蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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「僚だけ先に大人の仲間入りか。」

「ああ、そうみたいだな・・・・・。」

「なんだ、元気ないじゃん大丈夫か。」

「亮介。もし俺がこの世からいなくなってもお前は俺のことを覚えててくれるか。」

「当たり前だ忘れる訳ないだろ。大人になるってだけで死ぬわけじゃないんだから。」

「そうだよな・・・・・。ありがと、なんかスッキリした。先にあっちで待ってるぞ。」

「おう。俺もすぐにそっちに行くからな。」


第三話 「決意」

「そういうことだったのかよ・・・・・。」

 

俺は、僚と最後の会話を思い出していた。

 

なんの変哲もないいつもの会話だと思っていた。あの時は。

 

約束を果たさなかった悔しさと自分の愚かさが混じり合い、やるせなくなっていた。

 

「彼等に感謝しなさい。彼等のおかげで私達は今、生きているのだから。」

 

狩谷先生の言葉が重くのしかかる。

 

パサッ

 

恵の手からメンバーの一覧表が落ちる。

 

「亮介ダメ。」

 

手に取って目にしたのは、霧島叶・・・・俺の母の名前だった。

 

「どういうことだよ。」

 

目の前の情報の真偽がもはや俺にはわからなくなっていた。

 

「霧島叶さん・・・とても優秀で信頼に足る人物だったわ。」

 

先生はそう言い残して俺達二人を部屋に残し出て行った。

 

俺達は押さえていた感情を爆発させた。

 

 

 

 

 

「ゆきっぺこんなところでどうしたの。」

 

「弓子・・・・・。」

 

「ここって確か。Alvisの活動記録が保管されてる場所よね・・・・・。貴女!?」

 

「私ってホントつくづく嫌な女よね・・・・・。」

 

「・・・・・。それが、貴女なりの優しさだってことを私は知ってるわ。」

 

「!?。・・・・・弓子胸を借りていいかしら。」

 

「えぇ、好きなだけどうぞ。」

 

 

 

 

 

Alvisをあとにした俺達は家に帰ることにした。

 

「霧島先輩に椎名先輩どうしたんですかこんなところで。」

 

気が付くと目の前には後輩の真壁一騎がいた

 

「真壁くんこそどうしたの。」

 

「親父に呼ばれてAlvisに向かうところです。お二人は。」

 

「野暮用かな。」

 

「そうですか・・・・・。俺はこれで失礼します。」

 

足早に一騎は去って行った。

 

「悪いな恵。」

 

「いいよ、私より貴方のほうが辛かったのは明白だし。」

 

「俺、ファフナーパイロットになる。」

 

「えっ。」

 

「狩谷先生言ってたよな、ファフナーに乗れるのは、俺達のような子どもだけだって、僚と祐未もファフナーに乗ってこの島のために戦ったんだ。俺だって戦えるはずだ。」

 

「・・・・・私もやるわ。」

 

「恵・・・・・。」

 

「なにをやるんだ。」

 

気が付くと家の前についていておじさんが話しかけていた。

 

「おじさん。俺ファフナーパイロットに志願したい。」

 

「私も。」

 

「!?。お前達どうゆう風の吹き回しだ。」

 

一連のことを恵と一緒におじさんとおばさんに話した。

 

「そうか・・・・・。知ってしまったんだなL計画について」

 

「はい。おじさん達は知ってたんですか。」

 

「この島にいる大人は皆知ってるよL計画について」

 

「母が参加していたこともですか。」

 

「・・・・・あぁ。黙っていてすまなかった。」

 

「いいですよ。今のこの現状を知ってからそのことを知ったからまだ受け入れられてます。もしもあの頃話したところで信じてませんよ、きっと。」

 

静かな時が流れる・・・

 

「パイロットの件だが、ハッキリ言って私達は反対だ。」

 

「・・・・・・。」

 

「しかし、二人の人生は二人のモノだ。自分自身で決めなさい。」

 

「お父さん・・・・・。」

 

「生半可な覚悟なら、今のうちにやめておくんだ。」

 

「俺は、いや俺達は僚や祐未が命を賭けて守り通したこの島をアイツらの分まで守りたい。」

 

「恵もなのか。」

 

恵は深く頷いた。二人の表情は今にも泣き崩れそうだった。

 

「そうか。わかった、母さんアレを持ってきてくれ。」

 

「はいよ・・・・・。」

 

おばさんが持ってきたのは、お酒だった。

 

「私達、まだ未成年よ。」

 

「これは、儂らなりの卒業式だ。」

 

「!?」

 

「お前達二人を大人として認めるための儀式だと思えばいい。」

 

卒業式・・・。二人は多くの人に見送られ大人へと認められた。でも俺達二人には目の前にいる二人が祝ってくれるだけで充分だった。

 

「霧島亮介。椎名恵。二人をこの島を支える大人と認めるものとし、この盃を酌み交わすとする。・・・・・乾杯。」

 

あたりの明かりが一つ、また一つと消えるなか俺達は大人の階段を一つ昇った。

 


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