ストライク・ザ・ブラッド 錬鉄の英雄譚   作:ヘルム

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ずいぶん長くお待たせしてしまいました。
いえ、書いてることには書いてたんですが、もっと書いたほうがいいだろう、もっと書いたほうがいいだろうと思ってる間に期間が伸びに伸び、サイトに触れることも少なくなっていました。
やっぱり短くてもいいから、小説はスパン短く出したほうが良さそうだなと、反省した次第です。
申し訳ございません。


錬金術師の帰還 XVII

自分は、よく知っている。

 

自分と愛を誓い合った女を知っている。自分に愛を貫くために身を粉にした女を知っている。無数の愛に包まれ、支えられながら、人は生きていることを…知っているのだ。

 

だが、理解はできなかった。

 

誓い合った(ソレ)と貫き通された(ソレ)が全く同じものだとは流石に思わなかった。

 

ただ、何なのだろうか?とにかく、受け入れ難かったのだ(・・・・・・・・・・)

 

1655年、当時13歳だったニュートンはその時が自分の最盛期だったと信じて疑わない。たとえ、頭脳的にはあまりに未熟で、幼かったとしても、あの瞬間こそ自分の人生における最大の分岐点(ターニングポイント)。そして、自分が今も抱き続けている迷い(・・)の原点。

 

それを今、ある少年に指摘された。不思議と不快感はなかった。それよりも逆に興味が湧いた。今、立ちはだかる自分という壁を前にして、少年は…暁古城は一体どんな答えを持ってくるのか…と

 

ーーーーーー

 

光が収まった瞬間、古城たちの目の前には先ほどまで、辺り一面の野原が広がっていた。

 

「なっ!?」

「えっ?」

「…!?」

 

古城と雪菜はその光景に唖然とし、ニーナの方は驚愕から沈黙しながらも目を剥きいた。だが、ただ一人ライダーだけは、この光景に目を眇めながら呟いた。

 

「これは…固有結界」

「「「固有結界?」」」

 

初めて聞く呼び名に古城たちは首を傾げた。

ライダーはそんな彼らに対し、説明を始めた。

 

「以前、アーチャーがかの孤島で戦った際にも使っていた魔術の真奥の一つです。自らの心象風景で現実を侵す大禁呪。これに至れるモノは魔術師の中でも一握りの者たち。このような域に至っていたという記述はあなたの伝説の中にあったとは思えませんが、ニュートン。」

 

そう言ってライダーは後ろを振り向く。すると、そこには平原の上にポツンと立っている10代前半ほどの少年がいた。

 

「え、あいつが、アイザック・ニュートンなのか?」

 

その姿を見て、古城は疑問を口にする。今までがずっと巨人の姿だったために、その正体が自分たちと変わらない少年の姿だったことに余計に違和感を抱く。

そんな古城に対し、少年はポンと手を合わせて納得したように呟いた。

 

「ああ、そういえば、君たちにこの姿を見せるのは初めてだったね。では、改めまして、キャスターのサーヴァント『アイザック・ニュートン』…の写し身といったところかな?だから、もしも今の僕を呼ぶとしたら、そうだな…『アイザック』の由来聖人イサクから取って、イサクなんてどうだろう?」

「っ!?」

 

少年の自己紹介が終わると、古城は改めて息を呑む。

その感情の大半が占めるのは『戸惑い』。あれほどの暴威を見せた巨人の正体が少年だったことに対する戸惑いだ。

子供の姿をしたサーヴァントを見たことはある。だが、ナーサリー(彼女)は本質的には人間ではなく、その姿も南宮那月の写し身を象ったモノだとのことだ。だが、目の前の少年は違う。少年は間違いなく、歴史上における傑物の一角であり、列記とした人間だ。

 

「…そこまで驚くことではないですよ。古城。」

「え?」

 

ライダーは言葉を続ける。

 

「説明しなかった私にも問題がありますが、サーヴァントとはそもそも、その英雄の全盛期…つまり、最も充実し、卓越した時期の自分が呼び出されます。

 

もし、死んだ瞬間の姿を切り取って召喚されたならば、老衰して死んだ英雄などは、老後の状態で召喚されかねません。そのため、自分、もしくは第三者が、『全盛期は子供の時である』と強く認識さえすれば、召喚される姿が子供でも、なんら不思議ではありません。」

 

そう聞いて、古城はなるほどと考えつつも、やはり居心地が悪くかんじるのか、少し顔を顰めたままだった。

その様子を見たイサクはしょうがないと言うふうに顔の頬を緩めた。

 

「本当に、君は子供(・・)だね。暁古城。だが、その心根の優しさは、目にかけるべきものが確かにある。君が多くのモノに救われたのも頷ける。だが…」

 

