オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか? 作:シフシフ
何となく今後がわかる回。
最近FGOやってないなーと思う今日このごろ。男性の水着鯖でも追加されれば変わったと思うのたが。
最近はスカイリム楽しいです。mod楽しい・・・・・・。
あとミトラスフィア?というのもスマホでやってますね。割と楽しい。
夜の街を駆ける。左右を高速で流れていく景色を無視して、左右に目を光らせる。
異常がないかを、必要以上に確認する。
私は何故か、異常があって欲しいと思ってしまっていた。
きっと、この考えは間違えている。異端児と呼ばれる彼らは安全なのだ。本能と、経験がそう言っている。
でもダメだった。もっと別の感情が私を突き動かしていた。
「なにか・・・!なにか・・・・・・!」
─────っ!
突如私の耳に飛び込んでくる絹をさくような悲鳴。私は一気に跳躍し起動を変えるために詠唱する。
「【
体に風をまとい、空中で進行方向を変更する。 屋根を走り、声の方へ。
そしてダイダロスに差し掛かり、私の目に入った光景、それは。
────男に連れ去られようとしている異端児の姿だった。
グッ、と
「ッ!」
違う!止めては行けない!
あの子を助けるのが私の役目のはず。
「たすけっ」
「静かにしろ!!」
「ぃ、嫌────────ッ!」
目が合った。ヴィーヴルの少女だ。額にある赤い宝石はキラキラと輝いている。人攫いはどうやらあの宝石を欲しているらしい。
「たすけて・・・・・・!」
私に向けて伸ばされる手。
まだ、私は動けないでいた。爪も、鱗も、皮も何もかもが破格の値段で取引されるヴィーヴル、しかも異端児となればとんでもない価格になるのだろう。狙われるのは当然だ。
だから、なんだろう?
「なんで、助けに、行けないの・・・・・・?」
足は動いてくれない。何かがずっと引っかかっている。もっとよく考える時間が欲しい。なにか、ヒントが欲しい。
「おぃ!暴れんじゃねぇ」
「もう、止めて!」
「!」
男がヴィーヴルの長い髪をを引っ張ると、ヴィーヴルは怒ったのか背から翼を生やし・・・・・・暴れた。いや、あとから思えば暴れようとしただけだった。それでも
──気がつけば私は飛び出していた。
「────キャッ!」
振り抜いた剣は・・・・・・ヴィーヴルの翼を半ばまで断っている。
自分自身、何をしているのか理解出来なかった。顔から血が引いて、足が震え出す。それをバレないように抑えながらヴィーヴルを見据えた。
「な、なんで・・・・・・?」
困惑の声と目線。痛みに耐えて歪む顔。それらを引き起こしたのは他でもない私だった。
「ぁああ、あいつに襲われたんだ!!」
「ち、ちがう、やってない・・・・・・」
思考が定まらない。
人は襲われたと言う。
異端児はやって無いと言っている。
人が異端児を攫おうとしたのを見ている。
異端児が人を傷つけようとしたのを見た。
「・・・・・・」
私がするべきなのは今している事じゃ無いはずだ。
異端児がした事は攫われないように抵抗しただけ。わかってる、けど、なんで────私はヴィーヴルに剣を向けているの?
「逃げて」
「あ、あぁわかった!ありがとう
「・・・・・・!」
ヴィーヴルが斬られた翼を抱きしめながら、1歩、2歩と退いていく。
そう、それでいい。今の私は、何かが可笑しいから。
私がした事は確かな悪事だ。人攫いを助け、被害者に怪我を負わせる。
本当に、どうちゃったんだろう。
『よぉー!アイズ。なぁにしてんのっ?』
「っ!」
私は真後ろから聞こえた声に振り返る。そこには、ししょーが立っていた。両手を頭の後ろで組んで、寛いでいた。ニコニコしている何時もの表情。全部、見られてた?
