落第騎士と生徒会長の幼なじみ   作:簾木健

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皆さんどうもです!

GWも折り返し、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

さてついにこの小説も30話まで来ましたね。これも皆さんの応援のお陰です!これからも頑張っていきますので引き続き応援よろしくお願いします!

では今回も楽しんでいただけると嬉しいです。

簾木 健


心臓

「なにが起きた!?」

 

総司は困惑していた。しかし思考もいつもようには回らない。

 

「血が・・・・心臓が止まってやがる・・・・」

 

天音がなにをしたのかはわからない・・・・ただ結果として総司の心臓は停止していた。その事実に総司は悪態を付く

 

「くそ・・・・面倒なことしやがって・・・・こうなったら・・・・」

 

総司は膝を落としゆっくりと倒れ込んだ。

 

 

 

 

 

 

総司になにが起きたのかはわからない。ただ総司は血を吐き倒れ込んだという事実。その事実に天音を除く全員が驚愕した。そんな中天音はケタケタと笑う。

 

「僕の邪魔をするからそうなるんだよ」

 

「総司さん!!!!!!」

 

カナタが叫ぶ。その声音に乗っているのは恐怖と絶望。

 

「な、なにが起きたの?」

 

恋々は信じられないと目を見開く。

 

「わからん・・・・総司先輩が圧倒していたはずだが・・・・・」

 

雷もなにがなんだかわかってなかっていなかった。そんな破軍陣営に天音はフフッと笑って言った。

 

「簡単だよ―――――心臓を止めたんだ」

 

「「「なっ!?」」」

 

「そ、総司さん・・・?」

 

カナタの目から涙がこぼれる。

 

「ふふ・・・どんなに強くても心臓を止められたらどうしようもないよね」

 

天音は楽しそうに言う。そんな天音に鳥肌が逆立つ。

 

「嘘・・・・じゃあ・・・・」

 

恋々は雷を見る。その目はそんなことは嘘だと訴えている。しかし雷はそれを否定することができず恋々から顔を逸らす。

 

「ハハハ・・・・あっけないなぁ・・・・」

 

天音は総司に近づいていき、その死体の頭を蹴った。それを見たカナタは・・・・・自分の頭の中で何かが切れた。

 

「あああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

カナタは飛び出し霊装である《フランチェスカ》を出し、それを力任せに砕いた。

 

「殺す!!!」

 

カナタは砕けた《フランチェスカ》を操り天音に斬りかかる。

 

「おっと・・・・」

 

しかし普段通り操ったはずの霊装は何故か天音に()()()()()

 

「あれ?どうしたの?僕を殺すんじゃなかったの?」

 

「くっ!!」

 

天音は避けた気配などない。でも当たらない・・・・まるで元々当てないようにこっちが操作したかのように・・・

 

「次は当てる」

 

カナタなんの躊躇いもない。殺すつもりで《フランチェスカ》を振るう。しかしそれはどれも天音には届かない。

 

「ハハ!こっちかも行くよ!」

 

天音は《アズール》を投げる。ただカナタはそれに意識すら向けることはなかった。

 

「遅い」

 

カナタはそれなりの修羅場を超えてきた騎士だ。そんなカナタにとってあまりにも遅すぎる天音の剣など当たる訳はない。サッとそれを避け反撃を・・・としたところだった。

 

「えっ・・・・・」

 

自分の胸のあたり・・・・そこから明らかな異物が生えている。それは剣・・・・天音の投げカナタが避けたはずの剣が背中側から突き刺さっていた。その一撃で《フランチェスカ》が霧散し消える。

 

「あら?当たっちゃった。僕はやっぱり運が良いなぁ」

 

「なん・・・・で・・・・・」

 

確実に避けた。なのにそれは確かに自分の背中から刺さっている。

 

「どうして・・・・・」

 

「ハハ・・・別に知る必要なないよ。君も彼と一緒のところに送ってあげる」

 

天音はアズールを複数本取り出す。

 

