ガールズ&パンツァー 紅蓮の戦車乙女   作:宣伝部長

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意外な過去のエピソードです!!

「最初に言っておくけど、アタシは県立大洗女子学園中等部出身だからな」

 

「「「えええええっ!?!?」」」

 

 

昔話を語る前に告白した事実にこの場に居た面識のある人間以外が驚きの声をあげていた。

 

 

 

「そう言えばせんしゃ倶楽部で飛鳥殿と意気投合して仲良くなったのではありますが、学校でお会いした事は一度もなかったでありますな」

 

「私はいつもお姉ちゃんと一緒に強化練習に参加していた時に飛鳥さんも参加してたからその時しか会ってなかった・・・かな?」

 

「う~ん・・・と言う事は、飛鳥って学校も行かずにずっと戦車に乗ってたって事?」

 

「まっ、そう言う事だ。母さんにお願いしてアタシは中学時代は戦車を極めたいからって理由で学校には行かずに戦車三昧・・・・・アタシの戦車道を見つける為に・・・・・なっ!」

 

 

 

ちらっとみほの方を向くとハッとした表情で目が合った。

そんな彼女を見てはにかむ飛鳥は話を続ける。

 

 

 

「戦車の練習は、月~金・・・朝の10時から夕方の17時くらいやってたかな?」

 

「学校に行かない替わりに戦車を学んでいるみたいぜよ」

 

「小学校の頃はみほと戦車に乗ったりはしていたんだが、本格的に戦車をやり始めたのは中学時代に入ってからだったかな・・・姉さん達と一緒に大学生や一般、時期によっては中学・高校選抜が入り乱れる中で3年間戦車道をしてたんだ」

 

「・・・・・凄い」

 

「あぁ・・・蝶野長官ともそこで知り合ったんだよ。あの時はまだ現役で試合も出ていたからご一緒した事もあったが、あの人は本当に強かった・・・追いつくのに3年かかったんだもんな」

 

「いやいやいやっ!!なんで追いついてんのよ!!」

 

「そりゃあ・・・3家家元にご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします!!って言ったら今のアタシが生まれちまったんだから仕方ないだろ?まだ中学生のアタシに丁寧にしてもらったよ」

 

「ふふっ・・・あの時のお母さんはいっつも飛鳥さんの話題で持ちきりだったんですよ?アレは麒麟児になりえる器の女の子だって・・・」

 

「はっはっはっ!!千代さんにも言われたな・・・貴女のような柔軟な子がこの先の戦車道を変えるのだと・・・・・ってな」

 

「飛鳥って・・・相当にヤバいってのが話を聞いてて解っちゃったかも・・・・・」

 

 

 

平然と凄い事を話しているのに対して沙織が漏らした一言に数多くのメンバーが頷くのであった。

 

 

 

「そんな毎日だったから強襲戦車競技は暇な時に嗜んでる程度だったなぁ~・・・」

 

「えっ!?そんな気軽にやれるモノなの???」

 

「日本戦車道連盟非公式・非公認の戦車競技だからな!戦車1輌あれば簡単に参加出来るし、競技会場や開催時間にも制限はないから夜間でも早朝でも競技が行われるんだよ。まぁ、戦車道以上に実戦に近い試合内容だからこっちの方が好きだって言う人も多いみたいだけどな」

 

「ですが、戦車1輌あったとしてもメンバーはどうしたでありますか?」

 

「んっ?そりゃあ・・・現地調達だよ」

 

「・・・・・無茶苦茶な奴だな、本当に・・・・・」

 

「飛鳥ってば気になる女の子はみんなスカウトしちゃうんだよ?私もラジコンヘリで観戦してたらいきなりスカウトされちゃってそれからはずっと諜報員として活動していたんだよ」

 

「ちなみにだけど、姫はどれぐらいの人数をスカウトしたんだい?」

 

 

 

岬の素朴な疑問に飛鳥は腕を組むと当時のメンバーの名前を口にしていった。

 

 

 

「ティナ、皇 千智、花琳(ふぁりん)、ラウラ、天城 直人(あまぎ なおと)・・・・・この5人が戦闘メンバーだ。中学校に戦車道がない、ただ単に戦車自体が好きなヤツらだったからな。一緒に戦車やらないか?って聞いたら集まってた」

 

「やはり紅蓮隊は錚々たるメンバーでありますね!!」

 

「紅蓮隊・・・・・???」

 

「それは・・・あの・・・・・アレだよ。アタシ達の・・・チーム名」

 

「我と同じ波動を感じるっ!?」

 

「う、うるせぇ!!チーム名は適当に決めたんだよっ!!」

 

「あれれ~ん?ノリノリで任命したのは飛鳥だったような・・・ふふっ」

 

「文ぁぁぁぁっ!!」

 

 

 

飛鳥が文の頬を抓って暴れだしたので、皆が止めに入る。

しかし、そんな中で優花里は顎に手を添えて何かをぶつぶつと呟いていた。

 

