「んんー、おもしろくていい試合だった!」
大きく伸びをしながら満足気に息を吐き出した出水公平は、ちらりと機嫌を伺うように二宮匡貴を見た。ソファーに頬杖を突いたまま、射手の王は実におもしろくなさそうな表情で鎮座している。ついでに、眉間に皺も寄っていた。
「……そうだな。みようによっては、おもしろい『見世物』だった」
「いやいや、二宮さん。何言ってるんすか。ふつーにいい試合だったじゃないですか。龍神も最後に、鋼さん落としましたし。とうとう試合でNo.4攻撃手を倒すなんて、友人としてアイツの成長を嬉しく思いますよ」
「成長?」
ふっと鼻を鳴らして、ようやく二宮は重い腰をソファーから上げた。あ、やっと立った、と出水が思うのも束の間。すぐにその両手が、予定調和のようにポケットに収められる。
ポケットに両手突っ込んでないと、この人死んじゃうのだろうか……などと、口に出したらアステロイドがとんできそうな疑問を口に出すか迷っていると、二宮の方が先に言葉を紡いだ。
「出水」
「はい?」
「お前、この試合の見所はどこだったと思う?」
「見所、ですか?」
わざとらしく腕を組み、考えること数秒。出水は答えた。
「そうですねー。やっぱ、まずは玉狛の使った土砂崩れ。それから、足場が悪い中での乱戦とかじゃないすか? あと、あんまり評価されてなかったですけど、早乙女のラストのサラマンダー! あれはきちんと評価してあげたいですねー。なんせ、俺の愛弟子なんで」
「最後の追尾炸裂弾は、ルーキーが合成弾を使ったというだけだろう。何を評価する必要がある」
「いやいやいや。甲田の方が全体的な総合力は上でしょうけど、早乙女もなかなかどうして、いいもの持ってますよ。そういえば、俺の弟子ってことは、早乙女は二宮さんの弟弟子ってことにもなりますねー」
「……あの馬鹿がレイガストを使ったことに関して、観客も解説も大いに注目を寄せていたが」
あ、話逸らされたな。
師弟関係について、出水はもう少しからかってやろうとも思ったが、あとがこわいのでやはりやめておく。この年上の『お弟子様』は、普段から仏頂面なせいで、怒りの沸点がどうにも読みにくいのだ。
「如月には元々、あれくらいの曲芸をこなす程度の地力はあった。それを今さらすごいすごいと誉めそやしたところで、あの馬鹿が調子にのるだけだ」
「……へぇ。二宮さん、意外と評価してるんですね、龍神のこと」
「買い被っているつもりはない」
逆に言えば、適切な評価を下しているつもりだと。遠回しに、二宮はそう言っていた。
「だから最初に言っただろうが。所詮はおもしろい『見せ物』止まりだ、と。逆に聞くが、今の如月隊がお前ら太刀川隊と戦って、勝てると思うか?」
「……あっはは。何言ってるんすか、二宮さん」
二宮の持って回った様な言動とは真逆。彼の質問の意図を察した出水は、ストレートに答えを投げ返した。
「龍神達が、俺達に勝てるわけないじゃないですか」
「……だろうな。つまりはそういうことだ」
「そりゃそうっすよ。だって、太刀川さんに個人戦で勝てないアイツが、どうやって俺達に勝つっていうんですか? 無理でしょ」
言い切った出水は、飲み終えたコップをゴミ箱に向けて放り投げた。綺麗な孤を描いて、吸い込まれるように入ったそれをつまらなそうに眺めながら、二宮がドアを開く。その背中を引き留めるために、出水はさらに一言。
「ていうか、二宮さん……やけに龍神のこと気にしますね? 何かありました?」
「一度は俺のチームに引き入れようとした人材だ」
歩き出した背中はもはや振り返ろうともしない。
「つまらん試合をしたら、鼻で笑ってやるのは当然の権利だと思うが?」
退室する射手の王を見送り、出水は呟いた。
「素直じゃないというか、なんというか……」
あの傲岸不遜な性格が地であることは理解しているつもりなので、何も言う気はないが。
しかし、何故だろうか? 射手の王の真意は、また別のところにある気がして……出水はまた肩を竦めて、やれやれとかぶりを振った。
◇◆◇◆
試合後の総評が終わった後、龍神達と分かれた江渡上紗矢は本部内のラウンジを訪れていた。試合後の反省会を、部隊とは別の人間……つまり対戦相手だった鈴鳴第一のオペレーター、今結花と行うためである。
元々、龍神と関係が深かった鈴鳴第一とは、紗矢もそれなりに言葉を交わす仲になっていた。だからこそ、それぞれのチームのエースが合意した上で試合前に自分の戦闘データを渡す、という敵に塩を送るような取引も成立していたし、試合後にも「勝敗は関係なく、恨みっこなしでオペレーター同士の反省会をしよう」という今の提案も、快諾したのだ。
だから、これは話が違うのではないか、と紗矢は思う。
「よくも! よくも騙してくれたわね~!」
「ひだいっ……びだいでずこんざんっ……!」
「トリオン体なんだから、痛いわけないでしょ!」
