拳の一夏と剣の千冬   作:zeke

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第5話

  今現在一夏はIS学園を出入りするモノレールに乗ろうとしていた。今から学園の外に向かう乗客は一夏のみで降りてくるIS学園の生徒は居るだけだ。

 

間もなく発車します。

 

モノレールに乗り窓の外を眺めていると山田先生が呼吸を乱しながらモノレールに駈け込んで来た。

 

「ハアハア、お、織斑君。一体どこに行こうとされているんですか?」

 

「ん?ヤクザの所。正確に言うならば日本最大の青狼会の本拠」

 

しれっと、とんでもない事を言う一夏に山田先生は、「だ、駄目です」とダメ出しをする。

 

「いけませんよ!そんな所に行っちゃあ!!」

 

「別に喧嘩しに行くわけじゃありませんから心配いりませんよ。ですから山田先生は次の駅で学園に戻ってて下さい。俺は会わなきゃいけない人が居るから会いに行くだけです」

 

「近頃の男子高校生の寄り道って、コンビニ感覚でヤクザの本拠地にお邪魔するんですか!?」

 

「んな訳ないでしょう!良いから速く学園に戻って下さい。まあ、もしかしたら二度とIS学園の地を踏む事は無いかもしれませんけど……と言うか、踏みたくないんですけどね」

 

「なおさら行かせられません!私は言伝を伝える為に来たんですが、教師として見過ごす事は出来ません」

 

「んじゃあ、言伝を教えて下さい。それで山田先生の要件は済む。それで良いじゃないですか。何かあれば、織斑君を監視の途中で見失いましたで通せばだれも疑いやしませんって。好奇心猫を殺す。余計な正義感は命を縮めるキッカケになるやもしれませんよ?あなただってまだ死にたくはないでしょう?」

 

「ここで貴方を止めない事よりも止めないで生き延びる方がきっと後悔するでしょう」

 

 山田先生のその発言に一夏は「馬鹿な人だ」と呟き神童と呼ばれた思考をフル回転させる。

 

 先ず、現状、山田先生の言伝を聞かなければいけない。

 

 次にこのままついて来る気の山田先生を巻くなりにして自分から離さなければいけない。

 

 そして、山田先生が追って来られないようにしなければいけない。

 

 また、もし生きて帰ってこれる事が出来たならば今後の学園生活を円滑に満喫できるように遺恨を残さない形が望ましい。

 

 それら全てを考慮しての解決策。または、いずれかの妥協点―――解決。

 

「あ、そっすか。ところで山田先生何か伝えに俺を追い掛けて来たんじゃ?」

 

「あ、そうでした!織斑君の部屋は1025号室です」

 

 一つ目の問題解決。

 

「そうですか。わざわざありがとうございます。あ、ところで、あれ何ですか?」

 

「え?どれでしょうか!?」

 

 一夏が指差した窓の外にはIS学園があり、山田先生は反射的に一夏の指差す方を向く。無防備な山田先生の姿を見て一夏は「すみません」と、内心謝りながらその無防備な頸もとに手刀を叩きこむ。

 

「あ!?」

 

 瞬時に山田先生は意識を手放し床に崩れ落ちる様に倒れるも、一夏がその倒れる山田先生の体を受け止める事によって山田先生が地面に落ちる事は無く、一夏はそのまま山田先生をモノレールの座席に寝かせる。

 

 三つ目と四つ目の問題を同時解決。四つ目はギリギリ判定だが、山田先生に詰め寄られても途中で倒れましたよ。貧血だったんじゃないんですか?としらばっくれる事が出来る。首が痛いのも座席に寝かせたので無理な姿勢で寝たためじゃないんですか?としらばっくれる事が出来る。

 

 

 そして、一夏は次の駅で降りた。あのままモノレールに乗っていれば青狼会の本拠地まで行く時間が一番短くて済むのだが山田先生を気絶させて乗せたままなので他のルートを検索しなければいけなくなったが……

 

