オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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42話ですー。始めは少しギャグ。その後はずっとシリアス?

そして、アリッサさんの掘り下げ回。こんな感じのイメージだけど平気なのかな?と少し心配。


42話「はっ!全身全霊で頑張ります!」

青の薬舗にて、ヘスティアはベル救出部隊を編成すべく動いていた。集まったのは・・・・・・意外にもヘルメスとその団長アスフィだけだった。

 

「レベル2が1人だけ・・・・・・こんなことを言うのは君に失礼なのはわかってるけど、少し心許ない・・・・・・どうにかならないのかい?」

 

ヘスティアはベルとそのサーポーターであるリリを思い、顔色を悪くする。不安ではあるが、与えた神の恩恵が未だベルが生きているとヘスティアに教えてくれる。だからこそいつこの反応が消えてしまうか気が気でなかった。

 

「大丈夫だよヘスティア。実は頼もしい助っ人を呼んでるんだ。」

 

今は来てないけどね。そうヘルメスが続けたが、ヘスティアの顔色が優れることは無い。今すぐ助けに行ってもらいたいのだろう、ヘルメスもそのつもりだ、と言うよりも、ヘルメスも行くつもりである。これはアスフィも知らない事だが。

 

「じゃ、じゃあ作戦とか教えておくれよ!じゃないと僕は不安で・・・・・・」

「作戦も何も、ダンジョン潜って探して助ける。それだけだろう?」

「それは・・・そうだけど・・・」

 

ヘスティアが項垂れる。作戦、そんなものこんな人数で出来るわけがなかった。助っ人なんて1人か2人だろう。どこにいるかわからないベル達をその人数で探す?絶望的じゃないか。とヘスティアは内心愚痴る。

 

「それじゃあ、俺達は「失礼しますっ!!」あがっ!?」

「ふぇっ!?」

 

薬舗を出ようとしたヘルメスがドアノブに手を掛けたその時、やけに焦った声と共に勢いよく開かれた扉がヘルメスの顔を殴りつけた。

なぜだ、とヘルメスは思った。この扉は外から押して開く物ではない。外から入るためにはドアを引っ張って開ける必要があるはずなのに、なぜ俺が顔をやられるんだ・・・。ヘルメスがピクピクと痙攣する中、扉を持った妖夢が慌ててそれを壁に立て掛ける。

 

「と、取れてしまいました・・・・・・ってそんなことよりも!」

 

ガバッ!と凄まじい勢いで妖夢は接近しヘスティアの前に進むと残像が残るのではと思う程の速度で土下座した。

 

「すみませんでしたッ!!」

「こ!これは!タケミカヅチ秘伝の『土下座』!?」

「今回の件は全部私の責任なんです!!私があの時ついて行っていればきっと・・・!何事もなく・・・っ!!」

 

妖夢の懺悔に、ヘスティアは身に纏う雰囲気をガラリと変える。子供をあやす慈愛の女神から、子供を叱る慈愛の女神へと。

 

「なにが、あったのかな?僕にも教えてくれると嬉しいよ妖夢君」

「はい・・・」

 

妖夢は涙目で語り出す。

 

曰く、こういう事が起こるのは予想していた、しかし、想定とは状況が異なっており、こうなったのは自分が彼らについていなかったせいなのだ。

 

曰く、未然に防ぐ手立てはいくらでもあった。けれど、ロキと遊ぶという事に目を囚われ、それを見過ごした。

 

だから、無償で救出に参加する。全力で探し回るので信じて欲しい。

 

それが土下座しながら妖夢が語った事だ。神は「嘘がわかる」だからこそ、妖夢が嘘などを一切ついていないことがわかってしまった。

 

「聞きたい事は山ほどある・・・・・・でもありがとう妖夢君。これだけ戦力がいれば・・・救出出来るはずだよ。君には期待してるよ妖夢君!」

「はっ!全身全霊で頑張ります!」

 

ヘスティアが土下座している妖夢の頭をポンポンと叩く。その表情はまさに女神であった。そしてそれを差し置いてコソコソと話すヘルメス達は肩をつかまれる。

 

