落第騎士と生徒会長の幼なじみ   作:簾木健

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うーん・・・ちょっとですが話が進みましたね。

バトルシーンはもうちょっと先になりそうだな・・・

合宿編はアニメではなかったしもっと詳しくやったほうごいいのかな・・・難しいですが楽しんでもらえるように頑張っていきます!!

簾木健


不安

七月下旬。一学期も無事に終わり、破軍学園は夏休みに入っていた。長期休暇ということもあり、帰郷した生徒も多く、校内の人気はまばらであった。そんな時期玖原総司はバスで山形に向かっていた。理由は七星剣舞祭本戦目前の合宿に向かうためであった。普段は破軍学園の合宿は奥多摩で行われる。しかし今回は前にあった奥多摩巨人騒動のため奥多摩の合宿所は閉鎖。あの一件は迷宮入りとなった。しかし何かその件について手がかりがないかと刀華が巨人を倒した本人である総司に聞いたところ

 

「あれはもういい。たぶん無理だし」

 

と言ってどんな相手だったのか言ってはくれなかった。そういうことで新宮寺理事長が『巨門学園』に頼み込み、山形にある合宿場で、『巨門学園』代表選手との合同合宿をすることになったのだ。

 

「巨門といえば・・・・ああ鶴屋のことか」

 

「うん。鶴屋さんも相当手練れの騎士だからしっかり対策しとかないと駄目だよ?」

 

「わかってる」

 

バスの中、総司と刀華は隣に座って喋っていた。刀華は代表にはなれなかったが、今回の合宿のボランティアコーチとしてこの合宿に呼ばれてたのだ。

 

「で?例年ならこの合宿ではどんなことをするんだ?」

 

なんだかんだで合宿初参加の総司が去年も合宿に参加した刀華に尋ねる。

 

「普段通りならKOKリーグに参加してたり、他の職種のプロの魔導騎士が講師に来て指導をしてくれたりするんだけど・・・・・そうちゃんは()()()()()?」

 

「そうだな・・・・・プロって言っても寧音さんや黒乃さんクラスじゃないんだろ?」

 

「うん。さすがに・・・そのクラスはみんな大阪に行ってるし・・・・」

 

今年の七星剣舞祭は大阪で行られるため黒乃はその準備、寧音は現在KOKの公式戦のため大阪に行っている。なのでそのクラス人間はほとんど大阪に集結している。それに総司はハァとため息をついた。

 

「こりゃ一輝当たりと一緒に遊ぶしかないかな・・・・・」

 

「黒鉄くんか・・・・」

 

総司の言葉に刀華が意味あり気に言う。

 

「ステラさんは違うの?」

 

「ステラか・・・・」

 

総司は頭を掻く。そしてハッキリと言った。

 

「あれはまだ一輝と同じクラスにいない」

 

「えっ・・・?」

 

刀華が総司の言葉に目を見開く。総司はその刀華の表情を見てからさらに言う。

 

「確かにステラは素材はいい。おれも出会った中では最高の潜在能力を持ってるのは事実だ・・・・・・でもな」

 

そこで一度言葉を切りさっき以上にハッキリと言った。

 

「いまはまだまだだ。たぶん刀華お前でも今なら余裕で勝てる」

 

「余裕で?」

 

「ああ。もちろん現状だ。お前と戦う中で成長して行くだろうからまた変わってくるだろうが・・・・どこまで伸びるかね」

 

総司は頭をさらにガシガシと掻く。それにすっと刀華は目を瞑る。

 

「そうちゃん。ハッキリ言って。今のステラさんや黒鉄くんをはじめとする今回のメンバーどこまで勝てると思ってますか?」

 

その質問に総司は少し考えてから言った。

 

「一輝とステラが良くてベスト4。その他は当たりが相当良くない限り一回戦も勝てないだろうな」

 

「・・・・・・」

 

総司の言葉に刀華はなにも言わない。けれど総司はそんな刀華に続けて言う。

 

「刀華。お前とカナタでステラを鍛えろ。一輝はおれが鍛えてみる。ただ一輝はどうなるかはわからん。正直おれでも教えれることは少ないと思う」

 

「わかりました」

 

刀華はゆっくりと目を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして合宿は4日目に入っていた。ステラは刀華とカナタとの模擬戦を繰り返している。ただステラはどちらにも勝ち越すことは出来てない。そして総司と一輝は・・・・