すっと、イサクは手を上へと掲げる。その姿を確認した古城たちは警戒するように半歩下がる。

 

「きみは僕が敵として認めたんだ。そんなことでは困る。さあ、君の答え(・・)を見せてくれ!」

 

言葉と共にイサクは指を鳴らす。パチンと言う乾いた音は、平原を埋め尽くす沈黙に一瞬で響き渡り、そして、次の瞬間…

 

極大の火柱が平原を埋め尽くした。

 

「っ!?皆さん私の元から決して離れないでください!もしも、離れてしまえば、確実に一人ずつ葬られます。」

「あ、ああ!」

「はい!」

「っ!?仕方ないのう!」

 

古城、雪菜、ニーナはそれぞれライダーの言葉に応答する。その様子を見ながら、目の前の少年『イサク』は笑みを深め、さらに右手を古城達に向けて突き出した。

 

その瞬間、今度はイサクの背後から数十の波紋が現れる。そして、その波紋の中心から次々と、レーザーのように何かが超高速で飛び出してきた。

 

「っ!?」

 

ライダーはその攻撃をアスカロンで全て弾いていく。そして、弾いていく中でライダーはその攻撃の正体を見極めた。

 

(これは、先程の巨人の時も使用していた超高圧水流!?剣から伝わる衝撃からして、明らかに先ほどまでよりも威力が上がっている。ですが…)

 

受けながら、ライダーは考える。確かに威力は上がっているが、果たして、これが固有結界にまで至ったモノの能力と言えるのか?アーチャーのような例もあるので、絶対とは言えないが、確信があった。

 

このイサクと呼ばれる少年の能力はこれで終わりではないと…

 

だが、そんな思考の最中、、自分の背後(・・・・・)から突如として声がかけられる。

 

「そんなに警戒しないでいいよ。ライダー。僕の基本的な能力は今までとさほど変わるものではないさ。」

 

「っ!?」

「はっ?」

「えっ!?」

「くっ!?」

 

その事態にライダーや古城達は既視感を抱いた。この感覚は先ほど、巨人が不意打ち(・・・・)をしてきた感覚に酷似している。

 

「風よ」

 

イサクが呟いたその言葉と共に、ライダー達の前で空気が引き込まれるように音を立て、炸裂しようとした、その瞬間、

 

イサクの首が落ちていた。

 

「「「っ!?」」」

 

古城達3人が同時に息を呑む中、ライダーは淡々と告げる。

 

「何度も同じ手に引っかかるほど、こちらも愚かではありません。もっともあまり意味をなさなかったようですが…」

 

言いながら、ライダーはあたりを見回す。

すると、そこには、いつの間に現れたのか十数人以上のイサク少年が古城達を中心にズラリと囲っていた。

 

「おいおい…」

「くっ!?」

 

古城と雪菜がその現状を見て、顔を歪ませる。

 

「さて、では、改めて始めようか。と言っても、ここから先はさほど面白くもない蹂躙になるだろうけどね。」

「さあ、それはどうでしょうかね!?」

 

言葉と共にライダーが不動の構えで待ち構える。その背後で古城の腕から暴力的な魔力の嵐が巻き起こる。そして、腕を掲げながら、古城は吠えた。

 

疾く在れ(きやがれ)!!獅子の黄金(レグルス・アウルム)!!」

 

雷光を纏った獅子が千里の野原を駆け、全て嵐のように巻き込みながら、食い散らかす。

牙は無数のイサク達を容易く喰らい尽くし、そこら中に肉片が撒き散らかされる。

 

「なっ!?」

 

それを見た瞬間、古城は絶句した。てっきり防御してくるのかと思っていたのだ。だが、イサクはそのようなことはせずに、破壊の嵐に容易く巻き込まれていった。

 

その異常で見るも凄惨な光景は、古城に一瞬の硬直を生んだ。

 

「っ!?危ない!」

「うおっ!?」

 

だが、その硬直を破るように雪菜は突進して古城を庇う。

直後、背後から古城の立つ場所へ熱線攻撃が浴びせられる。

 

「先輩!気持ちは分かりますが、集中してください!私たちはまだ敵の術中の只中にいるんですよ!?」

「あ、ああ、悪い姫柊!」

 

先程の自分の失態に舌打ちしながら、前へ出る。

その様子を横目で確認したライダーは目を細める。

 

(本物では無いとはいえ、幼い子供が自らの攻撃にさらされ、その肉が飛び散る光景は、マスターにとっては酷なはず…ましてや、マスターはそもそも、力を行使することに乗り気ではなかった…)

 

ここにきて、巨人ではなくなった(・・・・・・・・・)目の前の相手が古城にとっては相性が最悪であることを悟ったライダーは一度無理矢理にでも撤退をすることを視野に入れようと考える。

 

だが…

 

「っし!行くぞ!イサク!!!」

 

改めて、古城を見る。スポーツマンのように両頬を叩いて己を鼓舞しながら、古城は目の前の敵へと向かっていった。

 

その姿を見て、ライダーは思い直した。

 

(いや、杞憂だったか。たしかに私のマスターは、一般人寄りの精神を持つ方だ。だが、私は今までの戦いで見てきたはずだ。

 

あらゆる敵から無辜なるモノを守るため、震える足を押さえながら、立ち上がる姿を!

