オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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遅れてすみません!テスト期間で執筆してませんでしたー!しかし無事?終了。










71話『アハハ!死ねぇ!』

地上での騒動が起きたほぼ同時刻。

 

十八階層に、戻ってきた者達がいる。

灰水晶のゴーグルを掛けた赤い目の男。ディックス・ペルディクスと、その仲間達だ。

彼らは異端児を求め、下層まで下っていたのだ。

 

「・・・・・おいおい、なんだぁありゃあ、リヴィラもう治ってんのか?ギルドからのお触れはどうしたよ」

「さぁな、わからねぇ。行ってみるか?」

 

ディックスと眼帯の男が話し合う。ディックスは品定めするようにリヴィラと思しき場所を眺める。

 

「まるで要塞だな・・・・・?」

「たしかに。今までにないくらい、デケェし頑丈だな」

「こりゃあ少し様子見かね?」

 

ディックスはそう言って、笑みを深めた。

 

──────怪物の、匂いがしている。

 

ならず者の集団が・・・・・異端児街(ゼノス・タウン)へと進軍を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愚者、フェルズは考える。

・・・・・いや、思い返す方が正しい。

 

ひび割れた少女は語った。

 

───これは、未来の話しだ。

 

口元に笑みを作り、人差し指で、「しー」と指を立てながら。悪戯好きのする顔で、ネタバラシだと口にした。

 

───いつになるかは分からない。本当ならもっと後。でも、今起きるかも知れないぜ?

 

語られた内容は【イケロス・ファミリア】との抗争。異端児達の危険。

 

両手を後ろで組んで、口笛を吹きながら、少女は語る。

 

───まっ、俺が居れば安心だけどなっ!

 

愚者には分かった。それが、強がりであると。

愚者には分かっていた。自らよりも、その少女が如何に愚かな者であるかを。

 

すでに、体は限界を超えていた。

 

すでに、心は限界を迎えていた。

 

すでに、理性は臨界点を突破した。

 

そんな、そんな愚者(少女)に、フェルズは一瞬の間を置いて、頷いた。

 

────その時は頼む。

 

と。そんな時は来ないだろうと理解しながら。

だが壊れかけた愚者は、フェルズの内心を読んでいたらしい。

 

────なぁ。もし、もしもだ。俺がその時『居なかったら』・・・・・皆を頼むよ。

 

自嘲気味に笑う少女に、フェルズは答える。

 

────その時は任せてくれ。

 

愚者と愚者の愚かな誓い。

 

守ってくれと任された。この骨身をすり減らしてでも出来ることがある筈だと、フェルズは動き出す。

 

愚者は今一度─────賢者となる事を選んだ。

 

教えられた敵の手札。

 

【呪詛:《フォベートール・ダイダロス》】

 

理性ある怪物を、理性無き怪物に変える呪い。

なるほど、確かに厄介だ。と賢者は思う。だが、今の賢者には時間がある。

それがどれだけあるのかは分からないが、それでも猶予が残されている。

 

つまるところ、こちらの勝ちだ。

 

これだけは絶対に覆らない。

 

否。覆させない。

 

フェルズは手元を見る。小さなバッチの様なものがいくつも転がっている。

【対呪術】のバッチ。アンチ・カースの神秘を秘めた、賢者渾身のマジックアイテム。

 

「これで、全員分か・・・・・」

 

それらを握りしめ、フェルズは上・・・・・天上を見上げた。 ゴツゴツとした岩肌しか見えないが・・・・・その先を眼球無き眼で見る。

 

少女は今、どうなっているのだろう。

 

「フェルズ・・・・・」

「リドか、どうした?」

「ハルっちは・・・・・何処に行っちまったんだろうな」

「さてな、分からない」

 

すでに、戦闘態勢は整っていた。誰もが少女の作り出した鎧に身を包み、武器を手に持っていた。

希少金属で作られた・・・・・並の冒険者では見ることすら叶わない武具の数々。

更には、賢者のアイテム。

 

「・・・・・なぁ、フェルズ、もし、もしさ」

「なんだ、リド改まって・・・・・」

 

 

 

 

そして、図った様に・・・・・物語は進む。

 

 

 

 

「アオーーーーーン!!」

 

ヘルハウンドの遠吠えが響き渡る。

 