ラウンジの真ん中に位置するそこそこ目立つ席で。周囲の注目を存分に集めながら、江渡上紗矢は今結花にほっぺたをぎゅうぎゅうと弄ばれていた。
何事か、と足を止める何人かの隊員達は少女達の可愛げのある取っ組み合いに苦笑し、そして通り過ぎていく。赤くなってそそくさと立ち去る者、ニヤニヤとその様子を眺める者。反応は様々だったが、とにかく好奇の目に晒されているということだけは分かる。紗矢は非常に恥ずかしかった。
「私は本部以外の! 玉狛支部での戦闘データを頂戴って言ったのに! まさか『三雲くんとのレイガストを使った戦闘記録』だけ抜いてあるなんてねっ!?」
「ぼっ……
頬をつねられながら、紗矢はあの時の自分の発言を思い返す。
たしかに。では、こちらが『玉狛支部』で行った如月くんの模擬戦。その映像記録になります。主な相手は、迅さんや小南ですね
うん。自分は決してウソは言ってない。ウソは。多分、遊真に見られてもサイドエフェクトが反応しない程度には、決してウソはついていない。むしろ、迅や小南だけでなく、烏丸との戦闘データなども入れておいたあたり、おまけしてあると考えてほしい。
「……まあ、そのくらいでいいんじゃないか? 周りの人もみてるぞ」
「鋼くん……でも、整った顔をいじり倒すの、ちょっと楽しくて」
「ああ。それはなんとなく分かるけど」
何故か今についてここにやってきたNo.4攻撃手、村上鋼がのんびりとした口調で助け船を出してくれたおかげで、執拗な攻撃からようやく解放される。痛覚はないがそれでもヒリヒリとした感覚が拭えない頬をさすりながら、ぜぇぜぇと肩で息をする。そんな疲労困憊の紗矢を見ながら、村上は朗らかに笑った。
「如月は、本当にいいオペレーターを見つけてきたな。ランク戦の外でも策略を巡らせて、腹芸をこなせるオペレーターなんて、そうはいない」
「……ええ、と。それ、褒めて頂いてますか?」
「もちろん。めちゃくちゃ褒めてる」
「褒めちゃダメよ、鋼くん。褒めるとその子、ますます調子に乗って何をするかわからないから」
「こ、今さん……わ、私はちゃんと言いましたからね! 玉狛第二との戦闘データは、次の直接の対戦相手になるから渡せないって! 今さんもそれで納得したじゃないですか!」
「それって要するに、如月くんがレイガストを使っている戦闘データを隠すための口実でしょ? いや、本当にしてやられたわ……」
そんな風に言いながらも、頬をいじり倒す程度で済ませてくれるあたり、やはり今と村上……というか、鈴鳴第一の人間は優しい。
「支部での戦闘記録は本部では閲覧できないけど、まさか今回、それがこんな形で作用するなんてね……鋼くんも何か、ウチの支部の訓練室で新しいトリガー練習したら? 本部で使うのは、如月くんみたいにランク戦本番まで取っておく感じで」
「そうだな。荒船に拳銃でも教えてもらうか」
「あー、でもそれだと荒船くんにウチまできてもらわないといけないのよね」
「来させればいいだろ。カゲんとこのお好み焼き、奢りって言えば簡単に来ると思うぞ」
「人を食いもんでほいほい釣れるやつみたいに言ってるんじゃねーよ。しばき倒すぞ」
ぽん、と。村上の頭の上に、背後から手が置かれる。声の主は、呆れ顔の荒船哲次である。
「荒船」
「荒船くんだ」
「おつかれさまです。荒船さん」
「おう。試合みたぞお前等。鋼、如月のヤローにいいようにやられてたな」
「みるなよ」
「いいや、二万回はみる」
「生駒さんかよ」
「俺だけ如月にやられてたんじゃ、恥ずかしいからな。お前の負けっぷりをたっぷり眺めて、心の傷を癒させてもらう」
「勘弁してくれ」
表情の変化に乏しい村上が、珍しくげんなりと肩を落とす。対して、荒船はとても楽しげな様子だ。
「どうだ? 熱が冷めない内に一本」
「……そうだな、やるか。でも珍しいな。最近はあんまり個人戦してなかったのに」
「色々試したいことがあんだよ。それに、負けて弱ってるお前なら、俺でも余裕を持って勝ち越せそうだしな」
「ぬかせ」
ちょっと待っててくれ、飲み物だけ買ってくる、と言って立ち上がった村上と入れ替わりに、荒船が席に座り込む。村上が場を離れたせいか、自然と視線は紗矢の方に向けられた。
「お嬢ちゃんも、疲れたんじゃないか? あの馬鹿の手綱を握るのは大変だろ?」
「はい。まぁ、それなりに。うちの隊長の馬鹿さ加減にはいつも苦労させられてます。あと、できれば『お嬢ちゃん』はやめてください。荒船さん」
「ああ、悪いな。お嬢ちゃん」
「……」
こういうところ、あの馬鹿と似ているかもしれない、と紗矢は思った。
「しかし、これでそっちはもうB級の上位か。一気に駆け上がったな」
「玉狛第二といい、ほんとすごいわよねー。ていうか、今期は新進気鋭の新チームが2チームも出てきて嫌になるわ……デビューのタイミング、1シーズンずらしなさいよ」
