…先に言っておきます。
アスタのステイタス、今回も書くことができませんでしたぁっ‼︎
本当にごめんなさい。ベル君の話が予想以上に長くなってしまって。
次回はステイタスから始まるので、もう少し待っていてください。
前回のあらすじ〜
「ここはどこ?私は誰?」
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本編スタート〜
ダンジョンに到着すると、魔石を回収されず、その場に残されているモンスターがあちこちに転がっていた。
「ベルの奴無双してるなー。後片付けとかどうなんのかね…」
しょうもないことを言いながらその死体の跡を辿っていくと、その跡は驚いた事にどんどん下の階層へと続いていく。
そしてとうとう6階層。
ベル君もしかしてアレですか。エイナさんの事すっかり忘れてるパターンですか。
「…きっと俺も怒られるんだろうなぁ…理不尽だよなぁ…」
そんな風にぼやきつつ走っていると、探していた人影を見つけ、絶句する。
あ…ありのまま、今起こっていることを話すぜ…!
な…何を言っているのか分からねーとは思うが聞いてくれ…!
血塗れのベルがウォーシャドウ6体と闘おうとしているッ‼︎
あははっ…死ぬ気かこの野郎♪
♢♢♢♢
悔しい、悔しい、悔しいっ!
「雑魚」その言葉に言い返すことの出来ない自分の弱さが。彼の言葉を肯定してしまう自分自身が。
「頑張っていればいつか」そんなことを思っていた自分が恥ずかしい。何もせずただ期待していた自分が。
僕は、
そう決めていたのに。
くそ!くそっ!くそっ!!
次々と現れる
切って、切って、切り続ける。
新たな敵を求めてひたすらに走る。
走って、走って、走り続けた。
馬鹿みたいに荒れ狂う感情が落ち着くと、ベルは漸く我に返った。
立ち止まり、周りを見る。
ここは…五階層、いや、
ビキリ、ビキリ、と両側の壁が割れる。
現れたのは『影』。身の丈160
"新米殺し"と呼ばれるウォーシャドウだ。
「来いっ!」
しかし何故か動かないウォーシャドウ。
「…来ない?」
すると、ビキリ、ビキビキビキ…という音と共に、さらに
「嘘っ‼︎」
冒険者歴1ヶ月未満の新米対、"新米殺し"6体。
普通に考えてどう足掻いても勝てない。詰んでいる。
…でも、僕はアイズさんに追いつかなきゃならないんだ。こんな所で死ぬわけにはいかないんだ!絶対に倒す‼︎
そう、固く決意したその時。
ガシャァン!
目の前のウォーシャドウの頭に何ががぶつかって割れた。
「燃えろ!」
直後に現れた人物が
『ーーーーー!?』
「えっ⁉︎魔法?」
「ちげーよバカ。ただの手品だ」
「ってアスタ⁉︎なんでここに?」
「お・ま・え・の・せ・い・だ・よ!」
頭の両側からからこめかみをぐりぐりされる。
「こめかみがいたたたたたたたたた!!」
「つーか空気読め影B‼︎」
アスタは後ろから攻撃しようとしていたウォーシャドウに回し蹴りを放った。
アスタ今、後ろ見てなかったよね⁉︎
『ーーーーー‼︎』
吹き飛ぶウォーシャドウ。
見ると、首が変な方向に曲がっていた。
…って一撃⁉︎
「ベル!フォローはする!俺碌な武器持ってねぇから基本的にはお前がやれ!」
「えっ?アスタどうやってここまで来たの⁉︎」
「ど◯でもドア」
「何言ってるの⁉︎」
「ウソウソ。健全に
ベルは思った。
…健全ってなんだっけ。
ベルとの会話を止め戦闘に集中。
右からくる攻撃をかがんで回避。
そのまま足払いをかけ、倒れたウォーシャドウの顔面を踏み潰す。
…と同時に前転。背後からの攻撃を避ける。
再度襲ってくる攻撃は振り向きながら後ろに飛び退くことで回避。
同時に放った
「燃えろっ!」
発火石から飛んだ火花が火酒に着火。一気に燃え上がる。
『ーーーーー‼︎』
「よっし!2体目‼︎」
「アスタ!メインは僕だって言ってなかった?」
振り向くと素手でウォーシャドウの顔面を貫通させているベル。もう一体はナイフを刺されて倒れている。
実にいい笑顔だ。ベル…恐ろしい子‼︎
「ま、まあアレだよ。臨機応変ってヤツだ」
「…なんでちょっと引いてるのさ」
「いやぁ…満面の笑みで怪物の顔面貫いてる姿を引かずにどうしろと?」
「……」
『…!!』『…‼︎』
そこに正面から突っ込んでくる2体のウォーシャドウ。
「…と。ベル。一体ずつな」
「オッケー」
右から振り下ろされる切れ味バツグンの腕を跳んで避け、飛び上がった勢いのままウォーシャドウの首を両腿で挟む。
あとは体ごと捻るだけ。
…ゴギッ!と嫌な音が鳴る。
それだけでウォーシャドウの視界は反転する。
『……?』
ウォーシャドウは体を動かそうとし、最後まで何が起きたのか理解しないまま息絶えた。
「うわぁ…!今の技凄いねアスタ!」
ベルがキラキラした目でこちらを見ていた。
「これは…お前が憧れるような綺麗な技じゃない」
「…?」
首を傾げるベルに苦笑しながら告げる。
「…ところでベル。そろそろ気分は済んだか?俺、そろそろ帰って寝たいんだけど」
「あっ。…アスタ、ごめん」
「いや、俺がベルだったら多分同じことをした。気にすんな」
しゅんとする
「アスタ…」
「どうしたーベル?さっさと帰るぞー」
「アスタ。五階層への階段はこっちだよ?」
……ま、間違えたとかじゃないんだからねっ!恥ずかしさで泣いたりしてないんだからねっ‼︎
「俺はツンデレじゃねーよ!」
隣を見ると急に叫んだ俺に驚く
…しまった…心の声が。
「アスタってさ…たまに神様たちみたいなこと言うよね」
「…それ、もしかしなくても褒めてねーよな」
「………………………うん」
そんなことを言い合いながら、
♢♢♢♢
まぁ当然俺たちより先に帰ってきていたヘスティアに怒られるわけで。
「一晩中ダンジョンに⁉︎しかも防具無しで⁉︎生きてるのが不思議なくらいだよ‼︎なんてバカな事してるんだベル君っ!」
勿論ベル君はヘスティアにガッツリ叱られた。
「まあまあ。ヘスティア、ベルにも色々あったんだ。その位にしてやってくれよ」
「…因みにアスタ君。君は何を装備して行ったんだい?」
フォローしたら半眼で睨まれた。
「えっとー、火酒4本と家庭用発火石2個?」
その後めちゃくちゃ説教された。
家庭用発火石、は勝手に登場させたオラリオの人気キャンプグッズです。
何故アスタが持っていたのかというと、露店に放置されていたのをパクりました。
次回、ステイタスと、アイズさんとのデート(仮)前編。
…になるはずです。その予定です。