落第騎士と生徒会長の幼なじみ   作:簾木健

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「剣と心を賭してこの闘いの人生を完遂する!」
                      るろうに剣心 緋村 剣心より


能力

《不転》多々良幽衣は目の前に立っている男に鳥肌が立っていた。そして周りの味方を見渡す。自分以外の五人内この恐ろしさに気付いているのは二人だと感じた。一人は黒鉄王馬。さっきの《紅蓮の皇女》と戦った時とは表情が明らかに違う。幽衣には少し強張った表情をしているように感じる。まずこんな表情をしている王馬を見たことがない。それにこの相手が普通じゃないことがわかる。そしてもう一人は風祭凛奈の付き人であるシャルロット・コルデーは目を見開いてその男を見ていた。そしてその身体はかすかに震えていた。そんな二人を見てまた眼前にいる男をもう一度見る。すると寒気が走った。

 

「やばい・・・あいつはやばい。絶対にやばい」

 

幽衣は《解放軍》の暗殺者としていままでたくさんの人間を手にかけてきた。その中のは多くの強者いたが確実に成功させてきた。しかし何度か絶対に無理だと思ったこともあった。それと同種のオーラを感じる。

 

「こいつは何者だ!?確かに《風の剣帝》が注意をしろと言っていたが・・・・・こんなにやばいのかよ」

 

出撃の前。黒鉄王馬は暁学園の面々に一つ忠告をしたのだ。

 

「破軍には玖原総司という男がいる。そいつには注意しろ」

 

簡単は忠告。それは多々良にとって頭の隅に置いておく程度だった。しかしその忠告が頭の隅から湧き出してくる。

 

「やばい・・・・これまでの相手と一緒にはできない・・・・こいつは別格だ」

 

幽衣であるチェーンソーを握りなおした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総司はゆっくりと目を閉じる。それは合図。普段は蓋をしている部分を外し全力を出す時のサイン。そしてその準備はすぐに終わった。スッと目を開けて六人を見て魔力を込める。そしてその技の名を告げた。

 

「地縛陣」

 

「「「「「えっ」」」」」

 

暁の面々を突如重力が襲う。それによって王馬以外の全員が地面に伏した。

 

「なんだ・・・・こんなもんか?王馬お前よくこんな奴らと組んだな」

 

総司はフッと微笑む。その笑みは暁からすれば死神が笑っているようにしか見えなかった。

 

「相変わらずの人真似だな総司」

 

「まぁこれがおれの能力だからな」

 

総司はそう言いながら王馬に斬りかかる。王馬はそれを楽々と受け流し切りかかる。そしてその斬撃は総司にとどき総司の身体を斬り裂く。しかし切ったはずの肉体は水となる。

 

「王馬まだ甘いな」

 

王馬の後ろから聞こえる声。そして聞こえるバチバチという雷が弾ける音。王馬の後ろで総司は抜刀術の姿勢しており鞘と刃の間には雷が迸っていた。

 

「雷切」

 

静かな声。そしてその後に続く轟音と雷鳴。それに暁のメンバーは何も出来ずに巻き込まれてしまった。

 

「なにあれ・・・・」

 

恋々がそんな総司を見て零す。それもそのはずだ。恋々自身は一人を相手取るので精一杯だった。そんな相手を六人相手にして圧倒している。そんな人間なこの世にいるのかとさえ思った。そんな恋々にカナタは言う。

 

「あれが総司さんの本気です」

 

無慈悲に告げるカナタ。そんなカナタに雷は尋ねる。

 

「貴徳原先輩、ではあの玖原先輩が使っているは一つの能力なんですか?明らかに一つには見えないのですが・・・」

 

「ええ。一つの能力というのは正確には違うのですが総司さんの能力です」

 

そこでカナタは言葉を区切り。、そしてゆっくりと言った。

 

「《魔術複製(マジック・レシピ)》。総司さんの持つ小太刀である《黒光》に斬られた相手の《伐刀絶技(ノーブルアーツ)》をコピーしてそれを保存する。それが総司さんの持つ能力です」

 

「えっ・・・・・それって・・・・」

 

葉暮桔梗はそのカナタの言葉に驚愕してしまう。

 

「もちろんすべての《伐刀絶技(ノーブルアーツ)》をできる訳ではありません。総司さんが言うには因果干渉系の能力はコピーできないということらしいです。でも・・・それ以外ならすべてコピーすることができるらしいですけど」

