拳の一夏と剣の千冬   作:zeke

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第12話

購買で焼きそばパンを2つ買った一夏は屋上に向かった。

屋上に誰も人が居ない事を確認すると、扉を開き屋上に出る。

屋上に出ると肌に気持ちの良い風があたる。

 

「さてと」

 

そう呟くとポケットからハッキング・クラッキング用の携帯電話を取り出す。そして、その携帯電話に眠っている様子で画面に表示されている少年エルフの様なAIに向かって話す。

 

「起きろMAKUBEX(マクベス)

 

『う、う~ん』

 

眠っていた眼を開けて眠そうに眼をこするAI。その様子は携帯電話の画面の向こうに捕まって生きているエルフとすら思う。

 

『なに、マスター。僕、もう眠いよ』

 

「何言ってやがる。それより、仕事だ」

 

仕事と聞いてMAKUBEX(マクベス)の表情が変わった。

眠そうにしていた眼が開き緑色の瞳が現れる。

 

『ご用件を。マスター』

 

「この学園のメインサーバーに侵入してセキュリティーの程度を調べて、俺のこの携帯電話にコントロール主導権を握れるようにしろ。有事の際に使う」

 

『了解しました。マスター。ですが、程度の問題にもよりますが時間がかかるかと』

 

「構わん。終わったらこの携帯電話に電話をしろ」

 

『了解しました。仰せのままにマイマスター』

 

そう言って携帯の画面にいたエルフ型のAIは画面から飛ぶように消えた。

フウと溜息を吐いた後携帯電話をしまい、そのまま屋上を後にした。

 

 

「遅い!」

 

八重歯をむき出しにした状態で怒り心頭のセカンド。その為かツインテールが揺れる。

 

「煩せえなセカンド。手前が俺に合わせりゃ良いだけだろうが。なんで俺が手前に合わせなきゃいけねえんだ?」

 

「あんたね~。ちょっとは幼馴染との再会なんだから感動するぐらいの反応があっても良いんじゃないの?」

 

呆れた表情をするセカンド。

その手にはお盆が握られておりお盆の上にはラーメンが乗っかっていた。

 

「おい、さっさと喰わねえと麺が伸びちまうぞ。後、そこにいると邪魔。よけろ」

 

「誰の所為よ!誰の!」

 

そう言いながらもセカンドは食券を売ってる券売機の前から退いた。

一夏の後ろにはずらりと食券を求めて長蛇の列が並んでおり、ようやくセカンドが退いた事によって食券を買おうと今日のメニューを見る。

 

「うっせえ。手前が勝手に約束こじつけたんだろ。俺は了承も承認も肯定もしてねえのに、それを約束だとは呼べねえな」

 

 

券売機で今日のオススメメニュー SPAランチセットを購入すると券を持ってカウンターに向かう。

そして、カウンターに向かう一夏の後ろにはセシリアと箒が付いており、セカンドは一夏の隣をラーメンの乗ったお盆を持って一緒に歩いている。

 

「ん、これお願いします」

 

一夏は、食券を渡して代わりに番号のついた札を受け取ると近くの空いている席に座る。その後、セシリアと箒が一夏を挟むように座り、セカンドは一夏の正面に座りラーメンをズルズルと啜りながら一夏に尋ねた。

 

「んでさあ、一夏」

 

「んあ?何だよ」

 

「あんた私が居なくなって寂しかった?」

 

一夏は一瞬キョトンとした表情と成ったが腹を抱えて笑い始めた。

 

「ぶはははは!ヒーヒー、死ぬ死ぬ。セカンド、手前、俺を笑い殺す腹か!?」

 

その様子をセシリアと箒は見てビクッとビクつき、

 

「あんた、本当に失礼ね!」

 

セカンドは少し怒った声で言う。そんなセカンドを見て一夏は「俺がそんな人物(タマ)に見えっかよ」と呟いた。

その言葉を聞いたセカンドは「変わんないわね」と肩をすくめる。

 

「手前も変わんねえなセカンド。………主に背と胸が」

 

何気なく呟いた一夏。

しかし、セカンドの、鈴の耳にしっかりと聞こえていた。

 

「あんた、今なんて言った?」

 

ドスの利いた声。

セシリアは涙目だったり箒は冷や汗をかいている

 

当の一夏は「しまった」と言った表情をしている。

 

「え、あ、落ち着けセカンド。ほら、ラーメン「食べ終わってるわよ」……」

 

いつの間にか食べ終わっていたラーメンの容器を見せつけられる一夏。

 

しばし沈黙の後、セカンドが口を開いた。

 

「………決めたわ。あんた、次のクラス対抗に出なさい。そして、ボコボコにして圧倒的な力の差を見せたうえで結婚して貰う。あんたに拒否権は無いわ。ラストチャンスを使ってあげる。次が最後よ。あんたが勝ったら、あたしはあんたの下僕に成ってあげる。でも、あんたが負けたら即結婚だかんね」

 

「八ッ、面白れえ!最高だぜ、セカンド!!ここでラストチャンスを使うか!やっぱ、お前最高だぜ!望み通りお相手仕るってな!よーし、俺が勝ったらお前は下僕。俺が負けたらお前の旦那様……上等じゃねえか!」

 

嬉々として話す一夏。

その肉食獣か蛇を思わす眼は見開かれており、口は喜びで頬が上がっており、戦う事に喜びを感じている様子だ。

 

「「次のクラス対抗で決着をつけ(てや)る!!!」」

 

食堂にいた全員の注目を浴びる中鈴と一夏はそう宣言すると一夏は自分の番号を呼ばれたため席を立ち、鈴は食べ終わった食器を持って返却口に向かった。

 

「「……」」

 

箒とセシリアが唖然とする中一夏はSPAランチセットが乗ったお盆を持って戻ってくると席に座り呆然としたセシリアと箒を尻目にばくばくと昼飯をかっ込むのだった。

 

当然、その後に騒ぎを聞きつけた千冬に一夏は頭を叩かれるのであった。

 




MAKUBEX《マクベス》

電脳AI。容姿は銀髪で緑の瞳をしたエルフ。モンハンのユクモ装備を纏っており、背中に透明な羽が生えている。一夏のハッキング・クラッキングのアシストをしており、偶に一夏に仕事を頼まれると引き受ける。何もない時はスリーピング状態と言う事で寝ている。
一夏の携帯にいるのがサブで、自宅のPCにいるのがメイン。

生みの親は一夏

服装はゲームに侵入してゲームのデータをコピーして加工する事で服装を変える事が出来るらしい。

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