『まいっか。やあや嬢ちゃん久しぶり!』
ししょーは私の隣を通り、ヴィーヴルの元へ。久しぶり、ということは知り合いなんだ。より一層私の血の気が無くなっていく。
『どうした、その傷。まるでぶった斬られたって感じだな?』
その言葉に、ビクリと私は怯えることしか出来なかった。『ん?どしたアイズ』とししょーは何でもないかのように振り向き、視線を戻す。
『あーあ、酷い傷だ。ま、安心しろよ?何たってこっちには猿師が居る。異端児用に改良したポーションもあるんだぜ?』
「う、うん。ありがとうハルプさん」
『いーのいーの、可愛い後輩の為、ハルプさんは一肌脱ぐのですよ?』
『脱ぐ肌無いけどな!』って戯けるししょー。もしかして気が付いていないのだろうか、見ていなかったのだろうか。それとも、私から言い出すのを待っているのだろうか。
『にしたって、ひでぇな。ほぼ全ての都市で
ししょーの言葉が私を刺す。
そうだ、正式に人として認められた異端児達。それを斬るという事は・・・・・・
『これじゃあ
モンスターと変わらない。
その言葉に思考が真っ白になった。視界がぐらつく、足の震えが酷くなる。ガクガクしてる、全部、何もかも。
『おぇ!?な、なにぃ!?何が起きたの!?』
「そ、その人に斬られて」
『マジかよっ!!』
声が遠くに響く。いつの間にか倒れていた私の視界は真っ暗になった────。
「アイズ、アイズっ起きてよー!」
「アイズさん!目を覚ましてください!」
私が目を開けると、そこにはティオナとレフィーヤがいた。心配そうに私を覗き込んでいる。その目がどこか私を責めている気がして不安になる。
「・・・・・・おはよう。どうしたの?」
夢・・・・・・では無い。それは私が一番わかってた。
「ぜーんぜん起きてこないから、起こしに来たらレフィーヤが部屋の前でウロウロウロウロしてて、そんで入ってみたらアイズが魘されてたの」
「ウロウロだなんてそんな!!アイズさんの部屋の前を通ったら」
「部屋の外までは聞こえなかったよーだ。もしかしてぇ、侵入する気だった?」
「違いますぅ!?」
何時もの2人だ。話は伝わってないみたい。・・・・・・ししょーのおかげだろうか。後でお礼と謝罪をしよう。あと、相談。じゃないと、私は・・・・・・おかしくなりそうだ。
「ごめん、その、じゃが丸くんが食べられなくなる夢を見てた」
「ガクッ!なんて平和な夢!!あーでも私もおっぱいが大きくなる夢をみて朝絶望したよね」
「関係なくないですかそれ」
「持つ者を姉に持った持たざる者は辛いのっ」
2人は私を心配してか元気付けようとしてくれている。
だから少し笑って、平気な事をアピールする。
「えへへ~少しは調子が戻ったねアイズ」
「よかったぁ~」
2人も笑ってくれて、朝食・・・・・・時間的にはお昼ご飯を食べに行った。
やぁ!俺です。ハルプでーす!今は何と・・・・・・深夜。
アイズがやっちまった後の場面に遭遇し、アイズが気絶しそれをロキ・ファミリアのアイズ部屋にバレないように侵入し寝かせた後だ。
うん、もうね、うん。そうかー、トラウマかー!って感じだ。盲点って言うか、考えてなかった。俺って無能。能力強くても使いこなせないなら意味無いよなぁ。
「もう、大丈夫だよ?」
とは言え、隣を歩くヴィーヴルの子、あ、勿論原作に登場するあの子だぜ。そう、ウィーネだ。
登場する期間を早めて、ベルが華麗に救出していたのです。・・・・・・本当は俺が助けて餌付しようとか思ってた訳ではない。断じて!