 

「ハァ!!」

 

「チッ!」

 

一輝の刀が総司の小太刀によって防がれそれによって一輝が体勢を崩され、攻守が変わる。右手の『白和』が一輝の首筋に走る。しかし一輝は焦った様子もなく素早く体勢を立て直すとその小太刀をスウェーで避ける。しかしそこにさらに総司の左手の『黒光』が次は一輝の腹を切り裂こう迫る。

 

「チッ!!」

 

一輝は後ろに飛んでそれを回避する。普通ならそこで総司は追撃を繰り出すところだが何故か構えを解いた。すると・・・

 

「やめ!!」

 

そう声がかかり一輝もふぅと緊張を解く。すると声をかけた女の子、一輝の妹である黒鉄珠雫が一輝にタオルを渡す。

 

「どうぞお兄様」

 

「ありがとう珠雫」

 

「いえ。玖原先輩もどうぞ」

 

「おっ悪いな。そういえば刀華とステラの模擬戦は・・・・いや聞く必要なさそうだ」

 

総司たちが話している近くにはもう悔しそうなオーラを漲らせながら近づいてくる赤い髪の女の子がいた。そして後ろから苦笑いをしながら近づいてくる眼鏡の女の子。

 

「どうだった?」

 

総司がその眼鏡の女の子・・・刀華に話しかける。

 

「最後は雷切の2段目でとどめでした」

 

「・・・・見せたのは初めてか?」

 

「うん。そうだよ」

 

「ならいいか。まぁお疲れ様」

 

「うん・・・・」

 

総司は労うか刀華の表情は暗い。総司はそれについてはなにも言わない。しかしその表情は刀華同様優れない。それもそのはずだ。一輝にしてもステラにしても成長は総司が当初予想した速度を完全に下回っていたのだ。ただ一輝の場合は総司にも教えてやれることがない。むしろ手合せの中で総司が学ぶことのほうが多い気さえしていたほどだった。そんな人間を成長させることはほぼ出来ないだろう。でもステラは違う。総司は鋭い眼でステラを見る。総司はこの合宿に入ってステラの戦いを何度も見る中で拭え切れない違和感を感じていた。

 

「・・・・まるでおれだ。蓋をしてるみたいだ」

 

「えっ?」

 

総司が静かに零す。

 

「でも意図的じゃないな・・・・・これは一筋縄では行かないかもな・・・・・」

 

「そうちゃん・・・それどういうこと?」

 

刀華がそれを聞いて聞き返す。

 

「・・・・・少し強引に行く必要もあるかもな」

 

「それはどういうい「すみません!!ちょっといいですか」

 

刀華がその真意を聞き出そうとしたところでそれは遮られた。

 

「どうも。『貪狼』新聞部の小宮山です。《閃光》玖原総司さん、《雷切》東堂刀華さん少しインタビューをさせていただいてもいいですか?」

 

小宮山の後ろからは『破軍』の新聞部である加々美と『武曲』の新聞部である八心もやってくる。総司は一つフゥとため息をついた。

 

「おれは構わない。刀華は?」

 

「え、ええ。でもいいんですか?私は代表ではないですよ?」

 

それに小宮山は構わないと頷く。すると今度は八心が口を挿む。

 

「出来ればやけど破軍の代表ってことで《落第騎士》と《紅蓮の皇女》にもインタビューしたいんや。一緒にいいか?」

 

「そう・・・一輝、ステラ」

 

総司はそれを聞き一輝とステラを呼ぶすると二人が来る。総司は二人に事情を説明する。すると二人も構わないと頷いた。その後総司は泡沫にメールをする。事情を説明して残りの代表である葉暮桔梗と葉暮牡丹の双子の姉妹を連れてきてほしいという旨を伝えるメールはすぐに返事が来た。どうやら二人は恋々との模擬戦がしているらしくそれが終わり次第向かわせてくれるらしい。それをそこに居た新聞部の三人に伝えると三人はポカンとしていた。

 

「どうかしたのか?」

 

総司がそう聞くと最も早く我に返った八心がハハッと乾いた笑いを漏らしながら頬を掻いた。

 

「いや、あの黒鉄王馬の好敵手がこんなに取材に協力的とは思えんくてな・・・・」

 

