オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか? 作:シフシフ
お待たせしましたー!・・・・・・待ってる人は居たのだろうか?
進学云々でリアルが大変でした。あとは、友人とのバトフィの分隊が楽しすぎたのが悪い。
しかし進学先も決まり、最早後顧の憂いはないのです。
さて今回のタイトル、大分ほのぼのの雰囲気がしておりますが・・・・・・すまない、シリアスなんだ。ほのぼのも有りますよ?合間合間に。
あともう少しで完結ですので、もう暫くお付き合い頂けると幸いです!
「──────────見付けました」
女性は鈴のような声でそう言った。銀の長髪を靡かせ、その手には桜の紋様が刻まれた刀。
片目には黒い眼帯を付け、その青く、清い隻眼は鋭く目の前の破滅を見据えていた。
「あなたを飛ばせる訳には行きません。また、繰り返す事になる。数多の私達が繰り返した結末を」
破滅は首をもたげ、赤い瞳がその青い隻眼を見返した。
その破滅もまた隻眼。
「私が観てきた未来を。故に」
過去に英雄とでも呼ぶべき人類らの意地が貫いた片目、完全に潰れたその目は今も尚、当時のままに壊れている。
「───その翼、斬らせていただきます」
赤と青。隻眼は─────
片やオラリオ二大ファミリアを壊滅させた怪物。
片や古今東西の誰もが成し遂げていないレベル8の到達者。
その戦いの衝撃は、世界を僅かに揺らしていた。
駄神との会話を終えた俺は、妖夢や命と話しながら下へ下へと進んでいく。一先ず五十階層まで進む。五十階層はセーフティーエリアなのでモンスターは湧かないからだな。
「あと少しだね」
「えぇ。あと、地上が心配です」
「そうだな、何も無ければいいが」
桜花達がそんな話をしている。ちなみに千草もラーニェの背中に乗り、寛いでいた。初めは遠慮していたけどな。
けど俺は何か、引っ掛かりを感じていた。何だったかわからないが、大変である事はわかる。
顔ではニコニコと笑い、皆の話に頷く。当然だが話しは聞いているし、時折返事も返すのだ。命が繰り広げる春姫の会話は聞いていて楽しいし、命のタケミカヅチ自慢は微笑ましい。
だからこっそりと可能性を調べ続けていた。妖夢は霊力が減る事でそれに気が付いたのか、「心配」だ、と感情を俺に送り付けて来ている。
紫が来る可能性はまだ低い。俺が消えてしまう可能性は80%から変化無し。この場にいる人たちの死ぬ可能性は一番高くて10%も無い。
何が起こるんだ・・・・・・?
「そろそろ五十階層だ!みんな警戒を怠るな!」
五十階に入ってしまえば安全だ。だからそこまでの道は尚更警戒しなくては行けない。
意識を周囲に向けて、気を取り直す。
『あとは能力使いまくって捜索だな。妖夢、相当負担になるけど、いいか?』
「はい。好きに使ってください。あっ、でも動けなくなるまでは使わないでくださいね!」
『わかってるよそんくらい』
妖夢と軽くやり取りをしながらラーニェの上から飛び降りる。そんで妖夢に手を差し出せば妖夢も手を取って下りてくる。
「まずは拠点の設置ですよね」
『おう。んー、俺はとりあえず先に探してくるよ』
「えー、じゃあ私も行きたいです!」
『えー、俺1人じゃないと壁抜けが・・・・・・』
「壁なんてぶった斬りましょ!」
『その手があったか』
やだこの娘脳筋。
私はそんな子に育てた覚えはありません!
あと。妖夢さん?腕に抱き着くのはなぜ?
「ハルプは私の物です、と言うアピールですよ」
『ん?俺が妖夢の物なのは当然だろ、何を今更言ってるのさ』
「みょーん、恥ずかしげも無く・・・・・・。そう言う事ではなくですね他の人がハルプを狙っているかも知れないですから布石を」
『いやー、狙われるのはお前だと思うよ?俺』
え、ならギューッっとしてください?何でさ。
あぁ、うむ。そうね、はい。確かに取られたら嫌だな。凄い嫌だ。・・・・・・考えれば考えるほど嫌だな!