「如月くんに早くチームを組め、とせっついたのは上層部だそうですし、それに関しては文句を言われても少し困るんですけど……」
「わかってるわよ。言ってみただけ」
ひらひらと手を振る今の言葉尻を「でも、どちらにせよ、あまり変わらなかったかもな」と、荒船が引き継ぐ。
「如月のヤツも、チームを組まなかったらどこかに入ることになってただろ? かなりのチームが声かけに行ってたんだから、どこかに入ってランク戦を引っ掻き回してたのは間違いねぇよ」
「……そうなんですか?」
「あれ? 紗矢ちゃん知らなかったの? フリーを貫いていた如月くんがチームランク戦に出るっていうから、結構な騒ぎになったんだけど……荒船くんのところはもちろん、諏訪隊や二宮隊、A級からは加古隊まで手を挙げたくらいだし」
紗矢にとってその話は初耳だったが、そういえば以前、龍神がドヤ顔で「俺がフリーの頃は引く手数多の引っ張りだこでな……実は無用な争いを避けるために、チームを組んだ、という側面もある。ふっ……人気者はつらいな」などとのたまっていたような、いなかったような記憶がある。
「一体、何が良くてあの馬鹿を欲しがるんでしょう……?」
「いやいやいや。ちょっと性格に癖があることを除けば、如月くんって実力含めて優良物件よ?」
「そうだな。かっこつけで言動がウザいことを除けば、それなりに使えると思うぞ」
「人格に難ありな時点で、問題物件だと思うんですけど……」
「紗矢ちゃんがそれ言う?」
「え」
「ああ、うん。ウソよウソ。そんな泣きそうな顔しないで」
なんだか、さっきからいいように弄られている気がする。が、頭を撫でてくる今に抵抗するのも馬鹿らしいので、紗矢は甘んじて受け入れた。決して、甘えさせてくれるのがちょっと気持ちいいから、とかではない。断じて、絶対に。
「そういや、あの時なんで鈴鳴第一はいなかったんだ?」
「え? だって、ウチの支部、本部から結構距離あるし……」
「いや、それは理由にはならないだろ。雨の中、俺に話を聞くためだけにカッパ着てチャリを走らせてくる来馬さんが、移動の手間を惜しむわけがない」
「う……鋭いわね、荒船くん」
紗矢はまだあまり話したことはないが、鈴鳴第一隊長の来馬辰也は、ボーダーの中でも屈指の人格者として知られている。村上が己のサイドエフェクトについて思い悩んでいた時も、そこから立ち上がるきっかけを作るために色々と手を尽くしたそうだ。龍神が頻繁にリスペクトの言葉を口にする、数少ない人物の内の1人である。
「太一を問題なく扱ってるんだから、如月の1人や2人、増えたところでとくに問題ないだろうしなぁ?」
「太一が問題を起こしてないかはともかく……たしかに、荒船くんの言う通り、来馬さんも最初は行こうとしたのよ、如月くんのスカウトに。でも鋼くんが嫌がってね」
「はぁ? 鋼が?」
ますます意味が分からない、と荒船が首を傾げる。紗矢からしてみても、村上が龍神の加入を嫌がった、というのは少し意外だった。
「ほら、鋼くんと如月くんって、入隊の時期が結構近かったじゃない」
「ああ。言われてみればそうだな」
「だから、如月くんがどう思っているかはともかく……鋼くんの中では、如月くんは『ライバル』としての認識が強いみたいで」
曰く。
わがままを言って、すいません。でも、オレは如月とは同じチームじゃなく……敵として、戦いんたいんです。
村上はすぐに本部へ行こうとした来馬に対して、頭を下げてそう言ったのだという。
「……へぇ、意外だな」
「意外でしょ」
「意外ですね」
村上鋼の才能は、本物だ。入隊後約1年という短い時間でNo.4攻撃手まで上り詰めた実力は、並大抵のものではない。
自分のことではなかったが。そんな相手から好敵手として認められるのは、とても誇らしいと紗矢は思う。
「そういうわけだから、今日の鋼くん、すごく楽しそうだったのよ。負けちゃったけど、それでも如月くんと公式のランク戦で戦えたことが、本当に嬉しそうで。だから……」
「喋りすぎだ」
ボン、と。今の頭の上に、背後からペットボトルが振り下ろされる。
「あいたっ!? ちょっと鋼くん!?」
言うまでもなく、彼女の背後でペットボトルを握っているのは村上である。抗議の視線などどこ吹く風で、村上は悪友に起立を促した。
「荒船、いくぞ」
「おう。じゃあな、お嬢ちゃん」
「はい。お疲れ様です」
荒船に向けて軽く会釈すると、村上が何かに気付いたように立ち止まった。
「ああ、そういえば江渡上……ひとつ、いいか?」
「はい? なんでしょう?」
欠片も表情を動かさず……いや、ほんの少しだけ口の端を持ち上げて、村上は言った。
「次は負けない」
不意を突かれた。少し、間抜けな表情を晒してしまったことを自覚する。
「……はい。承りました。うちの馬鹿隊長にも伝えておきます」
「助かる。でも、少し自覚が足りないんじゃないか?」
「え?」
「今のは如月だけじゃなく、江渡上を含めた全員に向けて言ったつもりだ」