「どんなイメージを持たれていたんだか・・・・・」

 

「い、いや・・・まさかここまで協力的な人だったとは・・・・」

 

加々美も驚いたようで言葉の歯切れが悪い。そこで総司はああと頷いてから言った。

 

「そういえば破軍の選抜戦でもそこまで取材されなかったのはそのためか?」

 

「あっ・・・はい。実は部長が結構玖原先輩にビビッていたみたいで・・・・・」

 

「なるほどな。まぁ面倒なことだし少なくていいんだが・・・・・」

 

総司はハァとため息をつく。それにはなにか色々な感情が混ざっているように感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では取材をさせてもらいます!!」

 

場所を移動して合宿施設にある食堂。そこでご飯でも食べながら取材をすることになったのだ。葉暮姉妹も合流し破軍の代表が全員揃う。それを見て八心はハァっと声をもらす。

 

「今回の破軍の代表は本当に雰囲気あんな。こりゃほんまにうちの天下も危ういわ」

 

「そういえば『武曲』は誰が出てくるんですか?」

 

一輝が尋ねる。

 

「去年とメンバーはほとんど変わらへんよ。一人イレギュラーが入ったくらいや」

 

「王馬兄さんですね」

 

「ああ。あれはほんまに強いで。覚悟しとき」

 

「結局武曲はかなり強いじゃないですか」

 

加々美がムッと顔を顰める。しかし八心はいやと首を振った。

 

「だからアタシは気になるんや。正直《風の剣帝》黒鉄王馬の強さは異質やった。あれに勝てる騎士はそうおらんうやろ・・・・・・でもその異質な強さを持った男が勝てなかったという男の強さがな」

 

八心はニヤリと笑いフォークで総司を刺す。

 

「選抜戦の結果見せてもろうた。《紅の淑女》の結果以外ほぼ全て瞬殺。あの余りの速さから付けられた二つ名が《閃光》。アタシから見たらそっちも異質やわ。今回の合宿でも一日目で『巨門』が用意してくれたプロの魔導騎士のコーチを4人とも倒しとる。ほんまにどうしてここまで出てこなかったのかが不思議なくらいの騎士や」

 

「それはどうも」

 

総司はそう言いながら味噌汁を飲む。総司の今日のメニューは焼き魚とご飯と味噌汁にサラダだった。そんな総司を見ていると力が抜けていく。八心もそうだったようでハァとため息をつく。

 

「ほんま聞いとった通りの男やな」

 

「うん?」

 

その言葉に加々美が反応する。

 

「八心さん。玖原先輩のこと誰に聞いてたんですか?」

 

「ああ。それはな諸から聞いたんよ」

 

「諸?」

 

「ああ。諸星雄大聞いたんよ」

 

「「「「えっ?」」」」

 

その言葉に総司と刀華とステラ以外が目を見開いた。

 

「現七星剣王が・・・・・玖島先輩知り合いなんですか?」

 

加々美が聞く。

 

「現七星剣王!?」

 

そこでステラは全員が驚いた理由に気付く。それに総司はああと軽く頷く。その反応に刀華は苦笑いを浮かべただけだったが他のメンバーは開いた口が塞がらないようすだった。それを見て総司は笑う。

 

「普通知ってるだろ?同年代の強者なんだし・・・「それだけやない」」

 

そこで八心が口を挿む。

 

「その七星剣王がこう言ったんや。『正直これまでのやつとは別次元や。気を付けんばな』ってな」

 

「「えっ・・・・・・」」

 

葉暮姉妹は完全に言葉を失う。それに総司はまたフッと笑った。

 

「雄大のやつそんなこと言ってたのかよ・・・・それは楽しみだな」

 

笑う総司。しかし総司の雰囲気は今までと比べ者にならないものになる。その雰囲気に八心、小宮山、加々美は息を飲んだ。そして三人はこの男が今回の七星剣舞祭を引っ掻きまわすこと悟った。




どうだっでしょうか?

ついに七星剣王が!!諸星は好きなキャラなんで頑張って書きたいんだけど・・・関西弁難しい!!!書いてはみたけどエセっぽいな・・・・誰か教えてくださいww

今回も感想、批評、評価募集していますのでよろしければお願いします!!

ではまた次回会いましょう!!

簾木健

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