オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか? 作:シフシフ
という訳で31話です。後書きに命と猿師のステイタス載せておきますね。次回は桜花のステイタスを載せようかな?
砦内、1階。鈴のような可憐な声が響く。それも2つ。そして小さな悲鳴と共に誰かが逃げ出した。
『むむ!?あれはセイバーッ!』
「なんですって!?ホントですセイバーッ!」
妖夢とハルプが目をギラギラと輝かせ・・・・・・・・・剣を持っている者を優先的に狙い突っ込んでいく。
うっす。俺です。暗い雰囲気を吹き飛ばすためにはやはりこれだよね、そう、ネタに走るっ!というわけで謎のヒロインXの真似をしているわけです。っは!あんな所にショートソード持ってるやつが!おのれセイバー、こんな所にもいたのか・・・!
「ハルプハルプッ!見てくださいあの通路の右横側、盾持ちの後にセイバーが!」
『おおぅ!?なぁんだってぇ!おのれセイバー!ポコじゃか増えやがって許さん!』
清々しいほどの一人芝居にスパルタクスさんもニッコリ。ってあの人は常に笑ってるか。
「『セイバーッ!!』」
「「きゃーーーーー!(ぐわーーーーー!)」」
刀をクロスを描くように振り、切り捨てる。そしてくるりと回し鞘に収める。
「『フッ』」
つよい(確信)
「まぁ、何を隠そうと最強のセイバーは私です。ほかのセイバーが適うわけもなし・・・。」
『ふっふっふ、そう、俺こそが最強のセイ・・・・・・バー・・・・・・え?俺だよ最強は!』
「みょん?またハルプがみょんな事を・・・やれやれ、と言うやつです」
『な、なんですとぉ!最強は俺なんだよ!だって1番倒してるぜ?今回!こーんなに!』
「ふふ、まだまだですねハルプは」
『なにおぅ?』
「ふっ、教えてあげましょう。確かに今回は貴方の方がたくさんの敵を切り倒しています、しかぁし!まだ戦いは終わっていな いのです、つまりはまだ勝負はついていません!」
『な、なるほど・・・!ならば勝負だ妖夢!どちらが多く倒せるかな!』
「ちっちっち・・・、ダメですねハルプは・・・どちらがセイバーを多く倒せるか、それが戦いなのです。」
『おおお、なるほど。納得しました隊長っ!』
「ふふふ、ではセイバー3カ条!」
『ふぇ!?』
「その1!」
『え、ええと・・・け、剣を使う!』
「その2!」
『う、うぅ・・・強い!』
「そのいきです!その3!」
『とっても強い!』
「その通りっ!」
「『・・・じゃあ・・・やりますか』」
俺達は、剣を持ち、狼狽える魔法使い達を尻目に2人・・・正確には1人で文字通り一人芝居を演じる。 そして!ぐるりと首を回転させ魔法使い達をギラギラの目で見つめる。ひっ!とか悲鳴を上げているぞくくく、あ、やばいなその方向に目覚めたりしてしまうかもしれない、少し手を抜こう。
「うおおおおおおおおおお!最強のセイバーは私です!なのでセイバーは全員死ね!そしたら私が最強なのですっ!テッテレー!」
両手を天高く掲げローマのポーズ。威勢よく雄叫びを上げながら走り出した挙げ句これですか(笑)
『うおおおおおおおお!お!お!?いいこと言うじゃん!そのとおり!最強は1人でいいんだ!よっし、剣持ってる奴が居たらこれからは取り敢えず斬りかかろうそうしよう!ジャジャジャーン!』
同じくローマポーズ。手を抜いた結果がこれだよ(呆れ)
「
