架物語   作:藍鳥

1 / 16
 どうも、藍鳥です。
 今回が初投降ですが、頑張りたいと思います。批評、誤字脱字の指摘は受け付けますのでどんどん言ってください。
 


阿良々木暦
こよみワールド 000


001

 

 僕、阿良々木暦の朝は早い。というか、荒い。

 毎朝、二人の妹、火憐と月火がわざわざ僕を叩き起こしてくれるのだ。

 今日も起こされた。土曜日で学校は休みなのにも関わらず。

 朝食時に寝ぼけながら理由を訊いてみると、

 

 「早起きは三文の徳だよ、お兄ちゃん」

 

 「受験生なんだから勉強しろよなー」

 

 と、最もな返答をする。返す言葉もない。無いのだが、このままでは兄としてのちっぽけなプライドが許さないので一応言っておく。

 

 「でもさ、戦場ヶ原が来てくれるのは午後からなんだよな」

 

 「だからなんなの! お兄ちゃんはそんな程度で大学行けると思ってるわけ!?」

 

 ......。

 ごめんなさい。

 心の中で謝った。

 

 朝食を終え、さっさと自分の部屋に退散する。妹たちといても僕のプライドが削られていくだけだ。

 先程も言ったが、本日担当の家庭教師であり僕の彼女であるところの戦場ヶ原ひたぎは午後からやってくる。

 と言う訳で。

 

 「暇だな......。どうしようか」

 

 受験生なのだから勉強しろ、という火憐の指導など知らない。土曜の午前は勉強しないと決めているのだ。毎日毎日戦場ヶ原と羽川に絞られているのだから、一日の半分くらい休みがあってもいいじゃないか。息抜きは大切だ。

 さて。

 家にいても妹たちにののしられるだけなので外出したい。

 誰か暇なヤツはいないだろうか。

 僕は数少ない友達をリストアップする。

 

 戦場ヶ原ひたぎ。

 まぁ、彼女とは午後に会えるし、遊んでいるなどと知られたら殺されかねないので却下。

 

 羽川翼。

 委員長の中の委員長、神に選ばれし委員長である彼女も、家庭教師を頼んでいる身として、一緒に遊ぼうぜなんて言えば幻滅されるだろう。羽川に幻滅されるくらいなら死んだ方がマシだ。却下。

 

 千石撫子。

 いやいくらなんでも女子中学生の家に土曜の午前から訪ねるのはちょっと避けたいな......。却下。

 

 神原駿河。

 そういえば今日はバスケ部の様子を見に行きたいとか言ってたな......。しょうがない、却下。

 

 「できればこのあたりが良かったんだけどな......」

 

 予定があるなら仕方ない。

 それに、八九寺はもういないのだ。彼女はもう、無事に成仏してしまった。

 リストアップを続ける。

 

 忍野扇。

 この前転校してきた扇ちゃんと親交を深めるというのもアリか。しかし連絡先とかわかんないんだよな......。それを言ってしまうと式神童女の斧乃木ちゃんなども連絡することができない。斧乃木ちゃんの場合、影縫さんが付いてきそうで嫌だし。

 

 だめじゃん。

 僕、やっぱり友達少ないんだよな......。

 前からわかっていたことだ。今さら気にしない。問題なのは男友達がいないことだな。忍野メメは友達というかおっさんだし。ていうかアイツ本当にどこにいるんだ?

 

 仕方がないので一人で外出することにした。本屋にでも行って、『猫耳委員長』モノでも買ってこよう。

 

 

 

 

 

   002

 

 本屋で何冊かの本を購入し、帰りにドーナツを買って帰ることにした。後で忍にプレゼントして話相手になってもらおう。

 と、思ったのだが......。

 

 「なになに!? ドーナツ買いに行くのか、我が主様よ!」

 

 「忍!?」

 

 出てきやがった。

 昼間は寝てるんじゃないのかよ。

 

 「そうだけど、今日はそんなにいっぱい買えないからな。一人二つまでだ」

 

 「ふ、二つ!? お前様は儂を殺す気か!」

 

 「いやいや、一度に五つとか食べてる方がおかしいんだよ。大体お前、おなか減らないんだろ?」

 

 吸血鬼は栄養を摂取するために食事をするのではなく、嗜好品として食すのだ。

 

 「うー、うー」

 

 上目遣いでこちらを見てくる。ヤベェ、超かわいい。

 

 「......わかったよ。四つで手を打とう」

 

 「わーい! やったー!」

 

 ドーナツ、ドーナツとスキップしながら僕の隣についてくる怪異の王。本当にコイツ、丸くなったよな......。

 

 「なー我が主様よー、ドーナツはこっちであってたっけ?」

 

 「心配するな忍、僕が今まで何回足を運んだと思ってるんだ?」

 

 主に忍のお陰で僕の来店頻度は三倍である。

 という訳で僕が道を間違えるはずはないのだが......。

 

 「あれ......?」

 

 「ほれ、言わんこっちゃない」

 

 言わんこっちゃないってどういうことだ、と反論することすらできない。

 僕たちが行きついたのはドーナツではなかった。

 

 「いやちょっと待てよ......」

 

 「儂は知らんぞ、こんな街」

 

 「ああ、これが怪異の仕業だとすれば相当ヤバいヤツだぜ」

 

 「......知らんぞ、そんな怪異。あの坊主からも聞いておらん」

 

 「じゃあなんなんだ、ここは......」

 

 そう。

 阿良々木暦と忍野忍がたどり着いたのはドーナツではなく、

 

 なんかすごい近未来的な街だったのだ。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。