ナーベがんばる!   作:こりぶりん

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 やべえ、思ったよりストックが貯まらねえぞ……
 でも初っぱなから延期なんてエタるフラグ立てたくないので見切り発車( ´∀`)
 このSSの半分は皆様の応援でできております( ´∀`)



第二部 エ・ランテルへ
第九話:グやグや汝を如何せん


 ネム・エモットの朝は早い。

 と言っても、開拓村の一日などと言うものは日の出と共に始まり日没とともに終わるのが普通であり、ネムの生活もそれに即したものになっているというだけのことだが。

 この数日で体が慣れたのか、日の出前に目を開けたネムは、抱きしめていたナーベラルの頭をそっと離す。

 

 あの日以来、再び一人で眠れなくなった。自分がもう子供ではないと言いたがる年頃のネムは、一人で眠ることだってできるようになっていたのだが、それができなくなった。あの惨劇の記憶によって。

 両親はもういない。姉は怪我をしており迷惑を掛けられない。そこでネムが選んだ相談相手は、(無謀にも)ナーベラルであった。姉に迷惑をかけたくないから恩人に手間をかけるというネムの選択は、姉が知れば目を剥いて窘める類のものであったが。

 実際にとった行動も大胆きわまりないものであった。一人で寝ようとして眠れず、起き出して何処に行くかを考え、ナーベラルの部屋を訪れたネムは。ナーベラルが寝ているのを見ると、いそいそとその寝床に潜り込んだのである。

 しかし、一緒に寝てみて分かったのだが。ナーベラルの方が寝ている間は余程酷い様子であった。魘される。涙を流す。跳ね起きる。起きたように見えて隣の闖入者に気づく様子すらなく、倒れ込むように再び眠る。逆にそんな様子を見たネムは、己の恐怖が形を潜め、ナーベラルのことを可哀想に思うようになった。隣で魘されるナーベラルの頭をそっと抱きしめると、心なしか彼女が落ち着いたような気がした。

 翌朝目を覚ましたナーベラルと目があったときの反応はちょっとした見物だった。目を瞬いてからごしごしとこすり、近視の人間が遠くを見るときのように目を細める。どうも目の前の状況が夢を見ているわけではないらしいと納得するのも束の間、「……何やってんの?」とだけようやく口に出した。

 ネムがはにかんで「えへへ、添い寝」とだけ答えると。眉を顰めて目を泳がせ、百面相を経由し、酸欠の金魚のように口をぱくぱくさせた挙げ句、何も言えずに黙り込んだ。

 それ以来、ネムは彼女の寝床に潜り込んで寝ている。その頭を抱きしめながら。

 ナーベラルを残して寝床からそっと抜け出ると、台所に向かう。

 

「おはよう、お姉ちゃん」

 

「ん、おはよう、ネム」

 

 台所には既にエンリが起き出していた。その右手は包帯でくるまれ、肩から吊られている。手の骨が砕けた姉に家事をすることはできない。命の恩人のナーベラルにやらせるなどとんでもない。だからネムが朝食を作るのである。勿論、一人でやらせるのは心配なので、後ろでエンリが見守りながらだが。本当を言えばエンリだって、今までは母の補助でしかなかったのに。

 ネムの身長では一抱えもある水瓶を抱きしめて井戸に向かう。釣瓶を井戸の底に投げ入れ、ネムが両手、エンリが左手を添えて二人で引っ張っていると、背後からぺたぺたと足音が近づいてくる。

 

「やあお二人さん、おはようでござる。それがしも手伝うでござるよ」

 

「おはようハムスケ。ありがとー」

 

 ハムスケがやってきて、ひょいひょいと水をくみ出してくれる。戸口まで水瓶を運んでくれるので、残りは二人で抱えて大瓶に水を注いでいく。ハムスケがいなかったらかなり辛い作業になっただろう。

