オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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遅れて済まない。

バトフィ、TRPG、テスト、あとは進路云々でおくれました!
国家資格も取れて満足。でも上を目指すのです!








84話「『た、タケだコレェ!?』」

既に日は沈みかけており、茜色の空が広がっていた。誕生会は既に終盤、いよいよプレゼントを渡す時間が近付いてきた、とプレゼントを用意したもの達は不思議な緊張を胸に秘めていた。

 

「千草殿ー、少し手伝っていただけると」

「うん!今手伝うね」

 

そんな中、一部の者達は後始末に追われていた。

そう、酒に飲まれた大人達の運搬である。酒は夜に振る舞うと言う予定であったが、持参した物については取り締まって等いないわけで、飲んだくれはこうして伸びているのだ。

もちろん、酒の力で肥大化した自信のままに妖夢であったり、アイズであったりにちょっかいを出す猛者(オッタルではない)もいたが、尽く半死半生の身となったのはいうまでもない。

 

「うぃーひっく、もう、飲めねぇ。俺の、負けだ、ぜ」

「ふっふーん、リーナさんに勝とうなんて100年早いんだよ。まぁ、僕は鋼鉄の胃袋を持っているからねっ!」

「リーナ殿、ダリル殿をこちらに」

「うっ、急に二日酔いがっ!!」

「運んで下さいね」

「有無を言わさぬぅ!怖いなー、命ちゃん怖いなー」

「こ、怖くなど無いはずですっ!」

「可愛い(可愛い)」

 

処理班がワイワイと騒ぐ中、この男、オッタルは若干挙動不審だった。

 

 

 

 

さて、どうしたものか。魂魄妖夢の誕生会に突入したはいいものの。

未だに魂魄妖夢に挨拶すら出来ていないぞ。と言うか、べート・ローガが全力でこちらを威嚇しているせいなのだが・・・・・・。あの男を下すことは可能であるが、その結果が問題だ。べート・ローガを倒すと魂魄妖夢が悲しむかも知れない。それに、会場が壊れてはこちらのプレゼントを渡せない危険がある。渡せなければフレイヤ様に見せる顔が無い。

 

む?ハルプ・ゼーレがべートの元に走っていくぞ。そして、両腕を頭よりも上に上げた。腕をしっかりとのばしている。Yの様な状態だ。

 

『ん!』

 

そして小さくぴょんぴょんと飛び跳ねている。ふむ、何を意味しているんだアレは・・・・・・。む、べート・ローガが少し困ったような顔をしているな。そして周囲をチラチラと見渡した。ちなみにだが、俺は全力で建物の影に隠れているのでバレることは無いだろう。

 

『んー!』

 

目を輝かせながら、再びぴょんぴょんと飛び跳ねるハルプ・ゼーレ。ふむ、べート・ローガは何かに気が付いているようすたが・・・・・・なっ!?

 

「ったく、なんで俺がこんな事・・・・・・」

『へへっ、負けたべートが悪いんだぞ?ほら耳ー、耳かしてー』

「触んな。おい、触んなって!」

『頭に顎乗っけてもいいぜ?』

「乗せねぇよ、馬鹿が」

 

馬鹿な・・・・・・!ハルプ・ゼーレを抱っこして膝に座らせた、だと?フレイヤ様がやってみたいしちゅえーしょんNo.10に入る行為・・・・・・!

ちなみに、No.1は「ママ」と呼ばれる事らしい。フレイヤ様可愛すぎる。結婚しよう。

 

っ、思考が脱線した。

だが、これはチャンスだ。ハルプ・ゼーレが膝の上にいて、尚且つべート・ローガの耳を触っている。まるで錠前の様にべート・ローガは捕まっているのだ。

ならば挨拶をしに行ってもべート・ローガが暴れることはあるまい。

 

さぁ、行こう。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

『おっ!オッタルだ!!まさか俺達の誕生日を祝ってくれるのか!?』

「あ、ああ。そうだ。おめでとうハルプ・ゼーレ。そして魂魄妖夢にもおめでとうと伝えておいてくれ」

『おうっ、俺から伝えておくぜ!』

 

キラキラと目を輝かせて腰を浮かせ、テーブルに前のめりになるようにこちらを身を乗り出し訪ねてくる。

プレゼントの中身が知りたくて堪らないのだろう。

 

「プレゼントについては、フレイヤ様の許可をもらい俺の独断と偏見で選ばせてもらったとだけ言っておこう」

 