「二つ目の問題解決。全ての問題を解決した。ただ、山田先生が起きる時間が解らない。その為一刻も早く青狼会の本拠地に到着する必要があるな」

 

 そう呟きながら一夏は左腕に着けている腕時計を見た時刻は19時を過ぎている。このままいけば、時間的にもヤクザの本拠地とはいえ、人が居るかは怪しい時間帯に成りそうだ。

 

「速くて20時か~。ん?」

 

 腕時計を見て気付いたのだが、先程山田先生を気絶させた時なのかわからないが、いつの間にか左腕の銃で撃たれた傷跡や日本刀や長ドスで付けられた切り傷などの応急処置をした箇所から血が出ていた。

 

「あ~、傷口開いちゃってんじゃん。まあ、無駄になっかもしれないけど応急処置だけしときますか」

 

 そう呟いて一夏は歩みを進める。

 

「Oh,マジですか?」

 

 近くの薬局でアロンアルファを購入した一夏は傷口に塗り、傷口をくっつける形で塞ぐと、もう青狼会の麓に来ていた。あれから電車やバス、あらゆる交通手段を駆使して青狼会の麓までようやく到着する事20:35。当初の目標であった時間はとうに過ぎていたが、山頂付近に見える青狼会の本拠地は明かりが灯っており人が居る事が分かる。その事に一夏は無駄足では無かったと安堵するも麓で待ち構えている人物を見て頬を引き攣らせる。

 

「織斑君、さあ、もう帰りましょう」

 

 気絶させた山田先生が待ち構えていたのだから。

 

「どうしてここに?それに先生モノレールの中で貧血になって倒れたんじゃあ?」

 

あくまでも貧血で倒れた事にする一夏に山田先生は苦笑する。

 

「貧血…そうですか。成程、そうきましたか。織斑先生がおっしゃっていた神童。成程理解出来ました。私が織斑君に気絶させられたと言っても証拠が無い。首の違和感も貧血で倒れた時に寝かしたため変な寝相で首を痛めたんだろうと言えば逃げられますものね。そうそう、一つお答えしますよ織斑君。私がここに居るのは貴方がモノレールの時に青狼会に行くと言っていたのでモノレールで気絶した後すぐに学園に電話して織斑君が帰っているか確認して貰いました。ですが、帰ってなかった。なので行く先が分かっているのですから待ち構えさせてもらいました」

 

 一夏は平静を表面上は装っているが心中穏やかでなかった。あともう少しで目的地に到着すると言うのにここで捕まって終わりかよ!と憤りを感じていた。

 

「私の数少ない特技なんですけれども私、気絶時間が常人よりもはるかに短いんです。まあ、貴方のお姉さんである織斑先生によって培った能力なんですけどね。こんなところで役に立つとは」

 

と、訊いても居ない事をべらべらと話してくる山田先生を前に一夏は内心「あの愚姉!余計な能力を開花させてくれやがって!!」と姉の千冬に言い表せぬ怒りをぶつけていた。

 

「悪いですけれども、俺も引くに引けないんで押し通らせて貰いますよ」

 

 そう言って構える。拳を握り、しかし繰り出す拳のスピードを殺さない様に握り、脚を開き腰を落とす。全ての視覚以外の意識を脚に向け、大地に立った脚は大地をしっかりと踏みしめるも、そのつま先だけで大地に降り立ち、いつでも瞬時に動けるようにと体勢を崩さない。右拳は山田先生の顎を。左拳は山田先生のお腹に向けられている。一夏は殺す事はしない。あくまで不殺活人を信念としている。その拳で今まで数々の不良を撃退し拳を己を強くして来た。織斑一夏の強さとは戦闘センス、拳、無駄のない動き。人を倒すことを前提とし、その為に必要なパワーしかつけていない。故に彼の筋肉も人を倒す筋肉でしか付いていない。しかし、それは極限まで鍛え抜かれ研ぎ澄まされた剣と言っても過言ではない。

 だが、目の前の山田先生を見てみると隙だらけ。それが罠だと言う可能性も否めないがド素人すぎる位置取りである。構えるならばまだしも構えている一夏を前に構える事すらせずに対峙しているだけ。

