ぐうたらなアイドル   作:いけちゃん&

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前書いたものがどうしても続きを考えるのに苦戦してしまい、こんな物を書いてしまった。
ちなみに続きは未定。もしかしたら続かないやもしれない。


ぐうたらなアイドル

ぐうたらなアイドル

 

今日も今日とて比企谷八幡は昨日と同じように早起きだ。

 

歯を磨き、朝ごはんを食べたら制服に着替え、食後の歯を磨いて今日の授業の用意が入ったバックを片手に家を出る。

自転車を玄関から出したら向かうは学校……ではなく隣の家である。なぜ学校に行かないのかというとある人物を起こしに行くためだ。

そいつとは同い年で幼稚園から高校生になった今現在までずっと同じクラスだ。なんだかクラス別けに作為的なものを感じるな。まあ別に嫌ではないが。

 

インターホンを鳴らし比企谷ですと言えば「はーいどうぞー」と待ってました!と言わんばかりの快活な声で本人確認されずに訪問を許可される。・・・無用心すぎやしませんかこの家?本当に俺じゃなかったらどうするんだよ‥‥

 

家の中へ入り、リビングでそいつの両親に挨拶をしてから目的人物がいる2階へと向かう。そして1つの扉の前でノックをしてから入るぞと一応声をかけるという形式的な動作をしてから扉を開けて中に入った。

目的の人物はいつものようにまだぐっすりと眠っている。本当寝ているときは幸せそうな顔してんなこいつ。起こすのにちょっと罪悪感すら感じるな。

だがこのまま寝かせ続けてると学校に遅刻してしまうしなにより、俺はこいつを起こすために早起きしているんだ。だから非情と言われようがこいつを絶対に起こす。

 

「おーい、起きろ。朝だ」

 

・・・うーん、やっぱり起きないか。

その後も起きろ + 軽く顔ペチペチ、起きろ + 揺さぶるをやっても全然起きようとしない。ん〜ってうなるくらいしか効果がないようだ。

 

ふっ、なら仕方ない。あれをやるしかないな。

誰もがやられると目覚めそして少しイラっとくるあの技を!

 

奥義・布団奪取‼︎

・・・うん。自分でもわかってるから、そんな痛い子見るような目で俺を見ないで。

 

だが、ん〜と唸って寝返りをうつだけで起きるまでには至らなかった。

まあ実際ここまでは計算の内だ。

ぶっちゃけ茶番だああああああ八幡!!!だ。

自分で言っててなんだこいつと思ったが気にしない。

やっぱりこれしかないのか。なぜこいつのために俺の小遣いは使われなけりゃならんのか。最初の頃はそう思っていたが、慣れというものは恐ろしく今じゃこれを買いに行くのが俺が外に出る大きな要因の1つとなっている。あとは本買いに行くのと妹のお使いくらいだ。寧ろそれ以外に外に出る理由は無いまである。・・べ、別に悲しくなんかないんだかんね!休みの日にわさわざ外に出たくないだけなんだから!友達がいないから遊びに行く予定がないとか全然そんなんじゃないんだから!

 

あまりここで時間かけるのも時間の無駄なんでさっさと起こすか。

 

「ほーら飴ちゃんが空から降ってきたぞ」

 

「わーい飴だぁ〜・・・ということで杏は二度目の睡眠に入りまー「いや二度寝しようとすんなよ。起きろ杏。」・・す」

 

はぁ、まったくなぜ毎日こんなことをしなければいけないのか。そもそもなぜ俺なのか。前は何回も何回も考えていたが、今となっては既に諦めがついていて義務みたいなもんになっている。

まあ考えるだけ無駄だったということだ。

 

「もう、杏は昨日ネトゲやっててあんまり寝てないの。だから眠いんだよー」

 

「いやそれ自業自得だろ。そんなこと言うんだったら俺だって眠いんだよ。なのに早起きしてお前起こしてんだからさっさと起きて着替えろ」

 

言ったものの杏は未だベッドから降りようとしない。っていうか毎度のことながらそのTシャツどこで売ってんだよ。『働いたら負け』とかなにそれ超欲しい。あとTシャツのサイズが合ってなくて肩からずり落ちているのがちょっとエロい。だが今となってはもう何も感じていない・・・はず。

 