そう言ってニコリと笑う。これだけでも警戒はされないだろう。べート・ローガが凄まじい顔をしているが無視だ。

 

『おー!いいねいいねぇ!』

 

まぁ、魂魄妖夢に対するプレゼントだが。2人で使うように言えば問題は無いだろう。

 

「一つしか無いから魂魄妖夢と相談して使ってほしい」

『OKだぜ!ふふ、なんだろうな。べートわかるか?』

「わかんねぇ、つかオッタル、笑顔が似合わな過ぎるだろ」

「・・・・・・フレイヤ様には褒めていただいたのだがな」

「からかわれてんじゃねぇの」

「(可愛いから許す、いや許させてくださいフレイヤ様)・・・・・・かもしれんな」

 

ところで、プレゼントを渡す時間は何時頃なのだろうか。出来れば素早く渡して帰りたいのだが。

 

『誕生会の終わりにプレゼントを渡してくれるらしいぜ!楽しみだな!あと、誕生会が終わったら宴会らしいぜ!』

 

・・・・・・顔に出ていたか?まあいい。それにしても、既に数名が酒に潰れていると言うのにまだ飲むのか。

まさか魂魄妖夢は飲んでいないよな?速い時期に酒を飲むと成長が・・・・・・

 

『うーん、妖夢が酒とか飲んじゃったら不味いなぁ。お酒ビックリするくらい弱いからなぁ。一口でバタンキューだぜ?』

「出来れば止めておいてくれ」

『だなー、オッタルも来るのか?』

「挨拶だけはしておこう」

『そっかー、少し残念だけど無理強いはしないぜ』

 

べート・ローガが凄まじく居心地が悪そうだな。ふむ、関係改善のために助けてやるか。・・・・・・だがどうすれば、ふむ。肩車でもしてやれば喜ぶかもな。

 

「どうだハルプ・ゼーレ。肩車でもするか?」

『えっ?いいの!?するする!』

「はは、よし来い」

 

俺はしゃがみ、ハルプ・ゼーレは俺の肩の上に乗る。俺の頭を抱き込むようにして。

視界の両側を足が塞ぐが、まぁ支障はない。多少無茶な動きをしても落ちる事は無いと思うが、心配なので足は掴ませてもらおう。

 

『おー流石オッタルだー!身長高いなー!』

「オッタルってこんな奴だったっけ?つか、おいハルプ・・・・・・いや、何でもねえや。解放されたならそれでいいや」

 

俺は少し速度を出して中庭を走る。俺の上でいやっふぅー!と両腕を上げてハルプ・ゼーレが叫んでいた。

すると

 

「ずるいですー!私もっ!私も混ぜて下さーい!」

 

魂魄妖夢が駆けてきた。頭の上から『おっ、やっと来たか』と声。どうやら来ることが分かっていたらしい。少し時間を潰しておいて正解だったか。

 

『悪いな妖夢、オッタルの肩車は1人用なんだ(チラッ)』

「みょん!?そんなぁ!私も肩車して欲しいです・・・・・・(チラッ)」

「そうは言ってもな。ハルプ・ゼーレの言う通り、肩車は一人しかできない(チラッ)」

「いや、やらねぇからな?」

「「「(じー)」」」

「(無視)」

「グスン」

「わあったよ!!やりゃあいいんだろやりゃあ!!」

「そうです。やればいいんです(ドヤァ)」

 

腰に手を当て、えっへんと胸を張る。俺の上でハルプ・ゼーレはやれやれとリアクションしていた。

べート・ローガは怒りが湧いているのか凄まじい形相で妖夢を肩の上に乗せた。

 

今頃、街中の神々が神の鏡からヤッカミを飛ばしていると思うと胃が痛い。

 

「誕生日おめでとう魂魄妖夢」

「ありがとうございますオッタルさん!」

 

さて、目的も達した。あとはプレゼントを渡し、帰るだけだな。

このあと、2人は肩車したい!と色んな者達にとっかえひっかえ肩車されていたが、まぁ些細な事だろう。太もも辺りを掴み変な顔をしていた者達は「悪!即!斬!」と言う声とともに現れた仮面を付けた謎の人物、タケマンに斬り伏せられたりもしていた。

タケマン・・・・・・一体何者だ・・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おぉう!遂に、遂に!誕生プレゼントの時間ですよーー!!

ふっ、前回の誕生プレゼントは刀だったからな!即壊れたけど。・・・・・・あれは泣いた。

 

今回は何だろな?へ?お洋服がいい?んな馬鹿な!!やっぱり武器だろ!

