落第騎士と生徒会長の幼なじみ   作:簾木健

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やっと書けました!!

いつも通りうまくまとまってないですが・・・・・

今回も楽しんでいただけると嬉しいです。

簾木 健




門番

「本当にすごい山ですね」

 

「もう嫌だ・・・・」

 

「本当にどんな実家なんですか・・・・」

 

「こんなところに住んでる人本当にいるのね」

 

「ふふ、ここに来るとそうちゃんの家に来たという気がします」

 

刀華、一輝、凪はまだ余力をもってこの森を歩いていたが、ステラと珠雫はこの森で完全に神経をすり減らしていた。落とし穴などのオーソドックスな罠から、毒付きのナイフが飛んできたり、大量の蛇がいたりなど多種多様な罠が用意されていれば無理もない。

 

「確かに二人はこういった戦闘向きじゃないもんな・・・・・」

 

総司がそんな二人を見て笑う。

 

「もう少しで着く。もうちょっと我慢しろよ」

 

「そういえば、なんでこんな家にしたんですか?」

 

一輝が総司に質問する。すると総司はあーっと少し考えてから言った。

 

「実はよくわかんねぇんだ。師匠も知らないんだと。てか師匠が生まれたときはもうこうだったらしいから」

 

玖原家の歴史はかなり深い。しかし裏の世界という環境で生きてきたためか歴史には登場することもなく、家自体もそういったものを伝えるようなことをしていない。

 

「ずっと伝わっているものをしいてあげれば『天陰流』くらいだな」

 

「じゃけっこう謎の多い家なのね」

 

凪がそう言うと総司はああと頷く。ただその声にはやはりなにか凪に対して警戒をしているような声だった。

 

「まぁもうここまで来れば罠もほとんどないが・・・・あとは門番くらいか」

 

「門番?なによそれ?」

 

「この森を抜けていくと広場みたいなところに出る。そこには家に入る門とその門を守る門番がいるんだ」

 

「・・・・その門番強いんですか?」

 

珠雫が答えはわかってますと言ったように聞くが総司はそれに首を振った。

 

「そこまで強くない。玖原の家の中でも序列が低かったり子どもだったりなんだ。それなりで普通なら倒せる」

 

「・・・普通ならですか?」

 

一輝の気になった点を聞き返してみる。

 

「ああ。()()()()()

 

総司の顔にちょっと不安が影を差す。

 

「ちょっと・・・・いや・・・・かなりやばい気がするんだよ」

 

「やばい気ですか?」

 

一輝が首を傾げる。それにステラと珠雫の顔が青くなる。

 

「それってこの森よりよねぇ・・・・?」

 

ステラが恐る恐る総司に尋ねる。

 

「ああ・・・・もしかしたら・・・・・」

 

そこで森が開ける。そこには大きな広場と大きな和風の家と大きな門。そしてその門の前には・・・・・

 

「ハァ・・・・けっこう罠多めにしたんだけど・・・やっぱりここまでこれちゃったか」

 

一人の女の子がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総司兄、刀華ちゃん、久しぶり」

 

「久しぶりだな。美奈」

 

「うん。みーちゃん久しぶり」

 

「で?その黒髪の男の子と銀髪の女の子が()()なんだね」

 

そこにいたのは黒髪のショートカットで元気そうな見た目の女の子。ただその女の子はその元気そうな見た目とは異なり、静かに笑った。ただ一輝はその女の子を見つめ固まってしまった。

 

「・・・・この子強いな」

 

強くなるために自分にはそれしかないとして、ありとあらゆる武や武術者を見てきた一輝。そんな一輝から見てもこの目の前に立っている女の子は武術者として完成されていた。そして・・・・

 

「強さは劣っているけど、この底知れない雰囲気。総司先輩に似てる」

 

ゆえに一輝は完全に警戒態勢に入る。それに総司とその女の子は気づいたのか一輝の方を向いた。

 

「こいつは玖原美奈。おれの再従姉妹で今・・・・いくつだっけ?」

 

「覚えてないの?もう・・・・今は中学二年生です。本日はここの門番を任されました」

 

「ということは・・・・あんたを倒せばいいのね!」

 

そう言って少し瞳を輝かせながらステラは自分の固有霊装(デバイス)である妃竜の罪剣(レーヴァテイン)を展開しステラの周りからはメラメラの炎が揺らめくとともにステラから放たれる殺気が強くなる。

 

「この戦闘狂と一緒にされるのは嫌ですが、さっさとやりましょう」

 

そう言いながら珠雫も宵時雨を出し戦闘態勢を取る。ただそんな二人に対し美奈はちょっと残念そうに笑った。

 