 慣れない手つきで火を起こし、危なっかしい手つきで野菜を刻んで鍋に放り込み、煮込んでいく。スープを作っている内に、近所から料理のお裾分けが届く。これは、村全体の恩人であるナーベラルの世話を、たまたま滞在先に定めたエモット姉妹だけに任せるわけには行かないという村長の意向があって、近隣住民が持ち回りで食事を差し入れてくれるのである。これは同時に、子供と怪我人の二人になってしまったエモット姉妹への援助にもなっているあたり、村長の気遣いを感じられたエンリは感謝している。ナーベラルがそこまで考えて滞在先を決めたのかは分からないが。

 

 食事の準備ができる頃、匂いに釣られてかは定かではないが、ナーベラルが起き出してくる。毎朝いつも何事かぶつぶつと呟いているのは、どうやら何かの習慣らしい。ネムが耳を澄ませてみたときは、「セージ」と「モモ」だけがどうにか聞き取れたので、植物の名称を呟いているのだろうか。

 

「おはよーございます、ガンマ様」

 

「おはようございます、ガンマ様。食事の準備ができていますので、どうぞ」

 

「……ん」

 

 二人が挨拶すると、ナーベラルは軽く頷いて席に着き、黙々と食事が始まる。表情にも態度にも愛想が欠落したナーベラルは常に仏頂面だが、それにも慣れてきたのか、同じ仏頂面にも多少の感情の機微を感じる気がしてきた。少なくとも、常にただ不機嫌であるというわけでもないらしい。

 食事が終わってからのナーベラルの行動は気まぐれに基づいており、日によって様々である。村の中にいるときは、村人を捕まえてはなにがしか質問することが多い。迷い人であるナーベラルは、村人なら常識で知っていることを知らないため、知識を得る必要があるということらしい。そうでなければ、ハムスケを伴ってトブの大森林の奥へと出かけていく。そこで何をしているかはネムには想像もつかない。たまに野生動物を狩って持ってきてくれることもある。だからと言って狩人の仕事をしているわけではないようだが。

 

 本来エンリとネム……というより、エモット家にはやらなければならない仕事が山積しているが、それは子供と怪我人が回せる代物ではもはやない。それでも何もしないわけには行かないので、追いつかないながら麦畑の手入れをしたり、菜園の世話をしたり、薬草を潰して保管したり、思いつく限りの仕事をすることになる。

 その日の午前中は畑の雑草取りに費やされた。太陽が中天に差し掛かった頃、家に戻って昼食を取る。ナーベラルが戻ってくるとは限らないが、わざわざ予定を告げたりはしないので、彼女が居る居ないに関わらず、彼女の為に昼食は届けられる。その日は戻ってこなかったので、二人で食事を頂いた。

 

 午後は家の中で過ごした。家の中でもやることは幾らでもあるが、その殆どは今のエンリには実行が難しいものである。故に拙いながらも家仕事をネムに教えたり、数少ないできることとして物品の整理をしたりして過ごす。

 姉が難しい顔をして考え込んでいるのをネムは気づいている。残った麦袋の数を数えたり、僅かに貯蓄された銅貨の枚数を確認したり、そんな時にエンリは焦りと緊張を孕んだ顔で唸っている。ネムはそんな姉の助けになりたいと思うのだが、何をすれば助けられるのか分からない自分がもどかしい。だからせめて、自分は姉の言うことをよく聞くいい子で居なくてはならない。

 

 

「どうも調子狂うわね……」

 

 トブの大森林奥深く。ハムスケに騎乗して探索するナーベラルは、不本意そうに呟いた。いつのまにかネムのことを思い浮かべていた自身を意外に思ったのだ。

 あの子供は、こちらが邪険にしてもめげずに纏わり付いてくる。怒ってみせればその場は引くが、それで懲りると言うことがない。ある朝、目を覚ましたらネムの顔が眼前にあったときには死ぬほど驚いた。なぜあの時怒って叩き出さなかったのか、自分でもよくわからない。

 

 そのように物思いに耽っていると、ハムスケから声が掛かった。

 

「姫、そろそろ『東の巨人』の縄張りでござる」

 

「そう、わかったわ」

 

 現在二人はトブの大森林東部に君臨する『東の巨人』の下に向かっていた。目的は無論、情報収集である。別に情報を集める対象の知性体を、人間に限定する必要はないのだ。

 

