祝☆劇場版公開記念! ガルパンにゲート成分を混ぜて『門』の開通を100年以上早めてみた   作:ボストーク

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皆様、こんにちわ~。
ついに十日連続投稿になってしまった作者です(^^
いや順調に執筆できるのはいいのですが、反動がコワイ(滝汗)

さてさて、今回のエピソードは……全てはみほの安否ですよね?
果たして西住隊長の命運やいかにっ!?

そして今更感のある”亜神”のサブタイの意味も、前話投稿の後にこっそり付け足した「ボーイズラブ」の赤タグの意味もなんとなくわかる仕様になってます(^^





第18話 ”亜神です!”

 

 

 

皆さんは【ゲマトリア】と【ノタリコン】という言葉をご存知だろうか?

どちらもユダヤ教の神秘主義”カバラ”に関する用語で、ゲマトリアが「聖書の言葉に隠された意味を読み解く」というものでノタリコンが「文や単語の連なりの頭文字を取って新しい単語を作ったり、単語からもとの文や単語の連なりを復元する」というものだ。

 

では、聖書を『攻撃呪文(術式)が記された魔導書』と置き換えてみて、この二つを組み合わせれば何が出来るだろうか?

 

 

 

***

 

 

 

圧倒的な火力を誇るイタリカのニホン軍の”鋼鉄の獣”や”鋼の翼竜”に隠れていた森を焼かれ、逃げ出せば追いかけられ、別の群れに待ち伏せされ包囲された。

獣達が放つ火弾により為す術なく仲間は殺された。

敬愛する主が降伏を申し出たのは致し方のないことだった。

 

だが、事もあろうに見知らぬ小娘が美しい主の顔を蹴り上げたのだ!

 

(あの小娘だけは許せん……!!)

 

だから、”男”は術式を練った。

周りにはそれは彼の信じる神、”ラー”への祈りにしか聞こえなかっただろう。

しかし、それでよかった。

男は「魔導師」だった。

しかし、繰り出せる技は天才”レレイ・”エム”・レレーナ”などと比べるなら比較にならないくらい小さな威力の攻撃魔法しか使えなかった。

例えるなら「人一人をようやく殺せる」レベルの威力だ。

小~中型拳銃弾と同じ程度と考えていいかもしれない。

 

だがレレイにはない特性、いや特技ともいえるか?が男にはあった。

それは「神への祈りの言葉に魔法発動術式(じゅもん)を紛れ込ませる」ことだった。

しかも魔法発動に必要な魔法陣(テンプレート)を小さく展開するのも得意だった。

主人から命じられた普段の”裏仕事”ではぶかぶかのローブの内側に展開させたこともあった。

腹ばいになってる今も少し浮かせた腹の下にテンプレートを展開していた。

魔法の威力は大体テンプレートの大きさに比例(大きなテンプレートの方が同時展開できる術式数が多い)するが、男は小さなテンプレートを積層させることでそれをいくらか補っていた。

 

かつてと違い、今の戦争で魔導師が主役となることは普通はない。

呪文詠唱などの魔法発動などのタイムラグがあり、またその威力は今の基準なら総じて高いとはいえない。射程も普通は弓矢と比べるレベルであり、小銃と比べるようなものではない。

高速化し、銃砲が登場し、質量弾の撃ち合いの様相を呈した現代戦場ではあまりに不利であろう。

それに魔法を扱える資質を持つ者は少なく、しかも養成の手間だってかかる。

国家としたら、魔導師と銃士……どちらが大量育成し易く、またコストパフォーマンスに優れてるかなど考えるまでもないだろう。

 

発動の遅さをものともせず、それを補って余りある強力な魔法を使って今でも戦場の主役の一角になりえるレレイが異常なのだ。

 

 

 