ローマポーズから武器を体の後ろに構える。残念ながら俺の持ってる剣は聖剣じゃないからビームは出ない。しかし、再現は可能だ。黒糖と砂糖を手に持ち、断迷剣「迷津慈航斬」を発動する。二刀から霊力が爆発的に放たれる、それを後ろに向けて放ちながら一気に飛び出し、セイバー達との距離を一瞬にして詰める。そして斬撃の連打。
「『
「いや皆見てっから!!秘密でも何でもねぇからァ!」
ベートがツッコミを盛大に入れる。付近の観客達が一斉に振り返る。その様子をティオナがお腹を抑えながら片方の手でベートを指差し笑いを堪えようとしているが全く堪えられていない。
「ププププププw・・・・・・ぶっwww」
「こらやめなさい汚い。」
「だって・・・ふ・・・ふふ、ベートが・・・尻尾が・・・ぶふぅ!」
「んだとォ!」
てめっ!とベートが飛びかかりきゃー!とティオナは逃げ出した。それをティオネは溜息をついて見送る。そして画面に再び視線を戻した。
「ハルプ!そっちに行きました!」
『わかった!俺はこっちから追っかけるからそっちから行ってくれ!』
「わかりました!」
1階を制圧中の儂じゃ。ハルプじゃよ。お、いたいた、壁を背に震えながら数人のザコ敵がこっちに武器を構えている。どうやら本体が向かった方向とは繋がってなかったみたいだ。
『さぁて、83人目だな。一応聞いてやる・・・・・・何処なら切り落として良い?』
首を傾げニッコリ笑う下衆サービス。3人のうち1人の膝が笑い始めた。
「く、くるなぁ!!!!【風よ狂え!吹き荒れ敵を穿て!】ウィンドスピアー!!!」
むむ?魔法か。ふむ、此処は一本道、そして目の前はザコ敵と壁、後ろに逃げればいいのだろうが、魔法は既に放たれている。そして通路は割と狭い。つまりは避ける事は無理ぽという事か・・・。はっ!これは罠だったのか!
「よし!掛かったぞ!消えてなくなれ!!」
槍のように先端を尖らせた風の魔法が俺に迫る。跳ね返す事も簡単だが・・・、真正面から打ち破るってのもまた一興だろう。ある程度こちらの技の威力を減らしてくれれば向こうも死なないだろ。てか消えてなくなれって・・・あ、俺はハルプだから別に消えても良いやって考えなのか・・・。ゆるさん、これも俺の大事な肉体?なのだ。
『眼・耳・鼻・舌・身・意、人の六根に好・悪・平、またおのおのに浄と染、一世三十六煩悩・・・・・・』
魔法の風槍が眼前に迫る。逆巻く風が髪を靡かせ視界を悪くする。しかし、俺は動かない。ただ真っ直ぐにそれを見つめ・・・時を待つ。そして。
『
海賊狩りの一撃が魔法の風槍とぶつかり合い凌ぎを削る。砦を構築する岩石の破片が風と共にまき散らさせる。一瞬は拮抗したものの、あっさりと風槍は散らされ魔力に戻る。三十六煩悩鳳が飛来し・・・・・・3人のザコ敵に当たることは無かった。1人の男が盾を構えそこに立っていたからだ。
「ふぃ〜危ない危ないww、いやぁ久しぶりでごさるな、某、驚いちゃったwww。一体全体どんな魔法なんでせう?あれれ、魔法じゃないかもしれないでせう、なにせ魔力感じなかったでせうからね!あぁ!そうそう!某、一人称を変えたんでござるよw被るのは御免でござるからね!」
ウザっ。何コイツ、なんで妖夢盾持ってんの?なんで妖夢が盾に描かれてるの?ロリコンなの?ロリコン死ぬの?殺すよ?ロリコン死すべし慈悲はないよ?それと何なのその話し方、真似なの?マイボデイの真似なの?そんなふうに聞こえてたの?発音悪いの?死ぬの?殺すよ?