『ギュー!これでいいか?』
「はい!OKです!じゃあ、暫くこのままでー」
『いや、時間があんまりないからね?急ぐぞ』
「みょーん、そんなぁ」
すまぬ妖夢。俺だってそうしていたいのだよ。また後でな。
「「「キマシタワー」」」
「おい、何をしてるんだお前ら。早く準備しろ」
・・・・・・ナイス桜花。
あれから大体1週間ほど経っただろうか。俺達は少しづつ階層を上に上げていき、隠れ里を見つける度に拠点をそこに移動させ、地上へと近づいていた。
『・・・・・・』
けど、俺は未だに違和感が拭えなかった。
すでに30匹程のゼノスを保護し、探索は順調だった。
「あの、ハルプ・・・・・・何か困っているなら私に相談してくださいよ?」
『あぁ、わかってる。けど、なぁ、説明出来ないんだよなぁ』
チラリと視線を向ければ不安そうな顔の妖夢。そしてその後に同じような顔をした命や千草の姿が。
顔に出ていたのかも・・・・・・俺が不安にしてどうするんだよ全く。
「おい、ハルプ。こっちに居たのか」
べートだ。片耳を畳んだまま、こっちに来た。
『どうした?』
「あー、なんだ。ちょっと来て欲しいんだが・・・・・・」
非常にバツが悪そうに頭を掻く。尻尾も揺れてない。
俺と妖夢達で顔を見合わせ、とりあえず行ってみることにした。
「あっ、私もいいですか?」
「・・・・・・わかんねぇ、とりあえず来てくれ」
わかんねえしか言わないな、男ってみんなそんなもんだよな!
んー、誰かが呼んでるんだろうけど、誰かな。フィン、はちゃんと説明してくれるだろうからバツが悪そうにはならないかー。
「ハルプハルプ、どう思います?」
『ん?どうって?』
妖夢が小声で、尚且つワクワクした顔で俺に尋ねてくる。
「ほら、もしかしたらもしかするかも知れませんよ!」
『んー?』
何のことだ・・・・・・?わがんね。能力使うっぺよ。
────
ふぁ!?いやいやいや、告白される訳ねーだろ妖夢さん!何を考えていらっしゃるの!?
『ないないない!と言うか、告白されたらされたでどうするんだよ?(小声)』
お父さん、許しませんよ!その若さでお付き合いなんて!
「みょん?みょーん・・・・・・みょん?」
『考えてなかったんかい!!』
「みょん!?」
こてんと首をかしげた後目が点になる妖夢に思わずツッコミを入れる。
もうみょんしか言えないようにしてやろうか!!
え?それは嫌だ?・・・・・・まぁ許してやろう(上から目線)
「おい、お前ら。着いたぞ」
「『みょん!』」
「は?」
『すまん、何でもない』
おっと、着いたようだ。・・・・・・テントだね。誰の?べートの?え、連れ込む気かな!ヤベェ、刀研がなきゃ。去勢しなきゃ。
「お、おい、なんだ?なんか全身の毛が逆立つんだが!?なんかやばい事考えてんだろハルプ!」
『・・・・・・去勢?』
「ヒッ、やめろ!何でそうなるんだ!」
『べートのエッチ、変態』
「なんでだ!?」
いや、特に理由は無いっす。能力使ったらどうやら、そういう事をいたすつもりでは無いらしいし。まぁ、1%未満ではあるが可能性があるからなー、一応警戒。
『HAHAHA冗談冗談』
「わ、笑えねえよ・・・・・・」
「むー、ずるいですハルプ!私もお話ししたいですよ!」
『おっと、すまぬ。この場は譲ろうぞよ』
「わーい」
んで?このテントは?って聞こうと思ったら布が擦れるような音と共に、中からアイズが出てきた。
アイズかー、アイズだよなぁー。うん、能力使うべ!