 

 だが、それも本人が申告していた気絶時間が遥かに短いためであろう。その特技に依存しているが故に一夏の攻撃を食らっても再び目覚めれば前に立ち塞がる。何処かの無限に回復するゾンビのごとく一夏の行動を阻止する為に立ち塞がるだろう。一番は拘束できればベストなのだがあいにく一夏は今現在拘束具等とマニアックな物は持ち合わせていなかった。無論、神童と呼ばれた一夏の脳には人体の構造の情報を覚えている為関節を外して動かせなくする事も出来るが出来る事ならばやりたくない。

 

「やりにくい相手だぜ」

 

一夏にとって山田真耶と言う女性は相性が悪かった。

構える一夏を前に山田真耶は淡々と続ける。

 

「織斑君、貴方が私を気絶……いいえ、再び貧血で倒したとしても私はすぐに起き上がるでしょう。その時に貴方が私の傍、もしくはIS学園に帰っていなかったら私はISを使用し貴方を青狼会から強制的に連れて帰るつもりです」

 

「一般居住区でのISの使用は原則禁止されていたはずですけれども?」

 

「確かに一般居住区でのISの使用は原則禁止されています。ですが、生徒をヤクザから救うと成れば情状酌量の余地はあるかと……さあ、どうします?再び私を貧血にさせますか?」

 

 一夏はハッキリ言えば積んでいた。相手は気絶をモノともしない。しかし、自分は気絶を前提とした活人拳による攻撃を得意とする。ジャンケンでグーがパーに弱い様に一夏の特性上、山田真耶という目の前の女性は相性が悪かった。悪すぎた。

「ハア」と溜息を吐くと構えていた拳をとき、山田先生に寄る。

 

「すまないけれども、俺はどうしても行かなければいけない」

 

 山田先生との顔との距離は15cm程意識しない方が無理な距離に一夏は詰め寄る。何故ならば、人間には40cm前後のパーソナルスペースというものが存在する。良く満員電車などで不愉快感を覚えるのもこれは親密な人間ではない人物にパーソナルスペースに侵入されているからだ。

 このパーソナルスペースは侵されると不快に成るため、人間は本能的に逃れようとするのだ。その為、故意に侵す事で相手に自分の要求を通さそうと一夏は考えた。

 

「だから、行かさせてくれ真耶」

 

更に一夏は、神童と呼ばれた頭脳で集め得た知識を知恵に変え、知恵の中から更なる策を仕掛ける。少し低い声で山田真耶の心に潜り込むように語りかけ始めた。

 

「真耶、俺はどうしても行かなければいけないんだ。組長にお礼の返事をまだしてないだから行かせてくれ真耶」

 

「え、えっと!た、確かにお礼は大事ですよね!?」

 

「真耶ならば良い教師だろうから俺の事を理解してくれると思ったんだけど……俺の見当違いか?」

 

「い、いいえ!お、お、織斑君の言いたい事は解ります」

 

やったか?と内心山田先生の態度が柔らかなものに変わったため一夏はやったか?と更なる勝負に出る。

 

「それじゃあ行かせてくれるね?真耶」

 

耳元で囁くようにフィニッシュをかける。

 

「え、えっと!ちゃんとIS学園に帰って来てくれますか?」

 

 そう眼を回し顔を赤らめて一夏に尋ねる山田先生。

 正直なところ帰れるかどうかは解らなかった。だが、ここでノーと言えば今までの全てがおじゃんに成ると思った一夏は、

 

「ああ、勿論だ」

 

再度山田先生の耳元で囁くように返答をする。

 

「そ、それじゃあ、行っても構いません。私、ここで待ってますから。織斑君が帰ってくるの、ずっと待ってますから!」

 

 一夏がやったのは、声優などを育成する養成所で科学的に実証されている事で、人は独特な息遣いや声音を交えた異性の声に弱い。その技術の応用で、女子はこういう声で自分の名前を繰り返し耳元で優しく囁くと……だんだん意識が朦朧としてあらゆる判断をゆだねるらしい。