こんな時代にヘルムの援助を得て男は魔導師となった。

無論、幼い頃……拾われた頃から男娼のように毎晩のように求められたが、男にとってそれは当然だと思った。それにそうやって必要として求められるのも嬉しかったし、淫欲に染まるのは心地よかった。

むしろ、ただの男娼としてだけでなく魔法の才能を見初められて、魔導師にしてもらった時は一層忠誠と愛が深くなった。

 

だから男は考えた。

戦場で主役になれない魔導師が、どうすれば愛するヘルム子爵のお役に立てるのかと。

そして行き着いたのが、編み出した呪文を祈りに紛れ込ませ極端にテンプレートの小さい、事前に相手が気が付くことのない”静かな魔法”だった。

その”静かな魔法”を使ってご主人様にとって「生きてては都合の悪い相手」を葬っていた。

 

だが、その大事な大事なご主人様がコロサレタ……

 

「閣下!? ”よくも”っ!!」

 

”よくも”っ!!……それが展開していた術式を”攻撃魔法”として成立させる発動トリガーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

************************************

 

 

 

 

 

 

「えっ?」

 

”ドシュッ……”

 

魔法を放つ直前にみほが放った銃弾の前に男は撃たれ、倒れた。

しかし命と引き換えに放った魔法は、男の執念が乗り移ったようにみほの身体に命中する。

放たれたのは”硬度”を感じられるまで静かに静かに圧縮された空気の塊を放つ攻撃魔法……みほの身体はトラックにはねられたように数m跳ばされ、地面に叩きつけられバウンドしてようやく止まった。

 

術式の練が足らなかったのか身体を貫通することはなかったが、その分威力全てが当たってしまったようだ。

そして皮肉にも、男が生涯最後に放った魔法は、男の生涯最高の威力を発揮していた……

 

 

 

「西住隊長っ!?」

 

「みぽりんっ!!」

 

力なく横たわるみほにいち早く駆け寄ったのは、いち早く魔法の発動に気が付いた優花里と沙織だった。

 

「このっ!」

 

そして同時に動いたのはすばしっこい麻子だ。

彼女はみほが肩から背負っていたチ26式軽機関銃を手に取り、腹ばいになる”帝国”兵に銃口を向ける。

 

「お待ちなさい!」

 

そう声を張り上げたのはみどり子だ。

 

「そど子! 止めるな!!」

 

麻子の言葉にみどり子は首を横に振り、

 

「別に止めないわよ。ただ、手順を踏みなさいって言ってるの」

 

ベ28式短機関銃の安全装置を外しながら……

 

「降伏したにも関わらず攻撃の意思を見せ、実行した……これは立派な”偽装降伏による破壊工作”よ。この時点で彼らは敵国の『正規戦闘員』の資格は剥奪され、扱いは『非正規不法戦闘員(テロリスト)』として扱われます!」

 

そう宣言しながら、短機関銃の銃口を”帝国”兵に向け、

 

「テロリストにはハーグ陸戦規定条約は適応されず、国際慣例的に裁判も不要です! 中隊付き憲兵の権限により実力をもっての排除を許可します!」

 

 

 

***

 

 

 

「ま、まってくれっ!」

 

「俺達は関係な……」

 

「撃ったのはそっちが先……」

 

口々に物言いをする男達に、

 

「問答無用」

 

”TaTaTaTaTaTaTan !!”

 

みどり子は返答代わりにフルオートで9mmパラベラム弾をばら撒いた!

 

「うむっ!」

 

それに麻子の銃撃が加わる。「小さな身体に大きな銃」とはなんのキャッチフレーズだったか?

彼女を”銃使いの少女(ガンスリンガー・ガール)”と呼ぶのは少し違う気がするが。

もちろん……

 

「騙まし討ち上等よぉ~♪ でもオトシマエはつけてもらうわねぇ♪」

 

とロゥリィがハルバートともに乱舞する!

