今話で清涼祭(一般公開)は終了ですが清涼祭編はもう少し続きます。
前話のラストで明久達が帰る描写がありましたが訂正しました。
『それでは、これより優勝者、準優勝者の表彰と新技術のデモンストレーションを行います』
司会者に呼ばれて学園長が試合会場の壇上へと上がる
学『三年Aクラス所属 常村勇作 上記のものは今回開催された試験召喚大会において準優勝したことをここに評する。同じく夏川順平 以下同文』
学園長はチンピラコンビに賞状を渡す。さすがにチンピラコンビでもこういう場面では普通に受け取っているな
学『二年Aクラス所属 坂本雄二 上記のものは―――』
学園長は僕らに賞状とトロフィー、そして『白金の腕輪』を渡してきた。そういえば教頭の姿が見えないな
学『では、これから今回開発した『白金の腕輪』のデモンストレーションに移るさね。二人とも、頼むよ』
雄「起動(アウェイクン)」
学園長の言葉に僕らは頷いて雄二は腕輪を使う。雄二に渡されたのは『代理召喚』用の腕輪で効果は教師の許可なしで召喚フィールドを展開できるというものである。ただしデメリットとして教科の選択ができないこと、召喚フィールドの展開に50点、維持に10秒ごとに1点が展開しているフィールドの科目の点数から引かれること、腕輪の発動者は召喚ができないこと、などがある
「試獣召喚!!」
召喚フィールドが展開されたことを確認してから僕は召喚ワードを唱える
「そして、二重召喚(ダブル)!!」
僕は渡された白金の腕輪の起動ワードを唱える。僕に渡されたのは『同時召喚』用の腕輪で効果は召喚獣の分身を召喚するというものである。この腕輪のデメリットは点数が2体に等分されるために点数が半分になることと2体の召喚獣を同時に扱うために操作が難しいことである。操作が難しいからこの腕輪は僕が貰うことになった
世界史
2年Aクラス 吉井明久 246点&246点
二体の召喚獣が現れたことにより会場から歓声が上がる。僕は召喚獣を操作して軽く剣劇を始めると会場からは更に大きな歓声が上がる
― 教頭室 ―
Other Side
?「くそっ!!あのポンコツ共め!!あんな問題児なんかに負けやがって」
部屋のテレビで召喚大会の決勝の様子を見ていた男、竹原俊郎(たけはらとしお)が腹立たしそうに机をたたく
竹「まぁいい。何故かは知らんがあの屑共は高得点だ。腕輪が暴走すればどうとでもなる。クハハハハハ」
竹原が高笑いをする中、会場ではデモンストレーションの準備に入っている
竹「さぁ、暴走するとも知らずに使ってみろ。あの老いぼれババアは不具合のことを忘れてんだろうな」
竹原が下種な笑い声を上げているとテレビの中では雄二が腕輪の召喚ワードを唱えるが…
竹「なに?!暴走しないだとっ?いや、坂本は文系の点数が低かったからそのせいだろう」
暴走しないことに慌てるが雄二が文系科目が苦手だった事を思い出して冷静になる
竹「だが、吉井の方の腕輪は平均点ですら暴走するはずだ。日本史があの点数なら世界史も高いはず」
竹原の言うとおり一輝が修正するまでは明久の持つ同時召喚の腕輪はDクラス程度の点数ですら暴走するものだったが……
竹「なにっ?!500点近くなのに暴走しないだとっ?!これだと私の計画がっ!!」
コンコン コンコン
竹原が頭を抱えていると教頭室のドアがノックされる
竹「誰だ?」
竹原は不機嫌そうに相手に問いかける
?「警察のものですが竹原俊郎さん。あなたにお話があってきました」
竹「(警察だとっ?!あの誘拐の件か?だが令状とかは無いはず。あくまで任意のはずだ)少々お待ち下さい」
竹原は相手が警察だとわかると焦った様子だったが直ぐに冷静になり書類(文月学園崩壊計画など)などをしまい、パソコンの電源を切るとドアを開けて相手を出迎える
竹「お待たせしました。どうぞお入りください」
竹原に促されて入ってきたのは警官3人だった
警1「本日伺ったのはあなたに誘拐と誘拐教唆の罪で捜査令状と逮捕状が出ているため我々に同行してもらうために来ました」
竹「誘拐?私がですか?それに逮捕状なんて何か証拠でもあるんでしょうか?」
警官中で一番年長だと思われる男が二枚の書類を机に出すが、竹原はあくまで冷静に対処する
警2「昨日逮捕した誘拐犯の証言とあなたのパソコンから送られたメールがあります」
20代前半の警官が竹原の送ったメールのコピーを差し出す
竹「教唆の方は分かりましたが、誘拐とはどういうことでしょうか?」
竹原は何とか罪を軽くしようとするが
警1「刑法60条に『共同正犯』というものがありまして、自ら実行しなかった行為から生じた結果にも刑事責任と言うのは生じるんですよ」
その一言で竹原は項垂れて抵抗をやめた。誘拐から1日で竹原が捕まった裏には明梨の父の透や警察関係者である日向の父が関係している
Side out
「ただいま~」
明「おかえり。明君、坂本君、優勝おめでとう」
日「1対2で勝つなんて流石ですね」
一「まぁ、あんなセコいチンピラに負けるわけないだろうが流石だな」
優「ほんと、その強さは反則よね」
僕達が教室に入るとそれに気付いた明梨、日向、一輝、優子さんがこっちに来て称賛の言葉を述べる。…面と向かって褒められると照れるな
翔「…雄二、おめでとう」
雄「あぁ、約束だからな」
雄二も褒められて顔を背けている
秀「お主ら、話は後にして接客をしてくれんかのぅ?」
紫「そうね。二人が優勝したから繁盛しているのよ」
愛「ネコの手も借りたいってこういう事を言うんだろうネ~」
秀吉と神谷さん、工藤さんに注意されて僕らは接客を再開した
『ただいまの時刻をもって、清涼祭の一般公開は終了しました。各生徒は速やかに撤収作業を行ってください』
「ふぅ~、やっと終わった」
秀「さすがに疲れたのぅ」
康「……(コクコク)」
流石にAクラス、しかも召喚大会で優勝したから客足は途絶えることが無かったのでみんな疲れているようだ。終了の放送と同時に座り込んでいる人もいた
雄「皆、疲れているところ悪いが食い物関係だけ後片付けだけしてくれ、その後は明日にやればいいから」
雄二の言葉に僕らはテーブルに残っている食器類やキッチンを軽く片付ける。後は明日の撤収時間で何とかなるだろう
竹原には監獄に入ってもらいました。
この作品を書いていると刑法について詳しくなりますね。指示をした場合などでも共同正犯になるらしいので皆様お気を付け下さい。