蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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第六十一話「決戦」

竜宮島と海神島の周辺に展開するアザゼル型『ベイグラント』と人類軍の連合軍。

 

「これより第4次蒼穹作戦を開始する」

 

真壁司令の号令のもと展開するファフナー部隊

 

作戦の要である西尾里奈と鏑木彗の乗る『ゼロ・ファフナー』が鏑木彗のSDPで上空にいる『ベイグラント』を地上に落とそうと試みる。

 

押し寄せる連合軍もエインヘリアル・モデルに改修されたファフナー部隊に返り討ちにあい。『ベイグラント』に同化されたアザゼル型『クローラー』も真壁一騎のマークザイン。皆城総士のマークニヒト。春日井甲洋のマークフィア。来栖操のマークドライツウェンの最強4人衆が撃破に成功した。

 

その時私はAlvisの右翼艦Rボートである作業の手伝いをしていた。

 

それは第4次蒼穹作戦が始まる半日前のこと

 

CDCで作業をしていると、佐喜さんにある資料を読んでおくように言われた。

 

「佐喜さん『プランδ(デルタ)』ってなんですか」

 

「『プランδ』はね、正式名称「PLAN DIVISION PHASE EXODUS」。Alvisがメインボート、Rボート、Lボートにより構成されている性質を利用して、RボートとLボートに島民を乗せて一時的に撤退して、体制を整えた後に島を奪還する、「L計画」とは逆の性質を有するプランよ。」

 

「…竜宮島を棄てるのですか」

 

「そうじゃないわ。今回襲来するとされる純粋ミール『アルタイル』の力は未知数よ。万が一今の現有戦力で竜宮島を守りきれない場合の危機回避策。私と澄美さんが中心となって立案したんだけど、私は作戦時CDCに付きっきりで澄美さんは核の後遺症が重度になって動けないじゃない。だから作戦時に恵、貴女がプラン進行準備のリーダーとして進めて欲しいの」

 

「…わかりました。『プランδ』遂行されないことを願ってます」

 

「ありがとう恵」

 

 

「佐喜さん。Rボートの『プランδ』実行準備完了しました。これからLボートの最終チェックに向かいます」

 

「了解。ありがとう報告ではLボート側の進行率80%と聞いてるわ。焦らなくていいからね」

 

「わかりました」

 

佐喜さんの通信のから随時流れる作戦状況。どうやら『ゼロファフナー』のSDPが『ベイグラント』を捉え海神島に落下させることに成功したようだ。

 

更にこれまでの竜宮島の研究成果の情報を乗せた島のバードが人類軍の艦隊に到着し情報を開示。多くの部隊が竜宮島への攻撃を止め、フェストゥム群へ攻撃対象を切り替えた。

 

しかしここから不穏な情報が流れてきた。

 

敵のザルバートル・モデル『マークレゾン』が海神島に上陸し海神島を守っていたファフナー部隊が全機戦闘不能に追い込まれた。

 

緊迫した情勢…『アショーカ』が海神島に根付いたと一報が入る。マークレゾンを上空に追いやり異次元の戦闘を繰り広げるザルバートル・モデルの3機

 

そしてその時が訪れた。

 

「『アルタイル』と思われる飛翔体が大気圏を突入。この海域に接近してきました」

 

CDCのその一報から急に情報が入らなくなる。どうやら通信を遮断してしまう程の強大な力を持っているようだ。

 

CDCからの通信途絶から30分後に入ってきたのは、最高レベルの機密情報網を使って入ってきた。

 

「『プランδ』を実行する」

 

「恵聞こえる。手筈通りに進めて」

 

「佐喜さん。どうしてですか」

 

「…コアが今の我々の力では『アルタイル』を有益な存在に変換することが困難だと断言したわ」

 

「そんな…織姫ちゃん」

 

「だからコアが『アルタイル』を竜宮島で眠られて、『アルタイル』を変えることの出来る『力』が芽生えるまで潜航して封印することになったわ」

 

「織姫ちゃんは…」

 

「…島に命を還すそうよ」

 

「そんな…そんなのって」

 

「彼女が視た一番可能性がある未来なのこれが、無駄にしないためにも急いで」

 

「わかりました…」

 

手筈通りに島民を各ボートへ避難させる。

 

全島民の避難が完了し間もなくして最後にCDCの面々がボートに乗り込んだ。

 

「椎名くん。素晴らしい手際であった。ありがとう」

 

「いえ…真壁司令。帰ってこれますよね。竜宮島に」

 

「勿論だとも。椎名くんはゆっくり休みたまえ、お子さんが待っているだろう」

 

「はい」

 

 

「恵さん。お疲れ様」

 

「千鶴先生。ありがとうございました。面倒を見て頂いて」

 

「力になれたのなら良かったわ」

 

ボートが起動する音が艦内に響く。暫くして真壁司令の艦内通信が入る。

 

「全島民に告ぐ。これは滅びでは無い、我々は必ず故郷に還る」

 

竜宮島の防衛圏内から出ようというタイミングで『ベイグラント』の残党が接近しているという不穏な情報が入る。

 

しかし…その情報のあと何事も無かったかのように艦内が静かになった。

 

不意になる通信音。千鶴先生が応対する。

 

「恵さん。将陵さんが呼んでるわCDCに来て欲しいって…お子さんと一緒に」

 

「はっ…はい」

 

我が子を連れてCDCに向かうことに疑問を抱きながらもCDCに入る。

 

「失礼します」

 

凄く静かな艦内

 

「あの…どうかしましたか」

 

「恵。ただいま」

 

「えっ…」

 

モニターにはいなくなったはずの彼が映っていた。

 

 

 




「ソロモンに反応。『ベイグラント』の残党と思われるディアブロ型が多数接近」

竜宮島の防衛圏内を出る直前。RボートとLボートはフェストゥムの襲撃に遭遇した。

「なんだと、こちらの戦力は」

「ゼロファフナー及び全てのファフナーが先のマークレゾンとの戦闘で使用不能です」

「一騎…あの4人は」

「マークニヒトが『アショーカ』の世界樹の前で活動停止。パイロットの応答なし。 マークザイン、マークフィアー、マークドライツウェンはシグナルロストです」

「ここまで来て…」

「ソロモンに反応、この海域に急速に接近する物体あり」

「追い討ちか…全砲門開けありったけの火力を接近するフェストゥムにぶつけろ」

「急速に接近する物体をソロモンが判別…データベースに該当あり。島のファフナー」

「なんだと。どういうことだ」

「これって…嘘」

「将陵くん。どうした報告を」

「類似機体コード確認。『ティターン・モデル』です」

艦内に動揺が走る。

「馬鹿な、『ティターン・モデル』は『L計画』で全機失ったはず…パイロットは」

「CDCこちら『マーク・ネベル』援護します。早くこの海域から離脱を」

「パイロットは…霧島亮介。嘘でしょ亮介ホントに貴方なの」

「佐喜さん。正真正銘の亮介です」

「なんと…」

「ここは俺が食い止めます。なので離脱を」

「『マーク・ネベル』がディアブロ型に接近…敵を手懐けました」

「なに…どういうことだ」

「数体のディアブロ型が『マーク・ネベル』と共闘。敵フェストゥムを攻撃しています」

「まさかSDPだとでもいうのか」

「敵フェストゥムの消滅を確認。共闘したフェストゥムも『マーク・ネベル』によって消滅した模様です」

「…亮介くん。まずはありがとう。どういうことか、説明してもらえるかね」

「勿論です、真壁司令…あっ1つお願いが」

「なんだね」

「妻と息子を呼んでもらえますか、そこで全てをお話します」

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