如月龍神に負けた、というのはもちろん。
如月隊に負けた、と。彼は言ってくれているのだ。その事実に、胸が熱くなる。
「ルーキー達にもよろしく言っといてくれ。今度、またウチの支部に来るといい」
「……はい。ありがとうございます」
江渡上紗矢は、立ち上がって一礼した。
「次に戦う時も、全力で迎え撃たせていただきますね」
「ああ。楽しみにしてる」
◇◆◇◆
何が足りなかったのか、と言えば。
結局のところ、何もかも足りなかったのだろう。
「……完敗だったな」
漏らした呟きに、隣を歩く相棒が振り返る。
「そうか? 途中までオサムの作戦はうまくはまってたし、全体的にみれば悪くなかったと思うぞ、おれは」
オサムもチカもよくやった。むしろ、最後の最後に油断してやられたおれが一番悪い、と。呟く遊真の言葉を、修は首を振って否定した。
「いいや……レイジさんが言っていた通りだ。作戦はうまくいった。でも、勝てなかった。勝てるように組んだ作戦がうまくいくことは、むしろ大前提。それでも勝てなかったってことは……つまり、ぼくの『勝ちを描く力』が足りなかったってことだ」
「そうやってすぐ、なんでも自分の責任にして背負い込むのはオサムの悪い癖だぞ」
「そうかもしれない、けど……それでも、負けは負けだ」
「まあ、それはそうだな」
修の発言を否定はせず。首を後ろで腕を組みながら、遊真は気軽に問い返した。
「じゃあ、次はどうする? 隊長」
そうだ。負けて落ち込んでいる時間はない。
自分達は負けた。悔しい。それで終わってしまっては、何の意味もない。
負けてしまった、悔しい。どうして負けた? その原因は? 次に勝つためには、何をすればいい?
「……そうだな」
考えることは、山積みだ。やるべきことは、数え切れないほどにある。
顔を上げた修は、歩くスピードを早めた。こんなところで迷っている暇はない、と。そう言いたげに。
「ぼくは玉狛に戻って、もう一度記録を見直そうと思う。今後について、いろいろ考えたい。空閑はどうする?」
「そうだな……オサムに付き合ってもいいけど、今日は体を動かしたい気分だから、このまま本部で個人戦やってくよ。ちょうど、ミドリカワから誘われてるし」
「そうか。わかっ……」
不自然に修の言葉が途切れた。信じられないようなものを見たような表情で固まった隊長を見て、何事か、とその視線の先を追った結果……ああ、なるほど、と。遊真も勝手に納得して頷いた。
前方、20メートルほど先。自販機の前で立ち止まっているのは、他ならぬ修の師匠であった。
「ん? 三雲と空閑か。奇遇だな」
つい先刻まで全力の勝負を演じていたとは思えない気安さで、如月龍神は片手を挙げた。
「……お疲れ様です」
「どーも、たつみ先輩」
一瞬、立ち止まった修だったが、観念したように龍神に歩み寄った。財布から100円玉を入れようとしていた龍神はそれを中にしまい込み、代わりに千円札を1枚入れて、迷わずボタンを押した。ガコン、ガコン、と。立て続けに飲み物が落ちる音が響く。
「ほれ」
修には缶コーヒーを。遊真にはオレンジジュースを。龍神が放り投げたそれを、修は慌てて両手で、遊真は片手でキャッチした。
「す、すいません!」
「気にするな。高々数百円だ。それに、今回は『勝ち』をもらったしな。俺が奢るのが筋だろう?」
言いながら、龍神の指先は『コーヒー微糖風味』と『抹茶オレ』の間で揺れ動いている。結局、その間の『漢のブラック』に落ち着き、お釣りと一緒に缶が落ちた。
「たつみ先輩、今回はおれと遊んでくれなかったね」
「俺と遊ぶ前に鋼さんに落とされたお前が悪い。折角のランク戦だ。お前ともやり合いたかったが……まぁ、今回は鋼さんの打倒を優先させてもらった」
「おいしいところをもってかれたね」
遊真が口を尖らせながらそう言うと、龍神は大仰に肩をすくめた。
「まだ機会はある。お前達が『上』にあがってくるならな」
「すぐに追いつくよ」
負けた直後の、気まずい雰囲気を感じさせない会話だった。自分も会話に加わろう、と思ったが……何故だろうか。修は2人の間に入っていく気にはなれなかった。自分の中で、負けた悔しさを消化しきれていないのかもしれない。龍神も、薄々それに感づいているのか、修に対して必要以上に話を振ってこようとはしなかった。気を遣わないように見えて、意外と気を遣うのがこの師匠である。故に、修にとってその配慮は少し痛いものでもあった。
しかし、だからこそ。ひとしきり遊真と語った後で、こちらをむいた龍神の視線に、修は体が強張るのを自覚した。
「そうだ。三雲、お前に折り入って一つ頼みがある」
「……なんですか?」
「ふ。そう固くなるな。べつに大したことじゃない」
わざわざ腕を組み直しながら、龍神は修を正面から見据える。その瞳の色は真剣そのものであり、大したことではない、という言葉とは真逆の態度に、修は唾を飲み込んだ。