それにみほの変わりに華が放つ武2式重機関銃(M2ブローニング)と無表情に腰のベレッタM1934拳銃を引き抜いた杏が加わるのは直後のことで、それが包囲していた部隊全員参加の”射的大会”に発展するのは必然だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**********************************

 

 

 

 

 

 

「西住隊長! しっかりしてくださいっ!」

 

「みぽりん! 傷は浅いよ!」

 

目立った外傷はないが、鼻からも出血し顔も血の気の失せた土色になっていた。

仰向けにした身体からはまだ体温も鼓動も呼吸も感じられるが、それは少しずつ弱くなってきてるのがわかる。「即死しなかっただけで、このままじゃ遠からず……」という思いは二人にもわかった。

正直、衛生兵が来るまでみほが持つ保証はなかった。いや、例え間に合ったところで衛生兵の持つ軍用救急治療道具(ファーストエイド・キット)でどうにかなるとは思えない。

後方の……イタリカの軍病院まで搬送できればどうにかなるかもしれないが、ヘリコプターのないこの時代、それはあまりに時間がかかりすぎる。

 

「どいて」

 

そう短く声をかけて割って入ったのは、杏に同行していたレレイだった。

彼女は手をかざし、みほの身体に術式でスキャンをかけるが……

 

「ひどい内出血を起こしている……内臓のいくつか損傷。ショック死しなかったのは運がいい」

 

沿う淡々と事実のみを告げる。

 

「西住隊長は助かるのですかっ!?」

 

そう詰め寄る優花里にレレイは揺らぎのない感情で、

 

「治癒魔法をかけてみる。ただ、万能治療薬(エリクサー)ほどの効果は期待できない」

 

しかし、その希望とも絶望ともとれない情況の中で、

 

「あらぁ~。エリクサー(そんな物)よりもっといいものがあるわよぉ~」

 

そう血塗られたハルバート片手に現れたのはロゥリィだ。

彼女は意識のないみほの手を取ると、

 

(せっかくお友達になれたんですもの。例えエムロイにだって、簡単にはあげないわよ?)

 

”がぷっ”

 

 

 

「ちょっとっ!?」

 

いきなりみほの二の腕に噛み付いたロゥリィに驚愕と怒りを合わせて叫んだのは沙織だった。

だが、ロゥリィは噛みながらもごもごと口を動かし、

 

「いいひゃらおひょなひふみれぇいらひゃい(意訳:『いいから大人しく見ていなさい』)」

 

”ちゅぱ”

 

そしてしばらくすると口を離した。

 

「えっ?」

 

驚いたのは優花里だ。

なにせロゥリィが口を離した途端、今度は見る見るみほの顔色がよくなってきたのだから。

それどころか……

 

「う~ん……」

 

さっそく意識まで戻ってきたのだ。

 

「西住隊長っ!?」

 

「あれ? 優花里さん……えっと、わたしどうしたんだっけ……?」

 

少しまだ記憶の混濁があるようだったが、

 

「みぽりん、魔法に撃たれたんだよっ!?」

 

そう抱きついて涙を滲ませたのは沙織だ。

 

「沙織殿ズルイですぅ! 自分もであります!」

 

とちゃっかり自分も抱きつく百合仔犬……じゃなかった。秋山優花里である。

二人の美少女に抱きつかれるという両手に花(同性だが……)状態のみほは、少しずつ記憶が鮮明化してきたのか、何か思いあったような顔をする。

 

「あー……もしかしてわたし、ドジちゃった?」

 

 

 

***

 

 

 

「その通りよ」

 

そう硝煙臭いベ28式短機関銃片手にやってきたのはみどり子だ。

 

「まったく……次からは気をつけなさいよ? 油断して死にぞこないの魔法喰らうなんて、洒落にも冗談にもならないじゃない」

 

「ごめん。皆に心配かけちゃったね……」

 

「べ、別に私は心配なんかしてないわよ!」

 

なぜか慌てるみどり子に、

 

