今回、久々にこの作品の執筆したのでおかしい部分もあるかと思いますが、ご了承ください。
朝、それは一日の始めであり、仕事への活力を養うものである。
僕の場合、自室のベッドで十分睡眠をとるのが一番いいのだ。
ベッドでとる睡眠は格別にいい。その日の疲れを完全に癒し、体に入った力を抜いていってしまう。いわゆるダメ人間製造機(僕命名)だ。
まあそれはさておき、現在僕は今まで想像だにしなかった所で朝を迎えた。
その場所はーーーー
「……………まさかの寝落ちっすか」
346プロダクション、シンデレラプロジェクトルームに併設された執務室だった。
なぜ?そんなの決まっている。
僕は深夜二時までデスクワークに励んでいた。だが、大学のテスト勉強やらメンバーの対応やらで疲れていたのだろう。いつの間にか寝てしまっていた。
そうして今に至るのだけれど。
「どうしよ………」
目を擦りながら呆然とする。
前まで朝帰りはあったけど、連絡はしていた。最初のほうはしてなかったけれど。
そのため、今現在の家の状況が手に取るようにわかる。
おそらく、リビングには修羅と化した母さんが仁王立ちで………
「……仕方ない、よね?」
僕はできるだけそのことを考えず、急いで帰り支度を進めた。
☆♪♡♢
家に着いてからというもの、僕は誰の顔も見ていない。なぜならずっと床を見ているから。
なぜ床を見ているかって?……土下座しているからだよ。
「本当に申し訳ございませんでした」
「本当に反省してる……?」
ちなみに、修羅と化してたのは妹の花梨だった。母さんは慣れたので気にしてない、むしろお金稼いでくれるなら構わないと言っていたらしい。
自分の子の心配よりも、お金をとる我が母親のことが不安でなりません。まあ、その原因は僕にあるわけですが。
「まったく、心配したんだよ?いつまで経っても帰ってこないから」
「言い返す言葉もありません……」
「こんなに可愛い妹を心配させた罰として、今週末、どこか一緒に遊びに行くこと」
「え、えぇ………?」
どうしてそうなる?と聞きたいがここはぐっと堪える。
「いやいや、心配させたのは悪かったけど、僕がなんでそんなことーーー」
「承諾しなかったら自作した関節技をお見舞いすることになるけど」
「は、はいっ!分かりました行きます行かせてくださいお願いします!」
「なら許す」
その脅し方は卑怯じゃないですかね?いやまぁ、不安がらせた僕のせいでもあるんですけどね。だからと言ってその選択肢はあんまりじゃないでしょうか。
せっかく今週末は仕事休みなのに……。
今頃どうこう言った所で、花梨は心変わりするとは思えない。
俺が言うのもなんだけど、ブラコン気味だからなぁ、うちの妹は。
僕は深くため息を吐いて、痺れた足に鞭を打って立ち上がり、シャワーを浴びてから朝食を取り、大学へと向かった。
☆♪♡♢
時間が過ぎるのが早い。それは誰もが感じたことがあるだろう。
追い込まれて長期休みの宿題を一日で終わらせようとしたり、ゲームなどの一つのことにのめり込んだり、睡眠をとるだったりと、まあこんなことをしていれば何時の間にかこんなに経ってる……、という風に感じることがあるだろう。
ちなみに場所は変わって、僕は今朝寝落ちしたことに気づいた執務室にいる。
昨日、終わらなかった書類とは別の、武内さんに手渡された封筒を手に取る。
「何の書類なんだろう……。不安で仕方がないんだけど」
僕は背もたれに全体重をかけて天井を見上げる。
何故か封筒の中にいくつもの書類が入っているような重厚感があり、なおかつ手渡されるときに深々と頭下げられて「お願いします」何て言われたんだから不信感と不安でいっぱいいっぱいですよ。
とやかく言っている暇ないので、僕はさっさと封を切って中身を取り出して目を通す。
『新規アイドル採
「見なかった、僕は何も見なかった……」
一番上にあった書類の見出しにあった数文字を見た瞬間に僕は目をそらす。
今新規アイドルとか見えた気がするけど気のせいだよね。ついでに言うと採って字が見えた気がするんだけど、採用じゃないよね採取とかだよね。………それだったら、全く意味わからない文になるけど。
そう心の中で無駄な暗示をしながら、僕は書類に目線を戻す。
『新規アイドル採用について
現在、346プロには多くのアイドル達が所属している。シンデレラプロジェクトも問題はあるが順調に進んでいると思える。
だがしかし、ここで満足してはならない。私達は他の皆様方に大変満足していただかなければいけない。そのためには様々な個性的なアイドル達を育てていかなければならないと思う。
それ故に、今回の企画が成り立った。
新規アイドルを採用するにあたって、一つ問題点があった。それはプロデューサーだ。
我が社に勤務しているプロデューサーは皆、どこかの部署に所属しており、とても新たなアイドルをプロデュースできるとは思えない。そのため、所属してそこまで月日は経っていないが、新人の蒼崎弘弥にそのアイドルを一任しようと思う』
「これ書類というより報告書じゃない……?」
僕はそんな疑問を抱きつつ、頬杖をつく。多分微妙な顔をしているに違いない。
「新規アイドル、か……。まあ確かに、シンデレラプロジェクトの子達は武内さんがプロデュースしてるもんね。僕はあくまで補佐だし。まあいいかもしれないけど」
そこで僕はハッとなって気づく。
もし、新規アイドルを僕がプロデュースすることになったとして、そうした場合、シンデレラプロジェクトの方はどうなるのだろうか。
僕は、報告書と言う名の書類を読み進めていく。
『蒼崎弘弥は現在、シンデレラプロジェクトの補佐の役割をしている。例え新規アイドルを起用したとしてもそれを変化することはないだろう』
どうやら僕の仕事量が増えるだけのようです。
一応、僕大学生なんですけど。まだ学生なんですけど、そこら辺わかってますかね?
