祝☆劇場版公開記念! ガルパンにゲート成分を混ぜて『門』の開通を100年以上早めてみた   作:ボストーク

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皆様、こんばんわ~。
このシリーズでは多初めての三日連続投稿を強行した作者です(^^
我ながらよく筆が乗ったなぁ~と(笑)

さて、今回のエピソードですが……みほの提案が斜め上の結果を呼び込みます。
そして、みほと聖下の掛け合いが絶好調です。
書いてて微妙な気分になるくらい相性が良い二人と言いましょうか(えっ?)





第12話 ”独立装甲大隊、編成です!”

 

 

 

通称”イタリカ要塞”、南南西32番陣地(S.S.W/32)

 

 

「ねえ、ミホ……結局、無線で話してたのってどういうことなのぉ?」

 

そう九八式重戦車の砲塔の上で地図とにらめっこしていたみほに、巨大ハルバート片手に同じように地図を覗き込んで声をかけたのは我らが亜神、ロゥリィ・マーキュリー聖下だった。

 

「そうですね……優花里さん、機銃弾の空薬莢を10個くらいもらえる?」

 

「ただいまー」

 

にゅっとキューポラから伸びてきた優花里の手から空薬莢を受け取ったみほは、まず地図上の敵司令部が布陣する森に空薬莢を四つおき、

 

「敵はここに布陣してます。装甲偵察小隊の報告だと、緑色の迷彩効果のある天幕と光学操作系の術式を展開してこちらの航空偵察を誤魔化してたみたいですね? どうりでこちらで見かける魔導師の数が少ないと思いました」

 

みほは通常の戦闘ならたまに見かける……日本軍から見れば前世紀かそれ以前の遺物レベルとはいえ”帝国”が銃砲を実用化した今となっては、戦場での価値が下落の一途を辿るとはいえ、貴重な飛び道具枠の魔導師の数が妙に少ないことに疑念を持っていたが、それもどうやら解決したようだ。

 

「ふ~ん……魔法使いを目晦ましに使ってたってことぉ? 随分、守備的な奴ねぇ」

 

「慎重なんですよ。そういう輩の方が、実際には戦いにくいんです。例えばここの位置はイタリカの重砲全ての射程外で、早馬を行き返りで交換すれば戦術的に意味のある時間で往復させられる絶妙の距離なんです」

 

みほは苦笑しながら森から南の位置に空薬莢を三つ置き、それを北に動かしながら、

 

「森の周りは視界が開けてますから、こっちが近づけば途端に逃げるでしょう。わたし達の戦車は鈍足で、何より燃料には限りがあるから追撃可能距離にも限度がある。イタリカに帰ってこれなければ重大事だし、戦車は全力で走らせれば走らせるほど、故障率が跳ね上がる乗り物ですから……全て取り逃がすとは思いませんけど、確実に取りこぼす者は存在します」

 

「面倒ねぇ」

 

「言い返せませんね」

 

みほは苦笑しながら森に配置した薬莢を動かす。

そして薬莢を元の配置に戻すみほにロゥリィは、

 

「ならヒコーキを使って追いかけたらぁ?」

 

しかし、みほは静かに首を横に振り……

 

「飛行機は確かに便利で速いですけど、滞空時間がさほど長くないし効果的な空対地兵装の搭載量に制限がかなりありますから……燃料か弾/爆弾が切れたらそこで試合終了です。それに今のところ航空機は夜に飛べませんから、追撃が長引けば確実に逃げ切られますね」

 

「早くてすぐイくなんて、典型的なベッドで女をがっかりさせる男みたいねぇ。しかも夜に弱いなんて更に最悪」

 

ロゥリィが誰と比べてるかすぐに把握したみほは、

 

「いくらなんでも相手が悪いですよ。”伯爵大佐”殿に比べるなら、男の人のほとんどが童貞ボウヤみたいなものでしょうし」

 

「あら? ミホって、ヨージに種付けされたことでもあるのぉ?」

 

今度はさっきより激しく首を横に振り、

 

「まさか。でも大佐殿のお噂と伝説は、我が陸軍に色々残ってますので。そりゃもう色々と」

 

