落第騎士と生徒会長の幼なじみ   作:簾木健

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ほんとうに遅くなってすみません!!

「そういえばそろそろ落第騎士の新刊出るはずだしちょっとそれ読んでからにしよう」と思っていたら全然出ない!

すみませんこれが遅れた理由です。楽しみにしていただいている読者の方すみませんでした!

今回も楽しんでいただければ嬉しいです!


調整

そこから先の試合は一方的だった。雄大の攻撃は一切ヒットしない。しかし一輝の攻撃は次々とヒットしていく。圧倒的な強さを持った『七星剣王』がなにも出来ずに切られ続ける姿に会場は騒然としていた。

 

「これが黒鉄一輝・・・・」

 

総司の鋭い目がさらに鋭利な光を帯びる。

 

「これは本物じゃな」

 

のんびりとした足どりでやってくる一人の老人。その老人はただものではないオーラを放ちながらもなぜか誰からも注目されずに近づいてきた。

 

「師匠来てたんですか?」

 

「ふぉふぉ。総司お前のも見取ったぞ。強くなっとったな」

 

「ありがとうございます・・・・で?どうですか?一輝の方は」

 

「あれは()()じゃ。しかもあれはもう原石ではない。立派な宝石じゃ」

 

「そうですね・・」

 

「じゃがまだまだ青いな」

 

それに鷹丸がフッと笑う。それに総司は苦笑いを浮かべた。鷹丸からすればどんな人間も青く見えるだろう。

 

「お久しぶりです。鷹丸さん」

 

カナタがぺコリと頭を下げる。

 

「ふぉふぉカナタちゃんもまた一段と綺麗になったの・・総司一体誰にするつもりじゃ?」

 

「師匠なに言ってるんですか!?」

 

「相変わらず一人に絞っとらんようだし・・・このまま全員面倒みるつもりか?」

 

「もうやめてください」

 

総司が頭を抱える。そんな総司に刀華は苦笑いを浮かべた。少し和やかな雰囲気になったが激しい剣戟にすぐにその雰囲気が消え去る。

 

「あれは『比翼』の技じゃな・・・・・」

 

「鷹丸さんご存じで?」

 

「まぁの・・・・ただあそこまでの技のキレは再現できてはおらんの」

 

「あそこまでの領域はまだおれも・・・・・」

 

「総司もあの領域は知っておったのか?」

 

「・・・・母さんが教えてくれました」

 

「なるほどの・・・・」

 

鷹丸がスッと鋭い眼を細める。

 

「さてさて総司いかにして『黒鉄』を斬る?」

 

「それを今から考えてきます・・・刀華にカナタ少し付き合ってもらっていいか?」

 

「もちろん」

 

「わかりました」

 

「じゃあ師匠おれいきます」

 

「ふぉふぉ」

 

笑う鷹丸を背に総司は会場を後にする。その背中に鷹丸は感傷にふけった。

 

「本当に二人に似てきたの」

 

鷹丸が思い描くのは総司の父と母の姿。あの二人の後ろ姿が総司に被って見える。

 

「さてさて総司はこの『黒鉄』にあの皇女様どう勝つのか・・・・・」

 

鷹丸は総司によく似たニヤリとした笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば刀華ずっと聞いてなかったんだけどさ」

 

総司は移動中ずっと気になっていたことを尋ねた。

 

「なんで七星剣舞祭出なかったんだ?」

 

「・・・・・」

 

刀華が顔を伏せる。今回の七星剣舞祭は暁高校の参加のせいで直前にメンバーの変更が行われたのだ。そのおかげで今回珠雫は七星剣舞祭に参加できている。もちろんその話は刀華の方にも来たはずだ。しかし刀華は今回七星剣舞祭には参加していない。それを総司はずっと疑問に思っていたのだ。実はカナタにもその話は来た。しかしカナタはそれを蹴ったのだ。理由は「今回は総司さんのサポートにまわります」と笑顔で答えたらしい。

 

「・・・・今回私は負けましたので」

 

「ああ・・・・」

 

総司はその言葉ですべてを察する。付き合いが長いからこそこの言葉だけで総司には刀華の意図を察してしまえたのだ。

 

「今のままでは私の力では足りません。だから今は・・・・」

 

刀華が『鳴神』を取り出し、鞘に優しく触れた。

 

「強くなりたい。そのために今時間を使いたい」

 

「そっか・・・・じゃあ遠慮しないでいいな」

 

「はい。むしろよろしくお願いします!!」

 

「カナタも付き合ってもらっていいか?」

 

「もちろんです。私はそのために七星剣舞祭に来てるのですから」

 

「じゃあ二人とも頼むわ」

 

総司が扉を開けて入っていくのは会場に隣接しているトレーニング施設に入っていく。そして学生服の上着を脱ぎ腰に二本の小太刀を具現化する。

 

「かなり錆落としがすんだんだけど・・・・」

 

総司がアップを始め、刀華も軽くアップをし、カナタは『フランチェスカ』を具現化し目を閉じて精神統一をする。

 

「もうちょっと・・・・もうちょっとなんだ」

 

総司が鋭い眼をさらに鋭くする。すると総司からオーラのようなものが漏れ出してくる。

 

「寧音さんの言っていた領域。『比翼』がいる領域。そこにおれは・・・・・・行く!」

 

総司が二本の小太刀を抜き、ダラリ両手を落とした。自然体といえば聞こえがいいかもしれない。しかしそれは武術にはありえない構え。ただその構えが異様に様になっている。

 

「行くぜ刀華!!!!カナタ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は大の字でトレーニングで寝そべっていた。

 

「まさか・・・刃引きしてこれなんて・・・」

 

刀華がフッと笑う。その笑みはどこか安心したようだった。

 

「そうですね・・・・まさか総司さんが全力を出せる舞台が整うなんて」

 

トレーニングは異様な状況だった。壁や床は削られ、抉られ元の内装など一切わからない。そこに刀華とカナタは寝そべっていた。肉体は限界を超え指一つ動かすこともできない。

 

「そうちゃん・・・・また強くなってた。昨日よりもそして加我君と戦った時よりも・・・」

 

「ええ。本当に・・・・でも総司さん。ずっと笑ってましたね」

 

「うん・・・・」

 

さっきの戦いの間総司はずっと笑いながら二人と戦っていた。そして最後にこう言って去っていった。

 

「・・・・ありがとうな二人とも。最高の調整になった」

 

総司がそういった時の顔。安心したそしてなにかを達成したような笑顔だった。

 

「そうちゃん・・・・その力見せてあげなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大会も1回戦がすべて終了しました!今日からは2回戦です!!早速2回戦1戦目を始めていきましょう!!』

 

実況の声にドームが歓声に包まれる。その歓声を聞きながら総司は最後の調整を行っていた。武器である小太刀の感触を確かめるように2、3度振るい頷く。調子は良い。いままでのどんな時よりもいい。そして無意識の中でかけていたリミッターを意図的に解除する。アドレナリンが溢れ出し肉体は戦闘状態に入っていく。もう迷いはない。そこで係員の人から入場してくれと声がかけられる。総司はゆっくりと右足から歩き始め、歓声の響くドームの中心に足を踏み入れて行った。




いかがだったでしょうか?

今回は繋ぎの話です。バトルは次回あたりに・・・

これからもちょっと不定期になるかもしれませんが頑張って投稿していきますのでよろしくお願いします!

今回も感想、評価、批評募集しています!よろしければお願いします!!

ではまた次回会いましょう!

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