こうして親善試合当日。
大洗&知波単チーム
VS
聖グロ&プラウダチーム
VS
マジノ連合チーム
三つ巴の闘いが繰り広げられていた。
『AチームとBチームがゴルフ場にて交戦を開始しましたわ。Bチームのフラッグ車が完全に包囲されていますわ、指示をお願いします』
「ハート・ブル!そのまま監視を続けて下さい!!発砲は指示があるまでお控えお願いします!」
『Bチームの別働隊がゴルフ場に向かい進軍を開始しました。指示をお願いします』
「ダイヤ・ブル!一定の距離を保ちながら別働隊を追って下さい!発砲は指示があるまでお控えお願いします!」
車内では必死に通信の内容を聞いて指示を出すツバサの姿があった。
いつもならテンパって焦る姿を見せるのだが、いつもとは雰囲気が違った。
マジノ連合は先行して市街地に陣取っていた。
戦力差的にも正面からの真っ向勝負は分が悪い。
そう考えたマジノ連合は一切こちらからの攻撃を禁止して隠密行動に徹していた。
「いやはや・・・向こうはこちらに興味がないみたいだな」
「よく言いますわね、飛鳥様。両方を鉢合わせたのは貴女だと言いますのに・・・」
「まぁ・・・みほは最初からあの2チームを分断するつもりだったんだし、万事OKって訳さ」
「それにしてもこの連合軍のメンツをよく集められましたわね」
《大洗》
日野本/M24チャーフィー軽戦車
東郷/M18ヘルキャット
《マジノ》
エクレール/ソミュアS35
フォンデュ/ソミュアS35
ガレット/ルノーB1bis
《プラウダ》
ミレイア/T-34
《聖グロ》
ルフナ/マチルダⅡ
《ベルウォール》
中須賀/ティーガーⅠ
山守/ヤークトパンター
土居/エレファント
南/T-44
柏葉姉/Ⅱ号戦車
《西グロ》
キリマンジャロ/ブラックプリンス
《戦姫連合》
ティナ/グリズリー巡航戦車
リコッタ/M13/40
「手当たり次第に連絡したからな・・・敵情視察の連中もいるんじゃないか?一応優勝校との親善試合だからな」
「そうですわね・・・特にプラウダと聖グロから来られた2人はそれが目的かもしれませんわね」
「まぁ・・・アイツらなら敵に塩を送りそうだけどな」
『Hey!飛鳥!まだ両チームに攻撃は仕掛けないのデスか?』
「私達は待機だ。斥候部隊からの連絡があり次第アタシ達も行動を開始するからそれまで待ってろ」
『OK~♪』
「それにしても・・・あの2人はどうやって今回の親善試合を知ったんだ?アタシからは招待は送ってないし、文も知らないって言ってたしな」
「・・・そうですわね」
などと会話していると横に並ぶようにティーガーⅠが停車する。
「飛鳥!ちょっといい?」
「どうしたんだ?ツンデレラ」
「うっさいわよ!戦姫!!」
「ふふっ・・・それで、どうしたの?」
「私達はみほを迎えに行きたいんだけど・・・「いいよ」・・・っ!?」
「それとベルウォールのメンバーの指揮権はすべてエミに任せるから好きに暴れてくれ」
「任せといて!大洗・・・いや、みほは私達が仕留めてあげるわ!!」
そう言ったベルウォール一行は勢いよく飛び出して行った。
その後姿を何も言わずに見送る飛鳥にエクレールは口を開く。
「中須賀エミ・・・ドイツからの留学生として今年ベルウォールに編入。荒れ果てていた戦車道部を見事に立て直した立役者でしたでしょうか?」
「勉強熱心だな、エクレール」
「いえ、それ程でもありませんわ。脅威になりかねないモノには細心の注意を・・・と思いまして経歴を洗ってみただけですわ」
「それじゃあアタシからも一つ助言するよ・・・エミはアタシとみほとは幼い時からの友達さ」
「・・・・・えっ?それって・・・・・」
「先輩!AチームとBチーム共に動きがありました!」
「報告お願い」
話を遮るようにツバサが大声を出すと戦況確認の為にエクレールも身構えたように静まる。
「Aチームの包囲網が崩壊!それと同タイミングでBチームの別働隊が合流を果たして挟撃を開始。Aチームは不利と判断したのか山を降りてこちらに向かっています」
「今の所計画通りか・・・」
「覇王よ、これより我らはどう動くのじゃ?」
「ハート・ブル!ダイヤ・ブル!2輌はそのまま追跡をお願い!」
『わかりました!』『かしこまりました!』