ふっ、アーチャーのことを言えませんね。過保護がすぎる。)

 

 

ライダーはそう考えを改め、地を蹴り駆ける。

 

(さて、とはいえ、この現状をどうにかしなければならないのも事実。)

 

あたりを見回すと、数十の白髪の少年が宙に浮きながら、自分たちの周囲を展開している。能力的に見るのならば、おそらくは巨人時と同等の能力を人間体の状態でも使用でき、しかも、それを複数人で乱用もできる。シンプルではあるが、強力な能力だ。

 

だが、ここで最初にも抱いた疑問が蘇る。

『果たして、それだけがこの固有結界の真の能力と言えるのだろうか?』と

 

(いや、ここまで、思い切った手段を出してきた以上、それ以上の何かがあるはず…だが、それは一体…)

「ぐっ!?」

 

と、そこでうめき声が聞こえてきた。

その呻き声の元まで目を向けると、ニーナ・アデラードというこの世界の錬金術師が苦しそうに俯いていた。

 

「ニーナ!?」

「ニーナさん!?」

 

古城と雪菜は一瞬、そちらに視線がいってしまう。すると、必然、守りが疎かになってしまう。だが、ライダーはそんな瞬間を見過ごさない。この程度のイレギュラーで守りが失われるようならば、自分は守護聖人などとは名乗れない。

 

「ふっ!」

 

即座に古城たちの前に出て、無数の『イサク』の攻撃から古城たちを守る。

剣で払い、手甲で迎撃し、胸の鎧で受ける。

 

「ライダー!」

「大丈夫です!それよりも、マスターは、ニーナ嬢の方へ!」

「っ!分かった!」

 

言われた古城はニーナの元へと駆け寄る。

すでに雪菜はニーナへと近づき、状態の検査を行っていた。

 

「ニーナ、大丈夫か!」

「ああ、すまんな。第四真祖。どうにもこの結界に囚われてから、私の術式が不調でな。錬金術が上手く発動できんのだ。ニーナ・アデラードとあろうものが情けない。これでは存在の維持も難しい…」

(錬金術が上手く発動できない?)

 

その言葉に聞いた雪菜は首を傾げる。

異能に何かしらの制限を加えるということだったら、自分たちにも多かれ少なかれ、影響がある。ニーナだけが影響を受けるということは考えづらいのだ。

 

(私の雪霞狼は元より、異能を無効化する術式を取り入れている。だから、特別、私には効かないとしても、何ら不思議じゃない。でも、先輩やライダーさんの異能に影響がないことへの説明はつかない。)

 

だとするならば、彼女が錬金術師(・・・・)だから、影響を受けていると考えた方がいい。

 

(錬金術の能力とは基礎的な部分で言うならば、物質を他の物質へと変換すること。例えばの話、この結界内で現在進行形で(・・・・・・)巨大な術式が回っており、それがニーナさんの術式を阻害した(・・・・)のだとすれば…)

「先輩!!」

「うおっ!なんだ!?」

 

意を決した雪菜は古城に声を上げる。

 

「試してみたいことがあります。手を貸してください!」

 

ーーーーーー

 

「うーん。」

 

イサクは唸っていた。自分の計画が上手く行っていないわけではない。むしろ、そちら(・・・)はこの上なく上手く行っている。

面白くないのは、目の前にいるこの聖人についてである。

 

「厄介だなぁ。対魔力っていうのは」

 

イサクは巨人時であろうと魔術でライダーを攻撃していた。その時からそうだったが、この聖人、どんな攻撃を受けようとも魔術の場合はその殆どの効果を無効化してきたのである。

故に、今のライダーの体に傷らしいものはつけられずにいる。

 

派手な演出が多いと自負している自分の魔術をああまで受けて、未だ傷らしいものはなし。正直に言えば、あまり面白い話だとは思えなかった。

 

(彼がダメージになると判断したのは今のところ、巨人時の拳か熱戦攻撃のみ。その時は、必ず防御するようにしていた。

となると、僕らも総力で接近戦を仕掛けない限り、負傷は見込めない。

もっとも、このまま待っていたとしても問題はないけど(・・・・・・・)…)

 

「はああああ!!雪霞狼!」

 