「なぁ、ヘスティア。悪いが・・・・・・俺もついて行かせてもらうぞ。こいつを放っておく訳にはいかないと武神の感が言ってる」

「は、はは何のことかな?」

「とぼけるのか?いま「俺も潜る」って言ってたよな?」

「それは本当かい!?なら僕も連れていけ!」

 

肩をつかまれ動けないヘルメスに大きな胸を揺らしながらヘスティアが駆け寄り掴みかかる。ヘルメスが大きく溜息をついた。

 

「わかった・・・・・・けど、ギルドにバレたら終わりだという事を理解しといてくれよ?」

「わかっている。それに、お前達を守る位なら俺にも出来る」「わかってるさっ!・・・そうだね、タケがいれば戦力的にも安心できるよ!」

 

おう、と返事をしたタケミカヅチはアスフィを中心に話し合いをする妖夢の元に向かう。そして、後ろからその頭にポンと手を乗せる。

 

「妖夢、お前だけのせいじゃないぞ。大丈夫だ、アイツらはまだ死んでない。俺の与えた家族の証(ファルナ)は消えちゃいないからな。・・・安心しろ。」

 

そう言ってタケミカヅチは妖夢を抱き締める。妖夢は目を見開いた後、抱きしめ返した。しばらくそうした後、タケミカヅチは体を離し、妖夢の目をまっすぐ見つめる。

 

「・・・よし、いい目だ。・・・行くぞ。」

「はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンジョン中層、十五階層。俺達はそこを神の体力に合わせて進んでいた。

 

「リーナは後衛として俺の後ろに行け!ダリルは遊撃!妖夢は前衛を努めるんだ!猿師無理はするな、ヘスティアの護衛を努めろ!【万能者】は自分のスタイルで戦闘を行なえ!そして・・・・・・アンタも遊撃だ!」

「はい!」「了解でごザル!」「おうよ!」「はーい」「・・・」

 

軍神でもあるタケの素早い指揮が俺達に向かって飛んでくる。体が素早く反応し、前衛として機能する。ミノタウロスの攻撃を大刀で滑らせ、そのまま首を跳ねる。よし。

 

ダリルが火の粉を散らしながら壁や天井を蹴り加速、ヘルハウンドの群れを蹴散らす。

 

「【千差万別魔の嵐。月。火。水。木。金。土。日。雷。風。光。闇。毒。酸。何が当たるか知る由もなく。引かれた線の導くままに】――よしっ。いいの引いたよ~『阿弥陀籤』っ!!」

 

ダンジョンの壁や床が生きているようにうねり、ガバッ!と上にいたハードアーマードを取り込む。そしてゴキッバキッゴリッ・・・・・・と粉々に粉砕した。『土』を引いたようだ。

 

「・・・・・・フッ!」

「ぎゅういいいいいぁ?!」

 

緑色のフードで顔を隠す正体不明の冒険者、そうリュ・・・・・・謎のエルフ戦士Rさんだ。小さく息を吐き、木刀を振るう、するとアルミラージが半分になった。・・・・・・まさかここまで太刀筋が綺麗とは思はなかった。

 

「あ、圧倒的だね・・・・・・、これが上級冒険者か・・・・・・」

「ふっ、嘗めるなよ。妖夢を見てみろ。必要最低限の動作で即死の一撃を正確に決める、もう教えることなんてほとんど無いなぁ。少し悲しいぞ。」

 

タケの言葉にヘスティアが乾いた笑いをあげてテクテクと俺の後ろを歩く。ちなみに神達はローブを着込み、傍から見てもわからないように偽装している。

 

飛びかかってきたアルミラージを貫手で貫き、魔石を破壊する。

 

ヘルメスとヘスティアがドン引きしてる気がするけど気のせいだろう。だってタケだって同じことしてるし。・・・あれ?これってタケの方に引いてるのかな?・・・まぁいい、どんどん進んでいこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

17階層。そこには『嘆きの大壁』と呼ばれる巨大な壁が存在する。それは唯一『ゴライアス』を生み出す特別な場所だ。

 

桜花達が17階層に足を踏み入れた。

 

壁は静かに佇む。

 

ゴクリと息を飲んだ桜花達は急いで移動を開始した。大丈夫、そう自分に言い聞かせて。

 

ざっ、ざっ、ざっ、。

 

重々しい足音だけがその巨大なルームに響く。不自然なほどの静かさは最早慣れたものだ。静かになれば何かが起こる、ここ数時間で学んだダンジョンの悪意。

 

