死なないことはチートでは無いのだろう   作:my茸

7 / 10
ヒロインが決定しました!
3人になってしまいましたけど、ハーレム感はあまり出さない様に気を付けようと思っています。
…思っているだけかもしれませんが。
ヒロインに入れられなかったリューさん、ロキ、リヴェリアさん、ティオナのファンの方すいません。
文章力頑張って上げていくのでこれからも宜しくお願いします。

また、文の書き方をを少し変えてみたのですが、どちらが良いか、もし良ければ教えて下さい。


第7話、有名人とデート(仮)とか怖すぎる。②

前回のあらすじ〜

 

『『『よし。処刑だ。』』』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本編スタート〜

 

メインストリートから一本外れた道。

この通りはメインストリートほどの喧騒は無く、小洒落た喫茶店などが並ぶ静かな通りだ。

そこをオラリオで名高い【剣姫】ことアイズ・ヴァレンシュタインが歩くとやはり目立つ。

 

『おい…あれ、剣姫じゃないか?』

 

『あらほんと!やっぱり綺麗ねぇ』

 

『隣の人は誰なのかな?』

 

『おいおい、そんなの"コレ"に決まってるだろ?』

 

ーーー当然、その隣の人()も目立つ。

"コレ"と言いつつ小指を立てている男を尻目に歩きながら、

「まあ暇神共の溜まり場( メインストリート)に比べれば断然マシか…」

と多少の噂は諦める事にする。

 

隣を見ると、先程からの俺の様子に「 ? 」と、首を傾げているアイズ。

こっち(天然)も諦めよう…

と思いつつ、半ば確信している疑問を投げる。

 

「まず飯を食べようか。アイズ昼飯食べてないだろ?」

 

「…うん。なんで?」

 

なんで分かったの?ってことか。

 

「スカートにちょっとシワが付いてる。さっき待ってた時に付いたやつだろ?見た感じ生地は良いの使ってそうだから、結構早くから待ってたんだろうな…って」

 

自分の推理に自己嫌悪が募る。

やっぱり待たせてたんじゃねーか俺!

 

「凄いね…当たり」

 

「…いや本当、遅れてすいませんでした…でもなんでそんなに早くから…?」

 

少し考え込むアイズ。そしてーー

 

「…楽しみだった、から?」

 

「ぐはっ!!!!」

 

ーーーートドメを刺された。天然怖い。…心が、痛いっ!

 

 

♢♢♢♢

 

 

場所は変わり、さっきの通りの喫茶店の隅、俺達はそこで食事を取っている。

ここを選んだ理由?特にはないよ?俺のチョイスだけど。

 

…まあ気になる人もいるだろうから一連の流れは話しておこう。

ーーーーーーー

 

「えっと…アイズは何か食べたいものは?」

 

「じゃがまるくん」

 

「他には?」

 

「じゃがまるくん小豆クリーム味」

 

「…うん。アイズに聞いた俺が間違ってた。あそこの店入ろう」

 

ーーーーーーー

 

もそもそとパスタを食べるアイズ。

時々"じゃがまるくん"と聞こえてくるのは俺の空耳だろう。…そう思いたい。

…もしかしてアイズって普段は三食全部じゃがまるくんだったり…いや、流石にないな。うん。

 

「あー…じゃがまるくんは後で行こう?な?この間の礼に奢るから」

 

「……!」

 

コクリ、と頷くアイズ。心なし目がキラキラした気がする。

まあ重要なのはそこじゃない。本題はここからだ。

 

「…で?俺に何か聞きたいことがあったんだろ?」

 

そう。これだ。

知り合ってまだ2、3日の男を、バトルジャンキーのアイズが自由時間(プライベート)を使ってまで誘う理由。

 

「……!!!!」

 

なぜかそこでハッとするアイズ。

………もしかして、忘れてたの?

そのアイズが居住まいを正してこっちを見つめてくる。

さて、オラリオトップの剣術使い、【剣姫】が俺に聞きたいことはなんだ?

 

「…君の、アスタの強さの理由が知りたい」

 

「…は?強さ…?」

 

「うん」

 

強さってアレだよな。スカウターで測ったら測りきれなくて爆発したり、53万だったりするアレだよな?

 

「いやいや、アイズの方が断然強いだろ?俺は強くなんかないぞ?」

 

むしろどっちかっていうと「たったの3か…ゴミめ」って言われる方だよ?それに後輩のベルにステイタス抜かれてるんだぞ俺。

 

「…ううん。君は強いよ。だって、怪我しなくても、痛いんでしょ?」

 

"怪我しない"、ね。成る程、アイズは俺のスキルをそう捉えたのか…

それよりアイズさん?ちょっと文の繋がりがよく分からないよ?