「ティナ!ミレイア!ルフナ!指示してた通りに斥候部隊と合流後Bチーム・・・特にプラウダの戦力を足止めお願い!」
『OK!』『やってやりますわ!』『お任せ下さい』
「エミ!好きに暴れて掻き乱して来てくれ!」
『まっかせて!!』
「三笠!リコッタ!機動作戦開始!!」
『面舵いっぱぁぁい!』『ヨ~ソロ~!!』
「エクレール!キリマンジャロ!アタシの護衛よろしく!」
『承知しましたわ』『わたくしにお任せを』
「それじゃあ・・・ドタバタ大作戦、開始!!!!」
『『『パンツァー・フォー!!』』』
各車から聞こえる掛け声に飛鳥はにやりと不適な笑みを浮かべると戦車内にやって来る。
「Aチームで注意するのは、カバさんチームとレオポンさんチーム・・・それにあんこうチームだ」
「味方とやり合うなんて考えた事ないけどな」
「そうだな、練習での戦闘は何度かあったが今回は実戦だからな・・・勝ちに行く」
「・・・・・けど、ハヤブサさんチームが来てくれたのは嬉しい」
「頼れる存在だな」
「Bチームはどうしますか?先輩」
「IS-2だけを警戒・・・だな」
「向こうの両隊長車は警戒しなくていいんですか?」
「カチューシャは指揮系統には優れているが、それ以外はそこまで恐れる事はないさ。それにダージリンは今回のフラッグ車だ。派手には行動しないだろう・・・と考えたいな」
「覇王よ!我々の初動はどう致す!」
「まずは・・・フラッグ車様方に挨拶しかないだろう?」
飛鳥の一言に何故か嬉しそうな4人は修羅場と化す市街地へと戦車を進めるのであった。
「マジノ連合・・・姿を見せないでありますね」
「・・・うん」
「飛鳥の事だからまた卑怯な事考えてるんだよ!絶対に!」
「・・・向こうは数が少ないからな、消耗したところで仕掛けてくるんじゃないか?」
「それなら・・・この市街地が絶好のポイントになりますね」
「飛鳥さんも大洗を熟知してる・・・それなら・・・・・」
「ダージリン・・・マジノ連合をどう見るの?」
「一つ一つは弱き者なのかもしれない・・・けれど、導きし者によっては強きも弱きもあるものよ」
「・・・・・はぁ」
「カチューシャ」
『なによ!ダージリン』
「マジノ連合が動くわ」
「合流完了デース♪BチームにFearを与えてあげマース♪」
「こう言う形でカチューシャ様に刃を向ける機会が来るなんて・・・しかし、今は戦姫の刃と化した私は負ける訳には行きませんわ!!」
「アッサム様・・・敵対する身でありながらもわたくしは貴女様と対峙する事に興奮を抑えられません。どうか・・・お覚悟を・・・」
「フォンデュ!私達は援護射撃に徹します。無駄な突撃はなるべく控えるように」
「かしこまりましたわ!ガレット、弱小校でない事を思い知らせてあげましょう」
「それでマネージャー!俺らはどうするんだ?」
「突撃よ!!」
「今日はなんだか生き生きしてるわね、やっぱりさっきの娘のおかげかしら?」
「それもあるけど、私はやりたかったのよ・・・みほとの真剣(マジ)の闘いが・・・!!」
「いいじゃねぇか!いっちょ俺らの強さ見せてやろうぜ!!」
「・・・面白いじゃない」
「それじゃあ派手に行きましょうか!」
「「任せとけっ、オラ!!」」
「三笠、本日はどういたしますか?」
「姫とはちょっと作戦会議しててね・・・あの子のお願いでボク達はクルセイダーを叩く!!」
「速さと速さの闘いになりますね」
「上等じゃないかい!!いっちょ派手に暴れようじゃないかい!!」
「・・・・・承知」
「と言う訳だからリコッタちゃんよろしく♪」
「どう言う訳かはわからねぇが、任されたっ!!」
「・・・・・飛鳥様を護りたかったのに・・・・・はぁ・・・・・」
「普通の戦車道とは違うこの感じ・・・強襲戦車競技時代を思い出すな」
「今日の飛鳥なんか雰囲気違うくない?」
「うむ、より一層覇王色が出て来た感じじゃっ!!」
「それだけじゃ・・・ないような」
「・・・・・覚醒?」
「本日は飛鳥様の盾として・・・そして、マジノの隊長として成すべきを成し遂げますわ!」
「本物のダージリン様とのこの一戦・・・今まで憧れてきたこの想いぶつけて見せますわ!」
各々の想いが交差する中、3チームは市街地へと引き寄せられていく。
激しい闘いが・・・ここに始まる。