「正直私も戦ってみたかったんだけど・・・・・今日はそれを譲ることになったんです」

 

美奈がそう言うと門が内側から開き背の高い女性が出てきた。長い黒髪に大きく少し切れ目な目。その目が少しきつそうな雰囲気だが、かなりの美人だった。その人を見て総司が苦笑いを浮かべた。

 

「ふふっ・・・総司あなたは外れてなさい。あなたの相手はさすがに少しキツイから後で相手してあげるわ」

 

「はい・・・・」

 

総司はそれに対して素直に頷いて美奈と一緒に端に避ける。刀華はその女性を見て完全に固まってしまう。一輝もその出てきた人の闘気に戦慄する。美奈は確かに強かった。ただこの人と比べると明らかに見劣りする。

 

「東堂さん。あの人は誰なんですか?」

 

「・・・・あの人は玖原恵さん・・・・そうちゃんのお母さんで・・・・」

 

そこで恵は自身の固有霊装(デバイス)である槍を取り出す。するとさっきまで放たれていただけの闘気が一気に収縮しその槍に吸い込まれていく。その異常さにステラ、珠雫、凪もその人の強さに気づいた。

 

「元KoK日本最高ランカーです」

 

「ーー!!!」

 

現KoKランカーで日本最高は3位の西京寧音だ。そしてその前は同じく3位で新宮寺黒乃。いま破軍で二人は教員、理事長の座についている。そんな彼女たちの先輩にあたるのがいま一輝たちの目の前で槍を構えている玖原恵なのだ。ランクとしては4位の座についていたが身体を壊しその座を退いた。ただそれでも彼女の本気に対して一輝たちが一対一でまともに戦えるような騎士ではない。それは恵もわかっているのかニヤリと総司によく似た笑みを浮かべた。

 

「さて、始めましょう。『雷切』に『黒鉄』にAランクにーーー面白い臭いのする子。さすがにキツイかもしれないけど全員でかかってきなさい。私が見極めてあげる」

 

そういうと恵の闘気がさらに高まる。一輝と刀華もそれぞれ固有霊装(デバイス)を取り出し構える。いまここに五対一の戦いが切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

「総司兄。どうなの勝ち目あるの?」

 

「・・・・きちんと連携出来ればいける」

 

「それは連携できなきゃ負けるってこと?」

 

「ああ。てか母さんはどれくらい動けるんだ?」

 

「たぶんもって10分かな。それくらいで薬の効果はなくなるって言ってたし」

 

「そうか・・・」

 

二人のこの会話が終了したとこで珠雫が動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!!」

 

珠雫は水の塊を放つ。

 

「速い」

 

美奈がそう呟く。でもそれはーーー恵には届かない。

 

「甘いわね」

 

そう恵が言った瞬間。その水の塊は恵の前で霧散した。

 

「えっ」

 

珠雫が突然の水の消失に驚きの声をあげる。

 

「いまのはーー」

 

ただ一輝はなにが起きたのかを正確に理解していた。

 

「いま珠雫が放った水を突いた。しかもあの一瞬で5回ーー本当に玖原の人間は並じゃない」

 

一輝は自分の肌が逆立つのを感じる。そこにさらに恵の闘気がぶつけられる。

 

「ただこの相手を竦ませる闘気はどこか総司先輩に似ているが少し違う。でもこの闘気の密度は本物の化け物だ」

 

前に黒乃と模擬戦を行ったときもこんな風にヤバイ相手と戦っている気がした。でもここまでだったかとも思う。

 

「東堂さん。どう攻めます?」

 

とりあえずなんとかしないといけないと思い横にいた刀華に尋ねる。刀華はそれに眼鏡を外しながら答える。

 

「今の突きを見るに簡単には攻めることは出来ません。なんとか崩す術を・・・・「刀華ちゃん。戦いの最中に余裕ね」・・・!!」

 

瞬間10メートルはあった筈の間合いが詰められた。そしてあの突きが来る。

 

「「くっ!!」」

 

二人がなんとかスレスレで反応し回避する。

 

「へー。いい反応ねっと」

 

二人の回避にちょっとした感嘆の声を漏らした恵に不意打ちと言わんばかりに凪が自らの固有霊装であるナイフで切りつけてるがそれはまた瞬間的に距離を空けられて回避される。

 

「さすがあの臭いをさせてるだけはあるか。良い攻撃ね」

 

「ふふ。ありがとう」

 

恵の言葉に感謝を返す凪だがその声には余裕がない。

 

「アタシもいるわよ!!」

 

そんなところにステラが切り掛かるがそれも急激に距離を空けられて回避される。

 

