蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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第六話 「再会」

「恵、亮介くんって何かあったの。」

 

「なんで。」

 

「最近、学校に全然来てないからどうしたのかなって。」

 

「知らない。」

 

「そう・・・・・。」

 

クラスメイトに聞かれても、私はこう返すしかない。

 

狩谷先生が島を出ていった日、亮介は怒りに身を任せあらゆる人やモノに当たった。

 

同行者に真壁くんがいたと聞いてそれが原因かと思ったが、彼の怒りようから根の深さを感じた。

 

その日は大変だった。

 

私に溜まっていた不満を怒りとともにぶちまけて、止めようとした両親をも巻き込み。母は泣き崩れ、父は亮介を殴り、亮介が殴り返したことで殴り合いに発展した。

 

翌朝の机には「探さないでください。」という書き置きを残し、それから家には帰ってない。

 

私達は空いた穴をなんとか埋めようと気丈に振る舞った。

 

けれど、毎朝の重く苦しい空気は変わらず、夜には両親が喧嘩をすることが多くなった。

 

私は解ろうとした。亮介の苦しみを、でも答えは見つけられないでいた。

 

その日は、CDCでのオペレーター訓練がなくすぐに家に帰った。

 

「お帰り。」

 

「ただいま、お母さん出掛けるの。」

 

「そうなんだよ。恵悪いけど店番頼んでいいかい。」

 

「いいよ。行ってらっしゃい。」

 

店番をしていると、

 

「椎名先輩、珍しいですね。どうしたんですか。」

 

よく見かける少女が店の前にやってきた。

 

「真矢ちゃん。そうよ意外かしら。」

 

遠見真矢。彼女は真壁一騎の同級生でAlvisでCDCでオペレーターを勤めることもある。

 

「店番するの久しぶりじゃないですか。」

 

「そうね・・・・・。最近Alvisにいることも多いし」

 

「それより前からしてなかったと思いますよ」

 

「そうかな。それより今日はどおしたの。」

 

「・・・・・。翔子のお墓に添える花を」

 

「そう・・・・・。定期的に行ってるの。」

 

私は墓参りにあった花を探す。

 

「はい。春日井くんもいなくなっちゃたし、翔子のおばさんと私くらいかもしれないです。」

 

「そうなんだ。・・・・・ねぇ、真矢ちゃんは不安。」

 

私はカーネーションを手渡し真矢ちゃんに尋ねた。

 

「なんのことですか。」

 

「真壁くんのこと。」

 

私は、気まずいことを聞いてしまったのではと思ったが彼女の返事は早かった。

 

「一騎くんのこと信じてますから。」

 

その瞳は真っ直ぐとしていた。

 

「そう・・・・・。強いね真矢ちゃん。私なんか行方くらましただけでもう・・・・・。」

 

「きっと大丈夫ですよ。霧島先輩を信じましょう。」

 

その力強い言葉に私は力をもらった気がした。

 

「真矢ちゃんありがとう。ちょっと待ってて」

 

私はとある花を真矢ちゃんに送った。

 

「この白い花は。」

 

「ヒヤシンスって言う花で『心静かな愛』って意味を持ってるの。」

 

「えっ。」

 

「その調子で頑張って。」

 

「・・・・・失礼します。」

 

真矢ちゃんは顔を赤くすると足早に店を後にした。

 

「真矢ちゃんどうしんたんだい、顔を真っ赤にして。」

 

出かけていた母がちょうど帰ってきた。

 

「お互い頑張ろうね。」

 

母は不思議そうな顔をしていた。私はその日から立ち直ることができた気がした。

 

そんな時、Alvisは緊迫した雰囲気に包まれていた。

 

竜宮島近海に人類軍が展開していたのだ。

 

竜宮島は普段、偽装鏡面を展開して世界から姿を消している。

 

そのことから、内部にスパイがおり誰がスパイなのかと調べた結果疑われたのは

 

島を出ていった狩谷先生と真壁くんだった。

 

しかし、スパイ探しをしてもなにも意味はなさない。

 

人類軍はAlvisに武装解除と竜宮島の明け渡しを要求。

 

その猶予が刻一刻と迫っていた。

 

真壁司令が出した結論は・・・・・竜宮島を明け渡すことだった。

 

徹底抗戦を唱えるものもいたが、真壁司令の『島の人々に人殺しはさせない。』という強い想いからの決断だった。

 