するとそこで勇ましい咆哮と共に、雪菜は数十のイサクの渦中へと雪霞狼をつきこんだ。

当然、そんな真っ直ぐな攻撃がイサクたちに当たるわけもなく、ひらりとかわし、イサクたちはその背中に向けて、魔術を発動させようとする。

風、炎、水、ありとあらゆる属性を纏ったソレらはただ、一点に向けて砲撃しようとする。

 

「っ!雪菜嬢!?」

 

自分から離れた場所での雪菜の突然の特攻に目を剥いたライダーは雪菜の元へと急ごうとする。だが…

 

「行かせないよ。君に、魔術はほとんど効かないと言っても、物理まではそうは行かない。物理を活かした群体は君にとっても厄介な代物だろう?」

「くっ!」

 

まだ幼さが残る少年の肉体が群がり、肉壁となってライダーの前へ立ち塞がる。これでは雪菜の元まで辿り着くことはできない。

焦りから来る、手の濡れ。それを明確に感じていたライダー。

だが、それとは対照的に、雪菜の瞳は…

 

「っ!!」

 

死なずに、むしろ歯とその眼を獰猛に剥き、輝かせながら、声を高らかに上げた。

 

「今です!先輩!!」

「「!?」」

 

その言葉に2人の使い魔は同時に驚愕し、その手を止めた。

そして、2人は見た。天高く打ち上げられ、その双角を地上にいる無数のイサクたちへと向ける深緋の幻馬を!!

 

双角の深緋(アルナスル・ミニウム)!!」

 

怒号とともに、幻馬のその身に纏った振動波は当たりに充満していき、円状になった振動波は主人の魔力を糧に強大になっていく。そして、その振動を伴った衝撃波が最大となった瞬間、幻馬は衝撃波を拡散させ、振動を纏った泡影十個ほど作り上げた。

 

「っ!これはマズイ!」

 

ライダーもその振動波と魔力の凄まじさを肌で感じたことで冷や汗を流して、急いでその場から離れる。十分に離れていたことを考慮しての古城の一撃だと言うことはライダーも理解していたが、それでもなお感じた肌の泡立つような戦慄。

だが、そこでふと思い出した自分などよりも遥かに危険な場所へと赴いている少女の姿を

 

「雪菜嬢!」

 

そうだ。雪菜は今、イサクたちがいる中心へと特攻を仕掛けていた。

あの位置ではどうあっても、雪菜は巻き添えを食らう。

 

一体何を考えているのかと、ライダーは古城と雪菜に問いたい衝動に駆られ、ライダーは彼らのいる方へと、目を向け、睨みつけようとする。

だが、その瞬間、ライダーは息を呑んだ。

 

古城は唇から血が出かねないほどのはの食いしばりを見せながら、そして、雪菜は懸命に恐怖に抗いながら、だがしかし、両者共にその眼光は真っ直ぐに決して自棄にならずに前を見ていた。

 

その光景に圧巻されたライダーは、一度撤くと共に古城に合流するために、足早に駆け出す。

そして、それと同時に深緋の幻馬は幻想の大地へと振動を纏った泡影を激突させる。

瞬間、巻き起こったのは連鎖的な爆音と振動を纏った爆風だ。大地は隆起し、揺れることで土色の大津波が巻き起こる。

 

その大津波が古城たちを巻き込もうとした瞬間、古城の元へと間に合ったライダーは、古城の前へと出て壁となる。

 

「っ!ライダー!!」

「無茶をしますね。下がっていてください!マスター!

 

はあっ!」

 

ライダーのスキル『守護騎士』が発動する。能力は自分の背後に守るべきモノが多ければ多いほど、比例して防御力が増す。

その数瞬後に、大津波はライダーたちを巻き込んだ。怒涛の反乱となった大地の大津波。その中にあってなお、ライダーの守りは失われず、むしろ、ライダーを中心とした強い光を発した結界は大津波の色も相まって、さながら暗闇を照らす閃光のように、輝いた。

 

数秒後、大津波は収まり、ライダーは防御を解除する。

草むらとなっていたはずの地面はあちらこちらにクレーターを作り上げていた。

その中でも特に巨大なクレーターの中心に雪菜は無傷で座り込んでいた。

 

雪菜の姿を確認した古城たちは急いで駆け寄る。

周囲を見回したが、どうやら遺作と呼ばれる少年の分身は姿が見えない。

一時的ではあるだろうが、あの爆発により、分身の生成スピードが落ちたのかもしれない。

 

「一体、どういうことですか!?あのような捨て身の攻めをして!?」

「…。」

 

責めるようなライダーの口調に対し、古城は答えない。無視しているわけではない。眉間に皺を寄せながら、歯を食いしばり、口を噤んだいるのだ。

 