「っ!!敵襲か!?」

「そのようだ、行くぞ!!」

 

理性ある怪物達が、動き出す。

その動きは洗礼されていて、無駄がない。鍛えられた足腰は血を砕きながら疾走する。

 

───冒険者達は理解するだろう。

 

自分達が如何に卑小で、矮小で、か弱く、愚かな生き物であるかを。

口元から零れるのは唸り声では無い。

 

───冒険者達は恐怖するだろう。

 

自分達と同じく知性を持ち、理性をもち、技をもち、策を持つ怪物に。

自分たちの上位互換に。恐れ戦くだろう。

 

「───狂え【フォベートール・ダイダロス】!!」

「来るぞ!!全員バッチを掲げろ!!」

「「「「「おう!」」」」」

 

───冒険者達は戦慄するだろう。

 

「なっ─────!?」

「なんだこいつら!?つえぇ!!」

 

並の攻撃が効かぬ鱗の上に、より堅き鎧を纏う巨躯に。

喉を引き裂く強力な爪が、より鋭き金属で覆われていることに。

───冒険者は諦観するだろう。

 

その動きが自らの常識を遥かに上回ることに。

自らの策が何一つ通じぬ事に。

武で、知恵で、数で・・・・・全てにおいて上回られていることに。

 

「一気二畳ミ掛ケルゾ!!」

 

 

─────蹂躙が、始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い地下室で、春姫は塞ぎ込んでいた。

 

上では殺し合いが始まっている。

その原因が自分であると、何となく・・・・・分かっていたからだ。理由は分かっていた。

 

聞こえてしまったからだ。

記憶よりも低くなった、今でも鮮明に思い出せる友の声が。

 

「命・・・・・ちゃん・・・・・」

 

今の姿を見られたくなかった。

 

汚れてしまった自分を、友がどう見るのか分からなかったから。

軽蔑されたら・・・・・。それが嫌だった。

 

(わたくし)は・・・・・」

 

その時、足跡が響く。こちらに向かってきているようだ。春姫はビクリと耳を動かし、近くの木箱の影に体を隠した。意味が無かったとしても、気分的にはマシになる。

 

「春姫!!どこだい!?」

「アイシャ様!」

 

扉を蹴り開けたのはアマゾネスのアイシャだ。春姫の面倒を良く見てくれる姉のような存在。

 

「逃げるよ!ここはもうダメだ、フリュネの奴もやられた、私達は裏からこっそり逃げる。リーシャとイライザが時間を稼ぐから・・・・・ほら、さっさと立ちな」

「は、はい!」

 

身支度の必要は無い。持っていくものなんて何も無いのだから。

春姫は立ち上がり、差し伸べられた手を・・・・・・・・・・掴もうとして躊躇した。

 

「何やってるのさ!早くしない奴らが・・・・・春姫?」

 

本当に、この手を取っていいのだろうか。

友達が助けに来てくれているのに?

 

春姫は目を震わせる。

 

見られたくは無い。

でも、会いたい。

 

「春姫!はやくしな!」

 

信頼する女性か・・・・・約束を守ろうと奮起する友人か。

 

「私は・・・・・!」

 

春姫は考える。考えて、考えて、考えて・・・・・!

いざ、決断しようと言う時。

 

「春姫!早くしなっ!敵がいつ来ても可笑しくは」

「アイシャ様!」

 

そうアイシャが言い終わる前に、春姫の忠告が届く前にアイシャの真上、天井が崩壊する。

 

「きゃっ・・・・・!アイシャ様!」

 

砂煙で視界が通らない。着物の裾で口元を隠し、アイシャの名前を叫ぶ。

 

煙の中からは・・・・・一つの人影が。

 

「アイシャ様!?」

 

黒く、大きな・・・・・人影が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなが、俺を斬り付けてくる。

 

どうして?

 

どうしてだろう。

 

「ぉおおおおら!!」

 

赤く光る熱そうな槍をダリルが打ち込んでくる。

それを避ける。でも

 

「そこぉお!!」

 

避けると桜花の攻撃が当たってしまう。

痛い。痛いよ。

 

どうしてこんなことになってるんだっけ?・・・・・思い出せ・・・・・。

よく考えるんだ。えっと・・・・・みんながいる。タケミカヅチ・ファミリアのみんなだ!

