ガールズ&パンツァー 紅蓮の戦車乙女   作:宣伝部長

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黒森峰の1日です!

ここは、黒森峰女学園。

決勝で大洗女子学園と戦う学校である。

戦車道全国高校生大会で9連覇していた強豪校なのだ。

今日はそんな黒森峰での話。

 

 

急ぎ足で赤星 小梅は戦車倉庫へと続く道をある人物を探す為に向かっていたのであった。

 

 

 

「千智さん・・・いらっしゃいますか?」

 

「・・・なんだ?小梅」

 

「あぁ!!また千智さん1人で戦車の整備なんてしちゃって・・・・・みんなで一緒にやろうって言ったのに・・・・・もう」

 

「ふふっ・・・そうだったな。それで、私になにか用があるんじゃないのか?」

 

 

 

戦車の下からひょこりと顔だけを出した皇 千智(すめらぎ ちさと)。

しかし、そんな彼女に小梅は頬を膨らませて拗ねて見せる。

そんな彼女の表情に微笑みながら謝罪とばかりに頭をぽんぽんと叩いてあげるとココに訪ねて来た理由を聞く。

 

 

 

「あっ!そうでした。西住隊長が折り入ってお話があるみたいなので呼びに来たんです」

 

「私に・・・?エリカじゃ役不足なのか」

 

「いや、そうじゃなくて・・・ちょっと大洗の選手で気になる人が居るみたいで」

 

「あぁ・・・それならエリカは使い物にならないな」

 

「あの・・・・・逸見さんになにか恨みでもあるんですか?」

 

「いや、別に・・・・・気が合わないだけだよ」

 

 

 

さらっと真顔になって本音を言う千智に対して苦笑いでしか返せない小梅だった。

2人は、戦車倉庫を後にすると作戦会議をする時に良く使う大広間へと辿り着いた。

するとそこには、隊長である西住 まほ、副隊長の逸見 エリカが椅子に座って待っていた。

 

 

 

「急に呼び出してすまないな、皇」

 

「いえ、自分で力になれるのなら構いませんよ」

 

「それよりも・・・なんで作業着なのよ、アンタ」

 

「戦車の整備をしていたからに決まってるだろう。お前のその目は節穴なのか?」

 

「なっ!?なんですって!!」

 

「やめないか・・・私が急に呼び出したんだから服装は別に構わないだろう。それと、皇も言葉が過ぎるぞ」

 

「は、はい」

 

「・・・申し訳ありません」

 

 

 

2人は1度睨み合ってからそっぽを向くもまほが一枚の写真を机の上に出した。

千智はそれを横目で確認すると自分も近くの椅子に腰を降ろして真剣な表情で語り始めた。

 

 

 

「彼女の名は、日野本 飛鳥。通称を戦姫と呼ばれています」

 

「戦姫・・・か」

 

「はい、私だけではなく当時の戦車関係者は口を揃えてそう呼んでいました」

 

「それは・・・戦車道での話しなのか?」

 

「いえ、強襲戦車競技の方です」

 

 

 

その言葉にピクッとまほの眉が反応を示す。

千智は手を組むとその上に顎を乗せ、話を続ける。

 

 

 

「私と飛鳥はペアで強襲戦車競技に参加していました。他にも仲間はいましたが、そっちの説明の必要はないでしょう」

 

「ふむ・・・しかし、私の調べには中学時代は大学選抜にて戦車道をしていたと聞くが・・・」

 

「えっ!?中学生にして大学生の方々に混じって戦車道をするなんて嘘じゃないんですか!?」

 

「嘘じゃない・・・彼女は両立していたの・・・両方ともね。・・・と言っても公式戦には参加していなかったみたいですが」

 

「・・・・・ふふっ、とんだ強者だな」

 

 

 

あまり笑顔を見せないまほの微笑みに他のメンバーは驚いていた。

 

 

 

「1つ聞きたい事がある。・・・私達に勝算はありそうか?」

 

「隊長っ!?!?」

 

 

 

いきなりの問い掛けに叫んだのは、エリカだった。

滅多に見せない弱気とも捉えられるまほの発言。

驚きを隠せないエリカを尻目に千智は腕を組むと重い口を開く。

 

 

 

「普通なら99%でしょうか・・・・・」

 

「99%か・・・100%ではないんだな」

 

「はい、飛鳥とそれに隊長の妹さんの2人が居ます。下手をすれば・・・大洗はもっと化けて来るかもしれません」

 

「あんな弱小に私達黒森峰が負けるとでも言うの!?」

 

「はぁ~・・・そうやって自分達が一番と驕り続ける者が居る限り我が校は危ういかと・・・・・」

 

「アンタ・・・どっちの味方なのよ!!」

 

「私は事実を申したまでだが・・・・・?」

 

 

 

2人の間で激しい火花が散っているのは確定的に明らかだが、まほは気にもせずに悩むようにある資料に目を通していた。

 

 

 

「それなら決勝戦ではマウスを使う事にする」

 

「了解しました。すぐに整備班に連絡して準備万端の状態に仕上げておきます」

 

「話は以上だ。皇、呼び出してしまってすまなかったな・・・もう持ち場に戻ってくれてもいい」

 

「はい、それでは・・・小梅!」

 

「はっ、はい!!それでは失礼します!!」

 

 

 

1礼してから部屋を後にした千智を追うように小梅を1礼すれば、すぐにこの場を後にした。

 

 

 

「はぁぁぁ・・・・・」

 

「ふっ・・・いつものエリカらしくないな」

 

「あっ、し、失礼しました!!ガラにもなく大きな溜め息をついてしまいまして・・・・・」

 

「別に構わないさ。それでも・・・同じ学年で同じ実力者同士なんだからもっと仲良くは出来ないのか?」

 

「はぃ・・・・・善処いたします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千智さん」

 

「なにかな?」

 

「なんだか嬉しそうですね」

 

「どうして?」

 

「なんとなく・・・です」

 

「おっ!?姉貴ぃぃぃ!!!!」

 

 

 

小梅と千智が戦車倉庫に戻ろうとしていると不意に背後から聞こえる声に振り返る。

するとそこには3人の女性が立っていた。

 

 

 

「千智も今から戦車に向かうの?」

 

「あぁ・・・さっきまで隊長に呼び出されてたからね」

 

 

 

金城 沙羅(かねしろ さら)。『通信手』

後ろ手に顔を覗き込むように話し掛けて来る女性の問い掛けに千智は経緯を話す。

 

 

 

「姉貴・・・もしかして、隊長さんに怒られたんっすか?」

 

「私がそんな事する訳ないだろう」

 

 

 

久米川 たつき(くめがわ たつき)。『操縦手』

ゴーグルを掛けた女の子は口元に拳を当ててバカにしたように笑っているが、千智は微笑みながらわからないといった感じのポーズを見せた。

 

 

 

「これから~予定していた戦車の整備を~しようと思うんだけど・・・・・どう?」

 

「んっ・・・そうね、私も今から行こうとしていたから大丈夫、一緒に行きましょうか」

 

 

 

祭囃子 萌華(まつりばやし もえか)。『装填手』

ふらふら~としながら千智に背後から抱きついて耳元で囁くと千智はビクッと反応するも頭を撫でてあげた後に5人で自分達の戦車・・・ティーガーⅡの元に向かうのであった。


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