 

 山田先生の許可を貰った一夏は麓の青狼会の大きな門を潜り青狼会の敷地の中に入る。

 敷地の中に入るとそこには山頂付近にある青狼会の大きな事務所に続く心臓破りの大きな階段が並んでいた。その心臓破りの大きな階段を一段一段上りながら一夏は思い出す。

 

「そう言えば殴り込みに入った時は最初この階段が異様に長く見えたっけな。でも、白騎士事件の事を思い出してたらあっという間に着いたっけな~。白騎士事件……その黒幕を知らぬまま俺は今日死ぬかもしれないってか。フ、自分の命を自分で握っている。この後の展開も俺しだいって事か。しっかし、山田先生には悪い事をしちまったな~」

 

 等と考え居るといつの間に着いてしまった。道場の様な馬鹿でかい事務所の前に。

 此処からが一夏にとって正念場なのだ。ここから先はへまを出来ない。隙を見せればすぐにやられるだろう。何せ相手は日本最大ヤクザの青狼会。そして、一夏のこれからの交渉相手はそれら全ての頂点に立つボス。一夏が行きたかったし、行くであろう予定だった藍越学園を卒業した卒業生。神童と呼ばれたその頭脳を駆使して相手にしなければいけない相手だ。

 事務所の門を前にすると一夏は立ち止まり、深呼吸を一つする。そして、ポケットから携帯電話を取り出し遺書を書き残す。麓で待つ山田先生に非が掛らない様にするために。

 

「良し!行くか!!」

 

事務所の大きな門を叩く。

 

ゴンゴンゴン!!

 

「はい」

 

低いドスの効いた声。

 

「織斑一夏だ。夜分遅くにすまないが組長に会いに来た」

 

 そう言うと暫くして事務所の分厚い扉が開いた。

 扉を開けてくれたのは高級そうなグレーのスーツを着て頬に古傷があるヤクザだった。

 

「ありがとう。どうしても時間が取れなかった。非常識かもしれないがこんな時間に訪れてすまない」

 

「いいえ。わいは気にしてませんのでお気になさらず。わいについて来てください」

 

 そう言われて目の前のヤクザに案内されると、そこは和室。部屋の真ん中に日本刀が二本置いておりそして、そのそばの壁には仁義と書かれた色紙が額縁に入れられて飾られていた。

 そして、部屋の中央には組長が座布団に座っており、組長の前にはもう一枚座布団が敷かれていた。

 

「それでは」

 

 そう言って案内したヤクザは一夏が和室に入ると和室の扉を閉め始める。扉が完全に閉まるまでの間に一夏は「ありがとうございます」と言う。

 そして、組長の前に敷かれている座布団の上に座った。

 

 組長と対峙するかのように座る一夏。そんな一夏の首に冷や汗が流れる。

 そして、勢いよく土下座した。

 

「おやっさん、こんな夜分遅くに会って下さり、ありがとうございます。そして、すみません。藍越学園に入学する事は出来ませんでした」

 

「……お前さんの事はニュースでやっとった。IS学園に入学したそうやな」

 

「はい。面接会場がIS学園の試験会場と同じでして去年カンニング事件が起きたせいで直前に成って試験会場の通知が来た為、面接会場の構造を調べて下見に行ったんですが、カンニング対策なのか一向に入れて貰えませんでした」

 

 そう、一夏は藍越学園の面接試験の前日に試験会場に赴いた。だが、試験会場の警備は厳重で事情を話しても一向に試験会場に入れて貰えなかったのだ。

 

「……それでIS学園の試験会場に間違って入ってもうてISに触れて何故かISを起動させてもうたちゅう事か?」

 

「はい。結果から見れば約束の藍越学園で入学して卒業できんかったら……その約束すら果たす事は出来ませんでした」

 

「……わいは今、お前さんの処遇をどうしようかと考えとったんやが……決めたで」

 