「命・・・ふたりを頼む。」

「はい」

 

パラパラ、パラパラパラパラ。

 

二人の声に反応したのか、それともルームの中央付近まで来る事を待っていたのか、一切の凹凸のない嘆きの大璧が壊れ始める。ヒビが入っていく、桜花はその奥に人の形を見た。人にしては余りに大きすぎる影を。

 

「・・・行けぇ!!」

 

桜花が叫ぶ。命がヴェルフとリリルカを抱え歩き出す。ベルとクルメもそれに続いた。

 

「私も残ります団長」

「アリッサ?!」

「私は盾だ。ならば守るまで。団長貴方はファミリアの要。失う訳にはいかないでしょう。・・・・・・誓います、この身に変えても守り抜くと」

「・・・・・・あいつらが逃げる時間を稼ぐだけでいい・・・そうしたら逃げるぞ。それと自分の体は大切にしとけ。」

「・・・了解。」

 

ボロボロの2人が武器を構える。

 

「―――ォォォォオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

 

大地を揺るがす咆哮をあげ、壁を破壊しゴライアスが飛び出してくる。全長七mにも及ぶその巨体は飛び出すと同時に殴りかかってくる。推定3~4レベルの巨人の一撃。まともに喰らえば即死、掠れば瀕死。

 

「ぁぁぁあああっ!!」

 

しかし。それを受け止める。踵が地面にめり込み、衝撃を後ろに逃がした為に後ろの地面が吹き飛ぶ。既に横に移動していた桜花が針槐でゴライアスの足を思い切り斬り払う。

 

アリッサは力任せのゴライアスの一撃を足を踏ん張り耐える。桜花は少しでも移動力を無くすために足に集中的な攻撃を加える。

 

「ぉぉおおおおっ!!」

「ゴァ――――――ァァアっ!!!」

 

雄々しい雄叫びと共に桜花の連撃がゴライアスの右足に集中的に突き刺さり、その痛みにゴライアスは咆哮し怒りを表す。そして連撃が襲いかかる。右、左、右、左。丸太よりも太い腕が何度も何度も振り下ろされる。ジグザグに退り、何とか躱し切る桜花。

振り下ろされた拳で大地が割れ、破片は巨岩となって襲い来る。その速度は大したものでないが、その質量故に当たればタダでは済まない。

 

「無駄だあああ!!」

 

アリッサの叫びと共に起きたのは金属音と破裂音。飛来した岩にその盾を振り抜き、岩を破壊して見せた。

桜花が素早く後方を行く命達を確認する。・・・・・・もうすぐで18階層に行けそうだった。

 

「撤退するぞ!!」

「・・・ぐっ!了解!」

 

撤退を開始した桜花達だが、ゴライアスが攻撃してこないことに気が付いた。ラッキーと思うことにした桜花だが、極度の疲労が、緊張が解けた油断が、目標を目の前にした安心感が、その予兆を見逃させた。

 

「ォォオオオオオオオアアアアッッ!!!!」

「なっ」

 

跳躍。七mを越える巨体が、宙に浮く。振り向く桜花だったが、あまりに遅すぎた。慣性、重力、速度、筋力、重心を利用した正に一撃必殺。当たれば肉片すら残らないかもしれない。

 

だが―――「【―――すべてを守らんと決意する。故に、我こそは】」

 

詠唱は完了していた。

 

 

「『唯一無二の盾(デア・シールド)』ッ!!!!」

 

アリッサの体が光り輝く。それはステイタスの更新の際に発生するそれと類似していた。『耐久』と『力』のステイタスが一時的に倍増する。

スキル『鎧身壱色(がいしんいっしょく)』によって鎧の重量分だけ耐久と力を増加させ、『守護盾堅牢(ガーディアン・ウォール)』が仲間を守る為にと耐久を大幅に上昇させる。

 

警戒を怠らず、守ると誓った桜花を警護し続けたアリッサは見事最適なタイミングで魔法を発動させた。

 

今、この瞬間だけは、彼女の耐久力はレベル4すら越える。

 

「ぐぅううううぅうう!!!!」

 

受け止める。巨人(ゴライアス)が誇る最大の一撃を、小さな体躯の騎士が。

 