「ま、未練だけどね……」

 

 とはいっても、ハムスケもそうだったように、遺憾ながら人間以外の亜人や魔獣が、人間レベルでの地理情勢を把握していることはまずない。彼らのコミュニティは概して狭く、その外に対する情勢が入ることは普通はないのだ。

 ならばナーベラルが求める情報とは何か。それはつまり、仲間の所在あるいはその痕跡であった。<伝言>(メッセージ)が繋がらないというだけでは諦めきれず、かつて自分が出現したトブの大森林の何処かに、ナザリックに仕えるシモベ達の一人くらいは同じように転移してきてはいないだろうか。一縷の可能性を確認するため、ナーベラルは少なくとも『西の魔蛇』と『東の巨人』は訪ねてみようと思っていた。大森林をくまなく踏破する程暇ではないが、何か異常があれば、その地域の支配者の下には情報が集まるだろう。

 

「ふむむ、姫、十匹以上の大型生物が、この先に集まっているのを感じるでござる。もしかして東の巨人かもしれんでござるな」

 

 『南の大魔獣』ことハムスケの探知能力は有効範囲がべらぼうに広い。単騎で大森林南部を支配していたのは伊達ではないのである。たちまち某かの反応を拾ってきたのを促し、二人は気配の主の下へ駆けていった。

 

 木々の切れ目となるちょっとした広場に、三種の生き物が集まっていた。

 まずは妖巨人(トロール)が六体。殆どが毛皮で作った服を身に纏い、棍棒で武装している。その中で異彩を放つのは、歪ながらも皮鎧と言えるだけの武装に仕上げた鎧を身につけ、ぬらぬらと液体の滴る巨大な大剣を引っ提げたトロールであった。他の者と比べてひときわ力強い体躯を持ち、ひときわ凶悪な面構えで、見るからにリーダー格であると思われる。

 そして人食い大鬼(オーガ)が十体。腰布を巻き付けただけの軽装で、手には申し訳程度に棒切れを持っている。トロールの後ろ側を囲むように佇んでおり、明らかにトロールに従えられていることが伺えた。

 その集団に対峙するのは僅かに一体。蛇の胴体に人間の上半身をもつ異形種、ナーガであった。その上半身は枯れ木の如き老人のものであるが、怜悧な眼光には油断のならない光を宿し、一筋縄では行かないものを感じさせる。

 気配を隠すでもなく堂々と近づいていくナーベラル達に、最初に反応したのはナーガであった。横手から近づくナーベラル達の姿を認めると相好を崩し、嗄れた笑い声がその口から漏れ出てきた。

 

「ホ、ホ、ホ!なんとまあ、お主はもしかして『南の大魔獣』ではないか?……縄張りへの侵入者を問答無用で殺す魔獣と交渉は難しいかと思うておったが、まさか向こうから出向いてくれるとは、これは幸先がよいわい!」

 

 大仰な身振りで手を広げると、ナーガはトロールの方を向いて言った。

 

「どうだグよ、こうして大森林の三巨頭が揃ったことこそ神々の采配というものではないか?ワシの話に耳を傾ける気になったのではないかな?」

 

「ぐぬぬ……」

 

(なんだか、勝手に盛り上がっているでござるな)

 

(そうね、西の魔蛇が一緒にいたのは好都合だけど、なにしてるのかしら)

 

 登場しただけで勝手にヒートアップした場に水を差すのもなんとなく憚られ。二人がヒソヒソ話をしていると、トロールがナーベラルを指さした。

 

「おい!南の魔獣!お前の背中のそいつはなんだ!おやつか!?」

 

 ご指名である。ナーベラルは挨拶しようと思ってとりあえずハムスケの背から飛び降りた。

 

「ええと、初めまして東の巨人さん?私は……」

 

 この時のナーベラルの所作は、率直に言って人間に相対したときより礼儀正しかったのだが、その態度は正しく報われなかった。

 

「お前に喋る許可は与えていないぞチビ!」

 

 ナーベラルの言葉を遮ってそう叫んだトロールに、ナーベラルの眉根が寄せられた。ハムスケが思わず一歩下がる。

 

