒乃もまだ聞かされていなかったらしく。二人は食いついた。
「それで先生、玖原はどこにいるんだ?」
「そうだね。すぐに行けるのであれば今すぐにでも行ったほうが良い」
「・・《
「さて《
円卓に腰かけている人たちは皆大富豪や国家の重鎮とされる人たちその人たちに総司は堂々と話しをしていた。
「簡単に言います。おれが《
その円卓に座る人たちが全員息を吞む。
「今《
総司は圧倒的な自信を携えそう言い切った。
「はじめまして。玖原総司です」
「ええ。はじめまして風祭晄三です。玖原鷹丸氏はお元気でしょうか?」
「はい。今も元気ですよ。今回はご尽力ありがとうございました」
「ああ。それにしても、君は
「・・すべて知っていますよ」
「そうか・・・」
「ええ。それも知ったからこそこうして自分が動きました」
「・・君は自分が世界の要石となると?」
「それでも構いません」
「しかしどうしてそこまでのことができる?君はまだ若い。もっと・・」
「・・おれにはどうしても守りたいものがあります。そのためにならおれはどんな手段でも取りますよ。それに」
「それに?」
総司はそこで席を立つ。そしてニヤリと笑った。
「おれは一度最恐の悪者になりたかったんですよ」
「さてじゃあこれからの目標を言うぞ」
そこは総司たちが《
「おれたちの当面の目標は二つ。一つは国際魔導騎士連盟副長《翼の宰相》ノーマン・クリードの能力を奪うこと。そしてもう一つは《傀儡王》オル=ゴールを殺すことだ」
総司が提示した作戦は二つとも困難を極める。それはここにいる全員が理解した。それをわかっているものとして総司は説明を続ける。
「まず、《翼の宰相》についてだが、やはり連盟本部に乗り込むことになる。そこでその時についてきてほしいのはカナタと泡沫、あと陣さんだ。三人ともいいか?」
名前を呼ばれた三人は静かに頷く。初の任務として失敗は許されないと三人とも緊張していた。しかしそんな三人に総司は笑いかける。
「大丈夫こっちの依頼は難しい問題だけど、失敗してもなんとかなるから気楽に頼むよ・・本当に問題なのはもう一つの方だ」
「そうね・・・・総司それ私にやらせてくれない?」
恵が手を挙げる。
「母さん悪いけどこれはおれがやると決めた。それにおれの方が遂行もしやすい。あと母さんと、刀華には少し頼みたいことがあるんだ」
「私と恵さんに頼みたいことですか?」
「ああ。母さんはっきり言って今の刀華じゃこれから戦うことはかなり厳しい。それはカナタにも言えることだけど・・まずは刀華だ。母さんは刀華を鍛えてほしい」
「・・なるほどね」
恵がニヤリと笑う。
「ようは刀華ちゃんを限界まで追い込んでいいってことね」
ゾクッと刀華は鳥肌を立てる。そうこの人はこの間まで壊れた脚をそのままにして戦場から遠のいていたがそれでも
「私は構いませんよ。むしろ恵さんに鍛え直してもらえるなんて光栄です」
「刀華もこう言ってるしどうかな母さん?」
総司の問に恵は腕を組んで少し考えてから言った。
「総司それなら少し行きたい場所があるのよ」
「行きたい場所?」
「ええ。ちょっと鍛錬に良い場所を知ってるのよ。そこに行ってくるわ。美奈も借りていくわね」
「まぁ母さんがそう言うならいいんだけど・・あとでどこにいるか位置情報だけ送ってもらえる?」
「あーごめんそこは電波外なのよ。だから先に言っておくわ。刀華ちゃんも覚悟するのにちょうどいいでしょ」
恵が獰猛な笑顔を浮かべてその行き先を告げた。
「行くのはエストニアのそびえる霊峰。エーデルベルグよ」
「はぁ!?ちょっと待ってくれそこって・・」
「ええ」
恵が頷く。そこはすでにエストニアの国のものではない。とある化物からの干渉さけるために、国が放棄した場所である。ただそんなみんなの心配をよそに恵はあっけらかんと言った。
「私あそこには自由に言っていいってエーデから許可も取ってるから大丈夫」
ゾクッと鳥肌が立つ。やはり恵も世界に巣食う化物の一人だと刀華やカナタ、泡沫は再確認した。
「うまくいけば私とエーデで鍛えて・・しっかり地獄を見せてあげる」
いかがだってでしょうか?
もう戦うところはここしかないと思いましたww
初の魔人同士の戦闘もしっかりと書いていけたらと考えていますので楽しみしていただけると嬉しいです。
ただ次回は少しほのぼのとした話に出来たらと思っていますのでそちらも楽しんでください。
今回も感想、評価。批評募集していますのでよろしければお願いします。
ではまた次回会いましょう!!!
簾木 健