「今日は帰り事務所に迎えに行ってやるから起きろ。・・言っておくけど帰りだけだらかな。行きは自分で行けよ」

 

「むー。・・しょーがないなー。じゃあ起きてあげよっかな」

 

しょうがないのはこっちだ。甘やかすとすぐ調子に乗りやがって、次からは飴の数減らしておこう。

 

杏が起きて着替えている間、俺はリビングでおばさんから頂いたコーヒーを飲みながら朝のニュースを見ている。もうこれも俺の中では日課となっている。

一方杏はだらだらした足取りで階段から降りて洗面所へ向かい歯を磨いてから大きなあくびとともとにキッチンの向かいの机の椅子に腰掛け朝食のパンを摂る。ちなみに味はピーナッツである。

やはり千葉県民はピーナッツで決まりだな。

 

「学校めんどくさいな〜。誰か杏を養ってくれないかな。そしたら毎日だらだら生きていけるのに」

 

「あまいな杏。それだと離婚するとき結婚した相手の稼いでいたお金を受け取ることは出来ない。だが専業主夫なら、家事で家庭を支えていたという事実から財産は半分貰うことが出来る。よって専業主夫こそ最強」(ドヤッ

 

ふっ、完璧なQ.E.D.だったな。だからその笑い方気持ち悪いとか言わないでくださいお願いします。

 

「杏は結婚したいなんて言ってないよ。ただ養ってほしいだけ」

 

俺だってできることならそうしてほしい。

はぁ本当誰か俺を養ってくれないかなー。

 

 

 

 

 

杏を自転車に乗せて学校まで行く。あらかじめ言っておくがニケツではない。

自転車通学で登校になった初めの頃はニケツで杏を運んでたが、こいつ移動中に寝るから落ちるのが危なくてニケツどころではなくなり、サドルと荷台にしがみ付くように乗せて自転車を引いて学校まで行っていた。だがこれだと普通に歩いて学校に行くのと時間的にあまり変わらず、何時も遅刻ギリギリの登校となってしまっていた。労働面で言えば自転車引いて学校に行く方が断然重かった。

 

そこでこの問題を解決したのがこれ!

『自転車用チャイルドシート』

これのおかげで杏を自転車に乗せたまま学校に行くことができるようになった。

最初杏はこのチャイルドシートに乗って学校行くことを嫌がっていたが、じゃあ自分で自転車乗って学校行けと言ったら、しぶしぶ了解して乗るようになった。

これなら寝て落っこちるという事がないというのも乗った理由の一つなんだろう。

 

まあ乗ってくれるなら俺としても助かる。ニケツって道路交通法違反だからな。

さすがに毎日犯罪犯しながら学校にいくのも憚られるし。ちなみにチャイルドシートは杏用に少し手を加えているってことは内緒な。

 

しかしそんなもので登校したら注意されるのでわ?と思っている人が多いと思うがまさにその通りで、最初はそんなもので登校して来るなとよく教師に注意されていた。

だが、それに乗ってくるやつがやつだったため、その注意もすぐになくなり今じゃそれに乗ってくることが当たり前になっていた。

杏はこう見えて成績はかなりいいのである。

特に理数系はダントツに良く、今まで一度たりともトップの座を誰かに譲ったことはない。

しかも特別努力しているわけではなく、単純にできてしまうのだ。

おまけに運動までできてしまう始末。

 

おぉ、ジーザス。なんて理不尽なんだ。

 

 

 

学校に着くと自転車を駐輪場へ置き寝ている杏を背負って校舎に入る。下駄履きを履き替えさせ廊下を通り教室に向かう。

既に1年も目にしているせいか他の生徒は別段不思議に思うことなく、寝ている杏とついでに背負っている俺に挨拶をする。

・・・俺はついでですかそうですか。

まあ友達でもないのにもかかわらず挨拶をするという点から見れば良識があると言えるか。

 

教室に着き杏を席に降ろし自分の席に向かうとクラスの人間は杏の周りに集まりだした。

 

「昨日テレビで杏ちゃんが映ってるのみたよ!歌ってる時の衣装すっごく可愛いね!」

「杏ちゃんってテレビでも何時もと同じ感じなんだね〜」

「次はいつテレビに出るの〜」

 