「さて何本刺さるかな。楽しいゲームの始まりだよ」

 

嬉々として《アズール》を次々と投擲する。それをカナタはもう避けることは出来ない。

 

「すみません・・・・総司さん。私は・・・・あなたの敵を取れませんでした」

 

カナタは涙をこぼす。でも・・・・抱いてはいけないかもしれないが少しうれしい感情を抱いてしまい、カナタは微笑した。

 

「少しの間は二人っきりで過ごせるのは魅力的ですね・・・・・」

 

諦めて天音の《アズール》を受け入れる。恋々や雷が叫ぶがそれは届かない。《アズール》がカナタの胸に突き刺さる・・・・・・

 

「えっ?」

 

そこで天音は素っ頓狂な声を上げてしまった。生きているはずはない。だって心臓は確実に止めた。でも確かにその男は最初の《アズール》切り伏せ、残りの《アズール》もすべて叩き切ったのだ。そして男はゆっくりとカナタを抱きとめる。

 

「たく・・・また泣かしちまったな」

 

「・・・・・総司さん?ここはあの世ですか?」

 

「違うっての・・・・ちょっと我慢しろよ」

 

総司の手が魔力によって煌めく。そしてそれをカナタの剣が出ている部分の下に当てもう一方の手で《アズール》を引き抜いていく。

 

「っ・・・・・・」

 

カナタは顔をゆがめるがそれは本能的なもので実際痛みはほとんどない。だから総司はそのまま躊躇いもなく引き抜いていく。そしてついに完全に引き抜き終わるとフウっと一息つく。見るとカナタの身体からは出血だけでなく、剣が刺さっていた部分すらも消えてしまっていた。そこで膝が落ちてしまったカナタを総司はおっとと言いながら抱きかかえた。

 

「さすがはあいつの技術だよな・・・・こんなときばっかりはあのスパルタとあの悲鳴もよかったと思える」

 

総司はフッと微笑みを浮かべた。

 

「総司さん・・・・どうして心臓は・・・・?」

 

「ああ。久々でちょっと手惑ったんだがちょっと手を加えて動くように作り変えた。カナタの身体も治しておいたしもう大丈夫だ」

 

「ありがとうございます・・・・でも後でお説教ですよ」

 

「わかってる。甘じて受けるよ。自分で恋々たちのところまでいけるか?」

 

総司は抱きかかえていたカナタを自分で立たせる。カナダはスッと自分の足で立つことができた。

 

「ええ・・・・総司さん。あいつの能力は・・・・」

 

「わかってる。たぶん因果系だ。でももう大丈夫。大体わかったし、もう通用しねぇよ」

 

総司は視線を天音に向ける。その顔は伏せられていて表情まではうかがえない。

 

「そうですか・・・・では後はお任せします・・・・・あっ・・・総司さんちょっと良いですか?」

 

「うん?どうした?」

 

天音に向けた視線をカナタに戻す。するとカナタはスッと総司に近づき・・・・その唇を奪った。

 

「ん・・・・」

 

簡単な一秒にも満たないキス。しかしそれは総司の顔を一瞬で真っ赤にした。そんな総司にカナタは悪戯っぽく笑った。

 

「ちょっとした期待をしたんですがそうならなかったのでそのちょっとでも幸せを貰いました」

 

「おまえ・・・・ここは・・・・」

 

「わかってます。総司さん後はよろしくお願いします。このことについてもあとで話しましょう」

 

そう言ってカナタは素早く恋々たちのところまで戻る。総司はハァと息を吐いて天音に向きなおった。

 

「悪い。変なところを見せたな・・・・さて殺ろうか」

 

総司は気まずそうに苦笑を浮かべながら切り替える。

 

「・・・・なぜ心臓は止めたはずなのに生きてる?」

 

「おれは運がよくてな。あんなもんで死ぬようなら今頃生きていない。」

 

総司はあっさりと言い放つ。すると天音は伏せた顔をスッとあげた。

 