おおおお、なんか、みんないるねっ!嬉しいなぁ!

 

「動きが止まったぞ!警戒しろ!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・あっ!わかったっ!俺わかったよっ!

 

これ修行だな?!うんうん、そうかそうか。模擬戦か。

模擬戦でも俺相手なら真剣でも平気だもんね。

 

『アはっ・・・・・アはハハハは!!』

 

もー、なら、ちゃんと言ってよね、もう、困ったじゃないかー。しかし、ふふふ、なるほどなるほど?確かにダリルは俺と戦いたい的なことを言っていた気がするぞ?むっふっふっー!いいねいいね!

 

「気を付けろよ、何が起きるかわからん!」

『どうシタの?ダレがくるの?アハハ』

 

いひひー、みんな気を付けろよー?おれ強いからなぁ?よし、少し場面の確認でも済ませようか。誰がいて誰が居ないかだね。

 

『エッとー、桜花いるね、ミコトいるね、千草は・・・・・あレ?見えないなぁ。タケもまだか。むむむ?模擬戦ナノにー。』

「模擬戦・・・・・?」

『うん!・・・・・って、銀髪?そんナ人居たっけ?新しイ子かな?』

「・・・・・ぇ?」

『他には・・・・・ワンチャン居るだろー?オ?アレはリーナじゃなイカ?!なんか久しぶりなキがするゾ!・・・・・で、隣のちんまいのは新人か』

「新人!?私はクルメですよ!思い出して!」

『知らなーい!アははは!冗談ダヨ!』

 

クルメ、クルメ、クルメか。うん、確か・・・・・えと、料理が上手な娘だった気がするぞぅ?まぁ、いいか。明言しなければ忘れてるとはバレないはずー。

 

・・・・・にしても、銀髪の娘は誰だい?なんだか、俺に似てるような・・・・・。はっ!?まさか俺のコスプレ・・・・・?そんなに俺は人気になってしまったか。まぁ、仕方ないね。

 

『よぉうし、ダリルぅ、攻撃するぜエ?』

「ほ、本当に・・・・・───なんだな?」

『?』

 

・・・・・ん?なんか、聞こえなかったぞ?

 

「遠慮なく、行かせてもらうぜ───!!!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・んん?やっぱりなんか・・・・・ってあぶねえ!?

 

『あぶナァイ!ソラよっ!』

「うおぉ!?模擬戦とか言ってガチの威力じゃねぇか!?あ、いや、そうかそういう事か!」

 

なんかよく分からん!でもやる事はわかるぜ!

うん、ぶっ殺す!

 

『アハハ!死ねぇ!』

「死ぬかバーカ!」

 

避けるなー!

─────能力を使用する。

─────命中する可能性82%

 

「へっ、当たるわけぬぇえうあ!?」

「だ、ダリル!!」

 

ふふふふふふははははは!避けられると思っていたのかね?!

 

「正気になってないのか!?」

「はい、意識が表面に出てきていますが・・・・・まだです」

「・・・・・妖夢、頼むぞ」

『おう?任せとケ!』

「・・・・・え?」

 

はっはー!この妖夢様に任せておきたまえよ!

およ?全員で来るんですか?いいぜいいぜ、受けて立つぜ。

 

「俺から行く。ほかの者達は連携を崩さずに来い。魂魄妖夢しか有効打は与えられん」

「おう、任せるぞオッタルさん。千草ぁ!リーナぁ!援護は任せるぞ!」

「行きましょう桜花殿、オッタル殿」

 

うん?オッタル・・・・・?聞いたことあるような・・・・・思い出せん。・・・・・・・・・・・・・・・思い、出せない?なぜ、どうして?俺頭でも打ったのか?

 

『!?』

 

オッタルって言ってたヤツが、ブレた。その瞬間、俺の身体には無数の線が走る。

斬られた。見えなかった。でも・・・・・効かない。

 

斬られた傷を即座に能力を使って修復する。が、その瞬間には既に他のみんなが波状攻撃を仕掛けてきていた。

対処はできる。

何のために俺は強くなったと思っているんだ。

その程度・・・・・・・・・・・・・・・何の、ために・・・・・強く?

