蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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第二十五話 「忘却の来訪者」

「まさか、フェストゥムなの」

 

鳴り響く警報、恵の表情が固くなる。

 

「あれを見ろ」

 

声の先には一隻の船がこちらの岸に流れ着こうとしていた

 

「全員。岸から離れろ」

 

急ぎ移動する島民達。

 

「亮介聞こえるか。急いで準備しろ」

 

「了解」

 

無線が入りその場を離れようとすると、服を引っ張れる

 

「大丈夫。すぐ戻れるさ」

 

「気をつけてね」

 

 

「遅くなりました」

 

「ちょうど作戦会議だこっちに来い」

 

「CDCの報告では船は人類軍の巡航艦で岸に上陸した直後に真壁一騎が船に向かって走り出し。それを遠見真矢と羽佐間カノンが追い船内に入った模様」

 

「真壁は目が見えないんじゃ」

 

「いや確かに一騎は一目散に船内に入っていった」

 

「CDCより、フェストゥムスフィンクス型が出現」

 

作戦会議内に沈黙が走る。

 

「再び現れたか。俺達の島に」

 

(2年ぶりのフェストゥム…)

 

「島の自動防衛システムが対応。我々にも出撃指令です…待ってください、マークザインが出撃」

 

「真壁。なんて無茶を」

 

「ファフナーが出たなら俺達は船内の調査を行うぞ」

 

「溝口さんしかし」

 

「ファフナーが出たならまず大丈夫だろ。体調の優れないとはいえ一騎とザルヴァートルモデルだそうそうやられんさ」

 

「マークザインには今、力の制限がかけられてるんです。そんな悠長なこと」

 

「じきにお嬢ちゃんやカノンも準備を終えて出撃する心配いらねーよ。後輩を信じてやれ。場数でいやーあいつらは俺達よりも何十倍も危険な戦場を生き残ってきたんだ」

 

「そうでしたね」

 

「そういうこった。よし船内の調査を始めるぞ」

 

「報告によれば、ワルキューレの岩戸のようにコアらしきもの保管している部屋があるそうです」

 

「その部屋ならもう見つけたこっちだ」

 

 

「異常は無いな」

 

「はい。今のところは。この船に入ってた情報はコピーを取りCDCに転送済みです」

 

「あとはこいつの扱いか」

 

ワルキューレの岩戸のような装置に人が眠っていた。

 

「人なんですか…」

 

「わからん。っう」

 

赤い液体が溢れ出し、男が床に転げ落ちる。

 

「CDCこちら溝口、船の中で眠ってる人を保護した。アルベリヒトの人達を頼む」

 

 

「で、Alvisで保護してるんだ」

 

翌朝の店内は静かに始まった。

 

「あぁ、おじさんどうだ。酔いは」

 

「酔いは醒めたみたいなんだけど、体調があまり良くないみたいなんだよね。今朝からダルいみたいだしよく咳もしてるし」

 

「その保護した男の子は何者なの」

 

「わからない。今のところわかるのは人の形をしたスフィンクス型ってことらしい」

 

「フェストゥムもこの2年で変わってきたんだね」

 

「人類の兵器を使うような種類も出てきたからな。外で何を学んだんだろうな」

 

「そういえば、今日の空なんか変だね」

 

「変って」

 

「雲に覆われてるというにはなんか雲には見えないし、気味が悪い」

 

すると島内放送で上空を覆っているものがただの雲では無いこと、島が随時警戒態勢に入り島も停泊地から動くということが知らされた。

 

「事態は予想以上に深刻みたいだな」

 

 

午後は初めて小隊長として訓練をしていた。

 

「a-7対象を捕捉」

 

「a-2~6配置に着きました」

 

「小隊長行けます」

 

「よし。a小隊go!!」

 

「よし、a小隊演習終了休憩だ」

 

木の丸太に腰掛けると溝口さんが水をくれた

 

「お疲れさん。いい感じじゃないか」

 

「ありがとうございます。でも所々判断に迷いが出てしまいます」

 

「それは沢山の経験が必要だからな。焦らずやってくしかない」

 

「はい。うっ」

 

突然息苦しくなる。

 

「どうした亮介。大丈夫か」

 

(なんだ…同化現象とは違う…)

 

ウ~ン。鳴り響く警報

 

「敵…」

 

「よし訓練終了。全員配置につけ」

 

「今回は4人の初実戦か…大丈夫なのか」

 

この時、堂馬広登・立上芹・西尾里奈・西尾暉の4人が規定の訓練を終えて初めて実戦に立った。

 

「3人がフォローに入るから大丈夫だと思いますよ」

 

戦闘が始まると4人はぎこちないがしっかりと役目を果たしていた。

 

「なんとか4人とも上手くやれてるみたいだな」

 

「そのようですね。クウッ」

 

「亮介どうした」

 

(まただ。なんだ…)

 

(彼が目覚めます)

 

2年ぶりに響く俺の中に眠るもう一つの存在の¨声¨

 

「大丈夫か亮介」

 

「すみません陣内さん。急に頭が痛くなってきまして」

 

「無理するなよ」

 

「陣内さん、霧島さんフェストゥムが引き上げていきます」

 

攻勢だったフェストゥム達が急に撤退を始めた。

 

「とりあえず退けたのか…」

 

「そうじゃないかもしれません」

 

「えっ、それって…」

 

「おいなんだこれ」

 

隊員の一人が慌てた声を出す

 

「どうした」

 

「通信モニターから突然こんな映像が」

 

そこには保護したフェストゥムが映し出されていた。

 


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