「・・・・・・べート、ありがと」
「──おう、んじゃ、俺は帰るわ」
「みょん!?私とのお話は!?」
「また後でな」
「そんなー!」
───さて。なるほどね?アイズがしたい事も分かったが、うーん、どないしようか!正直、倒していいのか、倒してはいけないのか分からんなぁ。
「あの、ししょー『分かってるよ』!?」
『わかってる。だからほら─────』
召喚した白楼剣を抜く。迷いは断った。よもやこの太刀筋に狂いは無い。
『胸、貸してやる───!』
「───うん!」
「え、え?な、なに、え?何が起きているんですか!?あの!あのー!私にも説明を下さーい!」
どうも!妖夢ですよ!何と今、戦闘が勃発しそうな雰囲気です!
べートからの告白か!っと思っていたらまさかの戦闘です。しかもアイズと。
何でですか!?
「ハーループー!教えてくださーいー!」
『あぁもう分かったから引っ張らないでくれよー、ほれみょんみょんみょん・・・・・・』
「みょんみょんみょん受信中、受信中・・・・・・」
なるほどぉ。
アイズはハルプの能力によって異端児を受け入れたものの、記憶や体験から本当に受け入れていいのか迷っている、と。
ウィーネを切ったりしてしまったらしいですね。うーむ、ごめんなさいウィーネとアイズ。
これに関しては私達が悪いですからね。
まぁそれで、アイズはハルプと戦って気持ちに整理をつけさせるつもりのようですね。
むむむ?でもこれって負け確定の負けイベントですよね、ハルプを倒せるのは私かタケか桜花だけですし。
「──────行くよ」
『─────何処からでもどうぞ?お嬢さん』
武器を構えたアイズが腰を落とし、ハルプが不敵にニヤリと笑う。ふっ、私の外見ながらカッコイイ顔ですね!私はあんなふうにカッコつかないですから残念です。・・・・・・ハルプから、イラ付きを感じます。能力を使ったのか霊力も減りました。何が悪い可能性でも見たのでしょうか・・・・・・。
「ッ───!!」
地面を蹴ったアイズが加速する。
流石にステイタスが違いますね。場所は一応、皆さんに迷惑が掛からないように拠点から離れた場所ですので、好き勝手暴れられるというものです。
アイズは直線的に突撃する訳では無いようで、走りながらもやや左右に揺れて体を固定しません。突きなどを警戒した動きという事でしょう。
「はぁ!」
『─ハハッ』
「っ!?」
大した妨害もなく、アイズがハルプの眼前へ。しかし、ハルプが笑うと同時に、アイズの攻撃が
「ならっ、これで!」
うーん、アイズの連撃が襲いかかってますが、当たりそうにありませんね。全部掠りもせずに空ぶって壁や床を破壊するばかりです。
恐らくはハルプが『当たらない可能性』とかそんな感じの可能性を操っているのでしょう。引き上げる場合は80%までのはずですから、5分の1の確率で当たる筈なんですけどね・・・・・・。
うわわ、私の霊力がいきなり結構持ってかれたんですけど!?何が起きてるんです?
『ほらほら、頑張らないと、怪物は待っててはくれないんだぜ?』
あ、あれれー?ハルプさーん!なんかノリノリではありませんか?なんか、並行世界から沢山武器持ってきますけどー、え?ゲート・おぶ・ハンレイ?何ですかその語呂の悪さは・・・・・・。
『くらえー、当たれば痛いぞ!・・・・・・多分な!』
「──────っ!」
うわー、酷い。弾幕ごっこってこれより数多いんですよね?・・・・・・私、少しだけ将来が怖くなってきましたよー。というか、突然武器が現れて飛んでいくとか、オリジナルより恐ろしいんですけど?王様の方は少なくとも撃たれるまでに武器は見えたのに・・・・・・。
こうなったらアイズを応援です!チート野郎を倒せー!アイズ頑張れー!おお!すごい凄い!凄いですよアイズ!あれだけの攻撃を弾いたり避けたりしながら一気に距離を詰めました!
「やっとッ!届いた───!」
『はぁ?何言ってんだ』
「─────えっ?」
ハルプまで僅か1歩と言う距離まで迫った時、途端にその距離は離される。地面がボロボロで良くわかりませんが、恐らくは始めの位置まで戻っていますね。
霊力、霊力が持ってかれますぅ・・・・・・!もう少し加減を!加減をぉー!