「皇女様も流石に強いわね。この魔力・・・・本物だね。うん。かなり良い線いってるしここを通るくらいなら合格」

 

そう言っておきながらその闘気はおさまるどころかさらに強くなる。

 

「さて、だから安心してーーー私に倒されなさい」

 

「えっ」

 

その言葉の次の瞬間、珠雫は気を失う。珠雫の前には槍を構えた恵の姿。

 

「魔術はともかくこの子、武術は素人ね。全く『黒鉄』はこれでいいのかね」

 

しみじみという恵に戦ってみた全員が理解する。この人は間違いなく総司の母だと。そしてその能力も。

 

「瞬間移動の能力。たぶん能力は自らを移動することしか出来ない・・・・でもあの槍術の前では・・・・・」

 

前にステラが刀華と珠雫との戦いを見て、刀華は能力と武術のバランスが良いと言ったことがあった。しかし恵のそれはそのさらに上を行く。能力が武術のためにあり武術が能力のためにあるとさえ一輝は思った。

 

「さてさて、あとはこうはいかないわね。誰から行こうかしら」

 

ゾクっと鳥肌を逆立てる4人。ただそんな中一輝は笑った。それに恵も気づいて笑う。

 

「ふふ。もう一人の『黒鉄』は生粋の武人のようね。彼はとっとくことにしてーーーじゃあ」

 

フッとその場から消えーーー凪の前に現れた。

 

「くっ!!」

 

凪は影を操り恵の攻撃を防ごうとするが、それは叶わない。神速の突きは凪を穿つ。

 

「さてこれで残り3人。うーんこの3人は本物ね」

 

さすがの恵もこの3人は別格だと理解する。でも恵は本当に楽しそうに笑っていた。

 

「それにしても今の破軍は良いわね。黒乃も楽しいでしょうね!!」

 

そう言いながらさらに恵は瞬間移動し、今度はステラの前に現れる。

 

「皇女様・・・悪いけど倒れて・・・!?」

 

「そんな簡単にいくわけないでしょ!!!」

 

ステラの周りから炎が噴き出し、恵は距離を取らされる。その場でついに刀華が動く。瞬間移動した先を読みその場に突っ込む。納刀したまま。

 

「!?」

 

驚く恵。放たれるのは刀華の代名詞であるあの技。ただあの技圧倒的な雷撃が来ない。なぜなら

 

「ちょっと驚いたしいい連携だけどもうちょっとね」

 

恵の槍。その切っ先が刀華の『鳴神』の柄頭を押さえ抜刀を行えなくしたからだ。

 

「くっ!!」

 

刀華が悪態をつく。しかしこの隙を逃さない・・・・一輝はそこまで大人しくない。

 

「一刀修羅」

 

突っ込む一輝が放つのは彼の技の中で最速の技。第七秘剣。雷光。

 

「くっ!!」

 

恵は瞬間移動してそれも避ける。そこを狙い撃つのはステラ。

 

妃竜の大顎(ドラゴンファング)!!!」

 

炎で作られた竜が恵に襲いかかる。

 

「まだまだ!!!」

 

しかし恵それを突き消滅される。しかしその竜の後ろから一輝が追撃をかける。

 

「甘い!!」

 

その一輝をも恵は連続で突き続ける。そしてその突きは完全に当たったかに見えた。しかし恵のついた一輝は霧のように消える。

 

「えっ!?」

 

そして突かれたはずの一輝が右側から現れて恵を切り伏せた。

 

「第四秘剣 蜃気楼」

 

「あっ・・・・」

 

恵はそう零し重力に従い倒れる。がその途中で総司によって受け止められた。

 

「勝敗は決したな。さて美奈、開けてくれ」

 

総司の言葉に美奈はハッと意識を取り戻し、困ったように笑った。

 

「まさか恵さんが負けるなんて思わなかったな。まぁでもこれは文句なしに合格。じゃあ皆さん中にご案内します。すみませんがそちらの気を失っているお二人はお願いできますか?」

 

美奈はそう言って玖原家の本邸に繋がる門を開いた。

 




どうだったでしょうか?

今回は戦闘シーンありでした!!

久しぶりの戦闘シーンですね。ただ総司は戦ってないですが・・・・総司の戦闘シーンは今度描きますので楽しみにしといてください。

前書きと後書きでなにかしたいなと思うのですが・・・なにも出てこないですねww

なにかいいことを思いついた人はできれば知恵を貸してください。よろしくお願いします。

今回も感想、批評、評価募集していますのでよろしければお願いします!!

ではまた次回会いましょう

簾木 健

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