「…悪い。ライダー勝手にこんなことして…」

 

そう答えながら、古城は先ほどの会話を思い出す。

 

ーーーーーー

 

「はぁ!?今、なんて言った!?」

 

目を剥きながら、怒気さえ感じさせる口調で古城は口を開く。

それに対し、雪菜の方は努めて冷静に声を小さくして囁く。

 

「今から、私が特攻を仕掛けますので、その中心に目掛けて先輩の眷獣を放ってください。と言ったんです。」

「ふざけんな!!そんなことできるわけな…」

 

今度は明確な怒りを込めて古城は叫ぼうとする。

すると、雪菜はその叫びを阻止するように人差し指を唇の前に置く。

 

「あまり大きな声を出さないでください。イサクさんに聞かれたらどうされるんですか?」

「っ!だが、それは…」

 

自分の眷獣の危険性はよく理解している。

世界で起きる天災、厄災それらがただ、獣の形をなしているだけの息を吐くだけで人を殺せるまさしく『歩く災害』。

 

それこそが古城が吸血鬼として所有する能力(ちから)の権化『眷獣』である。

 

それを雪霞狼という特殊な槍を持っているからと言って、まだ中学生ほどの少女に対して使うなど、古城にはとても受け入れられる話ではなかった。

 

だが、雪菜は譲らなかった。

 

「これしかありません。今、この場で彼、イサクさんに勝つためには私たちは早急にこの『固有結界』の能力を解明しなければなりません。そうしなければ、おそらく、私たちは

 

生き残れない(・・・・・・)!」

「?」

 

その言葉に僅かな違和感を抱く古城。生き残れないとはなんなのか?勝つためだとか、負けないためにと言った理由の方がまだシンプルで分かりやすい。

 

だが、生き残れないというと、まるで、この結界の中は

 

ただ、いるだけで命の危機に瀕するサバイバルエリアのようではないか。

 

「お願いします!!先輩!私を信じてください!」

 

決意のこもった瞳だ。だが、それは決死の決意というわけではなく、生きるため、足掻くための決意。そして、古城は自分がそう言った表情に弱い部類の人間だと分かっている。

 

「…わかった。必ず生きてくれ。姫柊」

「はい。先輩!」

 

ーーーーーー

 

そう言った経緯から古城は雪菜の方へと向けて攻撃を放った。

ライダーに対して、この経緯は話していない。

だが、ライダーも大方の予想はついたのかそれ以上は何も言わずに今度は雪菜がいた場所へと目を向ける。

 

振動の泡影は平原に月のようなクレーターを残し、完全に更地と化している。その中心。もっとも、大きな(・・・)クレーターの中に人影が見えた。そのクレーターは、奇妙だった最も大きなクレーターを残していながら、その部分だけは草原を残しており、無事なままだった。

その中心にいるのが、雪菜であることが確認できる前に古城は走り出す。

 

駆け寄った先に姫柊雪菜はいた。ただし、傷はないながら色濃く疲弊を残しながらである。

 

「姫柊!」

 

駆け寄る古城。

それを確認した雪菜は張り詰めていた緊張が和らいだかのように、バランスを崩す。

 

「おっと!」

「せん…ぱい…」

 

傷はない。ただし、世界最強の第四真祖の眷獣の一撃を真っ向から開けたのだ。神経がすり減らないわけがなく、彼女の身体は巻き上がった泥でついた汚れも相まって、満身創痍の様相を呈していた。

 

「っ!」

 

加減はした。だがそれでもなお、その破壊力は、世界最強の名にふさわしいものだ。疲労を見せる雪菜の体を古城は強く抱き寄せる。

 

すると、少しだけ、疲労が回復したのか雪菜は震える唇を開けながら話し始める。

 

「…先輩。周りの破壊の様子はどうでしたか?私の予想が正しければ、私を中心に発生したクレーターの方が大きいはずなんですが…」

「え?」

 

そう言われて、古城は改めて周囲を確認する。

すると、確かに雪菜を中心にしたクレーターのみが大きくなっている。

 

破壊力は全て同じ(・・)くらいだったはずなのにだ。

 

「ああ、確かにここのクレーターが一番大きい。」

「そうですか…では、やはり…先輩!」

「うおっ!なんだよ!?」

 

いきなり声を張り上げてくる雪菜に古城は驚愕する。だが、それに対して、遠慮することはなく、雪菜は言葉を続ける。

 

「今すぐにこの結界の発生源を特定してください!もう、時間がありません!」

「えっ!?」

「説明は後でさせていただきますが、もしも、発生源を特定できない場合、私たちは、おそらく…

 

消滅します。」

 

「なっ、はぁ!?」

 

