蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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第二十六話 「言葉を学んだ敵」

「僕の名前は来主操。よろしくね」

 

家のテレビに緊急として突如流れた映像には亮介が話していたフェストゥムの男の子が映し出された。

 

(なに…どういうこと)

 

突然の映像に動揺した私。

 

「お前達の目的はなんだ」

 

「争いを止めて降伏してほしい」

 

真壁司令と来主操のやり取りはとても人とフェストゥムの会話とは思えないスムーズに進んだ。

 

(真壁司令、胸に手を当てて体調良くないのかな)

 

話し合いは平行線をたどり、定期的に話し合いをすることを決め、来主操との最初のやり取りは終わった。

 

「ただいま、見たか映像」

 

亮介が務めを終えて帰って来た。

 

「お帰りなさい。お疲れ様観てたよ」

 

「島のコアと同化させろなんて、許す筈がない」

 

「また…あの日々に戻っちゃうのかな」

 

「…このまま行くとそうだよな。真壁司令達は何度も話し合いを試みるそうだけど」

 

「そうなるよね」

 

「2年前と違って竜宮島はフェストゥムから島を守れるだけの戦力を充分整えることが出来てる。大丈夫だきっと」

 

すると家の電話が鳴った。

 

「溝口さんお疲れ様です。どうしましたか」

 

電話の相手は溝口さんのようだ。だんだん亮介の表情が険しくなる。電話を置いた亮介は今にもどこかに行こうとした表情だった。

 

「どうしたの」

 

「俺は暫く第一種任務の島の防衛に関する仕事は凍結されて、自宅から一歩も出ないようにって言われた」

 

「えっ」

 

「ちょっと事情を聞いてくる」

 

怒りの形相で外へ出る亮介ついていこうとすると、同僚に銃を向けられる亮介がいた。

 

「どういう冗談ですか。これは」

 

「霧島頼む大人しくしててくれ」

 

「そんな銃向けられて平静を保てなんて無茶振り聞いたことありませんが」

 

「溝口さんから連絡きたんだろ。俺達は霧島が外から出ないように見張ってろって言われてるんだ」

 

「なんで俺の行動を突然制限されなきゃいけないんです」

 

「それは俺達にもわからない。溝口さんが後で説明に行くとは言っていたからもう少し待っててくれ」

 

亮介が睨み付けると今でも腰が抜けそうな監視役の人達

 

「おい亮介、同僚をそんなビビらせんな」

 

溝口さんと一緒にあの人も歩いてきた。

 

「真壁司令…」

 

「霧島君、椎名君突然すまんな」

 

「どうされたんですか」

 

「君に出した指令について説明にきた。指示を出したのは私だ。溝口や彼らを許してやってくれ」

 

「別に許すとかそういうのでは。でもわざわざ何故こちらに」

 

「家にお邪魔してもいいかな椎名君」

 

家の居間に私と亮介、真壁司令と溝口さんが相対する。

 

「お茶どうぞ」

 

「ありがとう椎名君。お父上は」

 

「父はあの日からずっと体調良くなくて今も寝室で寝てます」

 

「そうか…。こちらのことだ気にしなくていい。それで本題に入る訳だが」

 

(お父さんと真壁司令って接点でもあるのかな…一介の漁師と元軍人さんで。そんな話聞いたことないけど)

 

「霧島君に自宅待機してもらう理由は、来主操からの要望のためだ」

 

「あのフェストゥムが。何故です」

 

「理由はわからない。公開した映像後に要望されてな『君を近づけないで欲しい』『君が怖い』と言っていた」

 

「なにかしたのか亮介」

 

「いや、俺がアイツを見たのはこの島に上陸して保護した日だけですよ」

 

「これはあくまで私の推測なのだが、霧島君は時々急な同化現象に襲われるそうだね」

 

「はい」

 

「同化現象は本来フェストゥムと接触するかファフナーに乗らない限り起こらないはずなんだ。心当たりはないかね」

 

「…いやないですね」

 

「そうか。少なくとも彼らとの交渉で我々が背いて話が無しになることは避けたい。苦しい思いをさせるとは思うが二人とも協力を頼む」

 

深々と頭を下げる真壁司令。流石に亮介も納得せざるおえなかった。


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