落第騎士と生徒会長の幼なじみ   作:簾木健

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すみません。思ったより原作のまんまになってしまいました・・・・

ただ今回も楽しんでいただけると嬉しいです。

簾木 健


集合

「たく・・・・・こんな格好しなきゃなのか・・・・」

 

総司は面倒そうにスーツを着ていく。しかしどうも洋物の正装は性に合わない。

 

「うーん・・・・そういえば・・・・・」

 

総司は着かけていたレンタルのスーツを脱いでハンガーにかけてから、自身が持ってきた荷物の一つをほどきそこに入っていたものを取り出した。

 

「正装でってことならこいつでもいいよな」

 

総司はそう呟き荷物を着ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーティ会場の一部は騒然としていた。

 

「お兄様ァァ!!!!」

 

珠雫が叫ぶ。一輝の着ていた服が破かれればそうなるだろう。さすがの一輝もサラから距離を取り無理矢理晒された胸板を庇いながら強く問うた。

 

「何をするんだ、いきなり!!」

 

対し、サラは

 

「・・・・・これなら文句なしに合格」

 

やや熱っぽく頬を染め、そんな意味のわからないことを呟く。

 

「ご、合格って一体なに!?なんだかサッパリ話が見えないんだけど!!」

 

「あの日・・・初めて会ったときから一目惚れしてた。美しさと優しさを感じさせる一方で、確かな芯の強さを思わせる顔たち。真っ直ぐ背筋の伸びた綺麗な姿勢・・・・それになによりこの無駄に膨らむことなく合理的に鍛えられた逞しい筋肉の形・・・・どれもこれもとっても素敵。貴方はまさに私の理想の男性」

 

「え、ええ!?」

 

突然の歯の浮くような賛辞を送られ、一輝は困惑する。コレは本当にどういう状況なのだ。もしかして自分は今、告白されているのか?あまりに突然すぎてどう切り返せばいいのかわからない一輝だった・・・・もちろん答えはステラがいるのだから決まっている。しかし、サラの表情は怖いくらい真剣で真摯でいくら彼女が《解放軍(リベリオン)》の人間だとしても、これほど真っ直ぐな気持ちを『迷惑』とバッサリ切って捨てるようなことは一輝の性格的に躊躇いを覚え―――

 

「だから貴方は私のヌードモデルにふさわしい。文句なしに合格」

 

思いの外、大迷惑だった。

 

「というわけで、今から私の部屋で脱いでほしい」

 

「どういうわけだよ!?いやだよ!断るよ!そもそもそんなオーディション受けた覚えないし」

 

「ダメ。断るのを断る」

 

「わがままか!」

 

「どうしても脱いでくれないのなら、力尽くで脱がすしかない」

 

言うや、サラの全身から魔力の気配が猛り、両手に霊装(デバイス)である『筆』と『パレット』が具現する。

 

「ほ、本気だ。この人・・・ッ!」

 

本気で、そんな理由のために霊装(デバイス)まで使って自分の服を剝ぎに来るつもりだ。だがここはパーティ会場。戦闘騒ぎを起こすわけにもいかず、一輝はどう対応すればいいのか決めかねて狼狽し―――

 

「お兄様から離れなさい、この変態ッッ!!!」

 

「あうっ!」

 

瞬間、珠雫のドロップキックでサラの身体は横に吹っ飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――コンコン

 

総司がノックをする。

 

「ステラ。準備できたか?」

 

「ええ。入ってきて大丈夫よ」

 

総司がステラの部屋のドアを開けた。すると中には赤いドレスに身を包んだステラがいた。その姿には圧倒的な美しさがあった。

 

「・・・・本当にお姫様なんだな」

 

総司がそんな言葉をこぼす。

 

「なっ!!当たり前でしょ!!!」

 

ステラが真っ赤になって怒る。それをまぁまぁと総司が宥める。

 

「いや、すごい似合ってもいるし着慣れてもいるからな・・・・そういう機会が多いんだろうなと思ってよ」

 

「そういうことね。ありがとう。でもそういうことはトーカさんに言ってあげなさいよ。それにソージさんも似合ってるわよ。それにすごく着慣れている」

 