衝撃的な発言に古城は問い正したい気持ちが出てくる。

だが、それをすぐに引っ込めた。

この状況で冗談を言うような人間でないことは誰あろう古城が一番知っていたからだ。

 

「分かった…ライダー、この固有結界の発生源っていうのはどこか分かるか?」

「…固有結界は基本的に1人の人間の精神を核として発動することのできる結界です。そのため、発動を解除する場合は、必ず術者を叩かなければなりません。」

「…逆に言えば、術者を叩きさえすれば、必ず解除されるってことか。」

「その通りではありますが…」

 

そう言って、ライダーは辺りを見回す。

すると、あれから時間が経った影響かチラホラと、白髪の少年が草原の中からまるでキノコのようにポコンポコンと次から次へと生えてくる。

そのユニークでオカルティックな光景にライダーは歯噛みをしながら古城に声をかける。

 

「問題はこの状況で、一体どこに本体があるか探さなければならないと言うことです。」

 

そう言われた古城は、現在の絶望的な状況を再確認し、ライダーと同じく歯噛みをする。

この場にいるイサク少年のどれかが本体かもしれないし、もしくは全く別の場所に本体があるのかもしれない。

となると、現状やるべきことは一つ。

 

「走りましょう!固有結界内である以上、あまり意味もありませんが、我々のこれからの作戦が聞かれるリスクはなるべく減らさなければなりません。」

「そうじゃな」

「ああ」

「承知いたしました。」

 

ライダーの提案に古城たちは頷き、その場を後にする。

 

だが、その時一人だけもうもうと立ち込める砂煙の中でその目に写った異常を捉えていた。

 

(なんだ?あれは…)

 

暁古城は立ち止まり、その光景を見つめていた。水の揺らぎのような光景が空中に浮かび上がり、その揺らぎの先に平原に囲まれた建物が写っていた。

その光景を目に写した古城はあたりを見回す。そして思った。

 

おかしい。

 

揺らぎができていることもそうだが、今、この場は振動の破壊の泡影によって見るも無惨な荒野と成り果てている。

なのに、あの、空間の波紋の先は平和そのものぼっかてきな風景が広がっていた。

その様子に違和感を抱いた古城は、その手の指先を波紋の方へと無意識に進めようとして…

 

「先輩!急いでください!でなければ、いつ攻撃画再開されるのか分かりません!」

「っ!分かった!」

 

無意識に出していた手を収め、古城は雪菜の背を追う。

その様子を無空の彼方から観察するモノがいた。

 

(へぇ、驚いたな。正直、ライダーと暁古城以外はただの腰巾着かと思っていたんだけど、そんなことはなかったようだ。)

 

その観察者には姿はない。故に当然ながら、目もない。だが、明確な意思と精神を宿し、その視線はライダーたちが走っている方向へと向いていた。

 

(とはいえ、ここまで僕のシナリオ通りでもある。

ならば、待とう。たとえ、どれだけ離れようとも、万物は引かれ合う。

それが縁あるものならばなおさらね。)

 

観察者はゆっくりとその時を待つのみだ。もとよりこの身は、答えを求める身。

彼らが自分の元へと来なければ、何も得られず、何も始まらない。

 

だが、もしも、答えを見つけられないようならば…

 

(その時は仕方がない。僕はこの力の全てを使い切り、君たちを消滅させる(・・・・・)。たどり着けないと言うのならば、結局、同じことなのだから…)

 

ーーーーーー

 

「それで、一体、どう言うことなんだ。俺たちが消滅するっていうのは…」

 

クレーター群から距離を置けた古城は改めて雪菜の顔を見る。

雪菜は目を眇めて、重苦しい表情をしていたが、やがて決心がついたのかゆっくりと口を開く。

 

「まず、その前に、私がこの考えに至った経緯からご説明します。

 

ニーナさん。先程、あなたは謎の原因により、錬金術の行使が覚束なかった時がございましたよね。」

「ああ、理由は不明だが、あの時、私は何らかの阻害にあい、私の術の行使は覚束なくなった。私がこのような体になったことが原因かと思ったが…」

 

言いながら、人形大となったニーナは自分の体を確認するように手のひらを見つめる。

だが、そんなニーナに対して、雪菜は首を振った。

 

「いえ、それはおそらく違います。失礼ながら、今のニーナさんの力は確かに以前よりも弱々しいモノだと感じてはおりますが、もしも、それが理由ならば、雪霞狼を持っていることを差し引いても、天塚コウとの交戦で傷を負っている私も僅かに影響を受けなければおかしいです。」

「ふむ。たしかに一理あるな。だとすると、私だけが引っ掛かったその理由は…」

 

雪菜の答えに一理見出したニーナはその明晰な頭脳を行使して、冷静に分析した。

そして、答えを見出した。

 