 そう言って組長は後ろにかけてあった日本刀を取り出した。

 その瞬間、一夏は伏せていた顔を上げた。そして、

 

「俺は、俺は死ねない!あいつを悲しませた奴を見つけるまで死ぬ事は出来ない!死ぬ事は許されない!組長、貴方は恩人だ。だが、貴方が俺に刀を向け俺を斬ると言うならば俺は貴方を倒す!!」

 

 その蛇や肉食獣を思わせる獣のような鋭い眼差しで組長を見すえる。

 

「わいを倒せば青狼会を敵に回すっちゅう事に成ってもか?」

 

「もとよりこの身は世界全てを敵に回してでも犯人を見つけ出すと誓った身。今更敵が増えようとも関係ない!!」

 

 その言葉に組長はフッと笑った。

 

「ええ覚悟やで織斑一夏。ならば誓え、今ここで青狼会組長である俺の前で!」

 

 そう言って組長は一夏に持っていた日本刀を差出し、金打(きんちょう)は解るか?と一夏に問う。

 一夏は首を縦に振り、肯定した。

 

 組長はもう一つの飾っていた日本刀を持ち、再び座布団に座る。

 

一夏と組長は互いに日本刀をたて、鞘から日本刀を少しだけ抜いた。

 

「俺、織斑一夏はあいつを泣かしたIS事件の元凶を必ず突き止める!」

 

金打(きんちょう)!」

 

 カチリと勢いよく鞘に日本刀を戻す。日本の日本刀が鞘に勢いよく戻された事により音が発生した。

かつて江戸時代の武士が互いに堅い約束を結ぶ際に行われた行為でその意味は約束を破れば斬られても文句は言わないという誓約である。

 

「ほな、な。行きや織斑一夏。お前さんの行くべき場所へ。進むべき道へ。お前さんが進むべき道を見失ったその時に、この門を潜りわいの所に戻ってこい。お前さんの席を用意しといたる」

 

 組長から将来の道の一つを貰いながら一夏は組長と共に見送りだしてくれる構成員たちを見る。その殆どが一夏と戦った人物達だ。

 

「皆すまない。貴方たちに怪我をさせてしまっておきながら……」

 

「なに、この頃抗争が無かったから皆鬱憤溜まってたんですよ一夏さん」

 

「そう、そう。寧ろ鬱憤が晴らせて良かったっすよ」

 

「一夏さん、元凶を必ず突き止めて下さいね!」

 

「約束っすよ!!」

 

 その背中を押される声に一夏は「ああ、絶対に突きとめる!」と今まで見せた事のない笑顔を浮かべる。その笑顔を見た青狼会の構成員達は、「お疲れ様です!頑張って下さい!!」と頭を下げる。

 

「ほな、な。あんさんの頑張りをわいも含めて皆期待しとるんや。頑張りや一夏」

 

 組長から激励を貰いながら一夏はお世話に成りましたと頭を下げると、長い階段を下りて下山する。

 

 麓では山田先生が待っていた。気温は20時よりも更に低くなり吐く息も白くなっている。

 

「お、織斑君!良かったです。ちゃんと戻って来てくれて!」

 

一夏の姿を視認すると駆け寄り、まるで飼い主に留守番を強いられたかのような犬の反応をする山田真耶。

 

「すみません。こんな遅くまで待たせてしまって」

 

 そう言って一夏は自分の上着を脱ぐと山田先生にかける。

 山田先生は、顔を赤くするも一夏はそれに知らんぷりをする。

 

「さて、残念ながら生き残ってしまったので帰りましょうか、学園に」

 

「はい!学園に帰りましょう」

 

 嬉しそうに話す真耶。

 二人が向かうのは終電に乗るための駅。二人が歩く上空には白く美しい満月が昇っていた。




メインヒロインは山田先生じゃありませんよ!!

因みにすみませんがしばらく投稿できませんのでご容赦を

見て下さり、ありがとうございます。感想、誤字、指摘、アドバイス等があれば下さい。待ってまーす。

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