 

矢を掴み。槍を逸らし、刀を躱す。

なんでかわからない。考えるほどに分からなくなる。

 

「ぉおおおおお!」

「はぁああああ!!」

 

槍の連続突き、刀の流麗な連撃。それらを全て往なす。

・・・・・うん。技は忘れてないみたい。何を忘れたのかな?

 

「・・・・・ちぃ!さすがに───か!正面からじゃまともに攻撃が入らん!」

「ええ、流石───殿です」

 

・・・・・・・・・・・・・・・さっきから、誰なんだ。誰の名前を言っているんだ。俺の名前、忘れたのかよ。忘れたのか?本当に?俺の名前を?・・・・・巫山戯てるんだよな?

 

『アアァァああ!』

 

技も無い。予備動作なしの薙ぎ払い。だが、命が刀を当てることで受け流した。たたらを踏む俺の腹に槍が突き刺さり、持ち上げられる。そのまま振り回されて近くの家に投げ飛ばされた。

 

『イテテ・・・・・ん!?』

 

起き上がった瞬間に、矢が雨のように降り注ぐ。

両腕を盾に防ごうとするが、矢が腕を避けた。・・・・・千草の魔法だ。

 

──【剣の上にて胡座をかけ、眼前の敵を睨め。汝が手にするわ雷の力なり】──

 

矢を引っこ抜いていたら、詠唱を許してしまった。桜花の魔法は厄介だ。雷を纏う以上、攻めても守っても強い。

 

「【武甕雷男神(ライジンタケミカヅチ)】!!」

 

雷を纏った桜花が高速で突っ込んでくる。でも、単調だ。迎撃のために腕を溜める。が・・・・・腕は無い。

 

『みょん?』

 

腕が宙を舞う。腕から白い光が空に消えていく。・・・・・ダメージを受けたらしい。

 

「そこぉ!!」

 

斬ったやつを殺そうと振り向けば、桜花の突きが腹を突き破り俺を瓦礫に押さえつける。

あばばばば!じびれる・・・・・!!

すぐさま半霊形態になって抜け出した。ん?

 

・・・・・・・・・・・・・・・そうか。やっと違和感に気が付いた。

 

俺、今半霊なのか。

そうか。

気がつければ、なんということは無い。

そりゃそうだ、真剣使った模擬戦、しかも集団戦となれば生身でやったら死ぬもんな。半霊でやるのは正解だろう。

 

半霊形態から人型形態に戻り、ズシンと音を立てて着地。

腕を伸ばして命を捕まえようとしたけど、命はスルリと避けて俺の腕を斬り飛ばす。

無駄だ。

と、再生使用としたら、御札が飛んできて腕の断面に張り付いた。・・・・・治らない?

 

少し、焦りが生まれた。

 

『上手いナ・・・・・!』

 

オッタルが再び消える。無数に体に走る斬撃、浮かぶ体。ふわりと地をけって銀髪の娘が俺を斬りつける。

ブワッと白い光が俺から噴き出した。

 

『あが・・・・・・・・・・おま、ぇ・・・・・!』

 

何かが・・・・・抜けた気がした。

何か、忘れた気がした。

 

アイツに斬らせては行けない。

アイツを生かしては行けない。

思い出さなくては行けない。

 

『ぁあああああああああ!!!』

 

捨て身。死なないのだからそんな言葉は意味無いが・・・・・技を捨て防御を捨て、殺すために走った。

 

目を見開く少女、その顔を潰そうと拳を振り上げ────振り下ろす。

 

『おオラァっ!!』

「「「「妖夢!!」」」」

 

衝撃が伝わってきた。金属音が鳴り響く。・・・・・ちっ。

 

「すまない。遅れたな。妖夢、状況の説明を」

「アリッサ・・・・・はい、状況は『今は皆デ模擬戦中。何か良くワカラないけど・・・・・色々とオカシイ。』・・・・・」

「・・・・・なるほど確かに」

 

どうやらアリッサが来たらしい。後ろからボロボロの団員達も着いてきている。アリッサがいなければアイツら死んでたな。・・・・・ん?模擬戦じゃないのか?あれ?模擬戦は真剣でも良くて・・・・・死なないから俺が敵役で・・・・・?

 

いかんいかん。考えると分からなくなる。落ち着け。

・・・・・やはり止められたのは子供を殺そうとしたからだろうか?