「―!?」

 

ゴライアスの目が驚愕に見開かれた。拳を引き、再び殴りかかろうと構える。アリッサは肩をダラリと垂らし肩で息をしていた。もう二発目は防げないだろう。モンスターとしての本能が目の前の獲物の限界を知らせていた。

 

「ゴアァアアアアア!!!!!」

 

振り下ろされる豪腕。舞い上がる土煙。そして、静寂。ゴライアスは勝利を確信した。また1人、新たなる冒険者を打ち潰したのだ、ならば入口を睨み再び獲物がやってくるのを待とう、と土煙から背を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

私は騎士(ヒーロー)になりたかった。弱きを助け強きをくじく、そんな騎士(ヒーロー)に。

 

私の名はアリッサ・ハレヘヴァング。何処にでもいる夢見る1人の人間だ。

 

身体はある時から成長を止め、150前後からは本当に止まってしまった。私の夢見る騎士(ヒーロー)とは背が高く、大きな盾と強力な武器、そして頑丈な鎧で人々を守り、モンスターを倒す。そんな人物。

 

身長が伸びない事は残念に思うが、それでもこの夢を諦めることはできなかった。

 

私は田舎者だった。英雄譚に出てくる騎士(ヒーロー)に憧れ父に作って貰った木刀を振る毎日。小さな頃の私はそれで本当に騎士(ヒーロー)になれると思っていたのだから、可笑しな話だろう。だが、そんな時、私は田舎にやって来た冒険者から神の恩恵について学んだのだ。

 

神の恩恵・・・それがあれば私は強くなれる。魔物から人を守る騎士(ヒーロー)に。

 

そこからの決断は速かった。私は父に無理を言って村を飛び出した、僅かなヴァリスと愛用の木刀を持って。その時の私はまだ12そこら。小生意気な夢を語る小娘でしかなかったのだろう、相手にする神など居なかった。

 

けれど、路頭に迷う私を拾ってくれた神がいた。名前をエロース。

彼は「仕方ないな、なら私のファミリア(エロース・ファミリア)に来るといい。入るかどうかは君しだいだけどね。」と優しく笑いかけ、手を差し伸べてくれた。その一瞬は未だに忘れることはないだろう。

 

エロース・ファミリアに入団する事になった私はエロース様の言いつけをしっかりと守る事を誓った。・・・幼稚な騎士の誓約、の、真似事ではあったが、エロース様は真剣な顔で頷き幼い私に付き合ってくれたのだ。

 

しばらくファミリアでの生活を楽しんだ。冒険者になった実感はまだ沸かなかったが、冒険者相手に組手を行うのは楽しかったのだ。

 

そして、私は騎士(ヒーロー)に出会った。

 

その人は硬く大きな鎧を着込み、巨大な大剣をなんと2本も同時に扱う巨漢だった。もちろん場合によっては大きな盾も装備した。

 

キュクロ・ギルバートそれが私の出会った騎士(ヒーロー)の名だ。

 

私がサポーターとして遠征に付いていくことになった時、二十二階層で遠征隊は極度の混乱に陥った。陣地の制作中にモンスターに襲撃されたのだ。

しかし、死者は0。私はただ怯えて盾を構える事しかできなかった、けれども騎士(キュクロ)は違った、大きな大剣を振り回しモンスター達を蹴散らしていった、私が狙われた時はその鎧を使い攻撃を防いでくれた、デッドリーホーネットの毒針を大剣で弾き、接近して倒した後、怯え動けない私に手を差し伸べてくれた。そして

 

「よく耐えたな、偉いぞ」

 

と低い声で不器用に私の頭を撫でたのだ。

 

これは、私の人生を大きく変えた転機なのだろう、と今なら思う。あの時、あの瞬間に私は誓ったのだ。

 

『人を守れる力強い騎士になろう』と漠然としていた目標が絞られた。毎日ダンジョンに潜った、毎日怪我をし、毎日木刀を振るった。ヘトヘトになって帰ってくると、何時もエロス様とキュクロ団長が待っていてくれた。

 

だからこそ私は7年もの間ダンジョンに殆ど毎日潜り続けていたのだろう。ヒーロー(キュクロ)に追い付くために、彼らを守れるようになるために。

 

・・・・・・けれど、現実は非情だった。私が18階層にあるリヴィラから、ある年からホームに戻ってもエロスはステイタスの更新以外であまり私と話さなくなった、団長も物悲しげに私の肩に手を置くだけだった。

 

なぜ?