・・・・・・ん?あの手に持っているのは白楼剣!?加減なんて斬り捨ててる!?
「遠い・・・・・・でも、私は、知りたい」
『何を?』
「どうしてししょーはそんなに強いの?なんでモンスターを庇えるの?私はモンスターと同じ見た目の異端児を見るとどうしても怖くなる。・・・・・・どうして、かな」
──むむむ、なんだかいきなり難しい事を言い始めましたよ。
なぜ庇えるのか、ですか。
ふむ・・・・・・私からすれば外見が恐ろしいのは半ば当然でしたからね、むしろモンスター話さないものと言う認識に驚きました。確かに低級の妖怪も話せない子はいますが、要するに異端児は妖怪で言うところの中級とか上級なのです。
言葉が通じ、対話が可能性なのなら、それが助けを求めているなら・・・・・・助けるのが当然だと、私は思います。
が、これはアイズが求めている答えでは無いでしょう。
ハルプは、なんと答えるでしょうか。少し、いえ、とても気になります。
『言ったって解らないと思うけど?それでも知りたいのか?』
「・・・・・・うん」
ハルプが眉間に皺を寄せてそれを揉みほぐす。そして腕を組む。
なんだか考え込んでいますね。わからせる方法を探しているのでしょうか。
『お前にも、家族って奴があっただろう?』
開口一番、ハルプはそう言います。
ハルプの「家族」という物に関する執着を私は知っている。魂から滲み出すように溢れているのです。タケを、命を、千草を、桜花を、そして私を守ろうという意思。
その中に、
「家族?」
『あぁ、家族だ。誰よりも心を許せて、誰よりも失いたくない存在。・・・・・・何よりも大切な者達。俺にはそれが
白楼剣を握る力が強まり・・・・・・白楼剣が消えていく。辺りに散らばった武器も消えていきます。ハルプが戦闘態勢を解除しました。
『だけど、俺はこの世界で・・・・・・俺を家族と呼んでくれる人達に出会った。それがタケ達だ。どこから来たのかも解らず、無茶をしでかすし意味不明なことを言うし、訳分からん行動だってする俺を、受け入れてくれたんだ。・・・・・・家族に血は関係ない。家族に記憶は関係ない。家族に外見は関係ない。壁は、要らない。───俺はそう言った、タケもそれを認めた』
自分の手を見て、声を震わせる。
『・・・・・・それなのに、俺は勝手に壁を作った。自分は人じゃ無いから。自分は生きていないから。自分には「自分」が無いから。・・・・・・俺は逃げた。痛みを無視して痛くないふりして、そして出会ったんだ』
震えが消える。微かに伏せられていた顔が上を向く。
『異端児は俺を受け入れた。刀を向けて、斬り捨てようと血走った目を向けた俺を・・・・・・。俺を仲間だと言ってくれた、彼らは家族だ。ダンジョンと言う母胎から産まれた家族。そこの中に俺を入れてくれた』
その目には優しさと決意が見て取れます。
『・・・・・・だから庇うんだ。だから守るんだ。だから、戦うんだ』
目が鋭く変わり、手に楼観剣が現れていく。
『─────アイズ。もしも、お前が異端児を殺すと言うのなら、お前が異端児を傷付け痛め付けるというのなら────俺はお前の首を刎ねる』
・・・・・・ハルプ?
ハルプの周りが歪んで見える。可能性を操っているのでしょうか?
「私の、家族は・・・・・・」
アイズが沈痛な面持ちになって、ハルプと同じように手を見る。
『そこに異端児は関係ない。異端児は人類の味方だ。寄り添っていける隣人だ。分かってくれ、アイズ』
「・・・・・無理、だよ。頭では理解していても、心が、否定する」
『じゃあ、なんで俺は受け入れたんだ?』
「それは・・・・・・」
『外見が人だからか?言っておくが俺は人じゃない。考え方や感性すら人とはズレている。お前は化け物を師匠と仰ぎながら、その化け物の家族は化け物だからと殺すのか?戦う意思のない者達をその手に入れた力で、暴力で薙ぎ払って、何が変わるんだ』
うわ、うわわ、段々低い声になってますよハルプぅ!
