ガールズ&パンツァー 紅蓮の戦車乙女   作:宣伝部長

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挨拶は奇襲からです!!

「先輩!交戦が開始されました!!」

 

「状況は?」

 

「後方部隊は予定通りにプラウダ高校と戦闘を開始。ベルウォール部隊は大洗と知波単のチームと交戦中でなにかしら作戦を考えていた模様」

 

「みほの事だから逃げる素振りを逆手にとって待ち伏せ作戦・・・って考えだったんだろうな」

 

「じゃあ・・・今はフラッグ車同士がやり合ってんじゃないのか?」

 

「それならフラッグ車に一番槍を入れに行きますか」

 

「闇と光の会合来るっ!!」

 

「薫、代わるぞ」

 

「あいよ~」

 

 

 

操縦席に座った飛鳥はいつものようにグローブをはめると棒付きの飴を咥える。

そして、ツバサにアイコンタクトを送るとツバサは喉頭マイクに手を当てる。

 

 

 

「エクレールさん!キリマンジャロさん!本車はこれよりフラッグ車に挨拶をして来ますが、双方は退路の確保をお願いしたいのですが、宜しいでしょうか?」

 

『また挨拶とは面白い事をなさるんですのね?任されましたわ』

 

『あの・・・わたくしもダ、ダージリン様にご挨拶をしたいのですが、宜しいでしょうか?』

 

 

 

キリマンジャロの言葉にチラッと飛鳥の方を見るツバサ。

するとそこにはニィッと笑う飛鳥の姿があった。

 

 

 

「かしこまりました!エクレールさん!1人になってしまいますが、後方支援お願いします!!」

 

『無理を承諾して頂きありがとうございます!!必ずダージリン様にご挨拶をお届けいたします!』

 

「それじゃあ挨拶といきますか」

 

 

 

飛鳥が嬉しそうに戦車を発進させる。

そんな中で戦況が動き始めていた。

 

 

 

「みぽりん!OY12地点でマジノ連合の襲撃だって!!」

 

「相手はどういった編成ですか?」

 

「ティーガーⅠを主軸にしたベルウォール学園のみの編成だって!フラッグ車は姿が見えないって!」

 

「作戦が読まれていたんですかね?」

 

「・・・いや、もしかしたら私達を正面から迎え撃ちたかったのかも」

 

「・・・どうする?」

 

「このままOY12地点を目指します!そして、早急にマジノ連合の戦力を削ります!!」

 

「あいよ~」

 

 

『ダージリン!!』

 

「どうしたのかしら?カチューシャ」

 

『マジノ連合よ!後方からいきなり姿を見せたみたいね!今はノンナとクラーラに対処させているわ!』

 

「良い判断ね」

 

『当然でしょ!!でも、フラッグ車はいないみたいなのよ!』

 

「・・・飛鳥さんがいない・・・・・」

 

 

 

追いかけっこが繰り広げられていた大洗チームと聖グロチーム。

しかし、不意打ちとばかりにやって来たマジノ連合に各地で戦闘が開始される。

すなわちフラッグ車は両チーム共に無防備。

 

 

 

「麻子さん!!」

 

「・・・・・っ!?」

 

 

 

急なみほの叫びに対して麻子はブレーキを踏み込んだ。

それと同時に目の前に砲撃が着弾する。

あのまま進んでいたら横っ腹にキツイ一撃を喰らっていただろう。

みほも背後を追走していたダージリン、カチューシャも新手の存在に気付く。

 

 

 

「か、薫さん!?」

 

「やはり来ましたわね」

 

「この場所で奇襲なんてなかなかやるじゃないっ!!」

 

 

 

いつの間にか姿を現していたチャーフィー。

キューポラから体を乗り出している薫は堂々と腕を組んで睨みつけていた。

その横からはゆっくりとブラックプリンスが姿を見せてキリマンジャロが一直線にダージリンの乗っているであろうチャーチルを凝視している。

 

 

 

「どうしてマジノ連合が我々がこのOY12地点で待ち伏せしているのがバレたんだっ!?」

 

「日野本ちゃんにはお見通しなんじゃないのかな~」

 

「会長!なに呑気な事をおっしゃってるんですか!シャンとして下さい!!」

 

 

