大学生ボッチの一人暮らし   作:なかのん。

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続きです!


大学生ボッチの一人暮らし 2

 

 

 俺が部屋の合鍵を雪ノ下に渡した事によって俺の生活に3つの変化が起きている。

 

 ・ほとんど毎日夕方になるとメールが来る。

 ・俺が家に帰り着くとすでに雪ノ下は家にいる。

 ・雪ノ下の家具が増えてきている気がする。

 

 まるで同棲している恋人のような状況なんだが俺は勘違いなんてしない。

 第一、友達ですら断られるのに恋人になどなれるはずがない。

 そんなこと分かり切っているからこそ俺は今日も普段と変わらず雪ノ下と接していられる気がする。

 

 「今日の夕飯は何がいいかしら?」

 

 「うまいもんなら何でもいい」

 

 雪ノ下は「そう」と言うと台所へ向かった。

 今日も雪ノ下の旨い飯を食えると思うと心がピョンピョンしてしまう。

 飯ができるまでに風呂でも沸かしとくかな。

 

 風呂場から戻ると俺の携帯と雪ノ下の携帯がほぼ同時に鳴った。

 由比ヶ浜からのメールだった。何だろう珍しいな。

 

 

 

 To.★☆ゆい☆★

 

 件名:やっはろー!

 

 久しぶり!さっきいろはちゃんと偶然会って懐かしい話してたらヒッキーとゆきのんも呼んで4人でご飯食べにいこーって話になってるんだけど行かない!?( *´艸`)

 

 

 なるほど。ちょうど雪ノ下と俺は一緒にいるし行けるっちゃいけるんだが、彼女は今夕飯を作ってくれている。

 しかも上機嫌に鼻歌も歌っている。でも由比ヶ浜からの誘いだし行くって言いそうだな。

 聞くだけ無駄だろうが一応聞いてみるか。

 

 「雪ノ下由比ヶ浜からメールで飯食いに行こうって来てるけどどうする?」

 

 すると鼻歌を止めて少し沈んだ声で雪ノ下は答えた。

 

 「私は別に構わないけれど…あなたは行きたいの?」

 

 あれ?なんか予想していた答えと少し違った。由比ヶ浜に優しい雪ノ下はてっきりすんなりそっちに行くと思っていたんだが。

 予想を外すとは雪ノ下検定1級も返上かな……

 彼女はノリノリで料理を作っていた。そこに「外で食べよう」なんて言われたら誰でも思うところはあるだろう。

 

 「まあせっかくお前が作ってくれてるんだし断っておこうぜ」

 

 そう言うと雪ノ下の瞳に光が差した。

 

 「そ、そう。では由比ヶ浜さんと一色さんには悪いけれど断る方向で」

 

 心なしか彼女の顔が赤い気がした。

 そんなに今日の飯は自信作だったのか。そうか楽しみだな。あいつらにも……ってそうか。その手があったか!

 

 「雪ノ下、俺ん家にあいつら呼べばみんなで飯食えるぞ!俺って頭いいな。呼んでもいいか?」

 

 高校時代、葉山に「みんなってなんだよ。母ちゃんにみんな持ってるよーって物ねだるときに使うみんなかよ」とか皮肉を垂れていた俺がまさか「みんな」って言葉を使うことになるとは。人間どうなるか分かったもんじゃない。

 

 「…まあ貴方が構わないのなら別にいいのだけれど!」

 

 何故か雪ノ下は不機嫌になってしまった。なんだよナイスアイディアだと思ったのに何が不満だったのか分からなかった。

 まあ、とりあえず返信っと。

 

 

 

 由比ヶ浜と一色はすぐに来た。

 

 「ヒッキー、ゆきのん!久しぶりやっはろー!」

 

 「雪ノ下先輩とせんぱい、お久しぶりですー」

 

 そして俺の家に入るなり部屋の中を一通り見まわしてとりあえずマーキングと言わんばかりに二人はベッドに寝そべった。おい、何してんだよ雪ノ下めっちゃ見てるし…

 

 「ねえ、ヒッキーゆきのんと同棲してるの!?ベッドからゆきのんの匂いがするし…」ウルウル

 

 「せんぱい、雪ノ下先輩とどういう関係なんですか?」ニッコリ

 

 いきなりとんでもないことを口走った。

 

 

 

 

 「あ、貴方たちね、言っていいことと悪いことがあるのよ。私は同棲なんてしていないし貴方たちが想像しているような関係ではないもの…ね?比企谷くん?」

 

 なんでちょっと動揺してんだよ。

 まあ、間違ったことは言っていないので俺は必死に縦に首を振る。

 

 「そうだ。同棲なんてしていない。ただ雪ノ下が部屋の合鍵持ってて一緒に飯食ったりダラダラ生活してるだけだっつーの。勘違いしないでよねっ」

 

 「勘違いしないでよねっ」のとこで一色に「うわっ」って言われた。いつも通り快調快調!

 繰り返すが俺と彼女はそういう関係ではない。

 ただどういう関係なのかは俺もわかっていないのだが。

 

 「それにしても随分とゆきのんの荷物が多い気がするんだけど」

 

 そう言われた雪ノ下はビクッと反応した。

 これに関しては俺も知りたいと思っていた。

 

 「そ、それは、そう。無いよりあることに越したことはないからよ。調理器具とか…他はついでよ。やましいことなんて無いわ」

 

 俺は成程。と納得してしまっているのだが二人は違うらしい。

 

 「ふーーーーん?本当に?ゆきのん」

 

 由比ヶ浜は雪ノ下をジト目で見た。雪ノ下は居心地が悪そうに俺の後ろに隠れた。

 

 「せんぱい、本当にやましいことは無いんですか?ここまで来て逆になんもないと言われても流石に怪しいんですけど」

 

 まずいな。これが修羅場ってやつなのか?ん?この修羅場って俺が原因なのか?