「そうするよ。それでこれはおれの勝負服みたいなもんだ。似合ってないと閉まらないからな。そんじゃ行くか」

 

「ええ。あら?」

 

総司がスッと片手を出す。それにステラはスッと手を重ねた。

 

「優しいのね」

 

「普通だ。まぁ会場についたら一輝に譲るよ」

 

「ええ。そこはよろしくね」

 

ステラと総司はついに会場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会場は騒然としていた。今度は一輝だけではなく他のパーティの参加者も騒然としていた。

 

「お、お兄様?」

 

なぜなら一輝が暁学園の多々良幽衣から珠雫に渡された料理を手の甲で払い飛ばしたからだ。周囲にいた他の参加者も皆突然の出来事に目を剝いていた。そんな周囲に対し一輝はなにも言わず、鋭く冷たい光を宿した瞳で幽衣を睨んでいた。一体どうしたというのか。疑問に思った珠雫が払い落とされた料理に目を向け―――気づいた。

 

「こ、これは!!」

 

幽衣が珠雫差し出した皿の上にあった骨付き鶏もも肉。その肉の中に、ギラリと輝くカミソリの刃が入っていたのだ。

 

「なかなか刺激的なトッピングだね。多々良さん」

 

「ギギギ、もったいねぇ。数種類のアルカイドを配偶した、ひと舐めで象も殺せる毒付きの特別製だったのによぉ」

 

多々良は一輝の刺すような視線に怯むことなく、肩を震わせて嗤う。

 

「見えないように仕込んだってのに。妹と違ってカンのいい野郎だねァ」

 

「別に褒められるようなことじゃないさ。そこまで『悪意』を振りまいていればねぇ」

 

返す一輝の言葉は謙遜ではない。それほどの明確な悪意をこの幽衣から一輝は感じていた。それは一緒にいた刀華も一緒だったようで鋭い瞳で幽衣を見つめていた。少しではあるが刀華の周りには雷が走る。

 

「多々良さん。さすがにその行為をただで見逃す訳にはいきませんよ」

 

「ギギギ。『雷切』か。お前でもいいぜ」

 

「え?」

 

「こんなにタルい仕事は初めてなんだよ。学園を襲え。でも一人も殺すな。アタイは他のバカどもとは違う。ガキのころからずっと殺しをやってきたんだ。そんなプロに『殺すな』なんて仕事よこしてくんじゃねぇよ。欲求不満でイライラすんだよ!!もう待ってらんねんだ。この場で今すぐにでもぶっ殺してェ!!!」

 

牙のような歯を覗かせ不気味な笑い声を発する多々良。その右手にゆっくりと、禍々しい魔力が集まり形を成す。鮫の歯を思わせる獰猛な形をした刃が幾重にも連なったチェーンソー型の霊装(デバイス)だ。

 

『お、おい本気かよあの女』

『こんなところでおっぱじめる気か!?』

 

多々良の場を弁えない蛮行に、会場がどよめきに満ちる。対し、刀華は霊装(デバイス)である《鳴神》を取り出す。そして一輝も珠雫を少し下げさせ刀華に並び立った。多々良はもう言葉に通じる相手ではないと一輝は理解したのだ。なにより一輝は妹にあんなマネをした人間を許しておけるほど、人間としても完成していない。一輝も刀華と同じように《陰鉄》を構えようとし――――

 

「やめとけや。《雷切》に《無冠の剣王(アナザーワン)》」

 

「「っ!」」

 

突如後ろから掛けられた声に二人は全ての動きを止めた。いや止められたのだ。その声は怒鳴りつけるわけでもなく特別怒気を孕んでいるわけでもない静かなものだった。だが、相手を否応なく従わせる強制力と圧迫感、そしてなにより存在感を持っている。

 

「そない安い喧嘩をするために、ここまで勝ち上がってきたわけやないやろ。なぁ?まぁ『雷切』は色々あったみたいやけど」

 

「・・・・諸星さん」

 

「お久しぶりです。諸星さん」

 