「飛鳥の予想通りならここにみほが来るはずだったのに・・・先に待ち伏せ部隊と鉢合わせるなんて・・・」

 

『どうすんだっ!マネージャー、このままだと数で押されるぞ!!』

 

「消耗したら元も子もない。だから、応戦しつつも各車後退っ!!」

 

 

 

OY12地点では、お互いの思惑が外れてしまった結果ではあったが、激しい戦闘が繰り広げられていた。

 

 

 

「やはりノンナ様が立ちはだかるか・・・」

 

「Wow!やはり飛鳥の言葉は本当だったようデース♪」

 

「くっ・・・あの1輌だけでこちらを威圧させる程の力、油断出来ないわね」

 

 

『”この少数戦力どう思いますか?ノンナ”』

 

「”そうですね。この部隊は私達を足止めさせる為の別働隊でしょう”」

 

『”それならすぐにカチューシャ様の下に・・・っ!!”』

 

「”敵に背を向けるのは死を意味します。まずはこの戦況をどうにかします”」

 

『”了解”』

 

 

 

ロシア語で会話し合うノンナとクラーラ。

後方部隊ではノンナが前線に立ちマジノ連合を迎撃していた。

飛鳥からの助言を受けていたもののマジノ連合のメンバーは圧倒的強さに行動を起こせずにいた。

 

 

 

 

「ダージリン様から緊急コールですのにこの敵車輌しつこいですわねっ!!」

 

 

「アンタらの相手はこのボク達さ!魅哉っ!!」

 

「1つ・・・・・2つ!!」

 

「今日は調子いいじゃないか!大漁、大漁っ!!」

 

「・・・風は我らに味方し、敵に仇なすなり」

 

「フラッグ車、三つ巴状態!これより交戦とのこと!!」

 

 

 

クルセーダーの集団を物ともしない立ち回りを披露するハヤブサさんチーム。

援護射撃を任されていたリコッタではあるが、その闘い様をじっと見守る事に専念していた。

 

 

中央では睨み合いが起きていたがそれを破ったのは飛鳥だった。

勢い良く飛び出すとあんこうチーム目掛けて突撃を仕掛けた。

 

 

 

「カチコミだぁぁぁっ!!!!」

 

「あの馬鹿テンション高くないか?」

 

「あはは・・・・・」

 

「余もこの宴は存分に楽しむぞっ!!」

 

「意味なく張り合わんでいい」

 

「でも・・・こう言うのたまにはいいかも」

 

「そ、そうですねっ!なんたって私達の為の親善試合ですもんねっ!」

 

「ふふっ・・・じゃあ今日は楽しむか?」

 

 

 

あんこうチームも反応して動き出すとお互いの砲撃は側面に反れる。

その動きに合わせてダージリンは砲撃の指示を出そうとしたが、不意に車体が揺れた事に驚く。

砲撃があった方角にはじっとこちらに視線を向けるキリマンジャロの姿。

 

 

 

「無視は・・・出来ないようね」

 

「そのようですね」

 

「どうするつもり?ダージリン」

 

「お望み通り・・・迎え撃って差し上げなさい」

 

 

「ダージリン様・・・・・感謝致しますわ」

 

 

 

チャーフィーの後姿に礼を言うとキリマンジャロは砲撃を仕掛ける。

乱戦が始まる中でもカチューシャは少し離れた場所に位置し、援護射撃を目論む。

 

 

 

「ダージリンがやられたら終わりなのよっ!!なんでドンパチ始めちゃうのよっ!!・・・おわっ!?今のは・・・!!」

 

「敵の砲撃・・・2時の方角です!!」

 

 

 

カチューシャはすぐさま双眼鏡を手にするとここからは少し離れた位置にソミュアS35を確認した。

 

 

 

「あの位置からの砲撃・・・精確に狙った援護射撃ではないにしろこちらを監視してるみたいね!図々しいったらありゃしないわ!!」

 

 

「今の砲撃・・・プラウダの隊長さんを怒らせたんじゃないですか?」

 

「・・・・・だ、大丈夫よ。私達は飛鳥様達の退路を確保すればいいんだから」

 

 

 

乗員の言葉に少し胃を気にするエクレールではあったが、飛鳥の事を思うと楽になったのか笑顔で乗員に振舞うのであった。

 

