やっとゆったりとしたシーンを書ける。
しかし、字数は相変わらず……(´・ω・`)ショボーン
あ、前半はフラグがあったりします。探してみてね。
あと、場所は博麗神社の居間から始まります。はっきりしてなかったからね。
「いいぞ、もっとやれ」
という方はノンアルコールビールを飲んだうえで本文へお進みください。
EP,25 【紫と宴会】
幻想郷、それは忘れ去られた者たちの楽園。
しかし、そんな楽園も自然にできたわけではない。幻想郷を取り囲む結界だって、いつの間にかできた自然の産物ではないし、何者かの管理がなくても成り立たつわけでもない。
つまるところ、制作者と管理者が必要なのだ。
「で、何で今頃出てきたのよ」
「鬱病異変のせいよ~」
それがこの人、八雲紫である。
この人物、いや、この妖怪にはいろんな噂が絶えない。
曰く、厄介な『能力』を持っているから絶対に勝てない。
曰く、地球上のどの妖怪よりも長く生きる大妖怪。
曰く、幻想郷を作り、管理している。
などなどどーたらこーたら、いろんな噂があるが大抵は当たっている。
まぁそれにも理由があって、この噂の情報源は本人らしい。なぜそんなことをするのかは不明だが、博麗の巫女曰く「どーせ暇つぶしでしょ」らしい。
「あんたなら『能力』使って打ち消せるでしょ」
「その方法はおもいつかなかったわぁ」
「どーだか……」
あと、彼女の特徴、というより性格がコレである。
胡散臭い。ちょー胡散臭い。キング・オブ・ザ・胡散臭い。
紫の胡散臭さはもはや伝説となっており、あらゆる人物や妖怪が「会話したくない」という奇跡とでも言うか運命とでも言うか、そんな状態になっている。
「で、何で来たの?」
「霊夢に会いに来たのよ~」
「はいはいダウトダウト。本当は?」
「つれないわねぇ……」
「あんたの話は嘘から始まるでしょ……で、本当は?」
「そこのお二人さんによ。初めて会う二人だし、管理者として挨拶しなきゃダメでしょ?」
そういって紫はユウと理沙の方に向き直る。
二人は揃ってビクッ!と体制を正した。
「初めまして、幻想郷の管理者の八雲紫よ。気軽にゆかりんって読んで頂戴ね?」
「呼ばなくていいからね」
すかさず霊夢から横槍が入るも、紫は表情を変えずスルーした。
「あ、えっと、神橋理沙、といいます……えっと、能力、というか、特技というか、は、透けることが……」
「能力はいいわよ、見てたからね。『透ける程度の能力』ってことで 」
「あ、はい……」
「で、そちらの子は?」
紫がユウを見やる。
忘れている方もいるだろうが、ユウは人見知りである。
それを知っている理沙が被せるように言う。
「あ、この子は日照優人といいます。私の弟です」
「そうなの。じゃあ、ゆう君って呼ばせてもらうわね♪」
先ほどとは一転、妙に流ちょうに話し始める理沙に、紫はニコニコしながらあだ名を決める。
これで自己紹介が終わり、「あ、そうそう」と紫が続けた。
「ちょっと質問いいかしら」
「え、あ、はいどうぞ…」
「これはなにかしら?」
「「「!」」」
紫が取り出したものに紫以外の三人がギョッとする。
それは、あの仮面。真っ白な仮面に右目の部分だけが穴が開いており、所々に血の跡が付いた、あの仮面である。
「アンタそれどこで見つけたのよ」
「拾ったのよ」
「拾ったって……」
霊夢は絶対嘘だと確信するが、今それを言っても水掛け論になるので手を頭に当て項垂れる。
「で、これはなにかしら?」
「え、えっと……」
ユウは下を向いて黙り、理沙は何とかしようとして口籠りながら目を泳がせる。
どうやら理沙はその仮面の事を知っているらしい。
「ちょっと分からない、ですかね……」
「……そう」
理沙の明らかな動揺の前に紫は以外にもアッサリ引き下がる。
勿論ただ引き下がるわけではない。
「(ま、それもそうよね……じゃ、自分で調べるしかないわね……それか、地霊殿の主さんに頼みますか)」
そんなことを考えていたのだ。
勿論それに気付いていない理沙は安堵したような表情を浮かべる。
どうやら感情を隠すのが下手くそらしい。
「じゃ! そろそろだから霊夢、後は頼んだわよ~」
「待ちなさい」
「え?」
さっさと退散しようとする紫の襟のところを掴み紫の進行の妨害をする霊夢。
「ちょっと霊夢? 宴会がもうすぐ始まるんでしょ? 早く準備しないと」
「ちょっと来なさい」
「あ、やめ、ちょっと、引っ張らないで~!」
別の部屋に連行されていく紫。
数分後、いやああああああという悲鳴が姉弟の耳に届いた。
---------–---------–---------–---------–---------–---------–---------–---------–---------–---------–
「「………」」
姉弟は仲良く絶句していた。
目の前に広がるのは、宴会。
飲めや食えや歌えや踊れ。どんちゃん騒ぎを通り越して何が何だかわからない光景が、二人の前に広がっている。
ユウは紅魔館にてパーティーに参加したが、今回はその比じゃない。
霊夢の言った「今回は大変だったからこっちも大変になる」の意味が分かってきた理沙。
要するに、今回の異変の規模が大きかった為に、それに比例して宴会の規模も大きくなるらしい。
今回はなんと大抵の妖怪やら人やら神様やらが全員大集合しているとのこと。
博麗神社の境内に収まったのが不思議なくらいだ。
「すごいでしょ?」
霊夢が理沙の横に立ち言う。
理沙は呆然として返事をすることはできなかった。
と、そこにある人物が現れる。その人物は、霊夢と同じ巫女服をしており、髪は綺麗な緑色をしている。
「ユウくーん!」
「え? うわっ!?」
そう、早苗だ。前回のパーティーで一度顔を合わせた、あの風祝。
そして、まるで前回と同じように抱き着き、押し倒し、頬擦り開始。
「こら、早苗」
「またかぁ~」
そして遅れて二柱の神様登場。
前回と同じならこの時点で「( ゚д゚)ハッ!」となって飛び起きるが、今回は理性を保っているのか保っていないのか、なかなか離れようとしない。
ユウが「ーーーーッ!?」と声にならない声を上げているが、それでも離れない。
そこでようやく旅立っていた理沙の意識が弟の危機に緊急帰還し、理沙が我に返る。
「……え、あ、ちょ、ちょっと!?」
引き剥がしに入ろうとする理沙だが、霊夢に抑えられる。
不思議そうな顔をする理沙に人差し指をチッチッと横に振る霊夢。
そして霊夢は肩を回しながら早苗へと歩み寄る。
それに気付かない早苗、「「あ」」と何かを察する二柱。
そして、霊夢の射程範囲に入った早苗は
「節度を持ちなさいッ!」
という怒号とともに霊夢の固められた拳によって遥か彼方へと吹っ飛んでいった。
解放されたユウは突然の出来事に思考停止。二柱は空中へ投げ出された風祝を追いかけることもなくやれやれと首を横に振る。
今夜は宴会。今夜はとても楽しい夜になるらしい。
はい、いかがでしたでしょうか。
フラグ見つけられました?
そのフラグは次回回収する予定です。
え?早すぎるって?モウマンタイです。ノープロブレムです。……タブンネ。
では、また次回会いましょう。では!