蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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第四十話「希望を求めて」

その時、私は花に水をやっていた。

 

「椎名先輩。こんにちは」

 

2人の男性が店を訪ねてきた。

 

「総士くんと一騎くんじゃない、いらっしゃい」

 

「こんにちは」

 

「珍しいわね、どうしたの」

 

「追加の派遣部隊として出発することになりましたので、挨拶に伺いました」

 

「…あまりよくないの」

 

「島のコア曰く、このままでは派遣部隊ごと全滅するそうです。なので僕らが『存在と無の力』と共に支援に行くことになりました」

 

「『存在と無の力』ってまさか…」

 

「はい。封印は解かれ今発進準備中です」

 

「二人とも大丈夫なの」

 

「正直わかりません。どこまで僕らの身体が持つか、ただ仲間の危機が迫っているとわかっていてじっとしていることも出来ません」

 

「そうよね…あの人は大丈夫かな」

 

「霧島先輩はこれまで幾度となくあった理不尽な現実を克服した人です。きっと大丈夫ですよ」

 

「そうよね…ありがとう総士くん」

 

「オススメの花ないですか、皆を勇気づけられる花」

 

「一騎」

 

「一騎くん…ちょっと待ってて」

 

私は一輪の花を差し出した

 

「ネリネの花…確か『また会う日を楽しみに』でしたね」

 

「流石総士くん。そうよ」

 

「いい花ですね。俺この花を持って行きます」

 

「僕はこの花を届けたい」

 

「ラベンダー…」

 

「世界を助けることのその先がより良い未来を創る可能性を持っていると」

 

「なるほど」

 

「どういうことですか」

 

「花1つ1つが持つ意味がわかる者同士のテクニカルな会話だ」

 

「そうなのか…」

 

首を傾げる一騎くん。私は苦笑いするしかなかった。

 

「手伝って頂きありがとうございました。もし霧島先輩に伝えたいことがあればお伝えしますが何かありますか」

 

「そうね…じゃあこれを渡して欲しいかな」

 

「薔薇の花にピンクのカスミソウ。椎名先輩の思いのこもった素晴らしい届け物だ」

 

「届くのか霧島先輩にその花達の意味」

 

「失礼だぞ一騎。霧島先輩はお店の手伝いをされてるんだ椎名先輩の思いのこもったプレゼントが伝わらないなんてことはあり得ない。…あっ」

 

声に驚いたのかグズってしまった。直ぐに抱っこし落ち着かせる。

 

「失礼しました」

 

「気にしないで、すぐ機嫌治る方だから」

 

「可愛いですね」

 

「ありがとう」

 

「俺達の戦いがこの子達の未来のためになるんだよな」

 

「そうだ。その為に僕達は限られた生命を全うする責務がある」

 

「二人ともそこまで背負わなくてもいいのよ」

 

「ザインとニヒトというとてつもない力を手にするんです。これくらいの覚悟は当然です」

 

「…気をつけてね。皆をよろしくね」

 

「では、行ってきます」

 

翌日。二人はエリアシュリーナガルに向けて飛び立った。私はそれを幼い我が子と共に家の窓から見送った。

 


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