 

 

「・・・・・どうかしたのか?」

 

「いえ、聞き覚えのある名前だなっと思ってただけであります!!」

 

「他は偵察部門はそこに居る文にすべて任せていたし、整備部門は金城ヶ原 明華(きんじょうがはら めいか)と金城ヶ原 縁寿(きんじょうがはら えんじゅ)の金城ヶ原姉妹に任せていた」

 

「金城ヶ原姉妹か・・・」

 

「ナカジマ、知っているのか?」

 

「自動車業界ではトップクラスで大企業の双子姉妹だよ。最近では戦車部門にも手を出したってのは聞いてたけど、強襲戦車競技がかなり影響を促しているかもしれないね」

 

「金銭面ではかなり助けられていたからな・・・スポンサーとして未だに色々とサポートはしてもらってるからな」

 

「こ、ここ、こうやって聞くと飛鳥さんって凄いんだね・・・」

 

「まぁ・・・充実した3年間だったよ」

 

「ですが、3年生の最後の冬にとある事件が起きた・・・そうですわね」

 

「・・・・・海原さん?」

 

 

 

不意に現れた花蓮に全員が驚いたように視線を集める。

すると1つのノートを手に花蓮は話し出した。

 

 

 

「私達は戦車道を復活させる為に経験者を調べていました。そして、有力者として名前が浮上してきたのが・・・西住流の西住みほさんと日野本流の日野本飛鳥さんでした。経歴だけを調べるつもりだったのですが、お2人の過去の嫌な話も私達は気付いていましたわ」

 

「まぁ、アタシはあの眼鏡野郎のせいで夢をぐちゃぐちゃにされたからな」

 

「夢・・・でありますか?」

 

「紅蓮隊のみんなで戦車道をやりたかったんだ・・・ただそれだけだったんだよ」

 

「それじゃあ同じ学校に行ったらよかったんじゃ・・・」

 

「それが・・・無理矢理バラバラにさせられたんですの」

 

 

 

飛鳥が思い出して来たのか怒りに震えだしたのを察知した花蓮は代行するように続きを語った。

 

 

 

「あの方々は紅蓮隊を日本戦車道の拡充と底上げを行う計画の為に他校へと振り分け、各転校先で戦車道のレベルを上げようと目論んだのですわ」

 

「えっ!?そんな横暴が許されるのか!?」

 

「一応国の為の動きですから許されるのでしょう。ですが、飛鳥さんも紅蓮隊のリーダーとしてお母様とご一緒に抗議しに行ったのですが、相手にされずその時の出来事で飛鳥さんは命令に背く形で戦車道の無い母校である県立大洗女子学園高等部に進学されたんですよ」

 

「・・・・・まぁ、そんな訳で全員は散り散りになってしまったって訳さ。今回の廃校の件もアタシの時と同じみたいなもんだろうよ」

 

「えぇ・・・即席で結成された私達大洗も戦車道全国高校生大会を制覇した事によって有力者として認識されました。そのメンバー達を他校へと振り分け、各転校先で戦車道を履修させてレベル上げが目的なのでしょう」

 

「そんな・・・廃校を阻止する為に必死になって頑張って来たのに・・・こんなのって・・・・・」

 

「・・・なっ!?なんだ!!アレっ!?」

 

「アレは・・・もしかして、サンダース大付属の・・・・・」

 

「そうですよ!!C-5Mスーパーギャラクシーですよっ!!!!」

 

 

 

全員が悔しがったり、落ち込むように俯いていた中で大きな音と共にサンダース大付属の校章の航空機が着陸したのであった。

 

 

 

「私がお願いして来てもらったんだ・・・この為にな」

 

「なるほど・・・それならアイツらも手が出せないっすね」

 

「じゃあ私達の戦車は・・・助かるんですか!?」

 

「その為に私達が来たんだから・・・ハリアーップ!!」

 

 

 

書類を持った会長が笑顔で大洗メンバーの全員に今回の件を話した。

すると全員の前にやって来たケイが戦車を載せるのに指示を出し始めた。

 

 

 

「・・・・・飛鳥」

 

「ティナか」

 

「ダイジョーブ・・・ですか?」

 

「終わらせないさ・・・今度こそな」

 

「・・・・・」

 

 

 

心配そうに声を掛けるティナに対して飛鳥は下唇を嚙み締める。

そんな姿にティナは自分の手をギュッと掴んで見守る事しか出来ずにいた。

ふと飛鳥は目の前に居た人物に声を掛ける。

 

 

 

「ケイ・・・すまないな」

 

「なに言ってるのよ!こんなのお安い御用よ?私達にまっかせときなさい♪」

 

「お礼はいつか必ず・・・」

 

「ふふっ・・・期待してるわね、戦姫様♪」

 

 

 

そんなこんなですべての戦車はサンダースが預かってくれる形で一命を取り終えた。

しかし、すべてが終わった訳ではない・・・新たな陰謀が動き始めたのかもしれない・・・。


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