「嘘付け。人を止めといて真っ先に発砲したくせに」

 

鋭く突き刺さるのは、持ってる人物のせいか妙に大きく見える軽機関銃ぶらぶらさせながら、いつの間にか後ろに立っていた麻子のツッコミであった。

 

「うっさい!」

 

 

 

***

 

 

 

「ミホ、どう? 多分、もう痛いところはないはずだけどぉ?」

 

そういつもどおりの笑みを浮かべるロゥリィに、

 

「あっ、うん。大丈夫みたい」

 

上半身だけを起き上がらせて試しにぐるぐると腕を回してみるみほ。

 

「ちょっとまって。一応、確かめてみる」

 

レレイは手をかざし治療用の探知魔法でみほの身体を再びスキャンしてみるが、

 

「うん。本当に問題ないみたい。傷は完全治癒。後遺症もないと思う」

 

本来は台詞の中に入る「不自然なくらいに」という単語をレレイは自然に飲み込んだ。

ただ変わりにロゥリィの顔を感情が読めぬ目でじっと見ただけだ。

ロゥリィは相変わらず静かに微笑んでいた。なのでレレイは小さく溜息を突いただけの反応でとどめるのだった。

 

「もしかしてレレイさんが治してくれたの? 治癒魔法とかで?」

 

だが、レレイは首を横に振り、

 

「違う。ミホを治したのはロゥリィ」

 

みほは視線をロゥリィに向け、満面の笑みで……

 

「命を助けてくれて本当にありがとう。ロゥリィ」

 

するとロゥリィは今度こそクスクスと笑い出して、

 

「気にしなくていいわよぉ。今、ミホに死なれたらつまらないものぉ」

 

「あはは……」

 

あまりにらしいと言えばらしい物言いに、つい苦笑してしまうみほだったが、

 

「ところでロゥリィって治癒魔法とか使えたんだね? それともエムロイ神の神通力とかかな?」

 

ロゥリィは一瞬、きょとんとした表情になると、更におかしそうに笑う。

 

「違うわよぉ。ただミホの傷をわたしに移しただけよぉ♪」

 

「えっ!?」

 

彼女は典雅な笑みで、

 

「大したことないわぁ。もう治っちゃったもの」

 

「でも、瀕死の重傷だったんじゃ……」

 

「う・ふ・ふ~☆ いいこと? 亜神を人間と同じと思ったら駄目よぉ」

 

 

 

***

 

 

 

「西住ちゃん、無事で何よりだねー」

 

そうやってきたのは拳銃を撃ってたときの無表情からいつもの呑気な顔に戻っていた杏と、

 

「みほさんっ! ご無事でないよりです! みほさんの敵はきっちりとっておきましたから。ええ。満遍なく挽肉にして差し上げましたわ」

 

口調は丁寧だが内容は物騒な華だった。

 

 

 

「結局、情況はどうなったの?」

 

みほの質問にみどり子が代表してこう端的に答える。

 

「テロリストの処置は、言わなくてもわかるでしょ?」

 

「なるほど……では、”公的”な報告は?」

 

視線を向けた先は杏だ。

しかし、彼女は無理難題を言い出すときの笑みで、

 

「西住ちゃんが考えていいよー」

 

普通なら怒っていいところなのだが、そんな無茶振り(もん)は学生時代に通り抜けてるみほはしばし逡巡し、

 

「敵は降伏勧告にも関わらず最後まで抵抗を続け、最後の一兵まで司令官を護るために戦い、そして司令官は逃げられないと観念し自決……というシナリオはどうでしょう?」

 

ロゥリィは興味深そうに、

 

「ねぇ、ミホ……どうして敵の名誉を護ろうとするのぉ? 情況を考えれば、ありのまま報告しても別に問題ないわけでしょう?」

 

「真相はちゃんと”非公式”に上にあげますよ? 公文書に残らない形で」

 

しかし、みほはあっさりと言うと、

 

