蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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第七話 「存在」

俺達の目の前に立った白銀のファフナーは、今まで見たことのない機体だった。

 

島のファフナーでは感じたことのない存在感は俺を虜にした。

 

無駄のないスラッとした美しいフォルム。

 

「島の新しいファフナー。」

 

恵も隣でボー然としていた。

 

「あんなの見たことないぞ。あっ。」

 

吹き飛ばされたフェストゥムが白銀のファフナーへ雷状の攻撃を繰り出す。それを白銀のファフナーは・・・・・

 

「受け止めた・・・・・。」

 

マークフュンフ・アハト・ドライを簡単に退けたヤツの攻撃を見事に受け止めた。

 

さらにフェストゥムは、無数の小型フェストゥムを生み出し、白銀のファフナーにくっつけ爆破を試みる。

 

その光景に俺達は驚愕した。

 

「あのファフナーがフェストゥムを取り込んでるの。」

 

「そうみたいだな・・・・・。」

 

「あっ、亮介早く千鶴先生とコアを保護しないと」

 

恵が俺達の本来の目的を思い出し、急ぐよう促す。

 

(大丈夫だよ。亮介。恵。)

 

「なんだ。」

 

頭の中に誰かの声が過る。灯台を見上げると

 

少女がこちらを見て微笑んでいた。

 

(危ないから、二人共そこにいて。)

 

「なに・・・・・。頭に声が響く。」

 

「恵。この声を信じてここにいよう。」

 

恵は困惑気味だったが、黙って言うことを聞いてくれた。

 

白銀のファフナーに目を戻すと、人類軍のファフナーが使っていた武器を手に取りフェストゥムに向ける。

 

「なにをする気なんだ。」

 

その武器から放たれた閃光はかつてない威力を誇っていた。

 

反撃を試みるもあっけなく散る親玉のフェストゥム。

 

「凄い・・・・・。」

 

島に襲来したフェストゥムが姿を消し始める。

 

俺達は急いで灯台へ向かった。

 

「遠見先生無事ですか。」

 

「恵ちゃんに亮介くん。ありがとう大丈夫よ。」

 

「あの、先生その女の子が。」

 

「ええ、そうよ。」

 

「はじめまして、亮介。恵。わたしは皆城乙姫。よろしくね。」

 

「君がコアなのか・・・・・。」

 

「そうだよ。」

 

「あの、乙姫ちゃん。どうして皆城って苗字なの。」

 

「この娘は元々皆城総士くんの妹になるはずの娘だったの。」

 

「そうなんですか。」

 

「うん。それよりも彼を迎えに行ってあげて。」

 

「彼・・・・・。」

 

「マークザインのパイロットを。」

 

「二人をAlvisに送り届けてからね。」

 

「フフフ、ありがとう。亮介。」

 

少女の無邪気な笑顔に俺の心は揺さぶられる。

 

「それが、今の俺の任務だからな。」

 

俺は必死に誤魔化そうとしたが、少女には見抜かれていた。

 

俺は二人をAlvisに送り届け任務経過を報告し、急いで格納庫に向かう。

 

白銀のファフナー「マークザイン」のパイロットがちょうど機体から降りたところだった。

 

そのパイロットは・・・・・真壁一騎だった。

 

 


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