東方少年呪   作:CAKE

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はい、どうも。CAKEです。
もうすぐでハッピーニューイヤーですね。皆さんは、誰とお正月を過ごしますか?
私は安心と安定のボッチです。年越しカウントダウンも、正月参りも、ミカンを貰うのも独りです。
さ、寂しくなんてないし! ホントだし!
それでは、本編に行きましょう。今回は、紅い館の住民メインです。
「いいぞ、もっとやれ」
という方は、クリスマスグッズを片付けてから本文に進んでください。


EP,33 【宴会の裏側。増える疑問】

時は少し戻り、ユウが紅魔館の美女達に囲まれバタンキュ~と倒れた頃。神橋理沙は、レミリア・スカーレットに連れられ、話場所を探していた。

着いたのは、博麗神社の縁側。そこにはあまり人がいなく、恐らくレミリアが静かに話せるようにとここを選んだのだろう。

 

「貴女、ワインは飲めるかしら?」

「い、いえ………」

「そう、なら申し訳ないけど水でいいかしら?」

「あ、はい!ちょっととってきますね!」

「ええ」

 

そして、しばらくして理沙が水の入ったグラスを片手に戻ってくる。

 

「さて、神橋理沙…だったわね」

「は、はい。ユウの姉です。義理、ですけど」

「そう……義姉ねぇ……」

「そ、それで、私に興味があるって……」

 

理沙は目に見えて動揺している。

その様子を見て、レミリアは可笑しそうにクスクス笑った。

 

「そんなに緊張しないで。同じ姉っていう立場で話がしたいだけだから」

「そ、そうでしたか。なんか、すみません」

「いいわよ。吸血鬼相手に緊張されなかったらそれはそれで自信なくすわ」

 

レミリアのその親しげな態度に、理沙も落ち着きを取り戻したようだ。

レミリアの隣に座り、水を口に含んだ。

 

「ええと、それで、何を話しましょうか」

「そうねえ………」

 

そういってレミリアもワインを飲んだ。

実際のところ、誘ったはいいが話すことは特に用意していなかったのだ。

少なくとも、建前の話は。だからと言って早速本題というのも少し危険だ。

なので、レミリアは適当にそれっぽい話を当てておくとした。

 

「貴女の弟……義理、だったわね。ユウとはどこで会ったのかしら」

「えっと、村の中です。偶然会って、遊んで、仲良くなって……」

「ああ、友達という感じだったのね。でも、なんで義姉?」

「えっと、遊んでいるうちに身内になった感じです」

「身内に? どういうこと?」

「えっと、なんていうか、私がこの子を守る! っていう感じになって……」

「…それで義姉だと?」

「は、はい…」

 

思ったよりおかしな話になっていた。

この話が本当ならば理沙はユウの姉を名乗っているだけ、ということになり本物の姉ではないということになる。正直、びっくりである。

 

「そ、そうなの」

「はい。でも、ゆう君ったら私の無理なお願いを躊躇うことなく聞いてくれてお姉ちゃんお姉ちゃんって付いてきてくれたんですよ」

「え? 聞いてくれたって……えっと、言ったの?」

「なにをですか?」

「その……『今日から私が君の姉よ!』みたいなことを」

「言いましたよ?」

「ああ、そう……」

 

思ったよりもぶっとんだ姉だったのだろうか。

 

「レミリアさんは妹でしたよね。なんていう子なんですか?」

「え、ああ。フランドール=スカーレットよ」

「へえ、フランドールちゃんですか! もしかして、さっき散歩に行った子ですか?」

「そうよ。最近だと、ユウと仲がいいわね」

「そうなんですか。いやー、ユウ君に友達ができたようで何よりです! 親はいるんですか?」

「ここにはいないわよ。幻想郷にいる吸血鬼は私たち姉妹だけ」

「そう、なんですか……」

 

裡沙が少しだけ遠くを見つめて、水を飲んだ。

 