『うん、うん。そうだな。殺そうコイツは』
「あっれれぇ?おっかしいぞ〜?」
刀と盾が衝突する。ステイタスの差は埋められず、某野郎は後ろに押し出される。おりゃおりゃ!と刀を叩きつけるが盾の使い方が無駄に上手くてうざい、そして自分が描かれているのもうざい、なんて言うが攻撃がしづらい。
『はぁぁあ!』
大振りの横薙で切り払った後弾幕が相手を襲う。横薙の斬撃を防いでも弾幕が来るので踏ん張って耐えるしかない。その瞬間俺は回り込んでぶった斬る。
「あふんw、痛いなー。でもでも?そんな柔な一撃では?某、傷つかないというか刺激が足りないというかww」
う、うっ・・・うっざーーーい!!何なんだこいつ、煽ってんだろ、しかも攻撃効かねぇし・・・!
「くらえ!某の愛の抱擁を!」
当たるかボケ、と横にステップ踏んで避けた後ガラ空きの首に全力で砂糖を振り下ろす。・・・ムカつくなぁ!
「おー!痛い!おー痛いよー!」
首を押えながらヒゲダンスみたいな動きでそこら辺をうろうろしている。ちなみに3人組はいつの間にか居なくなっている。隠し扉か・・・?
『邪魔すんなよ、なんていうか・・・戦う気あるのか?』
コイツの相手をするのがめんどくさくなって聴いてみる
、なんていうか殺意とかそういう類を感じないからね。
「もちもち、もちでござる。たたかうでござるよー。なぁに、ここをまもるのはすくないじんいんでござるので。」
・・・・・・うざいよ。なんかウザイよ。なんで拙いんだよ話し方。ぐぬぬ、しかし殺せない。殺したいけど殺せないし、約束してるから殺しちゃダメだし・・・時間もない、此処はコイツを無視して進むべきだな。
『サラダバー!とうっ!』
「へ?」
唐突な話の変更、行動の変化にさすがのアイツもついてこれなかった、まぁ当たり前だよね、今からまさに戦闘が始まります!って時に急に逃げるんだから・・・しかも半霊形態になって壁抜けしながら。てか噛んだんだけど、さらばだーがサラダバーになったんだけど!?
まぁいいか、取り敢えず本体を目指して一直線に進みますか、向こうは特に異常なく至るところにあるドアを開け千草を搜索してるな。
バベルの塔。ヒロインXの真似をし、キャッキャとはしゃぎながら剣を持っている冒険者を追いかけ回し挙げ句の果て切り捨てる、というなんとも世紀末的な風景を作り出している妖夢達を神様達は口をあんぐりとあけたまま見守っていた。
「・・・・・・とんでもないな・・・。あれって魔法じゃないんだろ?」
男神の1人がタケミカヅチに尋ねる。もちろん三十六煩悩鳳や秘密勝利剣の事だ。それとハルプの事でもある。
しかし、タケミカヅチは男神の問に答えず満足げにフッ、と笑う。
「ウザっ!?独り占めはやめろよ!俺は知りたいんだ!」
「しらん、教えて欲しければ首出せ首」
「理不尽!?」
タケミカヅチはどうやら妖夢の秘密を教える気は無いようで、適当に誤魔化す。しかし
「やぁタケミカヅチ。俺には教えてくれるよな?協力関係だし」
と優男の笑みを浮かべたヘルメスがタケミカヅチの肩を叩く。タケミカヅチは素早く立ち上がったかと思えば重心移動と僅かな動作で加速、ヘルメスの後ろに回り込み腕をつかみアームロックをかける。
「いだだだだだだだ!」
「「「「それ以上はいけない」」」」
全員からの静止の声にタケミカヅチはアームロックを解除する。ヘルメスが「いてて」と腕をさすり、タケミカヅチの隣の席に腰掛ける。
「おい」
「なんだい?」