はい?甘い物?妖夢君よ、とりあえず甘いものって言っておけばいい的なアレかな?かな?

 

「妖夢殿!ハルプ殿!まずは私達から受け取ってください!私からは髪飾りをっ!!」

「おっ!お揃いですね、ハルプ!」

『おー!いいねぇ。ありがとう命!「ありがとうございます!」』

 

巫山戯ていたら始まってた!!命からは髪飾り、俺と妖夢に色違いの同じものだ。青を基調としたものが妖夢、赤を基調としたのが俺だ。

 

「次は私だね!はいこれ!」

「これは・・・・・・!」

『長い靴下?』

「ニーソックスって言うんだよ。気に入ってくれると嬉しいなっ」

「ありがとうございますっ!私全然お洒落したことないのでっ!!」

『おう!ありがとな千草!』

 

白のニーソックスを千草から貰ったぞ。えっとね、太ももの部分に来るところに緑のリボンが付いてるな?ふむふむ、これを着た妖夢ね、良いかも!似合うと思うぜ!

 

「むむむっ、そのような物を買っていたとは・・・・・・」

「ふふふ、今回は私の勝ちかな命ちゃん」

「な、負けてなどおりませんっ!!髪飾りとて妖夢殿達をより輝かせてくれるはず」

『いや、俺を輝かせる必要はないんじゃ』

「「ある!」」

『お、おう』

 

いやー、この争いも懐かしいぜ・・・・・・。

 

「妖夢様、ハルプ様。私からの贈り物はこちらでございます。お気に召していただければ嬉しいのですが・・・・・・」

 

春姫が緊張した面持ち、具体的には耳がパタンと閉じられて尻尾がピーンとなってる。で箱を渡してくる。

 

「中身は何でしょうか?」

「わ、私とっ!お揃いの着物でございます!」

「『着物!』」

「お嫌いでしょうか?」

『いや全然嫌いじゃないぞ!そういや俺たち着物あんまり来たことないよな?』

「ですね!ありがとうございます春姫〜!」

「あ、あわわ!だ、抱き着っ!人の目があるので!?」

『俺も〜!』

 

春姫に抱き着く俺たち。ちなみに以前の経験から学び後ろからだ。ふっ、妖夢よ前から抱き着いた弊害・・・・・・SAN値チェックを受けているな?無様!

なんて思ってると桜花が俺の頭を後ろからポンっと叩く。「お、桜花」と千草が反応したから分かったぜ。

 

「あー、なんだ。邪魔して悪い。よく分からなかったから俺目線で選んだんだが・・・受けとってくれ」

『おぉー!』

「みょん?」

『魔剣だよ魔剣、ま!け!ん!』

「へっ!?そんな高価なものを!?」

 

やったー!魔剣だー!使わないで取っておこう(固い決意)

ナイフみたいな外見してるな。色は黄緑?なんの魔法入ってるのかな。

 

「中には治療の魔法が入ってるんだ、お前達には攻撃系の魔剣は要らないだろう?」

「ありがとうございます桜花!」

『桜花〜!ありがとーー!』

 

まさか治療系とは。嬉しいぞこれは!とりあえずは桜花に抱き着いておこう。ロキ直伝オラリオ式のお礼を使うのだ!

 

「お、おいおい。はははそんなに嬉しいか?少し安心したぞ」

 

うむうむ、回復ね回復。俺が持ってれば妖夢が危険になっても確実に使えるからいいねぇ。

とその時、不意に上から黒い影!な、なんだ!!

 

「タケマン参上!!」「うぉ!?」

「『た、タケだコレェ!?』」

「はーっは!否!俺は~!!タケマンッ!!」

 

否!の部分で後ろを振り向き、タケマン!!の部分でこっちをビシぃっ!と振り向くタケマンことタケ。耐えろ、俺。耐えろ妖夢。

 

「ぷっ、く、ふふ、・・・・・・はぁ。セーフ!」

『アウトだよ!!』

「みょん!?」

 

妖夢が両腕を水平に切る動作をする。俺はその頭にチョップを入れる。あまりにも素早く流れる様な動作で放たれたそれは必中の一撃ぃ!

 

「ん?まぁいい、さぁ!俺からのプレゼントだっ!」

 

コント無視されたね。まぁいいか。

そう言ってタケから渡されたのはっ・・・・・・!?