『そうか?なら、離すぞ』
あー、ウィーネの手が離れていくー、そんなー、最近は妖夢としか繋いでないから久しぶりの感覚なのにー。
まぁ、仕方ない。この子は既にベルに攻略されている。今更何をしたってもう手遅れなのだよ。
この思考読まれたら妖夢がいじけそうだ。
しばらく歩くと猿師の店、タケミカヅチ・ファミリアが経営する販売所に着く。当然だがもう誰も起きてない。なので俺が侵入し、《ゼノス用のポーション1個買っていきます。ハルプ》と置き手紙と2000ヴァリスを置いて回収。
そしてそれをウィーネにつかってあげる。痛そうに顔を顰めたけど、その効果は凄まじい。見る見るうちに治っちまった。回復の魔剣を使うってのも良かったけど、アレは妖夢の為に取っておくのだ。
「ありがとうね、ハルプさん」
『いいんだぜ。困った事があったら何でも言ってくれよな』
ウィーネから事情は聞いた。異端児を狙う人攫いはここ最近何件かある。今まさに注目の的となってる異端児を攫おうとか、目立ちすぎるとか思わないのかねぇ。
ま本題はそこじゃなくて(こっちも本題ではあるけど)アイズな訳だが、どうやら男がウィーネを攫おうとしているのを見ていたらしい。助けてと叫んでも助けにこないから男の仲間だと判断して、抵抗を試みた。けど、抵抗しようとしたらアイズに斬られてしまった、と。
『運が悪かった・・・・・・で済ませたくはないな』
アイズも何だかんだ色々抱えてるらしいし?確かー、なんだっけ、妖精だか精霊だかの血が流れてるんだったか。レベルアップが早いのはそれが影響してるとか。
・・・・・・それに遅れているとはいえついて行ってるべート達も流石だなぁ。
「うん・・・・・・ごめんね」
『謝る必要は無いんだぜ?ウィーネは被害者、発見が遅れた俺が悪い。とりあえずはアイズ達と話してみるさ』
その後も謝ったりしてくるウィーネを撫で回したりしてじゃれ付き、武錬の城へと辿り着く。異端児の皆は俺達のタケミカヅチ・ファミリアの剣、弓、雷の館を拠点として利用してもらってる。勿論ダンジョンの中にはリ・ヴィラや隠れ里もあるが。
『んじゃ、よく寝ろよ?おやすみー』
「うん、ありがとう。おやすみハルプさん」
ういうい、とウィーネの睡眠を見届ける。
『・・・・・・』
現状、深い所にいる異端児達が地上に来るのが困難だ。弱い奴らを守りながらの行動が難しいからだな。だからギルドとグロスやリドが協力して、隠れ里の場所を把握、特定し救出部隊が編成される予定だ。当然、俺達もついて行く。
その間の異端児の監視と護衛はタケミカヅチ・ファミリアの子達のリーダー達を筆頭として夜間、早朝を中心に行ってもらうつもりだ。正直、リーナが寝そうで怖いが・・・・・・まぁ、リーナの所にはダリルがいるし、平気かな。
うーん、この救出部隊、今のところ・・・・・・俺達とガネーシャ・ファミリアだけなんだよな。いや、勿論ガネーシャ・ファミリアが居るのは良い、とても心強いが・・・・・・うーん、アイズとかにも頼んでみるか?勿論タケとガネーシャにも相談するけど。
アイズは刺激しない方がいいかなぁ?まぁ付いてきたいって言ったら迎え入れようか。
にしても!この救出任務、めちゃくちゃ時間かかるんだよねぇ、ガネーシャ・ファミリアのほら、あの実況の人が言うには「最悪の場合は1ヶ月ほど掛かる」らしい。
もうね、お迎えが来ないか心配で仕方ないよね。必死に能力使って紫と消滅を遠ざけてるけどさ。
ぐぬぬ、具体的に何ヶ月俺は動けるのか知りたい。10年後に動けている可能性は0なのはわかってるが、なんて言うか、それ以上絞るのが怖くてしてない。・・・・・・しなきゃダメだよなぁ。
うう、あれだ医者に余命宣告される怖さを知れたかもしれない。
く、仕方ない。まずは・・・・・・ご、5年位?いいか、これは紫が来て離れ離れになる可能性ではなく順調に妖夢と生きていけたら、俺は何年もつのかだぞ。よぉし、行くぜー!あ、細かい数値はめんどいからどかそう。
──────0%
無慈悲ッ!!
くっっっ!!わかっていたとも、分かっていたさ!!そうだよなぁ、もたねーよな!
じゃ3年位ならどうだ、これなら0.1%位あってもいいんじゃないか?
──────0%
グハッ!
ごほ!ど、どうしてだ・・・・・・!ま、マジかよキツイなおい!えっどうするの、もう俺は明日生きてるか不安になってきたよおい。ええい、こうなったら敢えて少ない日を指定して安心を得ようそうしよう!
明日!
──────88%
・・・・・・あれ?結構消滅しそうじゃない?しかも俺が操れる領域じゃないし・・・・・・怖っ!!
ふ、2日後・・・・・・なんてどうでしょう。
──────86%
あー、はい。そっすか、1日ごとに2%下がるんすね、分かりましたははは!
って笑えるかぁ!?マジかよ予想以上に少ねぇよ!?下手したら1ヶ月ほど無駄にしそうだよ!いや無駄じゃないけどさっ!