「それともそうか、それは手土産というやつか!東の地を統べる王への挨拶に手土産をもってくるとはなかなか感心なことだ!いいだろう、食ってやってもいいぞ!ニンゲンは身がちっこくて食いでがないが、肉が柔くて美味いのだ!そいつみたいに毛の長いのは特にだ!」

 

 どうやらそのトロールは女性の肉の方が好みらしかった。ハムスケが不機嫌そうに一声唸って言葉を返す。

 

「違うでござる東の巨人殿。姫はそれがしの御主君様であるが故、手土産に献上するつもりはござらぬ」

 

「ほう」「なんだと!」

 

 思わずといった様子でナーガが相槌をうち、トロールは驚いて仰け反ると。次には甲高い声で笑い出した。

 

「……こいつは傑作だ!ニンゲン如きゴミに従うとは!!『南の大魔獣』がこのグ様に肩を並べる存在だと警戒していたのが馬鹿みたいだ!」

 

 ごくり。ハムスケは唾を飲み込むと、二歩下がった。

 無論、目の前のトロールを怖れたのではなく、横に立つ人物の精神温度が一度下がったのを察知したからである。

 

「……あなたの名前はグ、というのかしら?」

 

「そうだ!偉大で勇猛な名前だ!特別にお前も名乗ることを許してやるぞ!そしてこのグ様の血肉となれることを光栄に思うがいい!」

 

「……私はガンマ。ただの魔法詠唱者(マジック・キャスター)よ」

 

「ほう!ニンゲンにしてはそこそこ勇敢な名前ではないか!むろん俺のような力強い名前には及ばないがな!!」

 

 一応。とりようによっては褒めているようにも聞こえなくはなかった為、ナーベラルは困惑に眉根を寄せてハムスケに問いかけた。

 

「ねえハムスケ」

 

「なんでござる姫?」

 

「私にはあいつの言ってることの意味がわからないんだけど。勇敢な名前ってどういうこと?姓名判断かなにか、そういう風習でもあるの?」

 

「さて、それがしにもなんとも……」

 

「こやつらは長き名前を勇気なき証とみなすんじゃよ、魔法詠唱者(マジック・キャスター)

 

 そこに口を挟んできたのはナーガであった。ナーベラルがナーガの方を見やると、上半身の老人が一礼した。

 

「お初にお目に掛かる、ガンマ殿。ワシの名はリュラリュース・スペニア・アイ・インダルン。『西の魔蛇』として知られておる」

 

「これはご丁寧にどうも。あなたの名前は随分と長いようだけど……」

 

 ナーベラルが思わず漏らした感想に、リュラリュースは呵々と大笑した。

 

「むろん、ワシの名前はヤツに言わせれば臆病極まる情けない名前じゃよ!……名前というものの用途から考えると、個体を識別するための符号を短くすることが許されるのは一種の権勢の証である、と言えなくもないな。ま、それはいい。それより……」

 

 リュラリュースが本題に入ろうとするのをナーベラルは手で制した。今の話でどうしても気になるところがあったのである。

 

「ねえグさん」

 

「なんだ!早く食って欲しいのか?」

 

「……私が本当はもっと長いフルネームを有していると言ったら、あなたはどうするの?」

 

 その言葉に虚を突かれたように、トロールは一瞬考え込んだ。そして、歯をむき出して唸りを上げた。

 

「つまり、この俺を謀ろうとして勇敢な名前のフリをしたということか!なんたることだ!臆病な名前に相応しい臆病者の振る舞いだ!でも安心しろ!俺の血肉になって勇敢さのなんたるかを知るがいい!」

 

「……そう、やはりそうなるのね……」

 

 ナーベラルが低く呟くと、ハムスケが三歩目を下がり、一気にがばとその場に身を伏せた。リュラリュースが訝しげにその様子を見やる。

 

「……至高の御方に賜った名前を侮辱した罪、万死に値する」

 

「ああん!?」

 

<二重最強化(ツインマキシマイズマジック)()連鎖する龍雷>(チェイン・ドラゴン・ライトニング)