 

「ふははは!タケマン仮面と同じ仮面、そしてマントだ!!」

『おー!早速付けるぜ!!』

「ぇ、えぇ・・・・・・」

「みよ!俺が、タケマンだ!」

『みよん!俺がハル、ハル・・・ハルマンだ!』

「当然のように人様のネタを!?そしてウーマンの方があってますよ!」

「『我らこのオラリオの平和を守る正義の味方!!』」

「いや何で息ピッタリなんですか!?」

「『タケ(ハル)マンならこう言うと思った』」

「以心伝心!?」

 

仮面は俺達タケミカヅチ・ファミリアのマークが付いてる。正直に言うとダサい「ガハッ!?」。マントは割とカッコイイと言うか、マントは全部かっこいいと思うの。

 

「よ、妖夢にもあるぞ」

「えー、は、恥ずかしいですよ」

 

あ、着るのね。別に今着なくても良いのに。ノリいいなぁ。

 

「へんっ!しんっ!!とうっっ!!」

 

てってれー!と妖夢が仮面とマントを付ける。うん、あれだな。傍から見ると変なやつだわこれ。

 

「・・・・・・だよな」

『あ、タケも思った?あと自然に思考読むなよぉ』

「うむ」

「え、私は何のために」

『犠牲になったのだ、犠牲の犠牲にな』

 

妖夢が羞恥に悶える中、さてさて次は?と思っているとアリッサ達が目の前に来る。

 

「まずは私から渡させてもらおう。どうぞ、御二方」

「これは・・・・・・!」

『鎧だな、鎧』

 

渡されたのは鎧だ。と言っても、腕と肩と胸と足、この4箇所を守る目的のものの用で、そこまで重くは無いな。お腹あたりは守らないんだね。

 

「2人に足りていないのはやはり防御力だと思ってね。こうして鎧を用意した。恥ずかしながら全身鎧は準備出来なかったがな・・・。そうそれと、この鎧は私とクルメからのプレゼントだ。気に入ってくると嬉しい」

 

と、アリッサ。まぁ全身鎧は高いから仕方ない。あと、俺にはいらないのだけれども。まぁ有難いので貰っておくぜ。

 

「えっと、すみません。私は食材の買い付けなどをしていて買いに行く時間が無くって、それでアリッサさんがお金を少し負担してくれるなら2人のプレゼントとしようって」

『流石アリッサ。面倒見が良いな〜』

「にしても、鎧ですか・・・・・・私っ、西洋鎧は初めてなので大切にしますね!」

『俺も!』

「ふふっ大切にするのは構わないが、いざと言う時には壊れてくれないと困るな」

 

身を守るためだし仕方ないか。にしてもあれだな!妖夢のが壊れたら俺の貸してあげるよ!的なことが出来るなサイズ同じだし。えぇ?すぐに伸びる?身長が?ははは、ワロス。

 

「んも〜〜っ!!!」

『痛い、痛い、いてててて、妖夢止めて止めて悪かったから!!ポカポカ殴らないで!!』

 

そこまで怒らなくてもいいだろぉ!?俺達身長一緒なんだからさ!!

 

「ふっふっふっ〜、身長でお悩みのようだネ!そんなこんなでリーナさん登場っ!!」

 

お?リーナが両手を上げてピョーンと現れる。この人何歳なんだ?

あれ、リーナの後ろにべートが・・・・・・。

 

「おいエルフ、どけ。俺が先だ」

「はい?何を言っているのかな狼君。僕が先に名乗りを挙げたのだから僕の番だよ」

「うるせぇ、俺が先だ」

「ふふふ、なるほど。でも君はトリを飾った方がいいんじゃないー?だって友達だろう?」

「いや、俺が先だ」

「自信が無いのは分かるとも。僕だって同じさ!もしプレゼントをあげた時にションボリされたらどうしようって考えている」

「っ」

「それに、君は突然の事で特別な何かを選べなかった。なのに他の人は彼女らの為を思った一品をそれこそ金額の有無に囚われずに選んでいる」

「・・・・・・」

「むふふー、いいかい狼君?必要なのは量でも値段でも無いんだ。その人に対する気持ち、それだけあれば充分なんだよ。友人として誰かと付き合うなら忘れない事だね」

 

り、リーナ・・・・・・!そんなに考えていてくれたのかっ!!うんうん、嬉しいぞ俺達は!べートも気にしなくていいんだぜ!だって友達からなら何もらったって嬉しいんだからなっ!