いやおかしいだろ、なぜ今の流れで俺の隣に座るんだ。タケミカヅチがそう言うと、ヘルメスは折れずに尋ねてくる、ほかの神に感づかれないように顔は画面に向けたまま、小声でタケミカヅチのみに聞こえるようにだ。
「彼女について、魂魄妖夢について教えてくれないか」
今までに無いほどに、真剣な声音でヘルメスは言った。
「・・・・・・・・・今は無理だ、いつか、な。」
「あぁ!ありがとうタケミカヅチ、やっぱり君はイイヤツだな!」
少なくとも、妖夢はヘルメスを邪険に扱っていなかった、そう記憶しているタケミカヅチはしぶしぶといった風に小さく頷く。
それを少し後ろから、銀色の女神が眺めているとも知らずに。
荒い息づかいが廊下に響く。私の呼吸音だ。桜花殿と別れ、私はスキルを発動させながら走り続けている。
「はぁ――はぁ――(・・・正面右横、扉発見・・・!)」
しかし私はそこに目もくれず通り過ぎる。なぜなら千草殿の反応がないからだ。私のスキルなら間違えるはずがない・・・・・・精神状態は比較的落ち着いている、範囲は十分に広いはず・・・。
「ッ!(魔力反応?・・・・・・左!)」
足音を消し、通路を左に曲がる。奥の部屋から魔力と詠唱の声が聞こえる。扉の横に張り付き、耳を澄ませる・・・ポーションがどうとかそう言う会話だ。スキルによる反応は無し、つまり千草殿は居ない。しかし、魔法は厄介だ。発動されれば形勢が逆転しかねない、止めるか・・・止めないか。
腰に佩いた愛刀の残雪に触れて、心を落ち着かせる。妖夢殿はいった、「刀を持っていると落ち着にます」と、当時の私は余り理解していませんでしたが・・・冒険者になって初めて自分の身を守る武器がどれほど安心感を生むのかを理解した。
「【―〜―ー~】」
ゴクリと唾を飲み込む。詠唱は聞こえにくく何を言っているかわからないがなんとなしに詠唱はまだ終わらないのだと理解する。・・・相手が剣士ならば多少は楽になるのですがね。
中の人物が安心しきった瞬間を狙う。―――3――2――1――今ッ!
勢いよく壁を蹴り飛ばし踏み込む、刀を体と平行に構え、弓を引くように引き絞る。妖夢殿に教わった技の中で私が最も得意とする技。・・・牙突シリーズ。
「牙突壱式!」
視界に赤い髪が映る。肩や腹を怪我しており、回復魔法による回復を試みたようだ。驚愕に目を見開いているその背中に、全力で技を叩き込まんと迫る。
「御免ッ!はぁああ!」
しかし、片腕の力だけで赤いウェアウルフは横に飛び跳ねた。だがこの技は次に繋げることが可能な技だ、横に跳ね未だ空中で回避のできない相手に派生した横薙で斬りかかる。
「ちぃ・・・!」
腹を薄く斬られ殴りかかってくる赤いウェアウルフ。・・・赤髪のウェアウルフで、今回の敵側・・・最早誰かはわかったも同然。ダリル・レッドフィールド。手負いの今が止めを指すチャンス。
レベル3の豪腕を体の軸を左右にずらしながら躱し、滑るように横をすり抜け壁を蹴り飛ばし斬りかかる。相手が回し蹴りを放ち、私の攻撃を逸らすが、腹部の痛みが堪えたのか狙いが甘く私の顔の横をすり抜ける。
「そこぉ!」
その隙を逃がさず傷を負っている脇腹に拳を打ち込む。呻き声をあげ、思わず腹を抑え屈んだ顔にローキックを御見舞する。頭から壁に衝突した相手に止めを刺そうと走った瞬間悪寒が走った。
地面を全力で蹴り、後方にはねる。
自分がつい先程までいた場所から数本の剣が生えていた。なぜ剣が・・・?いやそんなことより、将の首にばかり気を取られていた私は他にも人が居ることを忘れていた、しかも魔法使い。これは不味い。