 

その頃の私はそれを疑問に思いながらも、私のいない間に何か良くないことが起き、それのせいでエロス様がへそを曲げてしまったのだろうと解釈した。そしてその様な事態がこれ以上起きないようにより一層鍛錬を積もうと。

 

レベル2になっても私は呑気にダンジョンへ潜り続けた。知らないファミリアの人達と臨時のパーティーを組み、誰も死なせなかった事から【全身甲冑の守護騎士(フルメタル・ガーディアン)】と言う二つ名を授かった。ほかの冒険者と比べるとシンプルな物で少し期待はずれだったが、『守護騎士』と言う単語は私にピッタリだと思った。

 

気分を良くした私はダンジョンに潜り続けた。人を守り続けた。

 

けれど、・・・・・・・・・恩人(神)たちは(キュクロ、エロス)守れなかった。

 

戦争遊戯が始まったのだ。

 

けれど、私はその戦争に参加していなかった。なぜならばダンジョンに潜っていたから。上の情報など、やって来る冒険者がもたらすものしか知りえなかったのだから。

 

そして、私が戦争遊戯の事を知ったのは戦争遊戯が始まった後だった。戦争遊戯中はほとんどの冒険者がダンジョンから出てそれを見ていたからだ。守るパーティーが居なければ私も地上に出るしかなかった。

 

しかし、私が参戦したからと言って守れたのか?と聞かれれば答えは不可能と言うしか無い。あれ(妖夢)は無理だ。守る守らないの領域じゃない。防げない攻撃からどう守るというのか。

 

私が守れなかったのは『ファミリア』その物だ。

 

私は、私の目を、耳を、そして頭を疑った。恩神(エロス)ヒーロー(キュクロ)が妖夢を手に入れるために色々やったのだ、と隣で観戦していたパルゥムに聞いたからだ。妖夢相手に戦うファミリアを見てしまったからだ。

 

そして、ヒーロー(キュクロ)が壮絶な戦いの末妖夢に敗れた時、私は居ても立っても居られずにギルドに駆け出した。

 

ギルド職員に私がエロス・ファミリアでダンジョンに潜っていて何が起きているのか詳細を知らない事を明かした。するとギルドはエロス・ファミリアの詳細を私に教えてくれた。それは最近になって露見した情報らしく、神ヘルメスが集めたらしい。

 

曰く、エロス・ファミリアは数年前からオラリオ郊外より幼気な少女を『購入』し、様々な行為に及んでいた(・・)

 

曰く、その少女達は極一部しか確認出来なかった。それも全てが15、16歳以下の年齢だった。

 

曰く、ファミリアには巧妙に入口を隠された地下に続く扉があった。中には血が付き乾いた壁や床があった。

 

曰く、今回はそれが更にエスカレートした結果で、他ファミリアの少女を攫い、妖夢を手に入れるための餌とし、それでも足りないと踏んだのかギルド職員にすら手を出した。

 

出てきたのはヒーロー(キュクロ)の英雄譚等ではなく、大罪人(キュクロ)の犯罪歴。

 

信じられなかった。私と過ごした日々は?なぜ私の頭を撫でてくれたのか・・・・・・何もわからなくなってしまった。唐突に目標を失った私は深い怒りをおぼえた。

 

理解してしまったのだ。私は欺かれていたのだと、違和感は覚えていた、ダンジョンから数ヶ月ぶりにホームに戻る度、女の団員が他のファミリアにコンバージョンしてしまっていたのだ。

 

それでも私は・・・・・・目を背けた。私の中の英雄(ヒーロー)はキュクロ団長で、私の中の恩神(エロス)は誰よりも優しい神だったのだから。

 

だが、いや、だからこそ。私は怒ったのだろう。目を背け、現状を変えようと動かなかった私に。

 

戦争遊戯が終わって、私はすぐ様キュクロ団長の元に向かった。そして問いただしたのだ、なぜ、と。顔の半分を包帯で隠し、片腕と両足を失ったキュクロ団長は静かに答えてくれた。

