蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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第四話 「現実」

私達二人の卒業式を終えた翌日、私達は再びAlvisに向かった。

 

「霧島亮介くんと椎名恵くんだね。話しは、恵くんの両親から聞いているよ、座りたまえ」

 

とある部屋の一室、Alvisの最高責任者である真壁史彦司令が話しを聞いてくれた。

 

「君達二人は、ファフナーパイロットに志願したいということだったね。」

 

「はい。」

 

「この話しにいく前にこちらから尋ねたいことがある。」

 

真壁司令の放つ緊迫感に唾を呑む。

 

「まずは、今回フェストゥムが襲来した際、一般住民はシェルター内にいてフェストゥムについてあの段階では見ることが出来なかったはずだが、なぜ君達は見ている。」

 

初めてフェストゥムと遭遇したあの日の出来事を亮介が説明した。

 

「勝手に外に出たのは軽率でした。すみません。」

 

「私も、彼を止めることが出来ませんでした。ごめんなさい。」

 

「ふむ。どのみちこれからフェストゥムは嫌でも目にすることになる。それはたいして気にしてはいない。」

 

「?」

 

「ファフナーとL計画・・・・・。ファフナーに関して言えば、君達はすでに見ているということだから深く問うつもりはないが、L計画は誰から聞いた。」

 

「!?」

 

「L計画については、私は話していない。極秘機密であって知るよしの無かった情報だ。誰から聞いた。」

 

真壁司令にL計画を知った経緯について話したら狩谷先生が私達のせいで処罰される・・・・・。そう考えてしまった私は俯いた。

 

「行方不明になっていた同級生を探す手がかりがあると思い、この施設に忍びこみ調べて知りました。」

 

「つまり君達だけで情報を手にしたと・・・・・。」

 

「俺だけです。恵は俺をずっと止めようとしていました。」

 

亮介は先生だけでなく、私まで庇おうとした。

 

「そうなのかね恵くん。」

 

私は嘘をついた。

 

「そうか・・・・・。そういうことにしておこう。」

 

真壁司令は明らかに嘘を見抜いていたが不問としてくれた。

 

「では、本題に移るがファフナーパイロットは本来、パイロット適正や機体との相性など厳密な審査をしたうえでこちらから選抜することにしている。それにできれば多くの子どもたちを戦いの場に送りたくないという思いもある。」

 

「真壁司令・・・・・。」

 

「しかし、現状ではパイロットは一人、選抜も難航している。今回は特例として許可しよう。」

 

「ありがとうございます。」

 

「しかし、君達に適正があるかの検査はこちらでしっかりとやらせてもらう。いいね。」

 

「はい。」

 

こうして、私達のファフナーパイロット適正検査が始まった。

 

「私があなた達の適正検査の監督を担当することになりました。遠見弓子ですよろしく。」

 

「遠見先生よろしくお願いします。」

 

「先生。」

 

「どうしたの恵ちゃん。」

 

「このスーツピッタリしてて着心地が・・・・・。」

 

「まっ、まぁファフナーに乗るためにはこれくらい身体にフィットしていたほうがいいのよ。それじゃあ早速始めるわよ。」

 

シュミレーターに案内され動かし方を学んだ。

 

ファフナーは自分がファフナーと一体化して自分の身体を動かしているというイメージを持つことが重要だというなんともザックリな説明だけで、すごい早さで適正検査は進んでいった。

 

約半日かけて検査は終了した。

 

「恵。お疲れ。」

 

控え室で亮介にドリンクをもらった。

 

「どうだった。やってみて。」

 

「そうね、慣れるのに時間がかかって正直向いてないかも。亮介は。」

 

「俺もなんともいえない感じだよ。」

 

二人でお互いの検査の進み具合を話していると

 

「二人とも、検査結果が出たは付いてきて。」

 

案内された部屋には、真壁司令に医療部門代表として遠見千鶴先生、メカニック部門代表で羽佐間容子さんと小楯保さんと他に要澄美さんもいた。

 

結果は・・・私は適正なしだったがAlvisの情報部門で真壁司令ほかアルヴィス上層部およびオペレーターが戦局を判断し、命令を下すCDCと呼ばれる総合管制司令室のオペレーター候補生として迎えてくれるということだった。

 

悔しかったが、亮介が適正検査に通ったことで悔しいより嬉しい感情の方が大きかった。

 

「残念だったな恵。」

 

帰り道亮介は慰めの言葉をかけ続けてくれた。

 

「亮介が通っただけでも良かったわ。おめでとう。」

 

「オール平均値だったけどな。ありがとう。俺、恵の思いと一緒にこの島を守るぞ。」

 

「亮介・・・・・。明日は機体との相性を見る検査だったよね。私も見に行くから。」

 

「おう。」

 

私達はこれから待つ微かな望みに期待を抱いた。

 

しかし、現実は非情であった。

 

現段階で完成している全てのファフナーが亮介を乗せて起動することはなかった。


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