落第騎士と生徒会長の幼なじみ   作:簾木健

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サブタイトルが出てこない・・・・・

今回も楽しんでいただけると嬉しいです!!!

簾木 健


流派

「体長4メートルほどの巨人らしいです」

 

「はぁっ!?」

 

「きょ、巨人!?」

 

ステラと一輝が声を上げる。ただ総司はふーんと聞き流していた。

 

「はい。巨人です。プロ野球じゃないですよ?」

 

「知ってます」

 

「オール〇神さんの相方でもないですよ?」

 

「知ってます。ていうか貴徳原さんが知ってることに驚いています」

 

「ね、ねえ、巨人ってそれはほんとうなの!?」

 

ふと、突然出た荒唐無稽な話題に、ステラが身を乗り出して食いつく。

 

「ずいぶん食いつくねステラ」

 

「だ、だって!巨人よ!未確認生物よ!ロマンじゃない!!」

 

そう言ってステラの緋色の瞳は、まるで少年のようにキラキラと輝いていた。そのステラの反応に、恋々が、「同士を見つけた」とばかりに呼応する。

 

「へえ!ステラちゃんはそういうの好きなんだ」

 

「川〇浩探検隊のDVDで日本語を覚えたくらい大好きよ」

 

(ものすごいところから日本に入ってきてるよこの皇女様・・・・・!)

 

やや戦慄する一輝だったが、恋々はステラと意気投合したようだ。

 

「おお!ステラちゃん、話せるねぇ!」

 

「それ殆どやら――――」

 

「副会長。それ以上いけませんわ」

 

「ねえねえイッキ!トーカさんも困ってるみたいだし、アタシ達が協力しましょうよ!アタシ、巨人に会いたい!」

 

ステラが目をキラキラさせながら一輝の肩をゆるす。正直、一輝は巨人には興味はないが――――彼は生徒会が忙しい原因である選抜戦制度で恩恵を受けた身だ。だから彼らに協力することは、むしろ是非にという気分だ。故に二つ返事で了承する。

 

「そういうことでしたら、一生徒としてよろこんで協力させてもらいます」

 

「ほ、本当ですか!!?」

 

一輝とステラの快諾に、頭を抱えて沈んでいた刀華の顔に生気が戻る。

 

「合宿所も生徒のための施設ですしね。僕たちでよければ」

 

「申し分ないです!本当にありがとうございます!すごく助かります!!」

 

弾む声で言って刀華は感謝の気持ちを握手で示そうとする。が―――ばしっ!と一輝に伸ばされた刀華の手をステラがインターセプト。一輝の代わりに熱い握手を交わした。

 

「よろしく。よろしく」

 

「え?あ、はい、よろしくお願いしますね」

 

「で?」

 

そこで総司が口を挿む。

 

「おれもそれと同じ依頼なのか?」

 

「うん。そうちゃんお願いできる?」

 

ステラの手を離し、その手を顔の前で合わせてお願いしてくる。

 

「いいぜ。おれも巨人ちょっと気になるしな」

 

ニヤリと総司が笑う。そしてカナタの出した紅茶を一口で飲み。座っていた椅子から立ち上がった。

 

「今日は泡沫とゲームも出来ないみたいだな」

 

「うう。ごめんねそうちゃん」

 

「それはうたくんのせいですけどね」

 

そんな泡沫を見て総司はフッと笑う。

 

「カナタ、紅茶すごいうまかった。今度また飲ませてくれ」

 

「はい。わかりました」

 

生徒会室の扉に向かって歩きながら総司がそう言うと、カナタは嬉しそうに頷く。

 

「あっ!、それと刀華」

 

扉に手をかけたところで総司はなにかを思い出したように言った。

 

「今日は魚が安かった」

 

一輝とステラ、恋々と雷は互いに顔を見合わせて首を横に傾げる。しかし刀華やカナタ、泡沫にはそれで総司がなにが言いたかったのか伝わった。そして刀華はそんな総司の背中に優しく言った。

 

「ふふ。わかりました。()()()()()()()()

 

総司は刀華がそう言ったのを聞いてから扉を開けて出ていった。すると刀華はふぅと息を一つ吐き言った。

 

「昨日の今日だけどちょっと早めに上がらせてもらうね」

 

恋々や雷が驚く中、その発言が予想通りだと言わんばかりにすぐに副会長である泡沫は頷いた。

 

「ああ。残った仕事は僕とカナタと恋々と雷でやっておくよ」

 

「うん。ごめんね。そうちゃんのせいで・・・・」

 

「いやいや、そうちゃんにはお世話になってるし、今度の件でもお世話になるんだ。構わないよ」

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

そこでステラが口を挿む。それにキョトンとして刀華と泡沫がステラを見た。

 

「今の流れでなに?そしてどうしてトーカさんがソージさんのために早く帰ることになるの?」

 

その発言に恋々が続く。

 

「そうだよ!どうしてかいちょ―が・・・しかも総司先輩のためってどういうこと?」

 

一輝と雷もうんうんと頷く。それに刀華はああっと言いながら手を叩いた。

 

「そっか。みんなはそうちゃんのことをそこまで知ってないですもんね」

 

それに泡沫もそうだったと笑った。二人がクスクスと笑いだすが、四人はさらにキョトンとしてしまう。そんな四人にカナタが微笑みながら答えた。

 

「今のは、昔から総司さんがご飯を作っててほしい時にする下手な甘え方なんですよ。総司さんはとても甘え下手なんです」

 

「え?じゃあ玖原先輩は・・・・・」

 