みょぉん!?
ひ、罅が!不味いですよハルプ!ど、どうか安静に!!もう、魂欠片しか無いんですから!暴走したら止められませんよ!!
『お前と、お前が憎むモンスターの何が違うんだ?』
「っ!」
『一方的に家族を奪っていったモンスターと、何が違うんだ?』
「そ、それ、は」
狼狽えるアイズが、1歩後ろに下がりました。
その額には玉のような汗が浮かび、青ざめた顔は過去を思い出してのことでしょうか。
『────アイズ、お前は人間だ』
ハルプが退るアイズを追いかけるように少しづつ前進する。その目は真剣そのもので、何よりも鋭く感じさせる。まさに、斬り込む寸前。
『お前には理性があって、知性があって、何かを受け入れることの出来る心がある人間だ!』
青ざめたアイズは更に1歩、また1歩と退がります。
『アイズ』
「っ!!」
アイズの背中が壁にぶつかる。ハルプがそこにつめよる。
すると、グニャり、とハルプの体が歪み、黒い肌が露出する。
あの時の、あの姿になろうとしているのでしょう。
「は、は、はっ・・・・・・!」
恐怖のせいか、短くか細い息。見開かれた目。
『許してくれ。俺はお前に───────
──────────悪夢を見せる』
2mを超える巨体が、アイズを飲み込んだ。
──────────夢を見た。
金髪の少女と女性がいる。
ああ、この瞬間を私は知っている。
目の前にいるのが誰か、私は知っている。
見たくない。見たくない。見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない!!
がしり、と突然肩を掴まれる。
振り払おうとしてもそれは振り払えない。これは、恐怖だ。
目をつぶる。
悲鳴が聞こえる。破壊される音がする。何がが壊れる音がする。
聞きたくない。聞きたくない。聞きたくない無い。聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない!!!
どれだけ必死に耳を塞いでも、どれだけ大声をあげてかき消そうとしても、女の子の泣き声だけが耳から離れてはくれない。
心の底から叫んだ。
あらん限りの力を込めて叫んだ。
止めてくれとあらゆる感情をねじ込んで喚いた。
泣き声が消える。
ゆっくりと目を開ける。
少女はもう、泣いていなかった。
ぶかぶかの鎧を着込み、大き過ぎる剣を両手で持って、心を空にして立っていた。
違う。
まだ、泣いている。
心の底では泣いている。
でも、それを誰も知らない。知っていても詮索をしない。私が話すまで、ずっと待っていてくれている。
私は話さない。
ただただ同じことを考えていた。ただ、強くなる事を望んでいた。
それを誰も咎めない。止めない。注意はしても対立はしない。
自暴自棄になったようにダンジョンに突撃し、死にものぐるいに強さを求め、ファミリアに何度も何度も迷惑をかけて、その度に謝りながらも、心のどこかで反省はしていなくって・・・・・・。
なのに、私の周りには仲間が集まっていた。ファミリアとは家族だと豪語する神様が居た。
────気付けば私は一人じゃなかった。
『家族、いるじゃんか。なんで即答しないんだよバーカ』
目から流れ落ちる涙も拭かずに振り返る。そこには不貞腐れたように床を蹴るししょー。
目を合わせるとべーと舌を出してくる。
『・・・・・・いま、お前が見ている人達がお前にとっての家族ってやつなんだよ。太陽みたいにポカポカだろ?』
家族。その言葉の暖かみを私は意識した事が無かった。本当に、太陽みたいに暖かい。
『過去を見ていても何も変わらない。前を向いて、今と未来を見てればいい』
ししょーが微笑みながら、私に手を伸ばす。ししょーの後ろには黒い巨人。その深い黒がししょーが人間ではないと深く理解させてくる。
もう、恐怖は無かった。強迫観念は無かった。
この手を取ることが、私の、過去との決別への一歩になるのだろう。
『──
「──うん!」
万感の思いを込めて頷く。1歩、また1歩と進んで、その手を握る。
ししょーの目が細められ、嬉しそうに笑う。
────────。
ふと、女性の声が耳を打つ。
声に従い、振り向けばそこには・・・・・・。
「お母、さん?」
微笑みを浮かべた私の両親が、肩を抱き合いながら手を振っていた。
涙が、また、溢れ出す。
「お父、さん。・・・・・・うん、行って、くる!」
黒い腕が私とししょーを包み込み────
────目が覚める。
『アイズー、起きろー。ほれ、手ー使いな』
寝ぼけているのかぼーっとしているアイズに手を差し伸べる。
すると、ビックリするぐらい可愛い微笑みと一緒に俺の手を握り、上体を起こそうとする。のですが、あっし、今アイズさんに見とれてたせいで力入らなかったんすよ。
という訳で『ぬわ!?』とアイズのお腹にストン!