 

「・・・・そんな・・・・」

 

葉暮牡丹は言葉を続けることができない。それほどに総司の能力はやばい。ただでさえ魔術は応用が利くものが多いのだ。それもコピーし扱えるなんてもはや反則だ。ただとカナタは続ける。

 

「コピーして保存して置けるのは五つまでっことでした。さすがになんでもかんでも保存出来るわけではないようです。それでもあまりに強力な能力なんですけどね」

 

「・・・それでも総司先輩の剣技にその能力に勝てる人なんて・・・しかも今使った能力って西京せんせーの能力とかいちょーの能力。それに水は・・・黒鉄クンの妹ちゃんの能力?」

 

「それは単体でもかなり強いはず。しかも先輩はそれらを複合して使っておられた。これはもはや勝ち目など・・・「さすがにこれじゃ無理か」・・!?」

 

そこで総司の声が聞こえる。その声に全員が暁のメンバーがいたところを見る。するとそこには多少の傷を負いながらも暁のメンバーが全員立っていた。

 

「危なかった。助かったシャルロット」

 

「いえ・・・・お嬢様がご無事でよかったです」

 

メイド服が切れ切れになりながらもシャルロットは立っていた。他には重症を負った奴は見えない。それを確認し総司はフッと笑みを浮かべる。

 

「まさかそこまで完璧に守られるとは思ってなかったが・・・・まぁこれくらいうやってくれないと面白くない」

 

「くくく・・・・私の僕は優秀でな。悔しがってもいいのだぞ?」

 

「お嬢様・・・・ポッ」

 

「・・・・いや今の小手調べだし。悔しい以前に防がれると思ってから。そこまで悔しくはないけどよ・・・」

 

総司の身体から殺気が迸る。それは確かにさっきよりも遥かに濃い。

 

「次からは容赦しねぇ。一瞬でも気を散らしてみろ。殺してやるよ」

 

その言葉に暁の面々は顔色が明らかに変わる。

 

「おい・・・・ここは共闘といかないか?」

 

幽衣が提案する。それに真っ先に頷いたのは普段は幽衣と言い争いばかりしている凛奈だった。

 

「うむ。あやつはマズイ。さすがに一人では厳しいじゃろう。ここは《不転》の考えに乗ってやる」

 

「お嬢様がそう言われるのでしたら私はそれに従います」

 

シャルロットも頷く。

 

「めんどいしそれでいいよ」

 

サラは髪をぼさぼさと掻きながらそう言う。

 

「あはは・・・ボクはどうでもいいよ」

 

天音はカラカラと笑う。

 

「・・・・・・で?お前はどうするよ《風の剣帝》」

 

「・・・・・・」

 

王馬は幽衣に促されてもないも言わない。それは否定をしているように幽衣は感じる。ただここで幽衣自身はミッションに失敗する訳にはいかない。

 

「悪いが今回はそれで行かせてもらうぜ。今回はスポンサーの意向もあるんだ。従ってもらうぜ」

 

「・・・・そんなものは関係ない」

 

「えっ・・・・・」

 

王馬の全身から風が走る。それは暁の全員を近づけまいとしている。

 

「俺はあいつは一人で倒さないといけない。俺一人で乗り越えねば意味がない」

 

そう言い残し王馬は総司に向かって突っ込んだ。

 

「なっ!?」

 

幽衣は驚愕する。しかし突っ込まれた総司は予想でもしていたかのように楽々と王馬の一撃を受け止める。

 

「王馬・・・・甘いぞ」

 

「総司。お前は俺の得物だ。誰にもやらん」

 

「そうか・・・じゃあ・・・・・殺ろうか」

 

王馬が風の魔力を刃に込め飛ばす。これは風の能力を持つ人にとって最も基礎的な技《真空刃》。しかし王馬が放つそれは明らかに基本の技の威力ではない。しかし総司は何もないようにその風の刃を受け流す。そして受け流した態勢から急に総司の肉体が地面に向けて落ちる。しかしそれはミスや態勢を崩したのではない。そこから放たれるは《天陰》の技。《麒麟》。圧倒的な速さを持つ一撃。それはたとえ王馬と言えど防げるものではない。その一撃は王馬の身体を斬り裂いた・・・・・・かに見えた。

 

「なっ!?」

 