 とにかくこの場を納めねば…葉山のように「THE ゾーン」が使えれば…まあ、そんなもんただの幻想なんだけど。あいつはあいつで苦悩してたし。

 

 「一色、バカなことを言うもんじゃねえぞ。さっきも言ったじゃねえか。やましいことなんて本当に何もないんだ。そもそも俺と雪ノ下がそういう関係に見えるか?勘違いも大概に…痛って!」

 

 後ろで身を隠していたはずの雪ノ下にわき腹を手刀で殴られた。

 なんだよ!かくまってやってたのに!

 

 雪ノ下はまるでゴミを見るかのような目で倒れた俺を見て、由比ヶ浜たちに呼びかける。

 

 「そこで倒れている愚かなゴミ…いえ、比企谷君の事は放っておいてご飯にしましょう。食べながらでも私からもう一度説明するから」

 

 そういうと二人は納得し、喜んでガールズトークをしながら旨い飯を食っていた。

 一方俺はというと雪ノ下の会心の一撃が上手くツボにクリーンヒットしたせいで倒れっぱなしだった。

 おかげさまで飯も食えていない。腹減ったな。

 だが倒れっぱなしだったこともあり3人のパンティを見ることに成功した。変態で最低だな俺。だが、飯も食わせてもらえなかったんだこのくらいの幸せは許してほしい。

 

 ちなみにみんなピンクではなかった。

 

 

 「なるほどね~。それでゆきのんがヒッキーの部屋の合鍵をゲットしたんだ。でもヒッキーはゆきのんに対して全然そんな感じになってないとか…分かるよゆきのん!」

 

 「ふむふむ成程。せんぱいガード固いように見えて案外チョロ…なかなか強敵ですからね。心中察し致します雪ノ下先輩」

 

 俺が復活するまでの間、雪ノ下は二人にちゃんと説明してくれていたようだ(俺はパンティと闘っていた)

 そして二人の反応も疑いから呆れとと同情になっていた。なんで?

 話し終えた雪ノ下もなんか落ち込んでいて気まずい空気になっていた。

 しまいにゃ俺のせいでした。って感じになっていた。

 

 「待て、俺は悪くない。社会が悪い」

 

 なにがあったかは知らんが俺は悪くない。弁解しとく事に越した事はない。

 

 「いえいえせんぱいが悪いですよ100パー」

 

 「ヒッキーが悪いよ!絶対!」

 

 二人に思いっきり非難されてしまった。

 

 「酷いわ比企谷君」

 

 雪ノ下まで言い出した。なんで泣きそうになってんだよ。俺なんかしたっけ?まさかパンティの事か!?

 多数決したら3対1で俺が悪いってことになってしまう。

 そうか。これが僕たちの不等式。僕たちの不当式…

 なぜ自分が悪いのかわからないのでとりあえず聞いてみる。

 

 「何が悪いんだよ?雪ノ下の事か?俺と雪ノ下の間にやましいことなんて一切ないぞ。まずありえない」

 

 とりあえずそう断言した。

 すると雪ノ下は何も言わず立ち上がり部屋から出て行ってしまった。

 頬に光るものが見えた気がした。

 

 「ゆきのん!?ちょ、ヒッキーもっと女心考えるし!」

 

 由比ヶ浜は雪ノ下を追いかけて行ってしまった。

 何が起こったのか全然状況を理解できていない。

 何故俺は責められたのだろうか。

 何故雪ノ下は泣いて出て行ったのだろうか。

 女心?一番ないと思っていた結論にしか行きつかない。

 むしろその結論以外でこの状況になることはないだろう。

 ならば俺が間違えていたのか。

 そうだとしても分からないことがある。

 

 「せんぱい」

 

 いきなり耳元に甘い吐息がかかる。

 

 「なんだ一色か。お前は雪ノ下を追いかけて行ったりしないのか?」

 

 「雪ノ下先輩の涙の理由、分かりましたか?」

 

 質問に質問で返してきやがった。

 

 「まあ何となくは。由比ヶ浜にあんなこと言われたらな。それにその理由でしか雪ノ下が涙を流す理由が思いつかん。これが勘違いだったらもう恥ずかしくて自殺するしかなくなるまであるけどな。俺も今から追いかける。お前はどうする?」

 

 即答すると一色は少し寂しそうな顔をした。そして首を横に振った。

 

何故かはわからないがそんな事考えてる余裕がなかった俺は「分かった」と短く返事して走り出す。

 

 しかし一色は走りだした俺の肩をぐいっと引っ張り床に押し倒したのだ。

 

 瞬間、唇に柔らかいものが触れる。

 

 口呼吸ができない。

 

 鼻で呼吸すると一色の匂いがする。

 

 何かで口が塞がれてしまっている。

 

 目の前に少し潤んだ一色の瞳がある。

 

 つまり唇を奪われたのだ。

 

 「雪ノ下先輩は多分、せんぱいとこういう関係になりたかったんですよ」

 

 「私もせんぱいからこういうことされたいんです」

 

 「お部屋の合鍵だって私も欲しいです」

 

 「だからせんぱい、私と付き合ってください」

 

 

 






更新遅いと思いますがよろしくお願いします!

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