 

「・・・・・・自分にとっての誓いとは、永遠の忠誠を示し、剣として盾としてエロス様の為に戦う事だった。

だがな、自分はそれを守れなかった。ずっと昔から守れていなかったのだ。・・・忠義の騎士、忠を尽くす戦士。そう言われることを誉れとし生きてきた。全てはエロス様のため、全てはファミリアの為に・・・などと。」

 

聞きたくはなかった。けれど聞かなくてはならないだろう。だから、ガントレットが凹むほど拳を握りこみだまって聞いた。

 

「自分はな、殺して来たのだよ。『不要』となった少女達をな。エロス様と他の大多数の団員達が蹂躙の限りを尽くした哀れな者を【ファミリアの為に】と殺して来たのだ。

事が露見すればエロスの名は地に落ちる。それはならぬと『正義』を『忠義』で押し殺し、『心』を『理性』で包み込んでな。

俺は、忠義の騎士でも、忠を尽くす戦士でもなかった。病入膏肓(エロス・ファミリア)を隠し通そうとする哀れな大罪人でしかなかった。」

 

団長が憑き物がとれたような顔で片目から涙を流しながら語る。私はそれを聞き、動けなかった。

 

 

私は・・・・・・・・・・・・何も・・・・・・守る事など出来なかった。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・サ・・・・・・リッサ!・・・・・・アリッサ!!」

 

・・・桜花・・・・・・団長・・・???

団長・・・?・・・・・・・・・そうか、私は・・・タケミカヅチ・ファミリアに・・・・・・。

 

全てを、私が、償わなくては。

 

――――誓いを、此処に。







ハルプ『さーてさて?今回もやっていきましょー!今回はこの人!アリッサ!』
アリッサ「アリッサ・ハレヘヴァングだ。よろしく頼む。」
ハルプ『おう!よろしくな!・・・・・・なんだか初めてまともな人な気がするぜ?』
アリッサ「それは・・・・・・褒め言葉として受け取っておこう。よろしく頼む。」
ハルプ『うん!』




アリッサ・ハレヘヴァング

二つ名全身甲冑の守護騎士《フルメタル・ガーディアン》

ステイタス

力A
耐久S
敏捷C
器用C
魔力G

発展アビリティ
【敵愾心集中】D
・敵対した対象に狙われやすくなる。

スキル

『鎧身壱色』(がいしんいっしょく)
・鎧適正。
・鎧の重量の分だけ筋力を増加する
・鎧の重量分の数値、耐久を増加させる。

闇力(ダークパワー)

・絶望的な破壊力も誇る破壊力を持つことになった
・破壊力ばつ牛ン
・闇属性エンチャントを付与できる。
・任意発動

守護盾堅牢(ガーディアン・ウォール)
・味方と認識した者の耐久力を向上させる。
・広範囲または高威力の攻撃に味方が狙われた時自身の耐久力を大幅に向上させ、敏捷値も増加する。

【魔法】

『唯一無二の盾』(デア・シールド)

【闇と光よ我が剣に集え。騎士はその剣を真紅の空へと掲げ、すべてを守らんと決意する。故に、我こそは】

・耐久力の倍増。
・筋力の倍増。

『誓約《ゲッシュ》』

【誓いを此処に。
我が魂に刻むは、呪い。
祖は誓約、破らぬ限り、力と為りし呪いなり。
されど誓約破りし時、破滅の呪いが降り掛からん。
我が刻む誓いは『―――――』なり。
此処に誓約は成された。】

・長文呪術
・『』の内側が誓約の内容
・契約の内容に沿った効果を得る。
・魔力のステイタスが高ければ高いほど誓約の融通が効く。



ハルプ『硬ったあああああああああああああい!説明不要!俺よりもレベル低いのに俺より固くなる・・・ずるい』
アリッサ「すまない。」
ハルプ『ぐっ・・・!素直に謝られると何も言えない・・・!』
アリッサ「すまない。」
ハルプ『お前はすまないさんか!・・・ん?ダークパワー?・・・・・・唯一無二の盾・・・・・・ブロントさんじゃね(小声)?』


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という訳でいかがでしたか?コメント、誤字報告待ってます。・・・支援絵とか描いて欲しいな(小声)載せていいなら載せたいな(願望)

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