総司は驚愕しながらもさっと距離を取る。総司の一撃は確実に入った。しかしその一撃は王馬を斬り裂くには至らなかった。正確には王馬の身体に血は出ないほどの線が入った程度だった。その一撃の感触に総司は苦笑いを浮かべた。

 

「お前・・・・・なんつうことしてんだよ」

 

それに王馬は獰猛に笑った。

 

「お前に勝つためにやったことだ。正確にはお前と《暴君》に勝つためだがな」

 

「それでも・・・・・いや、お前だもんな。耐えれるか」

 

「しかしそれも今日でしまいだ。今日で俺はお前を越える―――――《天龍具足》解除」

 

そして王馬の身体から荒れ狂う風が発生する。しかし総司はそんな王馬を見てニヤリと笑っていた。《天龍具足》というのは自身に暴風をまとうことで敵の攻撃を弾く防御系の《伐刀絶技(ノーブルアーツ)》。王馬はこの技を裏返す形で使用して全身に巨大な圧力をかけていたのだ。そのためのその肉体には総司をもってしても中々傷をつけることができなかった。しかもいま王馬は枷を解いた。よって・・・・・速度も跳ね上がる。

 

「くっ!!」

 

凄まじい速度で振るわれる野太刀。総司はそれを苦しみながらも捌く。しかもその捌きは苦し紛れにも関わらず王馬のバランスを崩し、そこを狙って小太刀を振るう。それは王馬を切り裂き血が飛び散る。そこから始まるのは連撃。《天陰流 応竜》。暗殺を主とする《天陰流》の技には珍しく戦いの中で真価を発揮する技。《天陰》こと玖原鷹丸が生み出した戦闘技。その技は《天陰》の受けで使われる技術を攻めに用い相手に対し一切の隙を与えない連撃。止まらない二本の小太刀が王馬の肉を削ぎ血を飛び散らせる。そしてついに王馬が膝をつく。総司の持つ《白和》に風が圧縮され剣となっていく。そこ放たれるのは王馬の持つ最高威力の技。《月輪割り断つ天龍の大爪(クサナギ)》。そしてそれは王馬の身体を穿った。王馬崩れ落ちる。しかしその目は総司から離れることはない。そんな王馬に向かって総司は言った。

 

「・・・・・硬いってわかってればこんなもんか」

 

総司の声に宿っているのは強い落胆。

 

「弱くなったな。王馬」

 

「・・・っ」

 

総司はもう王馬のことすら見てなかった。そして王馬は同時に気付いた。総司がもう自分と同じステージ居ないことに。

 

「・・・・ここまでしても届かないのか!?」

 

王馬が感じたのは恐怖。総司に負けてから今まで努力を続けてきた。一切の余談なく強くなることにすべてを割いて生きてきた・・・・・・それでもこの男には届かない。今までの生き方をすべて否定されたような感覚。総司はそんな王馬の心境を見抜いてか、とどめも刺さずに他の暁の面々に向かっていく。

 

「さて次はどいつだ?」

 

圧倒的なオーラ。もはやそのオーラのみで人を殺せるのではないかと幽衣は思った。

 

「あの《風の剣帝》がいとも簡単に・・・・「ふふふ・・・・ハハハハ!!!!」・・っ」

 

幽衣はバッと後ろ振り返る。そこには満面の笑みを浮かべた。紫乃宮天音がいた。天音はパンパンと拍手をする。

 

「すごいね。君、本当に強いよ・・・・・でも邪魔だなぁ・・・・」

 

天音が歩いていく。そんな天音に幽衣は得体の知れない恐怖を感じた。

 

「こいつ・・・・何もんだ!?」

 

天音から感じる気配は総司のものとは明らかに違う。しかしそれ同等なほどの強い得体のしれない気配。

 

「あーあ・・・・もういいや。()()()()()

 

天音がそう零した瞬間。総司の口からかなりの量の血が噴き出した。




いかがだってでしょうか?

ついに総司の能力が明らかになりました。

これは最強の能力でしょう!!!自分が考えうる最強の能力にしました。

魔術と剣術。この二つを合わせ持ち、そしてそれを自在に使いこなすのが総司です。

さて皆さんはどう考えているのでしょうか?

そういえば皆さん10巻は読みましたか?

やばいのがでてきましたね・・・・・というかステラさんのお父さんww

そして一輝が恰好良すぎです!!!!

今回も感想、評価、批評募集しています。10巻の感想なんかも書いていただけると嬉しいです。

ではまた次回会いましょう!!

簾木 健

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