蒼穹のファフナー~ファフナーに選ばれなかった男の戦い~   作:naomi

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第二話 「真実」

「なにアレ・・・・・。」

 

私達の目の前には、謎の金色の物体が宙に浮いてじっとしていた。

 

「綺麗だ・・・・・。」

 

隣にいる亮介はその物体に見とれていたが、私は危険な感じしかしなかった。すると

 

「あなたはそこにいますか。」

 

突然聞き覚えのない声が聞こえてきた。

 

「ここにいるぞ。」

 

亮介は何の疑いも持たずその声に答えた。

 

「・・・・・。」

 

しばらくの沈黙の後、亮介の身体が緑色の結晶に覆われ始めた。

 

「亮介。」

 

私は亮介の身体に触れようとする。

 

「近付くな。」

 

強い口調で身体に触れようとする私の動きを止めた。

 

緑色の結晶が亮介の首まで到達した時。

 

突然緑色の結晶は砕け散った。

 

亮介の身体は無傷である。

 

「亮介大丈夫なの。」

 

「大丈夫だ。・・・・・アイツ俺と一つになろうとしてた。」

 

「えっ、どうゆうこと。」

 

「恵!!逃げるぞ」

 

亮介が私の手を引っ張る。金色の物体は黒い球体を作り始めていた。

 

私は死ねんじゃないかと思った。

 

「やべー。」

 

流石に亮介も生命の危機を感じたようだった。

 

するとそこへ見たことのない巨大なロボットが現れた。

 

「なんだアレ・・・・・。」

 

その場から離れようとしていた亮介の足が止まる。

 

ロボットは苦戦しながらも、なんとか金色の物体を倒した。

 

「警報解除。」

 

町中にアナウンスが流れた。

 

これが私達の初めての彼等との接触だった。

 

 

 

その後、この島『竜宮島』を管理する責任者Alvis司令代理真壁史彦によってこの島に住む全ての人々に『真実』が知らされた。

 

2146年現在、私達の住む星地球が金色の生命体『フェストゥム』によって壊滅的被害を受け、私達が住んでいると思っていた日本国は28年前の2118年に消滅したこと。

 

この島を守り続けている『Alvis』言われる組織とこの島の心臓『ミール』の存在を。

 

「お父さんお母さんどうゆうこと。何日本が消滅したって、何フェストゥムって、何Alvisって何ミールって。」

 

家に戻ると私は真っ先に両親のもとへ向かった。

 

「恵、落ち着きな。」

 

「落ち着けるわけないじゃない。いろいろありすぎてなにがなんだかわかんないよ。」

 

「真壁司令代理の言ったとおりだよ。」

 

「じゃあ、俺達が見た金色の物体がフェストゥムって奴か。」

 

「亮介くん。どうゆうことだい。」

 

両親は、血相を変えて亮介に詰め寄る。亮介は私達が遭遇した出来事を淡々と語った。

 

「同化されたのか・・・・・亮介くん。」

 

「同化?おじさん同化ってなんですか。」

 

「緑色の結晶が身体を纏ったと言ったね。それは奴等の攻撃手段の一種だ。私達の存在を自分達に取り込むんだ。取り込まれた人間は結晶の塊になって消滅するんだ。亮介くんはよく無事だったね。運が良かった。」

 

「わかったと思うけど、フェストゥムは危険な存在なの警報が出たら勝手なマネはしちゃダメだからね。」

 

ここからお母さんにじっくり搾られた。

 

 

数日後、私達は狩谷先生に両親から聞きそびれたことを尋ねたが、まずはキツいお叱りを受けた。

 

「あんた達が見たロボットは『ファフナー』と呼ばれるフェストゥムに対抗できる唯一の兵器よ。」

 

「ファフナー・・・・・。」

 

「奴等は私達の行動や心理を読み解く力を持っている。私達はそれを『読心能力』と呼んでるわ。ファフナーはミールが生み出したフェストゥムと同じ力を持つ『コア』を取り込んでいるからその読心能力を無効化できるのよ。」

 

「すげー。」

 

「なにも凄いことはない。ファフナーにはあなた達のような子どもしか乗れないし、ファフナーに乗るのは常に同化現象に陥る危険性がある。」

 

「そうなんですか・・・・・。」

 

「私が答えられるのはこれくらいよ。さぁさっさとおいき私は忙しいんだから」

 

私は不意にアノことを聞いてみた。

 

「先生は将陵くんや生駒さんがどうしてるか知ってますか。」

 

それは聞くべきではない質問だった。

 

「・・・・・・。」

 

しばらく黙りこむ先生。

 

「知りたい。」

 

「はい。」

 

「そう・・・・・。ついて来なさい。」

 

 

案内された場所へ付いて行くと

 

「ここはAlvisの内部。今からのことは誰にも話さないように。」

 

先生は黙って歩き続け、とある部屋に私達を案内した。

 

「ここはなんですか先生。」

 

「ここには、Alvisのこれまでの活動記録が残っているわ。・・・・・これを見なさい。」

 

先生はある情報にアクセスした。

 

「L計画・・・・・。なんですかこれ。」

 

「1年前に極秘に行われた作戦よ。この作戦のおかげで私達は猶予を与えられて今回のような事態に備える準備が出来たわ。」

 

「嘘だろ・・・・・。」

 

亮介がある記録を見て動揺していた。

 

L計画参加メンバーの一覧表。全員死亡と書かれたその記録にはには将陵くんと生駒さんの名前があった。

 

何を思ったのか先生は、ある音声記録を流した。

 

声の主は・・・・将陵くんだった。

 

膝から崩れる亮介、私は受け入れられず呆然としていた。

 

「彼等に感謝しなさい。彼等のおかげで私達は今、生きているのだから。」

 

追い討ちをかける狩谷先生。

 

私は、もう一度一覧表に目を向けてさらに知るべきでなかった真実に遭遇した。一覧表の一番最後。

 

霧島叶・・・・・亮介のお母さんの名前がそこにあった。

 

 

 


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