蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~ 作:naomi
(これが私から見たL計画の全てよ。少しは整理出来たか亮介)
(母さんは結局何がしたかったんだ)
(…1人でも多くの人達が島に帰れるよう手伝いたいと思ったのは確かだ。でも本音では早乙女の指摘通り私は生き急いだかもな)
(そうか…)
(話は済んだ)
(皆城織姫…待たせたな、もう大丈夫だ。確か俺がまだここにいるのは選ぶ為だったな)
(そう。島のミールが貴方を祝福しようとしている)
(祝福…)
(貴方と『もう1つの貴方』を島のミール祝福がすることで、貴方はもう一度あの世界で生を得られる)
(本当かそれは…)
(貴方はそれを望む。それとも望まない)
(俺は島に…恵のもとに帰りたい)
(そう。ならこれに手を触れなさい)
俺はアイツに手を伸ばす。
(…何も起きないぞ)
(当然よ。貴方は『もと1つの貴方』の望みを叶えていないから)
(コイツの望み…)
(それは1つの存在をよりそのものとして確立するための大事なもの、貴方にあり、私にもある。けどそれにはまだない)
(…)
(なんだそれは、何が言いたい)
(自分で見つけなさい。これまでのように貴方は自分で答えを見つけることが出来る)
(俺と皆城織姫にあって、コイツに無いモノ…なんなんだ)
(私は芹にそれを貰った。貴方は霧島叶に、他の皆も誰かから貰っている)
(誰かから貰う…)
俺は思い返しふと気がついた。『コイツ』には『それ』がないことに
(なんだよ、最初に言えばよかったのに)
(自分でそれを求めるのは恥ずかしいと思いました)
(そうだな…お前の『名前』は…)
『名前』を得たアイツから眩い光が溢れだした。
(島のミールが貴方達を祝福する。けど貴方達に1つまた苦しみを与えなければならない)
(今度も乗り越えてみせるさ。二人で)
(そう。一応言っておくは、貴方達が島のミールの祝福を受けた時の代償を)
(…そうか。わかった)
やがて反対側で懐かしい面影が俺達を支えていることに気がついた。
(僚に祐未、早苗…おじさんとおばさんまで。そうか皆、竜宮島にいるんだな。護るよ皆のいる島を)
かつてない激しい光が俺達を包みこみ、真っ暗な世界に残ったのは俺達と皆城織姫、母さんの3人だった。
(終わったのか)
(終わったわ。そして直ぐに行きなさい私達の島に)
(どういうことだ)
(『純粋ミール』がもうこの星に迫っている)
(『純粋ミール』…『アルタイル』か)
(貴方達の力がいるわ。行きなさい)
(わかった。…母さん)
(なんだ亮介)
(母さんは島に還らないの)
(私は…)
(直ぐにでも還れるわ)
(ありがとう。私は島のミールが許してくれても、私自身が許せないから、まだここにいる。私自身が許せるようになった時、まだ私を覚えていてくれたら。還るわ…それが私が私に与える罰)
(そう。わかったわ)
(行きなさい亮介。恵と幸せにな)
(母さん…行ってきます)
(霧島叶が同化された時に持っていた『器』と貴方達が使っていた『器』を島のミールが祝福し再構成した『器』がある。それをを使いなさい)
(わかった)
こうして俺達は皆の待つ島へ向かった。