 

 

 会議は揉めに揉めた。

 問題は二点。一点は全滅した陽光聖典の穴をどのように埋めるかであったが、これはもはやピースの足りないジグソーパズルを完成させろと言うような無茶である。予備役と新人未満のヒヨコで数だけ補っても、死人が増えるだけなのだ。経験豊富な指揮官が居なくなったのが何より辛い。この穴を埋めるのには十年で足りるかどうか。そして十年あれば人類はどれだけ衰退させられることだろうか。

 もう一点は陽光聖典を全滅させたその犯人の処遇である。陽光聖典を送り出した直接の上司である生の神官長が珍しく感情を露わにして報復、及び奪取された魔封じの水晶の奪還を主張したが、勿論これは時期尚早であった。

 

「陽光聖典を全滅させるような相手ならばもはや漆黒聖典をぶつけるしかないが、漆黒聖典は御存知の通り任務中だ。であれば、その意見を通すには彼の者こそが破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)の化身であるという証明をして頂くしかないと思われますが如何か」

 

 冷静さを保った死の神官長の言葉を前に、生の神官長は唇を噛んで黙り込んだ。

 

「彼の者がスレイン法国(我々)に敵対的であるという判断を下すのは時期尚早です。結局のところ、中立の人間がたまたま居合わせたとすれば、王国側に味方しようと思うのはそれほど不思議なことではありません。更に言うなれば、通りすがりの目撃者を口封じしようとして返り討ちにあっただけという線も考えられる。いや、いや、結構、目撃者を出さないというのは既定路線ですから、陽光聖典が馬鹿な真似をしたと非難するつもりはありません。そういきり立たないで頂きたい」

 

 結局は動揺していると言うことだろう、情緒不安定で落ち着かない生の神官長をなだめていると、ノックの音がした。神官長会議中にわざわざ割り込んでくるのであれば、重要な報告であるだろう。入室を許可された神官が渡したメモに目を通すと、土の神官長の顔がこわばった。

 

「これは、なかなか……新しい情報が入りましたのでお聞きください。かの魔法詠唱者(マジック・キャスター)ですが、目的は不明ながら現在はトブの大森林深部を彷徨いてモンスター退治に勤しんでいるというのは報告書を回した通りですが……」

 

 いったん言葉を切ると、土の神官長はごくりと唾を飲み込み、緊張で乾いた唇を舐めて湿らせた。

 

「彼の者が奪い取った魔封じの水晶をキーに、ウチの巫女姫が負荷に耐えうる範囲で断続的に監視を続けておりますが、この度運良く戦闘行為を目撃することに成功したようです。そのとき行使した魔法は()()()()()()

 

 落とされた爆弾の衝撃で場がざわめく。

 

「無論、魔封じの水晶を起動した、という話ではありません。ともあれ、この一件を以ても、彼の者を無意味に敵視することの危険性は分かって頂けるものと考えます」

 

「ですな。大森林でモンスター退治というのもいまいち意味が不明ですが、少なくとも人類の害にはなりませんし、一応間接的には益になる行為でしょう」

 

「漆黒聖典をぶつけたとて、討ち取るまでに犠牲が出る危険性が大きすぎますな。陽光聖典無き今、漆黒聖典まで傷を負えばそれこそ人類の一大事。むしろその者、法国に取り込めば益となりましょうぞ」

 

「ま、それも皮算用めいてはいますが……とりあえずは今少し、彼の者のスタンスを様子見するというのが妥当な線でしょうか」

 

「ですな」「賛成」「異議なし」

 

 皆の意見が固まってきたところを見計らって、死の神官長が場を仕切りに掛かった。

 

「では、引き続き監視のみにとどめるということで異論のある方は?……居ないようですな。では次の議題……」

 

 

 




 ・長い名前を馬鹿にする
 ・自信過剰で傲慢
 ・相手の実力を見抜けない
 合わせて数え役満、歩く死亡フラグ。ナザリックNPCなら滅殺あるのみ。
 決してナーベちゃんだけが短気ってわけじゃないのですよ( ´∀`)


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