「なるほど、『錬金術』か」

「はい。おそらくはそうかと…」

「悪い。そこまで、錬金術に詳しいわけじゃねえから、詳しい説明を頼む。」

 

古城の質問に今度はニーナが答える。

 

「我ら錬金術師の基本的な能力は『物質の変換』だ。ここまでは分かるな?」

「ああ」

「彼奴、アイザック・ニュートンは超一流の錬金術師でも有名であり、ワシもその名を知るところだ。そして、見たところ、奴が構築した先程の巨人の術式、どうやら、この錬金術を活用することで構築されているようだ。

 

つまり、ワイズマンの存在自体を別のエネルギーへと変換することで、ワイズマンの術式もそのままに、かの巨人は存在している。」

 

ニーナはそこまで言うと、苦々しい表情になる。

悔恨と羨望が多く混じったその表情を地面へと晒した後に、古城たちの方へと向き直る。

 

「ムカつくことだが、ワイズマンとは我々、錬金術師がたどり着くべき頂点に位置している。すなわち『完璧な人間』だ。その『完璧な人間』がただの『エネルギー』へと変換されている。

 

そして、我々はおそらく今そのサイクルの只中にいる(・・・・・)。すると、どうなると思う?」

「まさか…」

「はい。私たちはおそらく今は気づいていないだけで、徐々に、少しずつ存在自体を『エネルギー』へと変換されているのだと思います。

先程のあのクレーター…私が雪華狼で作り出した結界の能力無効化は当然、先輩の眷獣(・・・・・)にも効いているはず…本来ならば、最も被害が小さくなければならない範囲が最も被害が大きかったのは、おそらく、

 

この固有結界が保有する私達の『魔力・霊力そのものもエネルギーへと変換する術式』が打ち消されたのだとすれば、説明が付きます。私としてはその無効化術式に対して先輩の攻撃で術者の何らかの動きも分かれば、御の字だったのですが、その甲斐はあまりなさそうです。」

「まじかよ…」

 

つまり、古城たちはこのまま待ち続けてしまった場合、あるいは当て所もなく暴れ続けた場合でも、何の抵抗も出来ずに消滅してしまうということ。

 

見渡す限りの平原。どこにも凹凸などは見当たらないその光景が、平穏さと裏腹の焦燥感を駆り立てる。凹凸がないと言うことは、どこにも隠れる場所がないと言うこと…つまりは、隠れようがない場所にも関わらず、自分達は未だに本体がどこにあるのか確かめられずにいる。

 

抱いたことのない絶望だ。だが、何もできなければ、死ぬだけである以上、考え、答えを見出さなければならない。

 

迷宮(ラビリンス)…ですか」

 

不意にライダーがゆっくりと口を開く。

その場にある視線が一斉にライダーに集中する。

 

「名前には意味がもたらされるもの。迷宮という名前をつけている以上、必ず出口がどこかにあるはず…いえ、なければ成立しません。

ですので、そう絶望することもない。」

「何か、手があるんですか?」

 

水を刺そうとしているわけでない。だが、この状況で空元気でモノを言われていた場合、別の心労がかかると考えた雪菜は、聞かざるを得なかった。

 

「いえ、今のところは何も…ですが、空元気というわけでもない。」

 

ライダーはそんな雪菜の心中を言い当てるようにして、言葉を積む。

 

「といいますと?」

「ええ、随分前に母から聞いた話ですが…」

 

ーーーーーー

 

「うん?魔術について教えてほしいの?」

 

私の母は魔女だった。現代でも想像しやすい黒い装束を身に纏い、とんがり帽子を被ったけど、原点通りにザルではなく、その時代では珍しい箒で飛ぶ魔女。

 

箒で飛ぶ理由は、確か、家の掃除が趣味だったからか…

 

とにかく、そんな変わった、でも何処にでもありふれた魔女が母の正体。

 

私が教えを説いて回る旅に行く前は彼女に多くのことを教えてもらった。

魔術もそのうちの一つだ。

 

「あらあら、私のことに興味を持ってくれてお母さんとっても嬉しいわ。そうねぇ。じゃあ、まずは…」

 

そう言うと、彼女は歌でも歌うかのようにツラツラと喋り始める。

今思えば、異常なことだ。子供であろうと、自分の魔術の秘奥までもを教えてくれる魔女など…

 

ただ、旅に出るといった私を泣きじゃくりながら止めて、結局止められないと察した瞬間、せめてという思いであらゆる攻撃を一度だけ確実に防御することのできるベイヤードを渡してくれた母の過保護ぶりを見ていると、魔女、母とはそのようなものなのだろうと納得してしまった。

 

そうして、魔術のことを学び始めたある日、私は、固有結界の話を聞いた。

 