「【――光よ、優しき温もりと生命をここに】ライト・ヒーリング」
回復魔法・・・!いつの間にか長めの詠唱を許してしまったらしい。ダリル・レッドフィールドが傷を失って立ち上がった。
「―――よぉうし。反撃だ、嬢ちゃん」
勢いを吹き返したダリルの体から火の粉が。周囲の空気すら揺らめいている。私の肌を熱が撫でる。何らかのスキルが発動しているのか・・・。
「(・・・・・・熱い・・・!)」
思わず目を覆い後ろに後退する。相手の武装は剣、ならば私や妖夢殿は適正持ちだ、大抵の場合は「わかる」。剣神でもあるタケミカヅチ様の家族として共に鍛錬を積み、技を磨いたからなのかわからないが私は『剣神眷属』というスキルを発現させた。勿論桜花殿や千草殿もそれぞれ別のスキルを発現させている。
っと、現実逃避をするのはやめましょう。今は目の前の敵に集中しなくては・・・。
体から火の粉を舞わせ、ダリルが歩を私に向けて進める。その表情はひとえに「面白そう」だけだ、恐らく奇襲してきた私がどれだけの力の持ち主なのか、気になって仕方が無いのだろう。
「ハァっ!」
気合いと共に一歩踏み出す。しかし、ダリルは後ろに下がり攻撃をかわした。・・・なるほど、間合いに入らないように警戒している。
「・・・嬢ちゃん、名前は?」
剣を肩に担ぎ、そう聞いてくる。此処は素直に答えるべきだろう。
「私の名前はヤマト・命。剣神タケミカヅチの子です。」
私が刀を正面に構え、どんな攻撃にも対応しようと身がまえれば向うは何がおかしいのかくつくつと笑っている。
「くっくっ、なるほどなぁ、剣神、武神・・・んでもって雷神か。ハハッ!こいつぁ、骨が折れそうだ」
嬉しそうに笑いそう答えるダリル。ですが、弓神に軍神を忘れている。いや、知らないだけかも知れませんが。
「いえ、骨を折るなど・・・・・・切り落とすのでご心配なく。」
戦闘前の口上は大切な勝敗を決める要素だ、相手が冷静さを失えば良し、作戦を練る時間を得られれば良し、自分を有利にする為に必要なもの。
「ああそうかい!」
一気に突撃してくるダリル、剣と刀がぶつかり合い火花を散らす。火の粉が顔を撫でる、熱が皮膚を焦がす。詠唱がない、スキルか・・・・・・桜花殿の魔法よりは我慢が効くがまともに目を開けていられない・・・!
「ぐっ・・・!」
がむしゃらに放つ袈裟斬りは体を捻って回避され、捻った動きに合わせた肘打ちが私の横っ腹を強く打つ。続けて振るわれた剣を刀で逸らし、返す刀で手首を狙う。
「へっ!あぶねぇじゃねえか!」
セリフとは裏腹に笑顔を深くするダリル。いつの間にか火の粉は煌々と輝いて見える程にその数を増やし、近付く事すら億劫になる。振り下ろされる剣はまるで加熱されているかのようで赤々と輝く。
「くっ!(当たっては・・・いけない!)」
まともに当たれば最後、溶断される。妖夢殿が使っていた技に似たものがある、朧・焦屍剣だ、妖夢殿は自分の手が焦げるほどだったが・・・神の恩恵の援助を受け手に入れた力だからなのかその体が焦げることは無い。
「なにか・・・対応できる技は・・・」
「ンなもんあるかよぉ!」
「え!ぐうぁ!」
回し蹴りを躱した私の頬を剣が掠める。肉が焼ける音がして視界がふらつく、痛みが全身に駆け回った。
「ハッ!なんだ嬢ちゃん、あのコンパクって奴より弱いじゃねえか・・・やめだやめ、つまらねぇ。・・・ったくにしてもよ、何だってキュクロの野郎は最奥で待ち構えるとか抜かしてやがんだ・・・」