「とりあえず、今はCDデビューの第一陣のことだけーーー」
僕はペラペラとページをめくりながら呟いていると、目を疑うような内容が目に映ってしまった。
『募集期限 4月4日〜4月12日(10:30まで)
オーディション日程 4月13日
募集人数 10名
採用人数 1名
採用審査員 蒼崎弘弥』
ちょっと待っていただきたい。募集期限が明日までなのはいいとしよう。オーディションが明後日なのもいいだろう。文句が言いたいのはそこではない。
「書類渡すの遅すぎでしょ……」
僕は項垂れてボヤく。
ボヤきたくもなるよ、だって審査員僕だし10人も審査しなきゃだし、それにオーディションの次の日、卯月達のCDデビューの日だし、もう悪いことづくしですね!泣きたい。
「というか、募集されたアイドル候補達の資料っていつもらうんだろう……」
なんか不安しかないなぁ、と心の中で涙を流しながら僕は渋々、他の資料も読み進めるのだった。
☆♪♡♢
場所は変わってプロジェクトルーム。
僕は、アイドル達に囲まれていた。
「あの……教えてください、プロデューサーさん……」
「無理だって……僕には教えられない……」
「プロデューサー、あんたなら分かるでしょ、この気持ち」
「そ、そんなこと言われたって……」
「教えて、ください……。プロデューサーさんに教わりたいんです」
「いや、そんなこと言われても……」
僕は目の前に迫る女の子達に目を向けて叫ぶ。
「英語だけは分からないんだって!!」
なぜ?とみなさんは思うかもしれない。いやまぁ、何故ということもないのだが、ただ単に勉強を教えてくれとみんなに頼まれたのだ。
数学、理科、社会をしているみく、かな子、アナスタシア、美波さんは大人しく座って勉強しているのだが、いかんせん他の高校生組と中学生、小学生がどうにも静かに机には向かってくれない。
特に残りの高校生組。
「英語……分かんないです……」
「授業でやったことならいけるけど、応用というか、長文になると、ね」
「もう勘でいいんじゃない?私いっつもそうしてる」
「「それは未央(ちゃん)だけであって私たちは違うんです」」
ニュージェネの三人は仲良く三人並んで座っているのだが、さっきからずっとこの調子だ。集中力がなさすぎてさすがの僕も手を焼いている。
「うぅ…………」
「ち、智絵里ちゃん、大丈夫だよぉ!きらりだってできないことあるよぉ〜。でも気にしてないにぃ〜♪」
「う、うん………」
一方、きらりは智絵里の浮かない顔をどうにかしようと励ましていた。
先ほど、前に教えたこととそれを応用する問題を解かせたのだが、ほとんど答えがあっておらず、現在に至るのだ。
人間忘れることは多々あるし、苦手なものは苦手なのだ。できる時もあるしできない時もある。そう割り切って欲しいのだが、この状態じゃ無理だよね……。
「……………………」
見ろ、李衣菜なんて問題見たままフリーズしてるぞ。質問もせず、ただ固まっている。それよりは智絵里の方がマシに思えるんだけど、言っても無駄かなぁ………。
「ねぇ、P君!遊ぼうよ〜」
「莉嘉ちゃん、宿題どうするの〜?」
「んー、放置!」
いやダメだろ。
「分かった〜♪」
お願い、分からないで。というか今ので何が分かったのさ。
「宿題は終わらせなさい。お兄さん、サボりは許しませんよ」
「「えぇ〜……」」
だんだんとやる気がなくなっていく二人。それは周りも同じなのか、ほとんどが手が止まっている。杏だけは何故か未だに机に向かっているが。
でもどうしようか。これでは困った。
このあとレッスンあるし、それやってると帰りが遅くなる。帰宅後は自由にして欲しいから宿題がある人はさせてるんだけど。
どうしようか、と唸りながら悩むでいると、一つの方法を思いついた。やる気をなかなか出さなかった花梨に使った方法だ。
「なら、全員が課題やらを終わらせたらご褒美をあげよう」
その瞬間、時間が止まったかのような静けさがルームを包む。あれ、何かまずかったかな、と思いながらも言葉を紡ぐ。
「その代わり終わらなかったらなしという方向でーーー」
言い終わる前に、全員が机に向かう。そんなに欲しいの、ご褒美。
僕はその光景に苦笑いしつつ、ルームを退出してご褒美を買いに行った。
ルームに戻ってきたときには、全員が課題やらを終わらせていて、ご褒美をねだられたのは言うまでもない。
☆♪♡♢
蒼崎弘弥P一言報告
明後日が不安で不安で仕方がありません。
とりあえず、死ぬ気で頑張ります。
次回、オリキャラ登場とオリ話です。