 

 

「飛鳥のヤツ・・・離れないぞ」

 

「飛鳥さんなら一瞬の隙を狙って来ると思います。だから注意深くお願いします」

 

「このピリピリと伝わってくるプレッシャー・・・流石、飛鳥殿ですね」

 

「こう密着されていると砲撃を当てるのは至難の業ですね」

 

「もう!飛鳥しつこ過ぎだってぇ~!!」

 

 

「今頃、沙織とかは叫んでそうだな」

 

「ピリピリした空気とか嫌いそうですから」

 

「・・・砲撃はどうする?」

 

「タイミングが合うなら撃っていいぞ?麻子次第だけどな」

 

「先輩、すっごく楽しそうですね!」

 

「まぁね、やっぱこう言うのは楽しまなくちゃ!!」

 

 

 

ぶつかり合うⅣ号戦車とチャーフィー。

一瞬のミスも許されないような戦況なのにネコさんチームは楽しそうであった。

このまま持久戦が繰り広げられるとかと思ったが、それはとある通信によって急変した。

 

 

 

『飛鳥!大洗の連中に逃げられちゃった!!』

 

「OK!数は?」

 

『2輌抜けたっ!!』

 

「ちっ・・・一旦離脱っ!!」

 

 

 

飛鳥は急にバック移動をし始めるとこの場からの離脱をはかる。

それを逃がさないとばかりにあんこうチームの砲撃が火を噴く。

しかし、砲弾は掠めるだけで有効打にならずにいた。

 

 

 

「キリマンジャロさん!撤退します、こちらについて来て・・・」

 

『いえ、私達は殿を務めさせて頂きます。お先にどうぞ・・・』

 

「で、でも・・・・・」

 

「任せたよ!」

 

「先輩っ!?」

 

『心得ました』

 

 

 

道を塞ぐように立ち尽くすブラックプリンス。

その姿にダージリンはフッと笑うと攻撃の合図を送った。

次の瞬間、ブラックプリンスの走行不能のアナウンスが会場に響いたのであった。

 

 

 

「奇襲だけじゃ決まり手にならなかったか・・・・・」

 

「これからどうすんの?飛鳥」

 

「戦力を2つに分ける」

 

「・・・・・それで?」

 

「正面から殴り合う・・・以上」

 

「・・・・・大胆」

 

「いいんじゃないの?面白いじゃん!!」

 

「それじゃあチーム分けするぞ」

 

 

 

Aチーム

 

 

日野本/M24チャーフィー軽戦車

 

中須賀/ティーガーⅠ

 

山守/ヤークトパンター

 

土居/エレファント

 

ティナ/グリズリー巡航戦車

 

リコッタ/M13/40

 

 

Bチーム

 

 

東郷/M18ヘルキャット

 

エクレール/ソミュアS35

 

フォンデュ/ソミュアS35

 

ガレット/ルノーB1bis

 

ミレイア/T-34

 

ルフナ/マチルダⅡ

 

 

 

「こっからは何も指示しないから自由行動でよろしく♪」

 

『う~ん・・・一応AチームがあんこうをBチームが聖グロの親玉狙いでいいのかい?姫』

 

「そっ!各自の奮闘を祈る!!」

 

 

 

するとBチームはハヤブサさんチームを先頭に違う方向へと進んで行った。

 

 

 

「さて、作戦はないがフラッグ車を仕留めたチームにはご褒美を用意してあるからよろしくねぇ~♪」

 

『ご褒美ぃぃぃっ!?!?』

 

『飛鳥を好きにしてもいいのデスか!?!?』

 

「・・・・・フラッグ車を撃墜させれたらな」

 

 

 

とある提案に過度な反応を示すティナとラビオリ。

しかし、否定した事は言わずに2人が言った事を承諾すれば2人は発狂したようにあらぶっていた。

 

 

 

「先輩・・・大丈夫なんですか?」

 

「問題ないさ・・・アイツらに我が校の隊長は負けないからさ」

 

「・・・・・悪い笑顔」

 

「じゃあ私達で撃墜させてご褒美もらっちゃいますか?」

 

「おぉ、名案じゃっ!!」

 

「やる気が出たところで・・・第2ラウンド行ってみますか」


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