「ありがとう、ししょー」
『ほふいはひまひて(どういたしまして)』
なして抱き締める?俺は抱き枕ではないのよ?
ひっ!?よよよ妖夢さん!?え、なに!?布石が意味なかった!?
どいうこと・・・・・・あのっおやめ下さい!!そのなんとも言えねぇ恐ろしいヤンデレオーラをしまって!!やだぁ!俺はヤンデレの妖夢なんて認めないぞー!
「うぅーー私も混ざりますぅーー!!人に心配かけて許しませんからねハルプ!これからはお風呂もおトイレも一緒に行く事っ!夜凄く怖いんですからねっ!逃げたら許しませんよ!?分かりましたかーー!?」
『ふぎゅう!?た、たしゅけて!あいじゅの胸当てがいだい!』
ぐぁああ!?妖夢まで飛び込んできた!?
ん?俺幽霊じゃん。痛み感じねぇわ。
「2人とも、可愛い」
『アイズ!?つ、潰れりゅ!?』
ぐぅ!?ま、不味いです!やめろアイズぅ!中の物が出ちゃう!!武器とかお金とかご飯とかその他もろもろが出てくるぅ?!
「いいですか!?良いって言いってください!!」
『分かった!分かったから!言いから!行くから!!』
なんでこうなるんだ!?もっとこう、シリアスな終わり方は出来ないのか!?
うう、まぁ、一件落着ということで早くフェードアウトすれば何とか・・・・・・
『って、終われるかぁあ!HA☆NA☆SE!』
「そんなの次の話に任せましょう!」
『なんてことを仰るのです妖夢さん!?くっ、助けてくれ!べートぉおおお!』
あれ?よく考えれば美女と美少女・・・・・・美幼女?に上下挟まれてるとか天国じゃね?当たってるの鎧とまな板だけど。硬ってーなぁ(嘲笑)。
ふぐぅ!?肘打ち!?あっ、ちょ、俺の饅頭がどっか吹っ飛んだんですけど・・・・・・。
い、いやぁ〜今日も、オラリオは平和ですね(満面の笑み)
痛い!!妖夢痛い、やめて!あっ、ちょっ、そこは殴ったらアカンところ!やめ、やめろぉおおおおお!!!
「鉄拳、制裁!!」
『くわらばーーーーー!』
と、いうわけでアイズ編?的なのは軽く、終わらせてしまいました。
一体全体、ハルプは何の可能性を操りまくっていたのか・・・・・。
残念な事に、ハルプ君には自分の能力を万全に使うだけの技能はありませんし、アイズを説得するコミュ力も無かったので・・・・・・なんか、こんな感じに?
どうでしたか?久しぶりの小説だったもので、なんだか・・・・・・うん。みたいな感じです。
アイズの話に関しては捏造だらけです。詳しくは知らないんだ・・・・・・いいかい?これは平行世界だ。むつかしく考えてはいけないよ。啓蒙を高めるんだ・・・・・・!
り、リハビリをしなくては・・・・・・!
オリ小説でも書くか・・・・・・。
いや、脱線するフラグですわ。やめよう。せめてこちらを終わらせてからにしよう。そうしよう。
お久しぶりの皆様、コメントお願いします!私に、養分を!(媚び)