「今回のランク戦で、俺はレイガストを含めた3種類のブレードトリガーを使っただろう」
「はい」
「その結果、実況で綾辻が俺のことを『ブレードマスター』と言ってくれた。どう思う?」
「……はい? ええと、なんというか、すごいと思います」
「ふっ……そうだろう。だから、お前に頼みたい。これは誰にでも頼めることではなく……むしろ、お前にしか頼めないことだ」
組んでいた腕を解き、修の肩に手を置いて、
「流行らせてほしい」
龍神は言った。
それはもう、めちゃくちゃいい笑顔で。
「え……? 何をですか?」
言われたことの意味が分からず。思わず修は、素で問い返す。
「だから『ブレードマスター』というかっこいい俺の通り名を、いい感じに流行らせてほしい」
「……」
まるで、意味が、わからない。
「お前にレイガストの使い方を教えたのは俺だと、ちょうどレイジさんが解説で言ってくれたらしいからな。他の知り合いにも頼むつもりだし、もちろん俺からも積極的にアピールしていくつもりだが……俺の『愛弟子』であるお前の口から『ブレードマスター』という単語が出れば説得力が増すだろうし、C級にもすぐ広まっていくだろう。今シーズンのランク戦では、俺のチームに劣らず玉狛第二も注目の的だからな」
「あの……」
「そうだな……「如月隊長は、ぼくの師匠なんだ」とか「この前の一騎打ちでは負けてしまったけど、後一歩のところまで追い詰めたんだ」とか、そういう前置きがあった方がいいかもしれん。その上で「あの人は全てのブレードトリガーを使いこなす……ボーダーで唯一、ブレードマスターの称号に相応しい人なのかもしれない」とか、そんな感じで臨場感たっぷりに感情を込めて語ってほしい。どうだ、わかったか?」
「すいませんなにもわかりません」
修はだらだらと冷や汗を流した。
この『逆立ちしてもこの人の考えていることは一生理解できないんだろうなぁ』という感覚が、実にひさしぶりであった。
なにもわからない、と言ったのがなにも聞こえていないのか、龍神は至極真面目な表情で重ねて問い掛けた。
「やってくれるか?」
修は即答した。
「お断りします」
「なぜだっ!?」
「すごく馬鹿馬鹿しいので」
「俺の異名を広める、貴重な機会なんだぞ!?」
「……一応、聞いておきますけど、もしかして如月先輩は、その恥ずかしい呼び方を広めることで、次のランク戦でも『レイガストを使ってくるかもしれない』みたいな、そういう情報戦を仕掛けるつもりだったり……するんですか?」
「いいや、特にそんな意図はない」
龍神は即答した。
「……大丈夫だ、オサム。タツミ先輩はウソついてないよ」
「……そうか」
遊真から、いらないお墨付きが出る。そこは、ウソでもよかったなぁ……と、修は思った。
これ以上、お馬鹿な師匠のお馬鹿な話に付き合っていても、時間の無駄でしかない。修は、龍神に軽く頭を下げた。
「じゃあ、試合の反省もしなきゃいけないので、そろそろ失礼します」
「む、そうだな。おれもミドリカワとの約束あるし」
「おい、まて。俺の話はまだ終わっていないぞ」
「まだ何かあるんですか?」
いい加減、げんなりとした表情を隠そうともしない修に対し、龍神はなんでもないように言った。
「スラスターのタイミングが、2秒遅かった」
脈絡のない指摘だった。
けれど、龍神がどの場面を指してそれを言っているのかは、すぐに分かった。
「モールクローを読んだところまではいい。スラスターも、遅いとは言ったが、お前にしては上出来の反応だった。ただ、その後のアステロイドの集弾が甘かったな。射手は攻撃手を近づかせないのが一番の対策だが、展開から発射までのラグは、やはり近接戦になった際に命取りになる。烏丸との練習に、咄嗟の状況に対応するためのメニューを付け加えるといいだろう」
龍神との一騎打ちで浮き彫りになった、修の今後の課題。
立ちはだかる敵であると同時に。
如月龍神は、やはり三雲修の師匠だった。
「……如月、先輩」
「言いたいことは、それだけだ」
引き止めて悪かったな、と。踵を返した龍神を、今度は修が引き止める番だった。
「まってください」
「なんだ? まだ何かあるのか?」
先ほどの修と同じセリフを繰り返すあたり、分かっていて意趣返ししているのだろう。隣に立つ遊真も、ニヤニヤと修を見ていた。
「さっきの、異名を広めてほしいって話……やってもいいですよ」
「なっ……本当か!?」
「はい。訓練生に聞かれたら、きちんと答えます。如月先輩はぼくの師匠で、3種類のブレードトリガーを扱う優秀な攻撃手で、『ブレードマスター』という異名を持っていて……そんな如月先輩のチームに、ぼく達は完敗して」
ただし、ひとつだけ付け加えるならば、
「でも、次にやる時は必ずぼく達が勝つ」
いつも驚かされてばかりな師匠の、驚いた顔を見るのはとても気持ちがよかった。
「そう、伝えます」
「……ふっ」