い、いや(震え声)まだ希望を捨てるな。可能性を信じるのだ・・・・・・。
3日後!
──────84%
はぁぁぉぁぁあ↑!!!
不味い!!これはまずいですぞ!!
4日後!
──────82%
嫌ぁぁああ↓!マジですか!?ガチですねこれ!やべぇよ、凄いやばいよリアルガチだよ!
え、待ってね?だって、88÷2とか、44だよ?俺1ヶ月と2週間ちょいしか生きられねええええええ!?
い、いや待て・・・・・・違う、下手したらもっと低いぞうむ。44日の間、俺の「消滅しない可能性」は無くならない、とは言え「消滅する可能性」は常にある。下手すれば明日で俺消えるぞこれ!?6日目から俺が可能性を操って80%に固定したとしてだ。俺は20%の確率で消える危険性が・・・・・・!
や、やばい。毎日5分の1の確率を引いたら消える・・・・・・6日間は退かして、38日の間に5分の1を引く確率ってっ!?少しでも安心がほしい!細かい数値もカモン!
──────99,99%
あぁぁぁ!!やっぱり見ない方がよかったーー!?
い、いや待て!まだだ、まだ終わらんよ!!俺には桜花と言う男が居たじゃないか!桜花が居てくれれば、まぁ正確には目があればだけども!俺の可能性は6~10%ほど引き上げてもらえるはずだ!!よし、90%にすれば何とか・・・・・・えっとー、ここがこうしてー(計算中)。
あれ?・・・・・・99%から抜け出せなくね?能力カモーン。
──────99,03%
『やだっ私の消滅率、高すぎ!?』
オワタ!
『はぁ』
ま、巫山戯るのはいいとして、少しでも出来ることをしなきゃな。能力を使うのはいいけど、使い続けると妖夢の霊力が枯渇しちゃうしなぁ。暴走してる時は魂を燃やして強引に動いてたから使えたけどさぁー。もう燃やす魂ありませんし?
むー、紫が来る可能性を退かしてこれかァ・・・・・・。
『世知辛いなー』
ま、んな事言っても変わりませんしー?
『よっしゃ!皆が起きるまでに家事を終わらせるぜ!』
今、真夜中だけどなっ!
美味しそうな匂いが鼻腔を擽り、私は目を覚ます。時間は・・・・・・5時位かな?
「ふ、あぁ~・・・・・・ぁ・・・・・・んん~!」
大きく伸びをして、暫くボーっとする。この時間はなんて言うか心地いい。寝相ではだけていた着物を脱ぎ、何時もの水色の着物に着替える。
「んー、むにゃむにゃ・・・・・・妖夢殿ぉタケミカヅチ様ぁ・・・・・・」
「ふふ、ふふふ・・・・・・妖夢様ぁ、お待ちになってくだしゃいぃ・・・・・・」
「あはは・・・・・・」
2人とも寝言が凄いなぁ、もしかして私も言ってるのかな寝てる時。あれ、妖夢ちゃんがまだ寝てる?珍しい、いつもは誰よりも早く起きてるのに。──?
「ハ・・・・・・ル、プ、行かな・・・・・・い・・・・・・で?」
「!!」
妖夢ちゃんが魘されてる!と、とりあえず皆起こした方がいいよね!!
「起きて~~!!朝だよっ!」
「はっ!」
命ちゃんが流石の速さで目覚めると同時に後転からの倒立を決め、キメ顔をしてから着替えようとタンスへ向かう。その時だった。
「ハルプッ!?」
「コンっ!?」「「わ!?」」
バッ!と布団を吹き飛ばして、乱れた衣服も気にせず妖夢ちゃんが走っていった。・・・・・・襖が勝手に全部開いたんだけど、妖術って奴なのかな・・・・・・?
