拳の一夏と剣の千冬   作:zeke

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第9話

『さて、次は【ちーたん、猫さんパジャマを卒業したヨ!】だ。●○年××月◆◆日曇り今日、ちーたんがいつも着ている白い猫さんパジャマを着て一階に下りてきた。そして、僕が作った朝食を食べ始めると「一夏、少しパジャマがきつくなった。新しいのを買って来てくれ」と僕にお使いを言ってきた僕は「じゃあ、買って来るね」と二つ返事でりょーしょーするとその日の予定が決まった。僕はがっこーから帰るとそっこーで商店街に向かった。今日の夕飯のメニューを考えながら商店街を通るとスーパーに向かう途中にセール中のワゴンが出されている店を発見。何気なくワゴンを見ると丁度パジャマが売ってあった。しかも、今朝ちーたんが着ていたパジャマよりもちょうど一回り大きめのサイズだ。僕は、そっこーでそのパジャマを購入してスーパーで買い物をすませて帰ったマル――あー、懐かしい。あの日丁度ちーたんのパジャマがセールで売ってあったからそれを買って来たんだっけ。確か、あの時のパジャマは兎さんの絵がプリントされてたっけなー。あの日以来猫さんパジャマを買ってなくてリクエストされてなかったからずーっと猫さんパジャマを買ってないな~。ちーたん、今度猫さんパジャマを買って来ようか?まあ、この1年後に兎さんパジャマを買い替えたけれども』

 

テロ放送が流れる中職員室では、教員たちが千冬に寄る無言の重圧で呼吸が出来なくなりバタバタと倒れていた。山田先生が千冬に勇気を奮って話しかける。

 

「お、織斑先生?と、とりあえず放送を止めさせましょう」

 

「………そうだな」

 

山田先生と一緒に織斑千冬という鬼神が職員室から出て行き、職員室の意識のある職員たちは全員助かった~と安堵した。

 

 

 

「そんじゃあ、次行くぜ~」

 

放送室を占拠した一夏は独占中継を行っていた。

まず、放送室を占拠するにあたって学校の電波をジャック。その為、お昼の放送が一時的に雑音しか聞こえなくなった。そして、そのままジャックしたまま放送すればよかったのだが、若かりし頃の過ち、もとい放送室で放送してみたいと言う欲望にかられ放送室を占拠してテロ放送を流していたのだ。

 

そんな暴動に出た一夏のすぐ近くに鬼神は居た。

放送室の扉を開けようと扉に手を掛ける鬼神。しかし、鍵が掛っている為扉はかたくなに開かず。

 

「ほう!」

 

そう呟くと鬼神は腰に手をかける。

腰には日本刀が何故か収まっておりその日本刀を手にしようとした。

 

「あ、ちょっと、織斑先生!待って!」

 

突然の女子生徒の声。しかし、鬼神はその声に耳を貸さず、というか怒りで理性が吹っ飛んだ状態で横に一閃。居合の要領で抜かれた日本刀は鍵が掛っていた扉をモノともせずに真っ二つに切り裂いた。

 

ガシャンと音を立てて扉のガラスを割りながら扉は開閉する。

 

乱暴に切り開かれた扉によって一夏はその侵入者に視線を向けると、そこには………

 

 

「Oh!」

 

鬼神を超えた阿修羅が居た。

 

「さて、一夏…………覚悟は良いなあああああああああああああああああああああああ!!!」

 

マイクから流れる千冬の怒号はハウリングをしながらスピーカーによって学園中に響き渡り学園に居た一夏と千冬以外全員が耳を塞いだ。

 

『Hey、みんな!残念ながら今日は此処までの様だZE☆俺様、今阿修羅と交戦中NOW!!つ~訳であばよ!』

 

そう言って一夏は放送の電源を切り、放送室を逃げ回る。

一夏がさっきまで座っていた椅子は千冬の日本刀による斬撃で文字通り粉々になった。一夏が弄っていた放送機材は全て千冬によってミクロ単位で切り刻まれて分解された。

 

