蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~ 作:naomi
第二十四話 「穏やかな日々」
北極での決戦『蒼穹作戦』から2年が経った。
竜宮島は世界から姿を隠し、穏やかな日常を過ごしていた。
「ありがとう。おじさん」
「どっ、どういたしまして」
「ありがとうございました」
ひきつった亮介の顔に思わず笑ってしまう
「おじさんって俺はまだ二十歳も迎えてないんだぞ」
「子どもからしたら私達なんて皆そう見えるんだよ」
「そういうものか」
この2年で亮介が家の手伝いをよくしてくれるようになった。
本人は最近平和になって訓練の量が減って暇になったからと言っているが
どんな理由であれ彼が『力』以外の事に興味を持ったことが嬉しかった。
「お疲れ様。休憩しよっか」
「今日は午前中にしてはお客さんたくさん来たな」
「そうだね。お昼にしょっか」
「おじさんは」
「お父さんは漁師仲間の人達と呑んでる」
「じゃああそこ行くか」
店を休憩閉めして私達は喫茶『楽園』にお昼ご飯を食べに行った。
「いらっしゃいませ、あっ霧島先輩と椎名先輩」
「こんにちは真矢ちゃん今日も好調のようね」
「もう大変です~椎名先輩手伝ってください~」
「頑張って真矢ちゃん。注文いい」
「どうぞ」
「『一騎カレー』と『一騎コーヒー』と『一騎ケーキ』亮介は」
「『溝口丼』と『一騎コーヒー』」
「霧島先輩すみません。溝口さん今出前で店を離れてるんですよ」
「そうなのか、残念じゃあ俺も『一騎カレー』で」
「はい。お待ちください」
店内には中学校の生徒会一同がいた。
「もう。忙しいんだから学校でやりなよ」
「生徒会活動は全員でここでやる決まりだ」
「会長の近藤君がいないじゃない」
「生徒会は副会長の私に一任されている」
「賑やかね」
「こういうのいいな。真壁調子はどうだ」
「明るい場所ならまだ見えるのでまだ大丈夫です」
「そうか。なら良かった」
「うん。そろそろ行こうか、祭りの準備あるし」
「大変、予約のお花まだまとめてない」
「急ぐぞ恵。ごちそうさまでした。溝口さんによろしくな真壁、遠見」
急いで家に戻りお盆祭りの準備に取りかかる
日が暮れる頃、無事準備を終えた
「なんとか間に合ったー」
「よし。じゃあ俺配達してくるから恵は祭りに行く準備しててくれ」
「わかった。よろしくね亮介」
祭りの音が鳴り始めた時、亮介が配達を終えて戻ってきた。
「お疲れ様亮介。ありがとう」
「…良い浴衣だな」
「そう」
「恵の良さをより引き出してる」
「ありがとう…」
恥じらいながらお互いの手を繋ぎ祭りへと赴く
ボール掬いやわたあめを食べたりお盆祭りを満喫する。今年もりんご飴をたくさん食べた。
そして灯籠流しの時がきた。
「今年もちゃんと流せたね」
「あぁ」
「この2年でよくやく亮介の気持ちが少しわかったんだよね」
「恵」
「亮介が灯籠流したくなかった気持ち…今なら良くわかる」
「うぃーや、まにあったな~」
「ちょっとお父さん、ベロベロじゃない。あれだけ程々にって言ったのに」
「2人ともラブラブな時間は過ごせたか~」
「ちょっと止めてよ恥ずかしい」
「なんだ~お前らの仲を皆知らないわけじゃないからいいじゃないか~」
「お父さん」
「おじさん酔うと相変わらずだな」
「亮介笑いごとじゃない」
ウーンー…
突如なり響いた警報。忘れかけていた世界が再び目の前にやってくる音だった…。