生意気な弟子め、だとか。
俺は上で待っているぞ、だとか。
言いたいセリフは、いくらでもあっただろうに。
「がんばれよ、三雲」
こんな時に限って、こういうセリフしか吐かない師匠の背中が廊下の先に消えるまで。
三雲修は、黙って頭を下げ続けた。
◇◆◇◆
暗闇の中で、剣戟と銃撃の音だけが響く。
「……如月隊が、上位に勝ち上がってきたそうだ」
一瞬でも気を抜けば、確実にその首を刈り取れる。そう思える程度には、全力で攻め立てているはずなのに、目の前の男は全く動じない。スコーピオンは弧月に阻まれ、アステロイドはシールドにはじかれる。
「次の組み合わせで、お前達と当たる」
痺れをきらした彼女は、攻撃パターンを変更。攻撃にフェイクを織り交ぜ、グラスホッパーで彼の背後に回り込んだ。並みの隊員なら、反応するだけで精一杯であろう、及第点の高速機動。
「動揺したか? 攻めが単調だぞ」
だが、彼の評価は『落第』だった。
動きを読まれて右腕がもがれる。くれてやったそれの駄賃代わりに、相手の右肩に突き刺したスコーピオンもギリギリのところで回避され、逆に膝から下が失われる。
「っ……ぐぅ」
バランスを崩し、倒れ込んだ彼女の顔面に、容赦なく弧月の切っ先が叩き込まれた。脳天を貫かれるその感覚に全身から冷や汗が吹き出て、呼吸が荒くなる。
1分でもいい。30秒でも構わない。少しだけでいいから休憩させてくれ、と叫びたくなるのをぐっと堪える。訓練室の優秀極まりないシステムは、すぐに彼女の体を元通りに再生してくれた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
膝をつき、下を向いたまま、息を何度も吸い込む。
身体が重い。頭が働かない。トリオン体の中には吐くものなんてないはずなのに、えずくような不快感が止まらない。
「……今日はもう、やめておくか?」
唇の端を、強く噛む。
対峙する彼の、その提案は彼女にとって何よりも魅力的ではあったけれど。
「…………べつに。まだ全然大丈夫よ」
それを甘受した瞬間に、この関係性は終わりを告げるのだろう、というイヤな直感が彼女にはあった。
目の前のコイツは、そういう男だ。
だから、やめるという選択肢は存在しなかった。
疲労に満ちた表情が情けないものでも、負けを重ねる姿がどんなに不格好でも、
「もう一本、お願いします」
それでも、香取葉子は立ち上がる。
感想欄で、おもしろいお題を頂いたので、それについて少し書きます。
『最強のトリガー構成』
ワートリファンなら一度は考えたことがあるであろう……永遠のテーマ。実際、みなさんも日々様々なトリガー構成を妄想しているはず。ノートの隅っことかに書き込んでいるはず!(決めつけ
さて、お題をくださった方からは「龍神のトリガー構成が作者さんの理想ですか?」と問われたのですが、ぶっちゃけ特にそんなことはありません。攻撃手として「こんな構成だったらおもしろいなー」と思えるものを詰め込んではいますが、これが最強じゃ!という理想形ではない感じです。メタ的に言ってしまうと、あまり強くし過ぎると物語的に弊害が出てくるので……
では、まずは自分の考えた『最強のトリガー構成』をご覧ください。
ポジション・万能手
コンセプト・『斬って撃てる攻撃偏重の万能手』
メイン
弧月
旋空
シールド
炸裂弾
サブ
弧月
バッグワーム
シールド
追尾弾
このトリガーセットを考えるにあたって、以下の注意点を守りました。
・魔光、韋駄天など詳細が判明していないトリガーは除いて構成する。
・レイジのようなトリガーチップの増設は行わない。
・『ガイスト』『双月』『コネクター』『全武装』のような、玉狛製ワンオフトリガーも除外する。
・三輪の『鉛弾(改)』や加古の『追尾弾(改)』のような、A級権限を利用したカスタムトリガーも禁止。
・あくまでB級の権限でセットできる、本部規格のトリガーを使用する。
以上です。それでは、解説に入っていきましょう。
まずトリガーセットを考えるにあたって、最初に決めなければならないのはポジションです。現状、詳細が判明していないトラッパーは論外として、寄られたら終わり、という明確な弱点から、狙撃手も最初に選択肢から外れました。荒船さんのようなスタイルなら対応できる、とも思いますが、狙撃トリガーが枠を埋める分、どうしても近、中距離戦におけるトリガーの選択肢が減ります。
最強の定義は人によって異なると思うのですが、とりあえず『積極的に点を獲る』ことができ、尚且つ『タイマン勝負でも負けない』と仮定するならば、やはり選択肢は攻撃手、万能手、射手に絞られるでしょう。
え? 銃手……? はやく弓場隊長出して(切実)
見ての通り、わたしが選んだのは万能手です。