みほはかなりソフティケートされた言い方をしてるが、彼の噂や伝説はどちらかといえば世間一般では悪行と評される物も多い。

するとロゥリィ、どことなく猫を思わせる笑みを浮かべ、

 

「きっと噂以上よぉ~。ミホもヨージの”暴れん棒”っぷりを試してみればわかるわぁ」

 

みほはいっそ清々しい笑みで、

 

「謹んで辞退しますよ。小官は戦車乗りであってロデオ・ライダーではないので」

 

 

 

「え~と、話を元に戻してですね……」

 

みほは戻した七つの薬莢に加え、森の西側に南に配置したみほ達を示してるだろう薬莢より幾分距離をあけたところに更に薬莢を三つ配置し、

 

「でも、相手が逃げ出すのがわかっているなら……こうすれば、ね?」

 

その配置を見てロゥリィはピンときた。

 

「わかったわぁ♪ 見つかってもかまわないから強襲をしかけて森から敵を追い出して、追撃かけながら伏兵のいる場所まで誘うのね?」

 

みほは大きく頷き、

 

「大正解です! さすがは”死と断罪と狂気と戦いを司る神”に仕える亜神ですね」

 

「そんなに誉められたものじゃないわよぉ。それならむしろこれを即座に考え付いたミホは自身を誉めるべきだわぁ」

 

「いいえ。だってわたし、戦争(これ)でお給料もらってますもん♪」

 

 

 

***

 

 

 

「みぽりーん、また会長から通信来てるよ~」

 

「まわしてください」

 

沙織から通信を受け継ぐなり、、

 

『西住ちゃん、あちこちから返答きたよ~。あー先ずは西ちゃん率いる2個小隊(師団司令部機甲予備)だけどさ、戦闘も落ち着いてきたし、司令部は九七式中戦車もう1個小隊追加して臨時中隊編成の12両投入していいってさ。隊長は、このまま西ちゃんが率いる方向で』

 

「思ったよりも色よい返事です♪」

 

『まだまだあるよー。歩兵科からもかき集めた手すきの【九七式歩兵支援車】1個小隊に【九八式装軌装甲兵車】2個小隊を完全武装の機動歩兵込みで出せるってさ、うち2両は”九四式軽迫撃砲(ケーハク)”搭載した火力支援型(モウターキャリア)だってさ。砲兵科からは、手っ取り早く実戦データ取りたい虎の子【九九式七十五粍自走榴弾砲】を2個小隊、装甲偵察小隊も敵野戦司令部監視で張り付いてるのとは別の1個装甲偵察小隊出すってよ? 珍しいとこでは高射科(防空担当)が【九六式四連対空自走砲】を1個小隊出すって言い出してる。なんか地上目標の水平掃射のデータを取りたいみたいだねー』

 

 

 

詳しい説明は各後書きの設定資料に譲るとしても、杏の台詞を少しだけ捕捉するなら……

 

【九七式歩兵支援車】→九五式軽戦車の主砲を短砲身57mm砲に換装したもの。歩兵の火力支援が目的で開発。

 

【九八式装軌装甲兵車】→史実の”試製九八式装軌自動貨車”の強化正規量産型。機動歩兵は輸送車で運ばれること前提の自動車化歩兵のこと。歩兵1個分隊を輸送。歩兵の代わりに旋回台座(ターンテーブル)に乗せた九四式軽迫撃砲と砲弾、武2式重機関銃などを搭載した火力支援型もある。

 

【九九式七十五粍自走榴弾砲】→今年配備が始まったばかりの自走砲。九七式中戦車の車体に全周旋回砲塔式の九〇式野砲を搭載。日本陸軍初の自走型榴弾砲。

 

【九六式四連対空自走砲】→九五式軽戦車の車体に、オープントップの防盾付き四連装対空砲架装置に50口径の武2式(ブローニングM2)重機関銃×4を組み合わせた対空機関銃装置を搭載したもの。主に翼竜対策に開発された。

 