お前ら同じこと何回聞いてんだ。それ昨日も言ってなかったか。なに、お前ら阿保なの?3歩歩いたら忘れちゃうのかよ。

だが俺には関係のないことなので授業がはじまるまで寝たふりをして過ごした。

ついでに言えば授業中も寝ていた。杏も寝てたけどな。いつもだけど。

 

 

 

 

 

「それで比企谷、なにか言い訳はあるか」

 

「い、いぇ。一切ないです…」

放課後、俺は職員室の応接室に呼び出されていた。

やめて!そんなにこっちを睨まないで‼︎

目力だけで人っ子1人殺せそうな勢いで平塚教諭は俺に問いかけてきた。下手に答えると説教が長引いてしまうな。ここはさっと謝って帰らせてもらうか。

 

「すいません。次からは授業中に寝ないよう気をつけます」

 

「ふむ。ではこれでこの件は終わりだ。して、君は彼女以外の友達はいるのかね」

 

彼女とはたぶん杏のことだろう。いつも寝ている俺を見てのこの質問だな。意地の悪い人だ。よく見ているなこの先生。

いないと答えるべきか。その場合諸星の事は友達では無いというようで少し憚れるな。だが友達というよりかどっちかというと杏の保護者だからそれなりの交友があるだけなんだよな。

まあ言う必要はないだろう。

 

「いいえ、いないです」

 

「やはりか。ではちょっと付いてきたまえ」

 

そう言って平塚教諭は応接室から靴をコツコツ鳴らしながら出て行った。そして俺も少し遅れて彼女の後について行った。

 

 

ものの数分。歩き付いた先は特別棟にある一つの部屋だった。どうしてこんなところに彼女は連れてきたのだろう。

あれか、もしや机や椅子の整理とかか。毎日人負ぶって歩いているから多少なりとも力仕事に自信はあるが言っても多少だ。もしあまりに時間がかかるようであれば先に断っておかねば。そもそも俺働きたくないし。

杏は今日歌やダンスのレッスンなどはなく、プロデューサーと打ち合わせだけだったから早く終わるはずだったからな。

 

「すいません。今日は予定があるのでそんなに長く学校にいることができないんですが・・」

 

「なあに心配するな。そんなに時間はかからんよ」

 

俺の断りにそう答えつつ彼女は「雪ノ下、入るぞー」と返事をする前に扉を開けて中に入っていく。

どうやら中に人がいるようだ。もしかしたらめぐねえ的な存在という線も考えたが流石にないだろう。・・・本当にいるよね?まさかここにきて平塚先生がとんでもないやばい人だったってオチじゃないよな。

 

だがすぐに中から返事が返ってきたためその心配はなくなった。

中に入るとそこにはアイドルをやっていると言われても疑うことなく信じることができるくらい清楚で綺麗な女生徒がそこにはいた。

どうやら向こうもこちらに気づいたようで平塚先生に尋ねている。

 

「どうして彼がここにいるんしょうか」

 

「なんだ、比企谷の事を知っているのか」

 

ほーん。俺としても意外だ。あの常に成績は学年順位1位でお嬢様な雪ノ下が俺みたいなカースト最底辺のやつの事を知っているとは。

もしかしたら学年全員覚えているんじゃないか。そうだとしたらこいつはマジモンの秀才だな。

 

「ええもちろん。だって彼、毎日婦女暴行まがいの事を公衆の面前で行っている救いようのない『変態』で『ロリコン』ですから」

 

前言撤回!!総員迎撃準備にかかれー!!!!

凹凸のない絶壁が狙いどころだ!!うてe・・・ってこんな思考してたら否定できないな。だが否定しておかないといけない部分があるな。そこだけはきちんと否定しておかないとな。

 

「おい、誰が『変態』で『ロリコン』だ。全くもって言いがかりだ。俺はロリコンではなく『シスコン』だ。そこ間違えんじゃねーよ。あと、ロリコンって杏の事に対して言ってると思うがそれ、2度というなよ。聞いてて不愉快だ。それに杏に失礼だ」

 

俺は真剣な目で雪ノ下の事を見る。雪ノ下はもちろん、平塚先生も俺がこんな返答をするとは思わなかったのだろう。少し動揺している。

 

「・・・失礼。確かに適切でない表現を用いて双葉さんを貶してしまったわ。ごめんなさい」

 