「ってそんなこと考えてる場合じゃなかった!妖夢ちゃんが大変なのっ、魘されていたし今も普通じゃなかった!」
「ええ、把握しました。これはただ事ではない・・・」
「えっ?えっ!?な、何が起きたのでございますか?」
春姫ちゃんの手を強引に取って「コンッ?!」私達は走り出す。騒ぎを聞きつけて桜花も来たっ!でも今は見惚れてる場合じゃない。
「何があったんだ!?」
「妖夢ちゃんが悪い夢を見たみたいで、ハルプちゃんの所に走っていっちゃった!」
「わかった、早く行こう!!」
「お、お待ち下さい~!き、着物がぁ~!」
ふーん、ふんふ~ん、ふふふーん、っと。いいねぇ、今日もハルプさん制作の味噌汁は会心の出来ですわ。クックック、これを飲んだ彼奴等の蕩けた顔が目に浮かぶわい。
どれどれ、味見でも─────
「ハルプッ!?」
『ブフォッ!?ゴホッゴホッ!って何故むせるし』
俺はむせる物ないじゃないか!え、なぜ味が分かるの?・・・・・・考えたらSAN値へりそうなので辞めるの。
じゃなくてだね?何かさ、パァン!パァン!って音がこっちに迫ってるんだよね。ダダダダダダ!って足音も迫ってんだよね。
はっ!!ま、まさか・・・・・・俺がウィーネをおとそうとしたことがバレてヤンデレと化した妖夢さんが俺を殺しに・・・・・・!?そんな可能性はあるんですか!?
───────0.0001%
あんのかよ!!小さくて助かったわ!!
「ハルプッ・・・・・・!」
『お、おはよー。何か、様かな?』
あの、服装酷いっすよ?前とか丸見えっすよ?腰の紐解けてるし、足だって股間ギリギリですやん。これが俺と同じ顔と身体でなければエロかったのになー。
「うあああぁぁん!ハルプぅうううう!」
『お、おいィ?!』
えぇ!?なんかフラつきながらこっち来たと思ったら抱きついてきたんですけどぉ!?何があったの本当に!?
めっちゃ泣いてるんですけど!!
『落ち着け落ち着け・・・・・・何があったんだよ、命に甘いの食われたか?』
「うわああぁん!」
えええぇ・・・・・・どうすればいいのさこれは。めっちゃお腹に頭グリグリされるんだけど、可愛いなおい。とりあえずいい位置に頭あるし撫でるだろ?あとは・・・・・・あっそうか!抱きしめるんだな!そうだな!俺もやってもらったし!
考えたなら即行動。両腕で妖夢の頭を包むようにして抱きしめ、左手で背中を擦り、右手で頭を撫でる。そんで頰っぺまで頭に付けるようにして密着する。うわっ、石鹸の匂いだ、いいね。・・・・・・俺そういや風呂入ってねーな最近。
『ほら、落ち着いてくれよ。平気平気、怖くなんかないぜー。いい子だいい子だっ』
出来る限り優しい声で、そういう。・・・・・・なんか、こうしてくっ付くこともあんまり無かったし、嬉しいなっ!
喜びも苦しみも分け合おうって話だったもんな!なので感覚を共有する。
『妖夢とこうしてると落ち着くし、あんまり無いから嬉しいな!妖夢はどうだ?』
「うぅ、ぅ、ぐすん・・・・・・うれ、しいです」
『そうかそうか。じゃあさ、なんで泣いてるのか教えてくれるか?』
「はい・・・・・・」
妖夢はそう言って、鼻をすすりながら顔を上げる。それに合わせて俺も位置を調整しつつ、妖夢の着物を確りと直してやる。視界の端に皆が見えるけど、今は無視だ。
妖夢は顔を真っ赤に染めて、涙をいっぱい溜めて俺を正面から見る。鼻水も出てるな。
『あぁ、もうお前は・・・・・・』
「んぐっ、ぅ・・・・・・あはは、ごめんなさい」
体から取り出したハンカチで顔を拭い、綺麗にしてやると妖夢もようやく笑顔を見せてくれた。やっぱり笑ってなきゃ駄目だぜ?俺達の可愛い顔が台無しだっ!自分を含めると恥ずかしくて死にそうだが。あ、死んでた。
「あの、ハルプ」
『なに?』
不安そうな顔でそっと俺の手を両手で包み込む。俺はニッと笑って妖夢の手を上から更に包んだ。
「き、消えちゃ嫌です・・・・・・」
『っ!』
そ、それは・・・・・・仕方ない、で済ませても良いのか?