1個小隊は普通4両編成だから……九七式中戦車12両に九七式歩兵支援車4両+九八式兵員装甲輸送車8両、九五式軽戦車4両に加え九九式七十五粍自走榴弾砲が8両、とどめに九六式四連対空自走砲が4両……これに第6戦車中隊の九八式重戦車14両を加えると、

 

「装甲戦力が合計54両……ええっ!? 物凄い大盤振る舞いじゃないですか! ちょっとした独立装甲大隊並みの兵力ですよ!?」

 

素で驚くみほ。

ちなみ歩兵も6個機動歩兵分隊(12×6=72名)+2個火力支援分隊で構成される増強中隊編成だ。

多少、戦車が多すぎるので即席感が拭えない編成だが、確かに独立装甲大隊級の戦力……大日本帝国陸軍が目指していた”諸兵科連合(コンバインド・アームズ)による火力の集中投入”の一つの完成形がここにあった。

 

だが、杏の告げる投入可能戦力はそれだけに留まらず……

 

『それと航空隊も九九式襲撃機(キューシュー)2個飛行小隊(8機)だけど確保したよん。空軍も都合が付けば支援してくれるってさ』

 

うん。杏は諸兵科連合だけでなく空陸一体戦術(エアランドバトル)まで実現したようだ。

 

「……角谷中尉殿、一体どんな魔法を使ったんですか?」

 

みほじゃなくても普通はそう思うだろう。

というか、ピークは過ぎた臭いが未だ戦い続くイタリカから、どうやってこれだけの戦力を引き抜けたんだか……

 

『べっつにー。それだけ西住ちゃんの示した作戦プラン、「敵本陣の強襲殲滅」に皆が必然性を認めたってことだよ』

 

 

 

(絶対、嘘だ……)

 

そんな簡単に戦力がかき集められるなら誰も、前線で苦労しないだろう。

 

(いくら西住虎治郎(お兄ちゃん)のコネがあるって言っても限度はあると思うんだけどなぁ……)

 

なんせイタリカにある総機甲戦力の1/5弱が投入されてるのだ。

少なくとも、陸軍大学を出たばかりの任官一年目のなりたてほやほや陸軍少佐の一存でどうにかなるような戦力じゃない。

まあ、みほも実兄の西住虎治郎少佐が、どんなコネをもってるかまでは知らないだろうけど。

 

それはともかく……

何か杏の後ろで「西住少佐は背が高くてカッコいいし、陸軍のウルトラ・エリートだし、憧れてるし、むしろストライクゾーンど真ん中だし……」とか「あっ、でもそうなると西住さんは私の義妹(いもうと)ってことに……」という何やら焦点の合ってない瞳でブツブツと危険な匂いのする言葉を呟く小山柚子の声が聞こえるような気もするが……きっと気のせいだろう。

気のせいじゃなくても多分、本件には関係ないはずだ。

 

ただ、「大洗女子」時代からの友であり部下である柚子の様子に、杏は「あちゃー、真に受けちゃったかぁ」と苦笑しながら、

 

『西住ちゃん』

 

「はい?」

 

『柚子を”お義姉(ねえ)ちゃん”って呼ぶ気、あるかい?』

 

「はいっ!?」

 

 

 

***

 

 

 

『西住ちゃん、強襲隊と別働隊の編成頼んじゃっていいかい? 今のうちに決めといた方がいいだろうしさー』

 

「えっ、でもそれは権限的に中隊長(杏さん)の方が……」

 

『いいじゃんいいじゃん。適材適所だよー。臨時編成装甲大隊の統括指揮はやったげるからさー』

 

やったげるにもなにも、階級的にも立ち位置的にも指揮官できるのは杏さんだけでは?……と言いたくなるのをみほは飲み込む。

集まるのは小隊規模ばかりで中隊丸ごとというのは第6戦車中隊だけだ。変則的な臨時編成”中隊相当”の九七式中戦車3個小隊12両率いる西絹代は自分と同じ少尉だし。

 

「しかたないですね。では僭越ながら……」

 

みほは少し考えてから、

 