「貴女には、いないのかしら?」

「いえ、いますよ。……ただ、何処にいるのかだけは、ちょっと」

「分からない、と? その親は何してんのよ」

「それも、ちょっと。突然いなくなっちゃって」

「そう、貴女は何処に住んでいたの?」

「村、です。隠れ里、と言った方がいいかもですね」

「隠れ里……? なんで里を隠すのよ。外の世界には私みたいな妖怪は居ないんでしょう?」

「えっと、私も教えられた程度なので分からないんですけど……」

 

理沙は水を飲み、言った。

 

「『異能や物の怪から逃げるため』だそうです」

 

 

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「異能、ねぇ……」

 

宴会が終わり、その翌日。

レミリアは紅魔館の中にある自室でぼんやりと考えていた。

隠れ里に住んでいたという裡沙。そしてその隠れ里は逃げるために緊急で作られたという。

レミリアは、理沙の言葉を思い出していた。

 

 

―――なんでも、100年前くらいに大事件があったみたいで

 

―――そのことから、異能者とかを排除しようという動きが出てきたみたいです

 

―――私が聞いたのは、そのくらいです

 

 

今では、外の世界に妖怪や能力者はいないはず。でも、100年前となると、レミリアにも実際いたかどうかは分からなかった。

もしかすると、その古い歴史が隠れ里にさせているのかもしれない。

と、そこでレミリアは思い出した。

 

「(確か、ユウは誰かに追われてここに来たんだったわよね? もしかしたら、関係ある……?)」

「お嬢様」

「ひゃ!? って、咲夜か。なにかしら?」

「紅茶をお持ちしました」

 

深く考えすぎていたのか、突然現れた咲夜に不覚にも驚いてしまった。

レミリアは先ほどの奇声を少し恥じながら、ありがとう、と紅茶を受け取った。

 

「やはり、この件を追うのですか」

「ええ、勿論。ところで、咲夜の方はどうだったの」

「八雲紫と古明地さとりの会話を盗聴しましたが、幻想入りは八雲紫のスキマを通ったことによるものだそうです」

「紫の……? 他には?」

「あの仮面、どうやら呪いの道具の類かと思われます。装着すれば身体能力は上がりますが心が削られるようで」

「心が削られる? それはまた……」

 

レミリアは、以前ユウがこの館に来た時の事を思い出した。

咲夜によれば、ユウはフランと対峙した時に白い仮面をつけていたという。

その時にも、彼の心は削られていたのだろうか。

 

「まだ、何もわからないわね。咲夜はどう思うかしら」

「私もまだ……ただ、いやな予感はします」

「そうね……実は、少し恐ろしい運命が見えてるのよ」

「恐ろしい運命……ですか」

「ええ」

 

レミリアは、紅茶を飲み目を細めた。

 

「幻想郷が滅ぶ運命が……ね」

 

咲夜の目が見開かれる。

当然だ。今住んでいる地域が滅ぶと言われて驚かない者なんてそうそういない。

 

「それは、誠ですか」

「ええ」

 

そして、レミリアはティーカップを置いた。

カチャリ、と陶器がぶつかり合う音が響く。

 

「さて、このことは一旦おしまい。それよりも咲夜、また紅茶の腕を上げたわね」

「ありがとうございます」

「そして、咲夜。私としてはちょっと気になることがあるのだけれど」

「なんでしょうか」

「確か、ユウは昨日の宴会で小悪魔にイタズラさせられてたと思うのだけど」

「確かにされていましたね」

「あのコスプレ、ちゃんと外してあげたの?」

「………いつ神社に向かいましょうか」

 

外してなかった。

レミリアはあの時のユウの姿を思い出し、クスリと悪戯っぽく笑った。

 

「面白そうだし、このままにしてあげましょうか」

「ですね」




いかがでいたでしょうか。
一体、何が起ころうとしているのでしょうね。
では、ここらで締めさせていただきましょう。
次回からは第四章です。お楽しみに。
ではでは、次回お会いしましょう。良い年を。

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