その声の主を一輝と刀華は知っていたのだ。ただその声の主を知らない学生騎士はほとんどいないだろう。前七星剣舞祭覇者にして《落第騎士(ワーストワン)》が一回戦で刃を交える相手―――武曲学園三年、《七星剣王(しちせいけんおう)》諸星雄大の声だったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肉食獣を思わせる、鋭く威圧的な視線。身の丈180センチはあろうかという上背。そしてその身長に見劣りしない肉厚な筋肉を備えた。バンダナの似合う偉丈夫。それが日本の学生騎士の頂点。諸星雄大だ。彼の一声で殺伐とした空気は硬直した。そして一輝たちに近づいてきたのは雄大一人ではない。彼の背に従うようについてくる男女が二人。共に諸星と同じ、スーツではなく武曲学園のモダンで特徴的な制服に身を包んだ二人を、一輝は当たり前のように知っていた。制服を微塵を着崩さず、襟元までしっかりと正した姿勢のいい眼鏡の男は武曲学園三年、城ケ崎白夜。隣に立つ頬に絆創膏を貼り付けた、少年のようにやんちゃな瞳をした少女は同じく武曲学園三年、浅木椛。去年の七星剣舞祭の二位と三位だ。この場に去年の七星剣舞祭ベスト4が全員集まる。その圧迫感やレセプションルームそのものが狭くなったと錯覚する。その中心にいるこの男の存在感を無視することなんてできない。

 

「しっかし殺すの殺さんだの物騒な女やのぉ。まぁ七星剣舞祭も目の前やし血が滾るんはわからんでもないが・・・・もうちょい落ち着いたらどうや?」

 

「全くだ。こんな場所で霊装(デバイス)を抜くとは、品性を疑います・・・・まぁ下品な霊装(デバイス)の持ち主は品性も下劣ということですかね」

 

雄大に続き白夜も幽衣の行動を責める。

 

「品性じゃ戦いはできねぇんだよスカした坊や。なんなら身体に直接教えてやろうかァ?」

 

手に持つチェーンソー型の霊装(デバイス)のエンジンを起動させ、回転する刃を諸星に向けた。それに諸星はことさら冷めた視線を向けた。

 

「そう賢しらに牙をちらつかせるなや。弱い犬にそっくりやで」

 

「・・・・・ッッ!」

 

ため息をつくように告げられた侮蔑。それはもともと気性の荒い多々良の感情を沸騰させるには十分だった。

 

「ギギギ、クソガキがァ・・・・いいぜ。だったらアタイが弱ェかどうか今この場で」

 

もはや『悪意』などですまない、確かな殺意を発しながら諸星に向かって歩を踏み出し・・・唐突に、諸星との距離3メートルほどの位置で、まるで感電したかのようにその歩みを止めた。

 

「ほう」

 

諸星は感心したようにため息を漏らした。

 

「伊達にいちびっとるわけでもないな。せや、そこがワイの間合いの境界や。不用意に踏み込んどったら・・・・コイツでズドン、やったで」

 

見れば諸星の手にはいつの間にか細長い黄槍が握られていた。真っ直ぐな刃の根本に虎の毛を模した飾りのついたその槍こそ、《七星剣王》の霊装(デバイス)《虎王》だ。

 

「テメェ、いつ抜きやがった・・・・・!」

 

驚きの声をあげ、数歩後ろに下がる多々良。

 

だがそれに驚いたのは彼女だけじゃない。側にいた一輝もだった。

 

「すごいな・・・・・」

 

一輝の目を以てしても、いつ槍を顕現したのか見えなかった。それになにより

 

「――――まるで踏み込む隙がない」

 

槍を構えている訳でもないのに、諸星の間合いには死角が存在しなかった。どこから踏み込んでも、迎撃される。その未来がはっきりと、手に取るようにわかる。

 

「生で初めて見た・・・・これが噂に聞く、《七星剣舞祭》の《八方睨み》か」

 

そんな一輝とはまた違った意味で雄大を見ていた人がいた。

 

「去年より遥かに圧力が増している」

 

それは去年実際に雄大と戦った刀華だった。

 

「去年なんかより圧倒的に強い。今の私が戦っても勝てるとは言えない・・・・・でも」

 

刀華はニヤリと笑った。その笑みは彼女の幼馴染の笑みによく似ていた。

 

「そうちゃんは喜ぶだろうな」

 