「第6中隊の九八式重戦車14両と砲兵科の九九式自走砲8両、装甲偵察隊の九五式4両が強襲追撃隊の26両、残りが待ち伏せ別働隊でどうですか?」

 

『なるほどねー。航空支援と砲撃支援を受けながら第6中隊(うちら)が森のぎりぎりまで切り込み。敵が逃げ出したら鈍足のうちらを足の速い九五式がフォローって解釈でいいかい?』

 

さすがは杏。「大洗女子戦車学校」時代から、様々なシチュエーションや役職で頭を張ってきたのは伊達ではない。

その頭脳のキレは相変わらずのようで何よりだ。

ちなみに「上手く乗せて優秀な人材に仕事を回して使いこなす」のも彼女のスキルの一つだろう。

 

「はい♪」

 

『おっけーだよ。あんま猶予ないけど、陸の戦力は一度集めて詰めと確認(作戦ミーティング)やっちゃおうか? 今から集合地点言うからさ……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************************************

 

 

 

 

 

「う・ふ・ふ~☆」

 

何やら上機嫌のロゥリィ・マーキュリーに、

 

「聖下、ずいぶんと機嫌がいいですね?」

 

「あん! ロゥリィでいいわよぉ。私もミホって呼ばせてもらってるわけだしぃ」

 

「じゃあ、ロゥリィ……でいいのかな?」

 

「もっちろん♪」

 

「なんでそこまで上機嫌なんです?」

 

基本、みほは礼儀正しいのだが、不思議とこの娘……亜神というご大層な、文字通りの”人外の存在”でありながら、親しみ易いというか……なんとなく友情と愛情が入り混じったケイ・サンダースに感じるそれに近い感情をみほは感じていた。

 

「決まってるじゃなぁい♪ みほが”いい顔”してるからよ」

 

「えっ? わたし?」

 

「そうよぉ。ミホ、自分じゃ気が付いてないかもしれないけど、今の貴女ってとぉ~ってもいい顔してるわぁ」

 

「……どんな顔ですか?」

 

するとロゥリィは一層笑顔を強め、

 

「大きな戦いに挑むのに、死地へ赴くなんて悲壮感なんてかけらもない。ただただ一方的に無慈悲に圧倒的に、殺戮の前に心の揺らぎも起伏も無く、立ちはだかるものを最高の効率で滅することしか考えてない……そんな素敵で傲慢な顔よぉ☆」

 

「そんなこと……」

 

否定しようとしたが、否定できない自分がいた。

だから言い直すことにする。

 

「国家に許された破壊と殺人を行う……それが軍人という職業ですから」

 

「う・そ・つ・き」

 

ロゥリィはちょんとみほの鼻先を人差し指で突っつきながら、

 

「それはあくまでミホの行動に正当性を与える大義名分にすぎないわよぉ。貴女の心はなんて言ってるのかしらぁ?」

 

「……わたしの、心……」

 

「うふふ。い~っぱいのご喜捨、期待してるわぁ~♪」

 

 

 

「……ところでロゥリィ」

 

「ん? なあに?」

 

「いつまで戦車にのっかってるかな? 補給も終わったし、そろそろ出発したいんだけど……」

 

「だってぇ、走っていくのが面倒になったんだもの☆」

 

「一緒に進軍する気なのっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





皆様、ご愛読ありがとうございました。

サブタイの答えは、臨時編成の追撃部隊の規模だった罠(笑)
杏の交渉能力やコネは鬼畜級かもしんないっす。

そしてノリノリのみほとロゥリィ聖下(^^
どうやら相性抜群の二人は、流れ的にこのまま一緒に進軍するようですよ?
まあ、目を付けられた相手が悪かったというか……下手すれば「エムロイ様が見てる(エム見て)」状態に?
みほ、強く生きろ。

次回は再び派手な戦闘の悪寒……
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!