「・・・()()()()()?」

 

「ああ。大方因果干渉系の能力。レアで強力な能力だが・・・・一度その因果に勝ってしまえばなにも能力がないのと変わらない・・・・・・もうお前の能力はおれには通じねえよ」

 

総司はそう言って斬りかかる。天音は避けない。でもその小太刀はさっきのように天音を避けるのではなく、天音に吸い込まれるように向かっていき、天音の目の前で止まった。もう天音の能力が総司には聞いていない。

 

「一つ言っておく」

 

「くっ」

 

天音はその小太刀を霊装である剣ではじこうとするがその剣は楽々と捌かれ宙を舞った。

 

「お前の能力がどんなものかは知らない。でもな・・・・いつかその強さも頭うちになる。因果系っていうのはそういう能力だ。できることとできないことがはっきりしているからな」

 

天音は無我夢中で剣を振るう。しかしそれはどれも総司に届かずすべて捌かれ宙を舞う。

 

「くそーーーーー!!」

 

「でもな、お前が強くなればそれは変わる・・・・・だから・・・いや、いいか。おれからは以上だ――――――じゃあな」

 

総司は天音の剣戟の合い間を縫うように小太刀を刺し入れ天音を斬り裂いた。

 

「あっ・・・・・」

 

天音の身体が落ちる。それを総司はスッと受け止めた。そしてスッと暁学園を睨み付けた。

 

「で?残りはどうする?まだ相手をしてほしいならしてやるよ」

 

あまりにも異次元の二人を倒しそれでもなおこの余裕。それはもう暁の面々には恐怖でしかなかった。そしてそれに・・・・サラは両手を挙げた。

 

「無理・・・・めんどいし・・・・」

 

それに続いて幽衣も手を挙げた。

 

「今、お前と戦うのは無理だな」

 

それに凛奈も続く。

 

「我が黄昏の魔眼を持ってすれば貴様など取るにたらんが今日はこ奴らに合わせてやろう」

 

「お嬢様は『もう降参だから許してと言っております』。無論私はお嬢様に従うので」

 

「ハァ・・・・そうか。ならこいつらを回収してくれ・・あれはすぐに「総司ちゃん!!!!」来たな」

 

やってきたのは寧音だった。後ろには泡沫もいる。

 

「寧音さん。こちらは終わりました。泡沫もお疲れ様」

 

「そうか。さすがは総司ちゃんだ・・・・・・で?行くんだろ?」

 

「ええ。寧音さん。すみませんがこちらは任せてしまってもいいですか?」

 

「・・・わかったよ。あいつらはどうするの?」

 

「・・・・逃がしていいですよ。どうせどうにもならないと思いますので」

 

「わかった・・・・あとあっちにはくうちゃんが行ったから・・・・・・早く応援に行ってあげてくれ」

 

「?・・・どういうことですか?」

 

総司が寧音の言葉に首を傾げる。黒乃はかなりの実力者だ。それに()()?総司の表情から寧音は察し言った。

 

「たぶん・・・いや確実に()()()がいる。総司ちゃん。君のお母さんを斬った、世界の最強の剣士がね」

 

「・・・・」

 

総司はそれを聞き終えた瞬間フッとその場から消えた。それに寧音は苦笑いを浮かべる。

 

「総司ちゃんって何気にマザコンだよね」




さて今回はいかがだったでしょうか?

ついに次はあの化物、世界最強の剣士が出てくる予定です。

さてさてどうなることやら・・・・実はまだプロットすら存在してませんのでどうなるかは完全に未定ですwこれから必死に考えます。
落第騎士と生徒会長の幼なじみの話は七星剣舞祭編で終わろうと考えていたのですが実は10巻を読んでですね・・・・続きを書きたくなったと言うか書きたい話が出来ました。ですので続きを書くことにしました!!

まだまだそれは先になると思いますが文才はないですがこれからもぜひともお付き合いいただけると幸いです!

ではまた次回会いましょう!

簾木 健

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