…でも、聞きたいことは何となく分かった。

 

「強さの理由…かぁ。俺はただやりたい事やってるだけだからなぁ…悪いなアイズ。俺には分からん」

 

「…そっか」

 

「でも、そういうもんじゃないのか?」

 

「…え?」

 

「んー、だってさ、憧れる強さなんて人それぞれだろ?それを目指すから頑張れるんじゃないのか?…例えば、うちのベルはあいつなりの憧憬を見つけて、今凄い勢いで強くなってる。アイズも、アイズ自身の憧れる、アイズだけの英雄に出会えたら、目標が出来たらきっと………って忘れてくれアイズ‼︎なんでこんな上からに…⁉︎」

 

「…………」

 

慌てて弁解をするが返事がない。……怒らせた?

 

「………ふふ」

 

笑ってる?も、もしかして笑ってしまうほど怒ってるとか…?や、やばい…!

 

「…アスタ」

 

「は、はいッ⁉︎」

思わず背筋を伸ばす。

…が、聞こえてきたのは予想とは全く違う言葉だった。

 

「ありがとう。…凄く参考になった」

 

それも、極上の笑顔付き。

アスタはこう思った。

ーー俺はベルじゃ無ければ、ましてロキでもない。でもこの時ばかりは、断言できる。

 

『『『『…アイズさんマジ天使!!!』』』』

 

心の声が…ハモった…だと?

驚愕。と、同時に目の前にケーキが置かれる。

それもカップル用の食べさせ合う例のアレだ。アイズも目を丸くしている。

運んできた店員に注文していない事を伝える。

 

「えーっと。頼んでないんですけど…」

 

「いえ、あちらのお客様からです」

 

視線の先には数人の男神。

…あっ、ウインクしてきやがった。

団員が稼いできた金をこんな事に…ファミリアの人泣くぞ?

 

『『『そんな事言ったってしょうがないじゃないかぁ』』』

 

何言ってんのあんた達。この世界にえなり君は居ないんだよ?

あと心の声(ナレーション)読むな。

 

「…はい」

 

そこに不意に差し出されるフォーク。

 

「…え?」

 

「食べない、の?」

 

「え、あ、いや…」

 

「…ごめん、嫌だった?」

 

しゅんと俯くアイズ。

…そのまま上目遣いで聞いてくるから破壊力が凄い。

 

「い、嫌じゃない!…でも、アイズはいいのか?」

 

「?…大丈夫、だよ?」

 

……これは断れないな。

断れる奴は男…いや、人じゃない。

そんな俺を見てまたケーキを差し出してくるアイズ。

 

「…はい」

 

「…お、おう」

 

差し出されたケーキにぱくっと食いつく。…なんか、ごめんな、ベル。

 

「…どう?」

 

「…美味い」

 

正直味なんか分からない。ただひたすら恥ずかしい。

でもあの神どもに負けるのはなんか嫌だ。凄く。

だからもう一度言っとく。…ベル、ごめん!

 

「アイズ!…はい!」

 

「…う、うん」

 

差し出したケーキに近付いていく小ぶりな口。

さっき食べてたパスタのせいか、唇がツヤツヤしているように見える。

柔らかそ……

 

………何考えてんだ俺。

首を振って顔を上げると、ニヨニヨしてる神どもが見えた。

…くっそ…この野郎!!

心底ムカついたから、その後全部、「はい、あーん」って言って食べさせ合うことにした。

途中、

 

『『『…店員さん。コーヒーをくれ。ブラックで』』』

 

とか、

 

『このコーヒー、ブラック…だよな?』

 

『『甘い!甘すぎるぜ!!』』

 

とか聞こえてきたから、安心して店を出る前にドヤ顔できた。

…なんか途中からアイズの反応が薄くなったのも気になるけど。

ふと横を見ると、真っ赤になって、ぼーっとしているアイズ。

声を掛けても目の前で手を振っても反応無し。…大丈夫か?

アイズがこんなんじゃ今日はここまでかな…。

相変わらずぼーっとしているアイズから目を離し、なんとはなしに店を見ていると、あるヒューマンの店に目がとまった。

窓の中に見えたのは、スカートの部分に花をあしらった真っ白なワンピース。

そこで思ってしまったのだ。

アイズ、私服持ってるのかな、と。

今日着ているのは、脱装しているものの、普段(ダンジョン)と同じ格好。

 

「…アイズ。ちょっと寄ってもいいか?」

 

相変わらずぼーっとはしているものの、こくりと頷くアイズ。

それに、よし。と、頷き返したアスタは、アイズと共に服屋へと入っていった。

 




あーん、は流石に恥ずかしかったアイズでした。

予定よりちょっと長くなってしまいました。
次回の頭でデート(仮)回は終了です。
この話でもう一人だけ登場するオリジナルキャラクターを出す予定です。

尚、神様達ですが処刑よりもおちょくる方向へとシフトしたようです。あとが怖いですね。

それともう一度言います。"神様達は"です。

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