「本当ならそれは杏に言って欲しい言葉だが・・受け取っておく。それで、先生ここで何をするんですか」

 

「君には部活に入ってもらう。ここが何をする部活動なのかは雪ノ下に聞きたまえ」

 

そう言って平塚先生は勝手に物事を進めていた。ちょっとまて、俺そんな事一言も聞いてないんだけど!なんで部活動に入ること決定しちゃってんだよ。どう考えてもおかしいだろ。

 

「待ってください、俺はそんな事聞いてないですよ!あとなんで部活動にはいらなくちゃいけないんですか!!」

 

動揺しているせいか言葉遣いがすこしタメ口になってしまう。しかし平塚先生はそのことを気にせず答えた。

 

「うむ、そんな事は言っていなかったからな。あと君が部活動に入らなければならない理由だが、君は登校する時チャイルドシート付きの自転車で彼女を乗せて来ているだろう。本来そのような事は考えるまでもなく禁止だ。生徒手帳には記載されていないがそれは常識だからだ。最近では注意されていないだろうがだからといって私も容認したということにはならない。罪を犯したものが罰を受けるように君にも罰を受けてもらう。異論反論抗議質疑口答えには応じないから、ではあとは雪ノ下任せたよ」

 

そう言って平塚先生は教室から去っていった。

残された俺はしばしの沈黙を経て仕方がなくここが何をする部活なのかを尋ねることにした。

 

「なあ雪ノ下、平塚先生が言うには俺は罰を受けさせられるためにこの部活に入らされたわけだが、ここはそういうところなのか」

 

「いいえ。それは違うと思うわ。平塚先生は奉仕活動をする代わりに貴方の罪を許す、ということだと思うの。それを貴方が罰だと思うのわ自由だけれども」

 

なるほど。だがひとえに奉仕活動と言っても奉仕の仕方は様々ある。例えば雑務をこなす事により教師への奉仕。ごみ拾いを行うことにより地域住民への奉仕etc…

一体俺は何をすればいいのか雪ノ下に問うと彼女はこういった。

 

「持つ者は持たざるものに慈悲の心を持ってこれを与える。人はこれをボランティアと呼ぶの。ここでは悩みを持つ人間に対してその悩みを解決する手助けをすることよ。空腹の人間に魚を与えるのではなく、取り方を教える、というようにね」

 

なんともまあ立派な部活動なこと。正直言って全くもってやる気はないが、彼女の前にある机の上に本が置いてあることや、いままでは悩みはを1人でも処理していたことからそこまで活動的な部活ではないということは考え付くので、それで杏との二人乗り(チャイルドシートでの)が許されるのなら安いものだと思う。

俺がかんがえをまとめ終わった時に丁度よく平塚先生が戻ってきた。どうやら教室の前にいたようだ。・・ならわざわざ出ていく必要なくないか?もしわざとカッコつけるために出て行ったとしたら超痛い人じゃないですか。結婚はまだしていないらしいが、そういうのが出来ない理由なんじゃないだろうか。

 

「どうやら説明は終わったようだな。依頼者は私が連れてくるがそれ以外の時間は何をしてても構わない。毎日のように依頼者が来るわけではないが用事がないときはできるだけ部の方に顔を出してくれ。では今日はこれで解散だ。部屋の鍵は私が閉めるから雪ノ下、そのまま帰ってくれて結構だ」

 

いつもは彼女が鍵を閉めているのだろう。俺は先生に一言返事をして昇降口へと向かう。ただ帰路につくのではなく杏を迎えにいくんだけどな。

はぁ、めんどくせ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

346プロダクション来客用受付にて俺は杏を待っている。前は近くのコンビニで待っていたのだが、いつものように迎えに来ている俺を彼氏ではないかと怪しんだ杏のプロデューサーが声をかけてきたのである。俺は杏の幼馴染で母親も同意していると言うことを説明すると次からは受付で待っててもらっても良い、という許可が下りたのである。

ちなみに他のアイドルや関係者達には俺は『杏の兄』ということになっている。でなきゃ変に捏造されて最初の杏のプロデューサーみたいに彼氏だと勘違いするというのが理由だ。

あいつもテレビに出るくらいのアイドルだからな。もしそれが変にマスコミに伝わってスキャンダルとして雑誌に載るかもしれないからな。

マスコミに知られても兄ということなら妹の身を案じて迎えに来たって事なら疑ったりはしないだろう。ただ兄妹にしては絶望的に似てないけどな。

 

