気になっちゃいます⁉︎気になっちゃいますよねぇ〜〜⁉︎
というわけで、みんなが気になる話をどうぞ。
あ、サブタイトルは理由があってああしています。それは後ほど。
「いいぞ、もっとやれ」
という方は、心を一度汚した上で浄化してから本文へお進みください。
「……………」
ユウが咲夜に運ばれているのを見た。
どうやら、あの鬼に酒を無理やり飲まされて酔いつぶれたらしい。
フランは、そっと目を細めた。
思い出されるのは、昨日の出来事。
あの時、友達ができたことで症状を抑えることを忘れてしまっていた。
症状とは、破壊衝動。
紅魔異変の時まで、フランは紅魔館の地下に幽閉されていた。
その歳月、じつに495年。
自室に迷い込んだ魔理沙と出会った頃は、もはや自我など無かった。
しかし、その後姉であるレミリアと仲直りし、自我を取り戻した。
魔理沙にはとても感謝している。だって、私とお姉様を仲直りさせるきっかけを作ってくれたのだから。
しかし、なんといっても495年。その歳月は、いくら吸血鬼といえど短いものでは無かった。
その為後遺症が残り、常に抑えていないと破壊衝動がじわじわと思考を蝕んでしまう。
フランだって誰かを破壊し、殺したいとは思わない。
だから自ら自室から出ないようにし、できる限り誰かと会わないようにしていた。
「(なのに………)」
私は抑えられなかったのだ。
誰かに会わないようにしていたはずなのに。
その目的すら忘れて、目の前にある幸福に夢中になって。
その結果、ユウを傷付けてしまった。
友達になれたはずなのに、私はユウを、壊したいと思ってしまったのだ。
気付けば、私はこっそりと大広間を抜けていた。
咲夜のあとを追って、咲夜にバレないように。
何のために?………分からない。
だけど、何となく、そうしたほうがいいと思った。少なくとも、考える前に身体が動いてしまうほどに。
咲夜が部屋から出てきた。恐らく、ユウをベッドに寝かせ終えたのだろう。
次には咲夜は消えてしまった。
入れ替わるようにフランが部屋に入る。
そこは、私の部屋の半分ぐらいの広さだろうか、一般的な部屋が広がっていた。
相変わらず赤い壁、木製の椅子と机とクローゼット、そしてベッド。
そのベッドに、ユウは寝かされていた。
「………」
ユウは暑苦しそうに、荒く息をしていた。
顔は紅潮し、何かの病と闘っているようでもあった。
………息がつまる。ここから逃げ出してしまいたかった。
でも……
「(言わなきゃ……)」
伝えなきゃ。その気持ちが私をここに縛り付けていた。
そう、ごめんなさい、と。
許してくれるとは思わない。
だって、ユウは殺されかけたのだから。他でもない、私に。
それでも、伝えなければ。言わなければ。
「………」
目の前にユウがいた。
この言葉を伝えなきゃいけない、謝らなければならない相手がいた。
そうして気を張っていると、突然、アイツが来た。
「(まずい…………………眠い……)」
そう。万物の敵、勝てない相手、真のラスボス。霊夢でも勝てないだろうアイツが。
睡魔という名の、空気の読めない生理的現象である。
私はドアとユウを交互に、忙しなく視線を行き来させる。
本来なら自室に戻ってから寝るべきだろう。
しかし、これを逃したら二度と謝ることができない、という考えがしつこく私をここに引き止めていた。
「………」
そして私は、何故かユウが寝ているベッドに潜り込んだ。
混乱してたんだと思う。今考えればアホだった。
そして呆気なく私は睡魔に敗れ、意識を沈められた。
そして私の意識が再び浮上した時には………
「………え?」
布団をめくり、私の存在に驚愕する、ユウの姿が私の目に映った。
………やばい、大失敗やらかした。
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「………」
「………」
お互い、口を開かない。
片方は驚愕で、もう片方は後悔やら何やらで。
最初に口を開いたのはユウだった。
「えっと………おはよう? フラン」
「………」
ユウは、どうすればいいのか分からなかったが、霊夢から「挨拶はちゃんとしなさい」と言われているので、それに従う。
が、フランは目を伏せてしまう。
それもそのはず、許してくれないと思っていた人に挨拶されれば誰だって驚くに決まっている。
しかし、そんなことを露ほどにも思っていないユウは、こう考える。
「(あ……失敗したかも)」
何か加えていったほうがいいのか、いやそれとも何も言わないほうがいいのか。
ユウが必死に頭を捻り悩んでいるところに、フランが呟く。
「……………さい」
「……え?」
そしてフランはしっかりと顔を上げ、ユウの目を見て。
ユウの上にフランが乗っているという、変な構図ではあるが。
それでも、今すぐ伝えようと、ハッキリした声で言った。
「ごめんなさい」
一瞬ユウが、何のことだろう、と思ってしっまたが、すぐに察しがついた。
そしてその意図を汲み取ると、ユウは笑顔でこういった。
「いいんだよ」
「え?」
「確かに怖かったけどさ………仕方無かったん……だよね?」
「それは……」
うまく言えるわけではない。でも、フランが謝ってくれたことで、何となく、そう思えてきたのだ。
あれは……別人だったのではと、不可抗力だったのではと、そう思えてきた。
「なら、大丈夫だよ。それに…………」
ちゃんと言えるだろうか。フランは、納得してくれるだろうか。
口下手だけど、多分、こう言えば、いいと思う。
「僕たち、友達だから」
「……っ!」
友達だから。この言葉は、深く、優しくフランの心を貫いた。
様々な感情がフランに襲いかかる。暖かい雫が、フランの頬をつたう。
「……ぅ、うわぁぁぁぁああああん!!」
「わわ⁉︎」
次の瞬間には抱きついていた。
フランは泣きじゃくり、ユウは突然の事に驚く。
この光景は、鳴き声は、しばらくの間続いていたという。
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「………良かったわね、フラン」
別室、ユウのいる部屋の隣に、レミリアと咲夜はいた。
フランがいないことに気付いたのは、数分前。
大広間を静かに退室し、この部屋に来た。
最初は不安だった。ユウが良い子であることは、咲夜から聞いていた。
しかし、フランと再会し、暴れてしまうのではないかとも思えた。
「でも、杞憂だったようね」
「そうでございましたね」
あの時は申し訳ないことをしてしまった。
明らかな悪意があった。フランと会わせることは、半ば死刑宣告みたいなもの。
それを承知で会わせたのだ。
だからこそ、私も言うことがあるだろう。
今はフランがいるから言えないが、言おうと思う。
「ありがとう、ユウ。………それと、悪かったわね」
心を込めて、感謝を。
はい、如何でしたでしょうか。
え?シリアスブレイク?そんな事してませんよアハハー。
あ、そうそう。タイトルをああしてるのは書いてて
「(これどっちかっていうとフランちゃん目線メインだよなぁ)」
と思ったので逆にしました。
というわけで!みんなスッキリしたとこで終わりたいと思います!
ではまた次回。