 

「─────んで、そんだけ語っておけば自分の粗末なプレゼントは価値あるものに見えるって寸法か?」

「─────ふふふ。さぁ、どうだろうね(震え声)」

 

・・・・・・。

 

「えっと、僕からのプレゼントはってハルプちゃん、そんなに無表情だと僕プレゼント渡すの怖いなー」

『最後の一言が震えなかったら信じていた』

 

騙されるところだったぜ。妖夢気をつけろよ、世の中はこんな奴ばっかだから!うん、いい返事だ。

 

「いやぁ、ごめんよ〜。でもなかなか決心がつかなくてさー」

「決心、ですか?」

 

リーナの言葉に妖夢が反応する。決心かなんだろ?

 

「うん。極東に行ってきたんだ。何年ぶりか分らない里帰りだよ。知り合いなんて誰も居なかったけどね」

『・・・・・・まぁ長命種だからなー、仕方ないと言えば仕方ないのか?』

「ちょちょ、ハルプ!『わかってるよ』そ、そうですか?」

 

リーナの語る内容は、俺たちにも当てはまる物だ。仮に、別れが来ないとしてこの世界に残ることになっても・・・・・・恐らくこの中のメンバーで生き残っているのはエルフ達と神位のものだろう。

まったく、湿気た話しやがってさー。誕生日なんだから軽く流させてもらった。この方がリーナも楽なはず。

 

「あはは、ありがとう2人とも。コホンっ!という訳で!!私からは()()の日本酒を()()持ってきたよ!一緒に飲もう!」

 

秘伝・・・・・・?沢山・・・・・・?

俺は少し前のリーナのセリフを思い出す。

 

───むふふー、いいかい狼君?必要なのは量でも値段でも無いんだ。その人に対する気持ち、それだけあれば充分なんだよ──

 

おいぃぃぃいいいいいい!!!!

 

『リーナ!?お前さっきの話何だったの!?値段や量じゃ無いって何だったの!?』

「あれは友人としてだからねー、僕は僕の価値観できめるのさっ!!」

「あと私はお酒弱いので・・・・・・」

「そいつの事だ、お前が酔っちまえば後は全部自分が飲めるって魂胆だろ」

「はぁ全く、そんな分けないだろう(震え声)」

「「『・・・・・・』」」

 

なるほど、友人としてではなく、カモとして俺たちを見てるんすね。

 

「カモ、ですか」

「最低だなこの白エルフ」

「ぇ、ええ?みんなでお酒飲んでワイワイすれば喜んでくれると思ったのになぁ」

 

んじゃ。ベーとだな!

 

『「(キラキラとした眼差し)」』

「て、テメェら・・・今の話聞いてわざとやってやがるな?」

「バレてますよハルプ」

『可笑しい、べートの奴やけに鋭いぞ』

「殴りてぇ」

 

そう言いつつも、べートはプレゼントを取り出した。うん、プレゼントというか、サンタさんの袋だな!!

 

「ほらよ」

 

照れているのか、べートはそっぽを向く。尻尾が不安そうに垂れているのが面白い。笑いそうなのをこらえ妖夢を見ると、なんと青ざめている。

な、なんでだ?

 

「は、ハルプ・・・!私達、か、カモとして見られてますよべートに!」

『ぶぐっ!!・・・・・・ぷくく、そ、そうだなっ!べ、べート最低!この変態っ!!』

 

や、やばいっっっ!笑い死ぬっっ、なんでっ、なんでこんな場所で変に天然なの妖夢!!

 

「いやなんでだっ!?おい白エルフテメェのせ、もう居ねぇ!?「さーらばー!」逃げてやがる・・・!」

 

はぁ、はぁ、耐えるんだ。妖夢が両手を胸の前で組んでべートを見上げている。というか身長差的にそうなっちゃうんだけど。

 

「べ、べートはお友達ですよね?私達のことをカモとか思ってないですよね?」

「あ?思ってねーわバカ」

「よ、よかったぁ。ハルプ聞きましたか!セーフでした」

『でもよくよく考えると俺達って小さい女の子で、べートは傍から見るとその純情を惑わす狼で、このように両手を組ませた上で懇願させるようなド畜生ってわけだよな。しかもその娘に戦いで負けるというね』

「お前、言い方ってもんがあるだろ、あとあのルールで勝てるわけがっ何だこの視線は!?」

 

べートが会場中から避難の目線を送られている。吹き出しそう(真顔)

ロキが爆笑しながらタケを後ろから羽交い締めにしている。タケ、怖いです。刀を持って暴れないでください。

 

