僕と幼馴染と友情物語   作:sata-165

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今話から暴走召喚獣編ですね。

少し暇があるので企業探しの傍らで執筆も頑張りたいと思います。


暴走召喚獣編
学園長からの呼び出し


「全く……今年は面倒なことばっかり起こるさね。」

 

二年生の学力強化合宿の最終日、合宿所の鉄j、もとい西村宗一からの連絡を受けた老b、……妖k、……学園長 藤堂カヲルが試験召喚システム管理用の端末を操作しながらぼやく。

 

(進学早々の試召戦争のせいでカリキュラムの再編成をするのは別に構わないさね。)

 

試召戦争は文月学園の特徴の一つでもあり、そのために補習などで不足分の授業数を確保できるように調整されている。

 

(清涼祭では結果的にはスポンサーが減ったが、吉井たちのお陰でこの学園は存続できたし、厄介者払いもできたさね。)

 

管理職である竹原の逮捕により、一部のスポンサーからの融資が打ち切られた。

また、性格に問題はあったが、スポンサーを確保する能力に長けていた竹原が逮捕されたことにより、新たなスポンサーの確保は難航している。

 

「はぁ……、ただでさえ問題は山積みだって言うのに、覗きに盗撮・盗聴、脅迫、冤罪で騒ぎを広げるなんてね。」

 

前日に西村先生から送られてきたメールに視線を送り溜め息を漏らす。そこに書かれていた内容は

 

・Fクラスの男子が中心となって起こった覗き騒動の詳細

・Dクラス所属の清水美春が設置した小型カメラと盗聴器、吉井達に送った脅迫状などに関する証拠

・Fクラス所属の姫路瑞希、島田美波が合宿所で他クラスの自習を妨害したこと、教師に相談せずに独断で行動し結果的に覗き騒動のきっかけとなったこと

・Bクラス代表 根本恭二が今までに行った行為に関する証拠

・以上の事からAクラスを除く男子生徒の停学処分。および、根本恭二・清水美春・島田美波・姫路瑞希、以上四名の観察処分者認定を求む

 

報告内容を吟味した後、今朝の職員会議で処分が確定し、残る作業は観察処分者のデータを変更するだけ。

 

「まともなクラスがAクラスしかいないなんて嘆かわしいね。」

 

そう言いながらも端末を操作していき、観察処分者の設定に関する項目へと移る。

 

ERROR

OPERATION DENIED

 

「『操作拒否』? 一体どういう事さね。」

 

新たに観察処分者の設定を加えようとしたが、画面にはエラーメッセージのみが表示される。

 

「……なるほどね。……ちょっとシステム自体の方も確認して見るかね。」

 

藤堂は暫く調べた後、席を立ちあがり召喚システムの本体がある部屋へと向かった。

 

         ☆

 

ピンポンパンポーン

 

『二年Aクラス、坂本雄二君、高瀬一輝君、吉井明久君、至急学園長室まで来てください』

 

「あれ? 何の呼び出しだろう?」

 

合宿を終えて初めての登校日、月曜日のHRが終わり、みんなで談笑していたら突然放送で呼び出しされた。

 

「普通に問題があって呼び出しされるなら、職員室か進路指導室(鉄人の根城)だろ?」

 

なんか雄二の進路指導室の読みがおかしかったのは気のせいだろうか?

 

「わざわざ学園長室ってなると、召喚獣関連か。さっさと行くか。」

 

「そうだね。たぶん急ぎの用だろうし。じゃ、みんな行ってくるね。」

 

みんなに見送られながら僕は一輝と雄二の後を追った。

 

         ◇

 

「さぁ~て、学園長。呼び出した理由はなんだ?」

 

「召喚システムに問題でも起きたのか?」

 

学園長室に入るなり、一輝と雄二が机に手を置いて偉そうな態度で要件を聞く。

 

「そこまで分かっているなんて、賢しい奴らだね。」

 

学園長は感嘆のため息を漏らして呟く。

 

「アンタらの察しの通り、試験召喚システムに問題が発生して、教師の召喚獣は召喚不能、一般生徒の召喚獣は操作不能、システム設定の変更が不可になってるんだよ。」

 

「なんか随分大変な事になっている気がするんですけど、直すことってできないんですか?」

 

「そんなこと出来んならオレらを呼ぶ必要が無いだろ。」

 

「高瀬の言う通りさね。本来はコレで操作できるんだが、ケーブルが外れているようで操作できない。おまけに直接操作しようにも防犯システムが作動していて中に入れないんだよ。」

 

「だったら壁に穴開けりゃいいじゃねーか。工事費をケチる必要もねーだろ?」

 

「明日はスポンサーや研究者が見学に来るんだよ。客を招くのに散らかすわけにはいかないのさね。」

 

壁を壊して、システムを直して、工事をするってなると時間がかかりそうだもんね。

 

「だから、まだ観察処分者仕様のままの吉井の召喚獣に頼みがあるのさね。」

 

「はあ……それぐらいだったら――」

 

「ちょっと待て。引き受けるの自体はいいが、報酬でも出してもらわねえと割に合わねえんじゃねぇか?」

 

僕が引き受けようとしたところで、雄二に遮られてしまった。

 

「はぁ~、がめつい奴だねえ。」

 

「スポンサーや同業者の前で恥をかかないで済むんだ。安いもんじゃないか?」

 

溜め息を吐く学園長に口元に笑みを浮かべる雄二。ものすごく悪者っぽいな。

 

「わかったよ。……何かあったかねえ?」

 

諦めた様子で学園長は机の引き出しを漁る。なんか哀れだな、これでも学園の最高権力者なんだよな。

 

「ねえ、雄二。なんであんな事言ったの?」

 

雄二に近づいて小声でさっきの発言の意図を聞く。普通に引き受けるところだと思うんだけどな……

 

「別に大した意味はねえが、……なんとなく素直にうなづく気になれなかっただけだ。」

 

「あ~、何となく分かる。目上の人間でもタダ働きはな~。」

 

この二人は……

 

「お、コレなんかどうだい? 人数制限は15人だから、丁度いいんじゃないかい?」

 

「これって、皐月スパリゾートの入場券か。」

 

「隣町の銭湯を改装したってやつだよね。」

 

学園長が机の上に出したのは隣町のレジャー施設、皐月スパリゾートのフリーパスだった。

皐月スパリゾートは、主に首都圏で銭湯やプール施設を買収・改装・増改築しているSatsuki Water Worldsが手掛けた施設で、温泉やプールがあるらしい。

 

「ちょうどいいんじゃないか? 最近忙しかったしな。」

 

「それじゃ、頼んでいいんだね?」

 

「ええ、任せてください。」

 

どうすればいいか分からないが、雄二と一輝がいるし何とかなるだろう。

 




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