「がははははっ!やれやれ今年の一年は、なまら威勢がええんでないかい?結構結構!」

 

騒ぎを聞きつけてかやってきたのは、武曲の者たちだけではなかった。拡声器でも使っているのではないか、と思うほどの大きな笑い声と共に、一輝たちの頭上に影がかかる。やって来たのは、目算2メートルは軽く超えるであろう身長と、1メートルに迫る横幅。くわえて学生には見えない髭面を備えた巨漢。北の大地、北海道・禄存学園の三年。前大会ベスト8の一人、《鋼鉄の荒熊(パンツァーグリズリー)》加我恋司だ。この巨漢こそ《閃光》玖原総司の一回戦の相手である。

 

「でも食い物を粗末にするのはだめだべさ。おらたち農家が美味しく食べてもらえるように一生懸命育てた鶏だ。美味しく食べてもらえんと報われんべさ」

 

小学校の頃。たった一人で100ヘクタール、――――実に東京ドーム約20個分の農地を開墾したという伝説を持つ恋司は、そう言うや一輝が床に叩き落とした毒カミソリ入りのチキンを巨大な手でつまみ上げて

 

「あ、そのチキンは・・・・・・!」

 

一輝の止める暇もなく、骨ごと口に放り込んだ。そして強靭な顎で肉はもちろん、骨もカミソリすらかみ砕いて一飲みにしてみせた。

 

「ガハハ!象は殺せてもおらは殺せんみたいやね!暁の!」

 

「ほ、ホントにこいつ人間かよ」

 

猛毒を食らっても微塵も不調の兆しを見せない恋司に、むしろ多々良が青ざめる。だが多々良の驚きはこれだけでは終わらない。

 

「んふ」

 

「ッッ!?!?」

 

唐突に、多々良の耳の裏に吹きかけられる吐息。その吐息に撫でられて多々良は初めて気づいた。いつの間にか、自分が一人の女に抱き着かれているということに。

 

「はーい、いい子だからちょーとジッとしてなさい。今診察中だから」

 

「ガアァ!!」

 

ペタペタと、自分の身体をまさぐる女を多々良は腕を力任せに振るって振りほどく。実に素早い対処――――ではあるが、その顔色は驚愕に染まっていた。多々良は《解放軍(リベリオン)》内の若手の中では名の知られた凶手だ。もちろんその実力は本物であり、彼女自身もそれを自覚している。そんな自分が――――いつの間にか組み付かれていた。パニックになって当然だ。

 

「な、何モンだ、テメェ・・・・!」

 

「んふふ。これはこれは、元気な患者(クランケ)ねぇ。元気なのはいいことよ」

 

焦りに声を震わせる多々良に対し、突如現れた白衣の女はぷっくりした唇に余裕の笑みを作り、

 

「だ、け、ど。思った通り血圧、体温ともに高めで興奮気味ね。身体も小さくて、お肌も荒れ気味で、栄養状態がよくないわ。ちょっと両手を出しなさい」

 

そんなことを言った。その瞬間だ。

 

「テメェ、さっきからなに、を、お、おおっ!?」

 

多々良の腕が本人の意志に反してチェーンソーを床に放り出した。さらには両手の平で丸い椀を作って、白衣の女に向けて突き出す。まさしく女に言われた通りに。そして白衣の女はその両手の腕に、

 

「カルシウムとビタミンC、あとは良質なコラーゲンをもっと取りなさい。それと、はい、これは私が調合した特性のアロマ香。睡眠前に焚いて高ぶった気持ちを静めるのよ?」

 

笑顔でザラザラと錠剤やカプセル、さらには可愛らしいリボンで包装された小包を載せていく。もちろん多々良はそんなもの必要としていない。すぐにでも床にぶちまけてやろうとするのだが―――――

 

「う、うごかねぇ・・・・・テメェ、アタイの身体に何をした!?」

 

「ん~?んふふ。何を驚くことがあるの?医者が患者(クランケ)の身体を意のままにできるなんて当たり前じゃない~」

 