待つこと数10分。ようやく杏が来た・・・アイドルに抱えられて。

 

「にょわ〜杏ちゃんのお兄さん今日もご苦労様だにぃ〜〜」

 

そう言ってやって来るのはアイドルにしては珍しい長身の諸星きらりである。

彼女は杏との仲が良く、グループは違うもののいつも一緒に居ることが多い。なので俺がいないアイドルとして活動しているときは彼女が杏を世話している。

 

「いえ、いつもの事っスから。それより起きろ、杏。帰るぞ」

 

杏は諸星に抱えられながらもぐーすか寝ていた。こいつ今日はミーティングだって言ってたけど、ちゃんと内容把握してるのか?まあ杏のことだからしっかり頭の中で記憶してるだろうけど。

 

「ん・・あ、お兄ちゃん。お迎えご苦労、さあ杏を家へと連れて帰るがいいー」

 

「おい、そう思ってんならもうちとちゃんと労いの言葉を言えよ」

 

本当俺を良いように使うよなこいつ。

帰りは俺が杏をお負りながら帰る。ちなみに諸星も一緒だ。なんでもできるだけ少しでも暗い時に女の子1人では帰らせたく無いんため、俺に一緒に帰ってくれないかとプロデューサーから頼まれた。そりゃあそうだアイドルやってるような可愛い子を1人で帰らせるなんて危険だしな。頼んだプロデューサーは杏の担当と同じ人物だったため、君なら任せられるとのことで頼まれた。俺は別に断る理由もなかったのでその頼みを承諾した。

まあいっても駅までだしな。

 

「今日のミーティングはね〜久しぶりにー杏ちゃんとの仕事のお話だったんだよ〜〜」

 

よほど嬉しいのか諸星は鼻歌交じりに話す。

 

「杏はやりたくなかったんだけどね。きらりとプロデューサーがどうしてもって言うからね」

 

一方の杏はやはりいつも通り働くことに対して異論を口にしていた。だがしかし杏も諸星との仕事が嬉しいのかその顔は少し綻んでいた。

なんだかんだ言ってこいつはちゃんとアイドルしているんだなと思うと可笑しくつい顔に出てしまう。

 

「そういえば俺今日部活入ったわ」

 

そう言った瞬間彼女達は先ほどの表情を一気に変えギョッとしていた。・・・そんなに俺が部活に入るのは珍しいことですか。そうですね確かに珍しいですね。というよりありえないですね。俺もそう思います。

 

「どうしたの、熱、いやもしかして魂入れ替わったの?」

 

「うんうん。まるでお兄さんじゃないみたいだよぉ〜〜」

 

「いや入ったっていうか強制的に入らされた。なんでもあの自転車での登校がダメだったらしい。だからそれの罰と今後の使用許可の代わりとして、ということだそうだ」

 

諸星があの自転車って?と聞いてきたので素直にチャイルドシートの付いた特製の自転車と答えたら凄く微妙な顔しながら「杏ちゃんとお兄さんらしいにぃ〜」と言われた。解せん。

 

「ごめん。それ杏のせいだね。明日杏が謝りにいってなんとかはt・・お兄ちゃんに部活を辞めさせてもらえるように頼んでくるよ」

 

どうやら杏は自分のせいだと思い込んでるらしい。確かにその自転車に乗って登校しているため罪の一端はあるかもしれない。だがあれは俺が考えて実行したのであり主犯は俺である。だから杏が気負う事はない。

それに、杏がしおらしいとこっちまで調子狂うしな。

 

「いやお前がそんな事を気負う必要はねーよ。あれは元々俺の考えだし。部活も別に活動的ってわけでもないからな、苦にならん。だからその、なんだ、いつもみたいに堂々としてた方がお前らしいっていうか、なんていうか」

 

「ふふ、全然似合ってないよ」

 

「うっせ」

 

俺の苦しい理由に杏は笑って受け入れてくれた。というか後半支離滅裂で何言ってるかさっぱりだった。

そんな俺たちのやりとりを諸星は「お兄さんと杏ちゃんはほんっとーに仲がいいにぃ〜〜」と言って微笑んでいた。




きらりや杏とかの口調が難しい。

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