「ただ、”悲劇的な英雄の死”としておいた方が都合がいいんですよ」

 

クセのある笑みを浮かべていた。

 

「敵にとっても味方にとっても、ね」

 

 

 

「どういうことかしらぁ?」

 

「”帝国”は敗戦を美談で糊塗できますし、日本は市民向けプロパガンダを作りやすくなるし、その上この先”帝国”は『英雄を越えるパフォーマンス』を来年以降の侵攻軍司令官に求めることになる。それにきっと……」

 

「きっとぉ?」

 

みほは笑みに滲む影をより一層強くして、

 

「”有効だった今回の戦術やアイデア”を使いにくくなる。だって『味方を全滅させ討ち死にさせた悲劇の英雄』が使った”失敗”として記憶されるはずですから」

 

「ミホって思った以上に頭が回るのねぇ♪ 正直、感心したわぁ」

 

「エムロイの亜神様にお褒め戴くとは光栄至極」

 

みほは芝居がかった台詞を述べてすっと立ち上がると、

 

「中隊長、遺体処理は司令部に回してもらって、わたし達は行軍準備をしませんか?」

 

「西住ちゃん、どこに行きたいのかな?」

 

みほの満点回答に自然と笑みの零れる杏が聞き返すと、

 

「あの”黒焦げの森”ですよ」

 

「ん? 斬敵掃討? だったら敵兵、もういなかったよ?」

 

どうやら後詰めの任はきっちりこなしたらしい杏。

しかし、みほは首を横に振り、

 

「違いますよ。イタリカにいる敵はまだ司令部の壊滅を知らない。そして彼らは夜戦準備は持っていなかった……きっと戦は夕方には一旦終わるでしょう」

 

杏はポンと手を叩き、

 

「そして撤退許可を得るために本部へと戻る?」

 

みほは頷きながら、

 

「今から森の近くに布陣すれば、夕闇や夜陰にまぎれられるでしょうから。『英雄悲話』にもう一輪、花を添えましょう」

 

「うふふ。それはきっと、鮮やかな(べに)の花でしょうねぇ」

 

そう相槌を打つのは華だった。

 

 

 

「あははははははっ!! ミホ、やっぱり貴女って最高よぉ☆」

 

ロゥリィは大声で嗤いだす。

最高の友人、エムロイを人間にしたような彼女の思考と感性を祝福するように……

 

「だって、『何かを為す時は徹底的に』が西住流兵法の教えですから♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、ご愛読ありがとうございました。
みほが賢く、それ以上にエゲツない方向で頭の冴えを見せる回はいかがだったでしょうか?

はい♪ 何人かの皆様がご指摘してくださったように、みほはロゥリィを通じて「エムロイとの縁」が間接的とはいえできてしまいました(^^
「ゲート」の原作版を読んでいる皆様には、ロゥリィがみほに何をしたかお察しいただけたかと思います(笑)

さて、最後の山場も終わりどんどん最終話に近づいてますが、最後まで走り抜けるぞー!……走れたらいいなぁ。
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!



***



設定資料



武2式重機関銃
全長:1645mm
重量:38100g
使用弾薬:12.7×99mm(50口径BMG)
装弾数:金属製ベルト・リンク給弾方式
発射方式:フルオートマチック
発射速度:485発/分-550発/分(陸上型) or 635発/分(航空機関銃型)
銃口初速:881m/s(M33弾使用時)
バリエーション:三脚据置型、車両搭載型、航空機搭載型がある。

武1919式機関銃
全長:1219mm
重量:14000g
使用弾薬:7.62×63mm(30-06スプリングフィールド)
装弾数:金属製ベルト・リンク給弾方式
発射方式:フルオートマチック
発射速度:400発/分-600発/分
バリエーション:三脚据置型、車両搭載型、航空機搭載型がある。(二脚の軽機型は採用を見送られた)