原作のランク戦を見ていると、中距離の差し合いで射撃戦に絡めない攻撃手はやはり厳しいものがあると感じました。とはいえ弾丸を防ぐ『シールド』が基本装備のワートリ世界において、それを問答無用で叩き割れるブレードトリガーは絶対に欲しい。故に、両方をバランスよく……欲張りセットで近距離戦も中距離戦もこなせる万能手が、最適だと考えました。
基本的な立ち回りは、中距離戦で弾丸。近距離戦で弧月というシンプル極まりない動きです。弧月は基本的には一本出した状態で追尾弾絡めて隙を作り、旋空を打ち込む。相手が手練れの攻撃手なら「仕方ねぇ……二本目を抜くか」みたいなノリで二刀流に移行して、近接火力を上げましょう。弧月二本に旋空一、という特殊構成なので、こっそり持ち替えれば「どっちから旋空が飛んでくるかわからない……!」みたいな心理戦もできます。弧月は持ったままオフにできるので、二刀流のままでもある程度手元から離してトリオンキューブを展開、発射して射撃戦も可能……だと思うよ、多分! スコピではなく弧月な理由は後述。あとは状況と射程をみて、合成弾(サラマンダー)を撃ち込みましょう。戦況が膠着しているなら、味方のフォロー受けつつサラマンダーぶち込んで攪乱。あとは近づいて斬るのが理想ムーブです。
それでは次に、一つずつ、トリガーの採用理由をみていきたいと思います。
『弧月』
言わずと知れた傑作トリガー。切れ味も頑丈さも申し分なく、実は作中で未だに壊れた描写がないすごい剣。トリオン格差がわりとエグいワールドトリガーという作品において、トリオン弱者の味方になってくれるベーシックな日本刀。
トリガーセットを見てもらえれば分かるように、二振り装備した二刀流です。二本もいらなくね?と思ったそこのアナタ。ちょっと攻撃手上位陣の武器を思いだしてみてほしい。
太刀川 弧月二刀流
風間さん スコーピオン二刀流
小南 双月(コネクターがメインとはいえ)二刀流
村上 弧月とレイガスト(盾モードメインとはいえ、一応)二刀流
雪丸 レイガストの二刀流とかいう意味不明の変態。詳細が待たれる
お分かり頂けただろうか?
みんな二刀流なのである!!みんな二刀流なのである!!(大事なことなので二回言いました)。上位攻撃手クラスの攻撃力を得るためには、二刀流は必須スキルなのだ!!
……まぁ、それはさすがに言い過ぎだとしても、近いものはあると思います。雪丸に次いで6位のイコさんは『生駒旋空』っていうスゴ技を持っているので、接近戦でザクザク削り合うよりも、ある程度距離を保った特殊な間合いでの斬り合いがメインなわけだし。決してイコさんの近接が弱い、などとのたまうつもりはありませんが、それでも攻撃レンジに差はあると思われます。イコさんの射程がはっきりすれば、そのあたりの問題もスッキリするのだが……
おそらく、多くの方がスコーピオンではなく弧月をチョイスしたことを疑問に感じていると思います。ここまでいくと完全に好みなのですが、個人的に近接で削り合うなら弧月>スコーピオンというのが自分の考えです。なんでだよ迅さん太刀川とスコーピオンで互角じゃん!?と思うじゃん? あの人攻撃予知で全部避けるじゃねぇか……回避能力高すぎてあんまり参考にならねぇんだよ! じゃあ風間さんは?と思った人、手を挙げなさい。たしかに風間さんはスコーピオンで受け太刀しまくってるけど、おそろしいことにスコーピオンが受け太刀で損傷した描写がほとんどないからね? 多分、相当なレベルでスコーピオンによる防御技術を確立しているよ風間さんは。マジ小型かつ高性能。バスターライフル撃てそう。
ちなみに、純粋な弧月一本で強い攻撃手は誰?と考えるとイコさん以外なら、忍田さんが該当します。ていうか、イコさん以外には忍田さん位しか該当しません。そして、忍田さんは餅ですら一コマに二本しか出せない旋空弧月の斬撃を、三本出せるのマジモンのバケモン。こういった考察に引き合いに出す基準には成り得ない。強すぎて。
以上の内容を、大まかにまとめると、
・上位攻撃手陣を見る限り、攻撃手同士の斬り合いでブレード一本は火力(手数)不足。
・+αの特殊能力、コンセプト(サイドエフェクト、カメレオン等)がなければ、基本的に攻撃力は弧月> スコーピオン
ということです。
なお、副トリガーの旋空を一つオミットしていますが、これは中距離戦になるなら弾丸を使うだろう、という個人的判断によるものです。あまりにも太刀川に被り過ぎる、という理由ももちろんありますが。
『旋空』
みんな大好き旋空弧月。攻撃手にブレード以上の間合いを提供してくれる、スーパーオプショントリガー。ブレードを瞬間的に延長することで、漢のロマン『飛ぶ斬撃』を使用できます。イコさんを除いて、伸ばす長さは平均15メートルほど。
弧月を使用している攻撃手はほとんど装備していますが、その反面『旋空弧月』を多用する隊員はそこまで多くなく、取り扱いの難しさを感じさせます。作中で多用しているのは、太刀川を筆頭に、忍田さん、イコさん、辻ちゃんなど。特に辻ちゃんは味方のフォローに旋空弧月を頻繁に用いており、ただ攻撃するだけではない「時枝と並ぶ名フォロワー」というカバー裏表記も納得の使い方をしています。