俺が逃げ道を探していると妖夢は畳み掛けるようにして言葉を紡ぐ。
「居なくなっちゃダメです。1人は嫌ですっ!一緒じゃないと怖いですっ!!」
・・・・・・。
俺は黙り込んだ。何て言えば良いのか、本当にわからなくなってしまったからだ。
「お願い、します・・・・・・!」
絞り出すような声で俺に縋り付く妖夢。
俺は妖夢の願いを叶えて上げたい。けど、今の俺ではもう叶えることができそうにない。
事実を言うことは簡単だ、妖夢は傷付き、けれども前に進むだろう。仕方ない、と自分の心を切り離してでも納得してくれるだろう。
「お願いしますっ・・・・・・!!」
でも、きっとそれじゃ駄目だ。
せめて希望を与えてやらなきゃいけない。
目標がなければ惰性になるだけだ。
でも嘘も駄目だ。
妖夢は頭が悪い訳じゃないし、いずれ気が付く。
そうすれば結局は傷付くだろう。出来るだけ、傷付かない方法を探さないと───!
『・・・・・・』
俺は能力を起動させ、ありとあらゆる可能性を探り続け
───────やがて一つの可能性を見つけた。
「うぅ、っ、すみ、ません。こんな、こと言ったってっ!困るっだけですよねっ!ごめんなさい、あはは、私、悪い夢見ちゃってっ!」
『・・・・・・』
泣きながら謝る妖夢を見て、俺はそのおでこにデコピンをかましてやった。必死になって納得しようとしてるのが嫌だったからだ。
「いたっ?!」
『ブッ!あっはっはっ!今のリアクション最高だぜ妖夢!』
ほーんと、こんな簡単な事に気がつけないなんてなー。やれやれってやつだ。俺は随分と視野が狭くなってたらしい。
でも気がつけた。
別に
────未来の話をしてやればいい。
ハルプが消えてしまう夢を見ました。だから私は不安になってハルプの元に駆け出した。不安で不安で仕方なかったからです。なのに、必死になって訴えてるのに、仕方ないって思ってるのに。私のおでこにデコピンをしてきました。しかも、本気で。
『─────妖夢、杞憂だぜそりゃあ』
「ぇ?」
でも、額を押さえて蹲っていた私の頭上からそんな一言は降り注いだのです。思わず顔をあげれば、ニンマリと笑うハルプ。
『あーあ、せっかく拭いたのにまーた涙で濡れちまってるじゃん』
ニヤニヤと笑いながら私の顔をハンカチで拭う。泣かしたのはハルプなのにまるで私が悪いかのように言ってきます。
ニヤニヤとした顔を変えないで真剣な眼差しで私を見つめいます。
『いいか妖夢。例え俺が消ちまったとか、お前が元の世界に帰ったとしてさ』
考えたくない事をさも当然の様に言い放つ。けれど、こう言うのなら何かまだ・・・・・・なんて、期待してしまいまうのは、私の悪いところなのでしょうか。
『お前と俺がまた出会う可能性は0じゃない。だから──────────約束だッ!!』
「約、束・・・・・・?」
ハルプは両腕を大きく広げ、大げさに語ってみせる。笑顔で、自信満々に。目は爛々と輝き、その顔が私に希望を持たせてくれる。
『たとえ何年、何十年、何百年!何千年、何万年、何億年っ!何兆年掛けてでもっっ!』
大きな声でそう言って、ウインクとピースをするハルプ。その姿は不安なんてこれっぽっちも感じていないかのようで。
『────俺はお前を探し出す!!んで、ずーっと一緒に居てやるぜっ!』
「───────はいっ!!」
ずっと、一緒。
その言葉が私の中を反復し・・・・・・感極まった私は息を詰まらせながらも何とか返事を返す。溢れ出す涙を拭きながらハルプに飛び付いて抱きつく。
不安が無くなった訳では無いですが、それでも、笑顔になれました。取り繕った笑顔ではなく、心の底からの笑顔です!それだけ私にとってその言葉は嬉しかったんですっ!
心が、体が暖かい。
『あー、恥ずかしかったっ・・・・・・!』
「えへへっ嬉しかったですよハルプぅ!ぽかぽかですー!」
『ははは、おーい、幼児退行してますよー妖夢さん』
「えへへ、大好きですよハルプ!!大好きっ!」
『うぇっ!?お、おう!あああ、ありがとうな!お、お俺もだぜ!?って何言ってるの俺ー!?』
よかった!私達は両想いですね!
ハルプ『変えられないものもあるんやなって』
気がついたら砂糖を吐きそうになっていた。何を言ってるか分からないと思うが、俺も何を言ってるか分からない。
誤字脱字、コメント待ってます!