蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~ 作:naomi
派遣部隊が竜宮島を出発し旅立ったある日、3人の幼き戦士達がお店にやって来た。
「こんにちは恵さん、お久しぶりです」
「…彗くん。久しぶり大きくなったね、いらっしゃい。零央君もいつも家の花御贔屓にしてくれてありがとうね」
「ここの花育てた人の想いを感じられて好きなんです、父にもよく買ってきてくれ頼まれるんですよ。てか彗この人と知り合いなのか」
「この人、姉ちゃんの同級生で昔よく遊んでもらってたんだ」
鏑木彗。今回派遣部隊の結成にあたり竜宮島の防衛力強化のために新たに選抜されたファフナーパイロットで、かつて竜宮島の防衛作戦として展開された『L計画』に参加した同級生鏑木早苗の弟さん。
御門零央。鏑木彗と同じく今回新たに選抜されたファフナーパイロットで、実家であるお菓子屋さんは、よく家の花を御贔屓にしてくれている。
そして…
「はじめまして、水鏡美三香です。わー綺麗なお花がいっぱい」
ツインテールの可愛いらしい少女は水鏡美三香、初対面だが彼女の素直な笑顔と明るさと親しみやすさですぐに打ち解けた。
「今日はどうしたの」
「里奈先輩に立上神社で貰った御守りに自分の気に入った花を入れてを入れておくと御守りの効果が高まると聞いたんです」
「えっ、そんな迷信だよ」
「いいんです。例えそれが里奈先輩の迷信だとしても、僕らの願いが叶う可能性が上がるなら。騙されたと思ってやってみようと3人で話して決めたんです」
「そう…」(里奈ちゃん前に「私もこのお店の宣伝に協力します」って言ってくれてたけど、もしかしてこういうことなのかな…)
「なので恵さん。お邪魔してもいいですか」
「ここはお店なんだから出入りは自由だよ。どうぞ貴方達が気に入る花が揃ってればいいけど」
「ありがとうございます」
3人は無邪気な子どものように店内の花を見て回った。
しばらくして、3人は自分の気に入った花を持ってきた。
「彗くんがピンクのカスミソウ、零央くんがアンスリウム、美三香ちゃんはマツバボタンね…フフ」
「何か変ですか」
「ごめんなさい。昔母が言ってたことを思い出してね『人はその時の心情で花を選ぶ』って3人が選んだ花と花言葉を照らし合わせたら。なんかしっくりきちゃって」
「そうなんですね。大切にします」
ウーン…。響き渡る警報音
「2人共行こう」
「おう」
「ラジャー」
「…この島をよろしくね。生きて帰ってくるんだよ」
「はい」
笑顔で店を去る3人、自分よりも年下の子達が最前線に赴く中で何も出来ない自分…悔しさが込み上げてきた。そんなことを考えていると
(貴女の役目は前線に出ることじゃない。その次の世代を育てること。悲観しないで恵)
懐かしい声が頭に響いた。