備考
1924年(大正13年)、前年の関東大震災で製造施設の破壊などにより不足気味だった砲銃弾を補うために締結された『日米砲弾/弾薬相互間協定』により大日本帝国三軍に幅広く採用されている機関銃で、武2式重機関銃が”M2ブローニング重機関銃”の、武1919式機関銃は”ブローニングM1919重機関銃”のそれぞれライセンス生産モデル。
特に『門』外勢力の翼竜に悩まされていた日本にとり、大口径高威力のM2は福音であり、アメリカで生産開始が1933年にも関わらず1934年には早速日本でもライセンス生産が始められている。

さて、ディテールに移る前に大日本帝国の機関銃の区分について書いておこう。
これも史実とは少し違っていて、

重機関銃→使用弾が2cm以下1cm以上の口径を持ち、なおかつ地上型で三脚もしくは銃架に搭載して使う機関銃。史実の陸軍では、このクラスかそれ以上の機関銃を”機関砲”と故障していたが、”この世界”では三軍で名称と規格が統一され、口径2cm以上から機関砲。略語は”重機”
例:武2式機関銃

機関銃→使用弾の口径が1cm以下で地上型は三脚もしくは銃架に搭載して使用する機関銃。日本軍に一番最初に採用されたホチキス機関銃がこのタイプだったので基準がこのクラスになった。ただし、三脚や銃架に搭載する機関銃全てを重機関銃とする表記もある。
例:武1919式機関銃

軽機関銃→使用弾の口径が1cm以下で二脚を用いて使用する機関銃。軽便で歩兵一人でも運搬できるというのが基準。基本的に小銃弾を使い現在では分隊に1丁は配備されてるがが、弾倉(マガジン)まで共用できるタイプは特に”分隊支援機関銃(もしくは分隊支援火器)”と呼ばれることもある。略語は”軽機”。
例:チ26式軽機関銃(『特地』)、九六式軽機関銃(本国。6.5mm弾)、武1918機関小銃(本国。30-06弾。ブローニングBARのライセンス生産品で、空挺など一部部隊が使用)

汎用機関銃→軽機関銃としても機関銃(重機関銃)としても使用できる新世代ジャンルの機関銃。作中にはまだ登場してないが『特地』でドイツ・ラインメタル/マウザー社製のMG34の輸入品と少数のライセンス生産品が【馬34式汎用機関銃】として試験的に運用されていて、現在、日本でも同種の機関銃が開発されている。略称は”汎機”。
例:馬34式汎用機関銃

短機関銃→拳銃弾を使用し、手持ちで射撃する機関銃。略語は”短機”。

と大まかに上記のような基準となる。加えて「漢字かカタカナの識別頭一文字(武やチなど)+アラビア数字でオリジナル・ナンバーを記す」のがライセンス生産品で、漢数字が国内設計のモデルを表している。例えば「M2ブローニングのライセンス生産品=武2式、九六式軽機関銃」などだ。



基本的にオリジナルそのまんまの物ではあるが、武2式は地上用や車両搭載モデルは発射速度が毎分485発/550発にガス圧による二段階切り替え式で、航空機用(M2の航空機搭載型AN/M2に相当)は毎分635発に固定されている。
米軍のAN/M2はさらに発射速度上昇の改造を受けている(750-850発/分、1000発/分以上のモデルもある)がそこまでカスタム仕様にすると銃自体の強度ががた落ちするので、日本では標準仕様の上限値である(カタログデータの耐久性保証内)この数字に固定されている。

武1919式は、オリジナルM1919の三脚に搭載するA2/A3、車載型のA4/A5がライセンス生産されていて、表記的に各型を系番で現すことはなく「車載機関銃」などの表記で示している。発射速度はガス圧により毎分400発/600発の切り替え式になっている。
アメリカでは軽機関銃型のA6もあるが、いくらなんでも日本人の体格では大きくおもすぎるので採用は見送られている。










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