「はい。今日は魚が食べたいってことなんです」

 

刀華が当たり前のように言う。それに四人は一瞬唖然としてしまったが、次の瞬間に吹き出した。

 

「ふふ・・・それはなんというか・・・ソージさんってかわいいのね」

 

「総司先輩ってそんなかわいいところもあったんだ」

 

「・・・・不器用な人だ」

 

「少しイメージが変わりました」

 

「まぁもう一つの意味もあるんですけどね」

 

ひとしきり笑ったところでカナタが言う。

 

「実は総司さんがそんなお願いをする時は二つの理由の時だけなんです」

 

「二つの理由?それはなんなんですか?」

 

一輝が興味あり気に聞く。それにカナタはふふっと意味深な笑顔を浮かべる。すると次は刀華が口を開いた。

 

「一つは仕事の時。そしてもう一つは全力でトレーニングをする時です」

 

「「・・・・・・!!!!」」

 

それの言葉に急に場の空気が締まる。

 

「学園に入学する時に仕事は招集以外受けないことにしてるはずなので、今回は後者ですね」

 

あの総司のトレーニング。一輝とステラはとても興味を惹かれる。

 

「ソージ先輩って一体どんなトレーニングをするの?」

 

「うーん・・・・少しなら知っているのですが・・・・正直普通の人には出来ません・・・・たぶん黒鉄くんならついていけるかもという感じです」

 

刀華が苦笑いしながら言う。それにステラは頬を引きつらせる。なんせいつも一番近いところで一輝がトレーニングをしているのを見ているのだ。そしてそれがどんなに過酷なものかも知っているつもりだ。そんなトレーニングをする一輝がついていけるかわからないなどステラには想像を出来なかった。

 

「二人とも興味があるのなら今度お願いしてみるといいですよ。まぁ余談ですが兎丸さんと砕城くんは一度ついていって次の日立てなかったそうです」

 

「「うっ!!」」

 

二人がその刀華の発言を受けてトレーニングを思い出して吐きそうになるのを口に手をあてて防ぐ。そんな二人にさらに頬を引きつらせるステラ。でも、その中でも一輝はやはり少し違っていた。

 

「へぇ・・・・今度頼んでみよう」

 

心の中でそんなことを考えているのだ。やはり一輝は一輝である。

 

「そういえば今度ソージさんに会った時に詳しくは聞こうと思ってるんだけど・・・・・あの人が使う『天陰流』ってどんな流派なの?」

 

思い出したようにステラが尋ねる。それに対して刀華は一口紅茶を飲み言った。

 

「ステラさんは『天陰流』が日本最強・・・いえ最恐と言われているのは知っていますか?」

 

「最強?なんで二回・・・一応最強と言われているのは知っているけど・・・・」

 

「ではその理由は?」

 

「理由?そこまで知らないんだけど・・・・・」

 

「では黒鉄君は知っていますか?」

 

その刀華の問いに対して一輝は難しそうな顔をした。

 

「イッキ?」

 

ステラが首を傾げる。

 

「知っていると言えば知っています。ただ本当にそれであっているのかは自信がありません。確認したこともそれが理由だと言われているというのも聞いたことがないので・・・・」

 

一輝は自分の答えが完璧でないことを言ったり教えたりすることを嫌う。だからこんな顔をしたのだろう。そんな一輝に刀華はフッと笑った。

 

「仮説でもいいので聞かせてくれませんか?」

 

「では・・・・『天陰流』は元々忍の流派だと言われています」

 

「忍・・・・それってニンジャってやつよね?」

 

ステラの問に一輝は頷き続ける。

 

「そしてその流派を扱う忍の一族。それが『玖原』。玖原先輩はその一族の末裔っていうのはあってますよね?」

 

「はい。その通りです。続けてください」

 

刀華が頷き、一輝は続ける。

 

「『天陰流』という流派の名前が有名になったのは戦時。玖原先輩の曾祖父玖原鷹丸から。でも流派はもっと前からあったとされている。ではなぜ名が知られてないのか・・・・それには二つ理由があると思いました。一つは大舞台で使われることがなかったこと。そしてもう一つは・・・・・その流派は裏でしか使われないのに使う人に会うと必ず殺されていたから」

 

「「「!!!!」」」

 

恋々、雷、ステラが驚愕の表情になる。ただ刀華はなにも言わない。そしてそれが肯定であることをこの場に居た全員が理解した。

 

「そして・・・・その技を完全に受け継いだ伐刀者(ブレイザー)が玖原総司先輩なんですね」

 

そう言い切った一輝に刀華、カナタ、泡沫は戦慄していた。

 

「さすがの観察眼ですね」

 

「ええ。しかしここまでとは・・・・・」

 

「刀華の伐刀絶技(ノーブルアーツ)並み・・・いやそれ以上かも知れないね」

 

「って言うことは・・・・」

 

 

恋々が聞く。それに刀華は頷いた。

 

「ええ。そうちゃんの使う『天陰流』は元々玖原の忍たちが使った暗殺を主とする流派です。そしてその流派の技には一つ絶対的な条件があります。逆に言えばそれさえ認められれば『天陰流』とされるらしいです。その条件というのが・・・・・」

 

そして刀華は剣士たちにとって衝撃的なことを続けた。

 

「その技を使えば()()標的を殺すことができるです」

 

 




どうだったでしょうか?

話が進んでない・・・・・ただちょっと主人公の話が出来た!!

これからも少しずつ明らかにしていきます。

今回も感想、批評、評価募集していますのでよろしくお願いします。

ではまた次回会いましょう。

簾木 健

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