なら仕方ない。と言いたいところだが・・・・・あの子に斬られると俺は記憶が薄れるっぽい。他のみんなはそれを知らないようだ。俺に似てるし、もしや誰かが変装してるのだろう。

 

という事は・・・・・策略?俺を嵌めるための罠?

 

『・・・・・アリッサ、そいつカラ離れた方がイイ。』

「・・・・・断る」

『・・・・・ぇ?』

 

はぁ?な、なんだアリッサ・・・・・アリッサまでもう敵なのか?

 

「私は、この者達を守らなければならない。・・・・・・・・・・だが」

 

アリッサが話している途中、団員の1人がおれに向けて魔法を放った。

金属音がまた鳴って・・・・・アリッサが防いだ。俺を庇った形になる。

 

「・・・・・貴様に対しても誓約(ゲッシュ)が働いている。つまり、私は全員を守らねばならない」

『・・・・・なるほド。大変だナ。』

 

おい、嘘だろ・・・・・!とか、何やってるんだ、とか聞こえている。

だが、俺はそうは思わない。なにせゲッシュだ。破ると痛い目にあう・・・・・と思う。ならこうするしかないだろう。

 

「アリッサ聞いてください!白楼剣で斬らないと───は正気にならないんです!」

『またそレか。なんだ、忘れたノか?俺の名前』

「え?何を言って」

 

はぁ・・・・・イライラする。名前を呼んでくれないのはムカつくぜ?

それに・・・・・さっきから妖夢妖夢って、俺じゃなくてあの女の子に言ってるし・・・・・俺だぞー、おーい。

 

『・・・・・君、名前は?』

「・・・・・・・・・・魂魄妖夢」

『へぇ。一緒だ』

「は、はい?」

 

同姓同名ってのは、有り得ない。何せ、魂魄なんて家は無い。

・・・・・うむ。じゃあやっぱり、偽者か。

 

『ッルァ!!』

 

予備動作なしで殴りつける。流石に偽者は反応出来なかったらしく、凄まじい速度で吹き飛ばされた。が、それを合図にしたように、他のみんなが俺に襲いかかる。

 

「なっ・・・・・馬鹿者!くっ!」

 

アリッサが俺に叱咤を飛ばし、命に戦線から引き剥がされた。1体1ではアリッサは命に勝てない。イイヤツだったよアリッサ。

多分忘れない。

 

オッタル達の攻撃を受けたり防いだりしながら・・・・・記憶を探る。

 

俺の目的は何だったか、だ。

 

そう、確か誰かを助けるために来たんだ。

 

そうだ、そうだった!なんかスッと出てきたけど、俺こんなことしてる場合じゃ無いんじゃないか?!

でも・・・・・誰だっけ?誰を助けようとしてたんだ?

 

確か・・・・・・・・・・・・・・・春・・・・・姫っ!?

 

視界が回転する。首を斬られた・・・・・?!

回転する視界の中で、血だらけの偽者が映る。その目は悲しそうで、決意に満ちていて・・・・・怯えている。

 

再生して・・・・・再び考える。

 

確か・・・・・・・・・・・・・・・?

 

わからない。分からなくなった。

 

『てんめェ・・・・・!!!!』

 

グツグツと怒りが湧いてくる。なぜ、邪魔をするのか。殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい。

 

この邪魔者を殺さないと進めない。

これは模擬戦などでは無かった。

 

皆は騙されている。誑かされただけ。殺しては行けない。

 

『ぶっ殺す!』

 

──────能力を使用する。

 

「・・・・・っ!!これは・・・・・!」

 

──────命中率92%

 

「お、おい妖夢!これはどう言う事だ!?」

 

──────他世界接続。

 

「空間が割れていく?」

 

──────座標変更。

 

「ごめん皆!!僕の詠唱じゃ間に合わない!」

 

──────状況変化。

 

「皆さん固まって!!!早く!!」

 

──────現象設定。

 

『殺ス!!』

 

──────全行程省略。発動を確認。防壁消失。転移開始。

 

 

世界が──────音を立てて割れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








誤字脱字、コメント、待ってます!


何となく次の展開とかバレてると思いますが、そこは仕方ない・・・・・超展開なんて私には無理だ( ˘•ω•˘ )

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