『はははそれにしても沢山買ったなぁ、別にテキトーなの1個でも良かったんだぜ?』

「あぁ?テキトーに選んで来ただろうが」

『買いすぎだ。お前達ロキ・ファミリアと言っても金が有り余ってる理由でもないだろう?俺にこんなに買うくらいならロキに何かを買ってあげた方がいいんじゃないか?』

「・・・まぁ確かにな。じゃあ今更聞くがよ、何だったら喜んだ」

「既に嬉しいですが、コレ一つ、と言われるのならやはりアレでしょう」

『だな』

「アレ?なんだよ。・・・・・・もしかして尻尾と耳とか言わないよな?」

「バレてますよハルプ」

『可笑しい、べートの奴やけに鋭いぞ』

「はぁ、いつになったら飽きるんだ」

「死ぬまで?」

「片方死んでんじゃねーか」

『べートが死ぬまでだろ多分』

「まじかよ・・・・・・」

 

はははは、我が魔の手からはモフモフは逃げられんのだよ。妖夢もそう言っている。2人でべートにお礼を言った時だ。

 

「次は俺から渡そう」

『うおっ!びっくりした』

「てめ、オッタル!!」

 

ぬるっと、現れたのはオッタル。手には白い布でグルグル巻の・・・・・・刀かな?

 

「時間も押している手短にすまそう。これはゴブニュ・ファミリアで制作してもらっていた刀だ。名は〈刄軍・無銘の太刀〉。お前達が前々から欲しがっていた不壊属性(デュランダル)の武器だ」

『「へ?」』

「「「「「「おぉおおお!!!」」」」」」

 

今までで最も高いプレゼントに会場が沸く。

でゅ、デュランダルだとぉ!?え!?ちょちょちょ、ちょっと待ったァ!!え?ほんとに?

 

「疑う必要は無い。本物だ」

「こ、これが・・・・・・刄軍・無銘の太刀ですか」

『刃渡りは160cmか、重心は刀身の中央辺り、刃は滑らかな弧を描いてるな。うむ、問題ない』

「なんで偉そうなんですか!?」

『感動してた』

「なるほど」

 

俺たちをイメージしたのかな?やや黒に近い緑の鞘が渋くてよろしい!!

 

「ふぅ、気に入ってくれたか。では、俺は帰る。誕生日を楽しんでくれ」

「あ、はい!ありがとうございます!」

『ありがとうな!!』

 

ふらっと現れて去っていくその背中にかっこよさを覚えるぜ。しかも・・・・・・こんなに高いものをくれるなんてな!

 

「高いものですね」

『うん』

「・・・・・・た、高いですよね」

『うん。高いな、凄まじく』

「大丈夫ですか?」

『ぜんぜん大丈夫じゃない。すこし胃が痛い』

「胃、あるんですか?」

『無いですぅ・・・・・・』

 

こんなに、プレゼント、貰うんなんて、思ってなかった、助けて。

俺が今までにやったことって、そんなに評価されることじゃないと思うんだけどっ!!罪悪感が凄いんだけど!!

 

「妖夢さん!ハルプさん受け取ってください!」

「俺も俺も!」

「私も受けって!」「むしろ私を!」

「僕のプレゼントを〜!」

 

わ、わ、ありがとうございます!まって、もうべートので1杯で受け取れない!!入り切らないぃい!!溢れちゃうから!!

 

「うわっハルプなんか背中から出てますよ!!」

 

ひろって!というか持ってて!助けて!

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃。

 

「オッタルお帰りなさい!どうだったかしら?喜んでいた?」

「はっ、感動し言葉が変になるくらいには」

「よっし!!会いに行ってもいいかしら?!」

「いえ、そういう問題では無いです」

「がびーん!なんで!?なんでなの!?私は何時になったら会いに行けるの!?」

「(フレかわ)」

「答えなさいオッタル〜〜!!」

 






ア「ししょー、プレゼントどうぞ?」
妖「あはは!じゃが丸くんですかアイズらしいですね!」
ハ『だな!』
ティ「(あれ・・・・・・なんか最初よりも減っているような・・・・・・あぁ、アイズ食べたな)」
ハ『あれアイズ?ほっぺになんか付いてるぞ?』
妖「じゃが丸くんじゃないですか」
ア「た、食べてないよ」
妖、ハ「『嘘だ!!』」
ア「(´・ω・`)」



次回からはベル君無双。やっと物語が進むのです。


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