「固有結界。自分の心象風景を具現化し、現実を侵す大禁呪。魔術の中でも最も魔法に近いと言われているものよぉ。

この結界の共通点はそうねぇ。どれも例に漏れず、強力と言うところかしら?攻撃面においても、神秘面で言っても…ね。」

 

弱点などはあるのか、と興味本位で聞いてみた。

すると、母はこう答えた。

 

「弱点…というほどのものはないけれど、この魔術には一つ特徴があるわぁ。

 

それは、言うまでもないことかもだけど、術者の心象を著しく反映すること。だからあなたがもしも、固有結界なんていうのものにかかったなら、その術者の過去…いえ、起源を考察なさぁい。それがきっと、攻略の道筋になってくれるから」

 

ーーーーーー

 

「起源…」

「ええ、この結界の発動主『イサク』…いえ、アイザックニュートンにはどのような起源があったのか?それを解き明かすことこそがこの地平の迷宮を解き明かす一助となります。

ですので、なんでもいい。ニュートンの起源となりうる過去を考えていだきたい。」

「起源、起源…か」

 

そう言われてもどうしたものか?

先程、ライダーが言っていた地平の迷宮という言葉は実に的を射ている。どこもかしこも平原、平原、平原でめぼしいものなど何一つ見当たらない。

ここから何を探せば起源など見つかるのかなど皆目見当もつかない。

そんな疑問をよそにニーナが口を出してきた。

 

「ニュートンというと、たしか、子供の頃は壮絶な過去を持っていたことで有名だな。」

「壮絶な過去?」

 

ニーナの言葉に疑問符を浮かべた古城はその先の言葉を促す。

 

「ああ、アイザック・ニュートンは幼少時に父親を亡くしている。

その後、養育費に困ったニュートンの母親は、ニュートンを親戚に預け、自分は神父と結婚することで神父に養育費を払ってもらおうとしたという話だ。」

「うわ…」

 

想像以上に重いというか、ドロドロとした感情が湧き上がる内容に古城は思わず顔をしかめる。

その表情の変化など気にもとめずにニーナは言葉を続ける。

 

「そして、ここが幼少期のニュートンにとって、もっとも凄まじいエピソードだが、ニュートンは自分を捨てたと思った母親のことを恨み、『いつか教会ごと焼き殺してやる!』と言っていたそうだ。」

「おいおい、マジか。」

「それは…」

 

おそらく世界でもっとも、有名な科学者の一人。

その人物の裏に秘めた激情を察し、古城と一緒に今度は雪菜も一緒に顔を引攣かせながら、引いてしまった。 

そんな中で、ニーナは話を続ける。

 

「最終的に母とは和解ができたと言われてはいるが、焼き殺してやるなんて言う言葉はたとえ子供の未熟さがあろうとも、早々出てくる言葉ではない。ニュートンの中で相当な愛憎の奔流が起こった示唆でもあるだろう。」

「「…。」」

 

ニーナの言葉に沈黙が誘われる。

彼女の言う通り、凄まじい過去だ。

親を殺す。その一言を幼少期の子供が絞り出すなど、傍から聞いただけでも尋常ではない。

だが、だからこそ、少年は、ふとした疑問が湧いた。

 

「教会…?」

 

その一言が妙に頭に張り付いた。

はて、何故だろうか?自分はここ最近で何故かそれらしきモノを見たような気がしてならない。

アレは…

 

「どうかしましたか?先輩」

「姫柊…」

 

彼の様子を怪訝に思い、雪菜は声をかける。

古城は、心配をかけまいとして、言葉を返そうと雪菜の方へと振り向こうとする。

だが、奇しくも起こったその状況が、彼の脳裏にある絵を起こさせる。

 

「そうだ!教会だ!!」

 

声を上げる古城。その様子に驚き、今度は近くにいる三人が同時に古城の方へと振り向いた。

 

「…なんだ?暁古城。教会がどうした?まさか、この場でありがたい説教でも受けたいのか?」

 

この状況で大声などを出されたことでニーナは嗜めるように言葉を投げかける。

その様子に気がついた古城は慌てて声を収めながら、言葉を続ける。

 

「いや、違えよ。悪かったとは思うけど、そうじゃねぇ。俺さっき見たんだよ!ここに来るまでに、その…教会みたいな場所を」 

「っ!?本当ですか?古城」

「先輩、一体その教会らしき場所はどこに!?」

「早く教えよ!」

「そうそう。興味あるよ!!」

 

「ま、待ってくれ!今思い出す…って!?」

 

ズザッと最後の声を聞いた瞬間、一斉に蜘蛛を散らすように全員がその声の元から距離を取る。

 

その声の先に少年イサクは、所謂体育座りで楽しそうに座っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 


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