島になだれ込む異物。島の大人達は子ども達には触れさせまいと睨みをきかした。

 

Alvis上層部の人達は軟禁されてしまい。竜宮島は事実上人類軍に占拠された。

 

その夜、絶好の機会といわんばかりにフェストゥムの大群が竜宮島に襲来した。

 

人類軍は竜宮島の武装も使用し抵抗しようとしたが

 

島のコントロールは何者かによりロックされており、島のファフナーは人類軍には扱える代物では無かった。

 

自分達の武装やファフナーでは太刀打ちできず混乱する人類軍。

 

その間に真壁司令達Alvis上層部は島のコントロールを取り戻し直ぐ様防衛態勢と島民への避難指示を出す。

 

しかし今回襲来したフェストゥムの親玉はこれまでのと比較すると格段と強くなっており次第に追い込まれていった・・・・・・。

 

私はAlvis上層部が島のコントロールを取り戻したと聞き、Alvisに向かった。すると

 

「貴様動くな。」

 

人類軍の兵士に見つかり銃口を向けられた。

 

「どこに行くつもりだ。」

 

「Alvisです。いけませんか。」

 

「ここから先は通す訳にはいかん。立ち去れ。」

 

「人類軍は島のコントロールを失い、今はAlvisが指揮を取っています。貴方たちに止められる筋合いはないと思いますが。」

 

「貴様、我々をバカに」

 

「よしなさい。」

 

それは少し前までよく耳にした声だった。その人は人類軍の軍服を着ていた。

 

「この子は私に任せて、アレを探しなさい。」

 

人類軍の兵士が散らばる。

 

「狩谷先生・・・・・。なんで・・・・・。」

 

「そんなことは、どうでもいいわ。椎名さん貴女コアの居場所知ってる。」

 

「コアの居場所って。ワルキューレの岩戸じゃないんですか。」

 

「いないから聞いてるのよ。」

 

「えっ。そこ以外は知りません。」

 

「そう。・・・・・残念だわ。」

 

狩谷先生から銃口を向けられる、私は目の前の現状に理解できず。動くことが出来なかった。

 

バーン

 

銃声が鳴り響く。

 

(私、死んだのかな。こんな死に方やだよ・・・・・誰かの声がする。誰。)

 

目を開けると私は撃たれてなかった。目の前で狩谷先生が手を押さえてうずくまっている。

 

「大丈夫か恵。」

 

それは暫く見てない顔、聞いてない声だった。

 

「亮・・・介・・・。」

 

よく見ると亮介は武装をして狩谷先生に銃を向けていた。

 

「霧島貴方。」

 

「残念だよ先生・・・・・いや狩谷。本当に寝返ったんだな。」

 

亮介は私を背中で庇い後退りする。

 

「恵走れるか。」

 

「ええ。」

 

「よし、行くぞ。」

 

そうして私の手を引っ張り亮介は走りだした。

 

「亮介どういうこと。」

 

「話はこの非常事態が終わった後でだ。・・・・・けど先にこれだけは言っておく。」

 

「なによ。」

 

「ごめんな。」

 

「!?」

 

再び走り出す亮介。

 

「霧・・・島。霧島。聞こえるか。」

 

「こちら霧島。人類軍に拉致されかけた島民の一人を保護しました。どうしましたか。」

 

「それはよくやった。実は、コアがフェストゥムに襲われそうだ。」

 

「えっ。」

 

「現在、千鶴先生がコアを保護して灯台の上にいる。今、一番近いのが霧島お前だ。二人を保護してくれ。」

 

「了解。」

 

無線が終わる。

 

「あそこか、5㎞ってとこか。」

 

「亮介どうゆうこと。」

 

「コアが目覚めたんだ。そのコアをフェストゥムが襲おうとしてる急がないと。」

 

急ぐ、私達。しかしフェストゥムはすでに灯台の目の前にいる。

 

「クソ。間に合わない。」

 

亮介の焦りの声が響くとき

 

強烈な爆発とともにフェストゥムが吹き飛ばされる。

 

「恵、大丈夫か。」

 

あの時のように、亮介は私を庇った。

 

「ありがとう。・・・・・。アレは。」

 

「・・・・・ファフナー。」

 

二人の目の先には白銀のファフナーがそびえ立っていた。


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