脂汗を浮かべらがら怒鳴りつける多々良に対し、女はどこまでもにこやかだ。この女は廉貞学園三年―――《白衣の騎士》薬師キリコ。学生にして日本一の医者。そしてあの珠雫をもってしても勝つことができないと言わしめるほどの《水使い》でもあるのだ。しかもさっき使ったのは・・・・・

 

「あれは玖原先輩が私の目標として提示した技術」

 

珠雫は先ほどキリコが使った技に驚愕する。そして総司はそれを珠雫に教えた時こうも言っていたのだ。

 

『これはおれに魔術制御の極意を教えた人が使う技術だ。これを完璧にものにすれば珠雫も最強の水使いと言われることになるぜ』

 

「あれはキリコさんのことだったんだ」

 

しかも今の多々良の行動を奪っている術を珠雫は理解できなかった。もしかすると相手の血液に対して何かしらの干渉を行っているのかもしれない。そんな予測程度は立つものの、自分にはまだできない技術だ。

 

「この人と同じDブロックというのは、少々気が滅入るわね」

 

珠雫と同じ水使いであり、かつ技巧派。となれば、その技量の優劣がそのまま勝敗に反映されることとなる。珠雫としては自分と当たる可能性がある三回戦までに負けておいて欲しい騎士だった。――――――そして、騒ぎに釣られてやって来た全国レベルの騎士たちの中には、一輝にとって懐かしい顔もあった。

 

「おい、女。テメェ、誰に断って《落第騎士(ワーストワン)》に手ェ付けようとしてんだ。あ?」

 

人混みを割って現れ、乱暴に多々良の胸ぐらをつかみ上げた金髪の男。かつて破軍学園三年の綾辻絢瀬の一件で刃を交え《神速反射(マージナルカウンター)》という神に与えられた才能で一輝を苦しめた貪狼学園のエース。《剣士殺し(ソードイーター)》倉敷蔵人だ。

 

「倉敷君・・・・。久しぶりだね」

 

「フン、テメェならここまで来ると思ってたぜ。あんときの借りはキッチリ返させてもらう」

 

言うと蔵人は視線を掴み上げた多々良に戻し、

 

「俺だけじゃねぇ。ここに居る全員がコイツとやることを楽しみにしてんだ。あんま勝手なマネしてっとハネちまうぞ」

 

ドスの利いた声で忠告した。その言葉を肯定するように、全国屈指の強者たちが刺すような視線を多々良に向ける。これには気性の荒い多々良もたまらなかった。集まっているのは全員全国ベスト8レベルの実力者たち。仕掛けるのはあまりにも分が悪い過ぎる。そしてその場にさらなる星が加わる。

 

「なんだ騒がしいな」

 

「そうね。もっと厳粛なパーティだと思っていたけど意外と騒がしいわね」

 

低く鋭い声と可憐で美しい声。その声は入り口からし、会場にいた全員がその声を発した方を見る。その二人は学生騎士としてはあまりにも桁違いのオーラを抱いていた。一人は可憐で美しい声が本当によく似合う鮮やかな赤い髪をした少女。見事なプロポーションで赤いドレスを着こなし薄い笑顔を浮かべ笑う少女。そしてそれをエスコートする和装の男。藍色の着物を見事に着こなしており、その着物には家紋が入っている。その男は鋭い鷹を思わせる目で会場を見渡してから、ニヤリと笑った。

 

「おっ!懐かしい顔が色々と揃ってるな。久しぶり」

 

「あっ!シズク!一輝にくっつき過ぎよ!!!」

 

その二人が会場に足を踏み入れていく。一輝はさっき諸星が入ってきた以上の感覚を味わっていた。

 

「この二人・・・・・また強くなったな。諸星さんが入ってきた以上に狭く感じる」

 

一輝は逆立った肌を撫でる。

 

「これは本当にすごい大会になる」

 

一輝は好戦的な笑みを抑えられず少し歪んだ笑みを浮かべた。

 

 

 

こうして役者は揃った。




さていかがだったでしょうか?

今回は説明回になってしまいましたね。次回からそれぞれの絡みを入れて・・・バトルに繋げていきます。

これからも楽しんでいただければ嬉しいです!!

今回も感想、批評、評価よろしければお願いします!!!

ではまた次回会いましょう!!

簾木 健

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