空中を舞う今日放送部員が読むはずだった原稿。ひっくり返るソファーとひっくり返す一夏。そして、それを日本刀で真っ二つにする千冬。

 

その後、一夏は廊下に出て消火器を投げるも千冬の前では無力と言われるかのように日本刀で真っ二つにされ足止めにすらならない事実を見る事に成り、すぐさま頭を切り替える。向かってくる千冬の速度、千冬との距離、周囲の構造を瞬時に計算―――把握

 

すぐに千冬に向かって迎撃にうって出る。

 

走り、助走をつけ廊下を蹴り、廊下の壁を足場にして、三角に飛ぶ三角とびをした後、拳を使って千冬を迎撃する。

 

生徒会長の更識楯無が山田先生と一緒に放送室に着いた時には一夏と千冬と言う台風が通った後だった。

 

「あ~もー!これじゃあ、今日決算書類の山で完徹じゃない!」と涙目の楯無。彼女がこの放送室に来たのは、一夏をクラス長除名を言い渡す為であり、そして千冬を止める為であったのだが、どうにもこの惨状を見る限り間に合わなかったようだ。

 

「あ、向こうで音がします。どうや向こうに織斑先生と織斑君がいるみたいですよ」

 

山田先生と涙目の楯無は、音の発信源に向かった。すると、そこには拳と剣による超人的な攻防戦をする二人の姿があり、無残にも二人の周りでは消火器が真っ二つに割れた状態で中身を周囲に飛び散らしていたり、窓ガラスが消え風通しが良くなった状態の廊下。壁の一部が千冬の斬撃によってと思われるが、一部ごっそりと無く成っていたり、天井には千冬の斬撃によって無数の刀傷の跡がついていたり……と、更なる被害がそこにあった。

 

 

「……ああ、あああ。ああああんもう!」

 

楯無は素直に意識を手放した。願わくば、「虚ちゃん、後宜しく」虚が全部やってくれていると信じて。

 

ぶっ倒れる楯無。そんな楯無を廊下のわきに移動させると、山田先生はISを部分展開した。右腕だけ部分展開したその手にIS用スナイパーライフルが握られており一夏と千冬のごく僅かな二人の間に狙いを定めて引き金を引いた。

 

二人は目の前に銃弾が通り過ぎると二人は発砲者の山田先生に視線を向ける。

そこには、にっこりと笑みを浮かべる山田先生の姿があった。

 

「二人とも、そこまでです。周囲を見て下さい」

 

山田先生に言われ二人が周囲を見ると

 

「「あ!?」」

 

酷い惨劇のありさまだった。

 

 

「織斑先生?止めるべき立場のあなたが一緒に暴れてどうするんです?」

 

ぐうの音も出ない千冬。

そんな千冬は見て「ざまあみろ」と言わんばかりの笑みを浮かべる一夏。

 

ハアと溜息を吐いた後、山田先生は千冬に「今日の被害報告書は手伝いませんからご自分で書いてください」と冷たく言い放ち、

 

「次、織斑君!」

 

「え、あ、はい。って、俺っすか!?」

 

「はい、貴方です。貴方、午前中の授業サボりましたよね?放送ジャックするのは構いません。構わなくはないですけど、百歩譲って構わない事にしても授業をさぼる理由にはなりませんよね?後で原稿用紙20枚分の反省文を渡しますのでそれに記入してきてください。いいですね?」

 

「はい」

 

「それじゃあ、お二人とも頑張って下さいね?」

 

山田先生がニッコリと微笑むがその微笑みが悪魔の微笑みに見えた一夏と千冬だった。




山田先生がメインヒロインじゃありませんよ!?
なんか山田先生メインヒロインっぽく成っているけど……

次はセカンドの出番ですよ。

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