最新のランク戦で確定的になりましたが、以前から言われていた通り、15メートルまで伸ばさなくても、長さの調節が可能な様子。村上VSヒュース・遊真以外で言うと、12巻のくまちゃんが弧月を伸ばしているような斬撃の描写があります。『飛ぶ斬撃』だけでなく、ある程度間合いの調整にも使える本当に優れたオプショントリガーと言えるでしょう。
しかし『旋空』の真価は、その汎用性ではなく、使い手によっては自爆モードのイルガーすら両断できる、量産型トリガー屈指の『火力』にあります。流石に『双月』のようなワンオフトリガーには及ばないものの、大規模侵攻編の太刀川のように、複数のラービットを同時に屠れるほどの攻撃力は他に類を見ません。現状、エスクードを破壊できるのは「旋空弧月とレイガストのスラスター斬り」と、嵐山が明言していることからも分かるように、旋空弧月の威力はボーダーのトリガーの中でも最高クラスと言って過言ではないのだ。
『シールド』
他の作品を見ていると様々なパターンがありますが、個人的には特別な事情がない限り必須装備だと考えています。どんな状況でも使える防御の鏡。頭部のみに集中させれば、イーグレットの一発すら耐えます。有能。おそらくボーダーのシールド開発担当と弾丸開発担当は、その力関係を巡ってずっと矛盾(ほこたて)してると思われる。
誰もが装備しているだけに、使用者によってその活用法に大きく差が出るトリガーであるとも言えます。連載初期のトッキーやのゾエさんを見ていると分かりますが、シールドの使った味方のフォローが非常に巧い。逆に香取隊などは、ヨーコちゃんを中心にフォローしているものの、柿崎隊からダメージを食っているあたり、シールドの『重ね方』が甘いように感じます。がんばれ香取隊。
個人でも、円形に曲げて使う犬飼や分割して卵の冠を無力化した三輪など、シンプルなだけでなく応用性も高い、素晴らしいトリガーと言えるでしょう。シールドを開発、改良してる部署はえらい。がんばれ。
『バッグワーム』
他の作品を見ていると様々なパターンがありますが、個人的には特別な事情がない限り(以下略。居場所ばれないの、ランク戦で大事。個人戦ではバッグワームを抜くのでは?という意見もありましたが、個人戦だけで使うトリガーがあってもあまり意味がないと思うので、個人的にバッグワームは個人、チーム戦問わず固定装備です。個人戦でも射手や銃手を相手に攪乱戦を行うなら、装備の価値があると考えています。
『炸裂弾』
いまいち威力がハッキリしないことに定評がある爆発する弾。とりあえずくまちゃんを吹き飛ばすくらいの威力はある。
トリオン量によって爆破の威力が左右されることに加え、攻撃力は通常弾が上と明言されているので、見た目の派手さに反してシールドを破る力は低いと思われます。この装備においては撃ち合いよりも牽制、障害物の爆破、目くらましがメイン。小南パイセンみたいな使い方、と言えばおおよそのイメージは浮かぶでしょうか?
『追尾弾』
撃ちやすそうで、とりあえず入れておきたい射手用トリガーランキングダントツの第一位(作者調べ)。
初期は誘導弾表記がメインでしたが、最近は追尾弾表記で落ち着いているネーミングも弾道もフラフラしてる弾丸。視線誘導とトリオン探知誘導の二種類で誘導可能。曲射を活かした時間差射撃や、虎太郎がよく使用する横から回り込むような射撃など、その利用法は多岐に渡ります。ただし、なまじ威力が低い分、中々決め弾にはならない。言ってしまえば、所詮シールドで防ぎきられるレベルの火力しか出ないため、得点に繋げるためにはもう一工夫が必要となるでしょう。
既存のキャラでは、王子や柏尾の利用法が印象的。弧月を絡めながら旋空以外の飛び道具もある……と相手に意識させるのはそれだけで強力。コアラも持ちたがっていたあたり、攻撃手が補助攻撃手段として持つのはボーダー内では意外とメジャーなのかも。
そんなわけで、なんとか5000字に収まりましたね。一口に『最強』と言っても、その定義は人それぞれですし、様々なトリガーの組み合わせを考えられるのがワートリの楽しいところです。自分なりにトリガーについてのまとめも兼ねて今回、色々と書いてみましたが「これは違う!」「こんなの強くねぇ!」「グラホ入れろ!」みたいな意見も当然あると思います。よろしければ、みなさんの『最強』トリガーセットも是非教えてください。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
とりあえず今度は『作中描写から推測されるエスクードの強度について』とか『アイビスに見る狙撃トリガーと弾丸トリガーの威力の相違』とか書きたいと思います。