***



設定資料



九八式装軌装甲兵車

エンジン:統制型九〇式発動機DB52型(空冷直列6気筒ディーゼル、134馬力)
装甲:8mm
車体重量:6.5t
最高速:48km/h
武装:武1919式車載機関銃(7.62mm)×1(操縦席。『特地』限定。本国仕様の武装はオプション扱い)
乗員:3名
輸送可能兵員:12名(機動歩兵1個分隊)

火力支援型(モウターキャリア)
武装:全周回転台座(ターンテーブル)搭載”九四式軽迫撃砲(90.5mm迫撃砲。兵員キャブ)”
   武2式重機関銃(12.7mm)×1(防御盾付。九八式重戦車砲塔上の物と同一。後兵員キャブ)
   武1919式車載機関銃(7.62mm)×1(操縦席)
特記事項:機動歩兵の代わりに九四式軽迫撃砲と武2式重機関銃を搭載した火力支援分隊仕様の九八式装軌装甲兵車

備考
史実の”試製九八式装軌自動貨車”を基にして強化、量産した車体と考えていい。
基本は機甲化著しい陸上戦力、戦車を中心とする各種自動車化/装甲化戦力に歩兵を随伴させたいために考案されたという経緯がある。
他国では……例えばソ連では戦車の表面に歩兵を鈴なりに張り付かせて移動させる”戦車跨乗(タンクデサント)”という方式がとられたが、戦場や前線の跨乗兵はあまりに死傷率が高く(戦後の資料によれば、跨乗兵の激戦地での生存期間は平均二週間程度だったとする説がある)、史実に比べて早すぎるモータリゼーションの到来などにより国家がなまじ近代化してしまい、労働需要の急速な拡大により徴兵などの強制動員能力が英米よりも低くなってしまった日本では、非戦闘区域の移動ならともかく、戦闘中のタンクデサントは現実的ではないと判断された。
故に開発条件には、

「完全武装の1個分隊を輸送できること」
「装甲化し、分隊を小銃弾や榴弾/手榴弾の破片から護り、戦場で安全に展開できること」
「九七式中戦車や九五式軽戦車と同等の機動力を発揮できること」

等が盛り込まれた。
史実では「兵隊は赤紙一枚で召集できる安い兵器」という前近代的な感覚……それこそ”帝国”と大して変わらない感覚だった為に、徴兵者の多い歩兵装備にこのような「高価な装甲車」などそうそう考えられるものではなかったかもしれないが、”この世界”では全く情況が異なり、上記の理由で徴兵の割合が少なく正規の職業軍人(プロフェッショナル)が主力の日本軍は歩兵の損失は頭の痛い問題なのだ。
一般的な軍隊で言う【装甲兵員輸送車】の導入で歩兵の損失が最小限に抑えられるのなら、むしろ「安い買い物」と判断されるのは不思議ではない。
【九八式装軌装甲兵車】はこのようなバックグラウンドで開発されていた。
ちなみに従来のような徒歩ではなく、このような広義の自動車で戦場まで移動する歩兵を”機動歩兵”と呼ぶ。

また無限軌道(キャタピラ)を意味する”装軌”式となったのも戦車と随伴することが条件とされていたからだ。
従来の装輪(タイヤ)式では、当時の技術では泥濘や雪道などの悪路走破性や登坂力に問題が多かった。
ただ、欠点はコストの高さだがそれも看過すべきという判断なのだろう。
しかし、さすがに全歩兵の機動歩兵化を狙う陸軍としてはやはり単価が高いのがネックとなり、後年採用される【一式半装軌装甲兵車】は半装軌式、いわゆるハーフトラックとなっている。

基本的に車体前部に操縦席やエンジンがあり、後部が装甲で囲まれた兵員キャブという構造になっている。
ただし装甲は水平方面だけで、天井が開放されたオープントップなために垂直方向からの攻撃には弱い。

非武装で設計されていたが、敵兵と常に遭遇戦や不正規戦の危険がある『特地』では自衛用に武1919式車載機関銃が標準装備として追加された。



火力支援型は、この兵員キャブに迫撃砲を移動させず全周囲に砲撃を可能とする回転台座(ターンテーブル)に搭載した開発の経緯から”軽”という文字が入っていても通常歩兵部隊が扱うには少々重い九四式軽迫撃砲(159kg)や武2式重機関を搭載し、「機甲化した火力支援分隊」の役割を担うモデルである。







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