ダリルがまるでわざと私に情報を教えるかのように、比較的大きな声でそう呟く。最奥・・・そこに、千草殿は・・・。
「追ってくるなら構わねぇぜ?あぁそれと、嬢ちゃん達が探してるヒタチってヤツはそこには居ねぇ、探し出して全員で俺らを倒しに来いよ。」
待ってるぜ、そういい残し魔法使いとダリルはその場を去った。千草殿はそこには居ない、この情報を信じていいのだろうか・・・?・・・!今の情報の通りなら桜花殿と戦っていた女の人も最奥に向かったのだろうか?・・・・・・桜花殿と合流しよう、妖夢殿か居てくれるといいのですが。
あぁクソ、エン・プーサに逃げられた。壁やら床やら天井から剣が突き出て道を塞いでいったんだ。
まんまと逃げられては妖夢に示しがつかないな・・・、仕方ない、千草の捜索を優先しよう。取り敢えず妖夢か命と合流しよう、あとは猿師さんと合流して最奥に向かうしかないな。待ち構えているところに向かうのは気が引けるが。
「ササッ!サササッ!チラッ?はっ!桜花!」
・・・・・・何故が擬音を口で言いながら妖夢が曲がり角から頭だけ出していた。どう見ても頭が横向きなんだが・・・体はどうなってんだ。とっとっと、と走ってきて妖夢は首を傾げる。
「どうしてここにいるんです?しかも傷だらけじゃないですか」
「どうしてお前はほぼ無傷なんだよ・・・。てかどうしてって・・・千草を探すために決まってるだろ」
ですよねー、の頭の後ろを掻き笑う妖夢。なんていうか緊張とかそういうものが全部吹き飛ぶなぁ・・・いかんいかん、気を抜いたら最期だ。
「妖夢」
「みょん?」
「エン・プーサが最奥に待ち構えている、他のみんなと合流し次第行くぞ」
「え?プーサン?・・・はい!行きましょう」
ボケをかまし、しかし真面目に見つめる俺に気づいて妖夢も真面目に戻る。すると腕を組み顎に手を当て考え始めた。
「では・・・キュクロも・・・。一旦命に合流しましょう。どっちに行きました?」
「こっちだ!ついてきてくれ」
廊下を妖夢と駆け抜ける。曲がり角をいくつか曲がると足音が正確にこちらに向かって走ってくる。命がスキルを使ってこっちに来てるのだろう。
「桜花殿!妖夢殿!」
「命か!」
俺達は合流し、情報を交換し合う。一階二階共に千草は居なかった。なら3階しかない。・・・そう言った時だ。妖夢が目を見開き、見たものを伝えてくれる。
「1階で敵を追い詰めた時、気が付いたら居なくなっていた時があったんです!」
「隠し扉かっ!良くやった妖夢!」
なるほど、隠し扉か・・・本気で3日間隠し通すつもりだったか、だが妖夢が1階には千草はいなかったと・・・。
「地下室・・・でしょうか」
命が小さく手を上げ意見する。なるほど、確かに有り得るな。
「あ、なんか人員は少ないとか言ってましたよイタ盾さんが」
イタタテさん?極東人か?・・・妖夢にさん付けで呼ばれるとはな・・・相当な人物なんだろう、少ない人員で守りきれると思う程には強いはずだ・・・。
「よし、なら猿師さんと合流し次第そこに向かおう、案内してくれ妖夢!」
「はい!」
名前:ヤマト・命
【ステイタス】
レベル2
筋力D
敏捷C
耐久D
器用B
魔力E
発展アビリティ【耐異常】
スキル
『八咫黒烏』(ヤタノクロガラス)
・効果範囲内における敵影探知。隠蔽無効。
・モンスター専用。遭遇経験のある同種のみ効果を発揮。
・任意発動(アクティブトリガー)
『八咫白鳥』
・効果範囲内における眷属探知。
・同恩恵を持つ者のみ効果を発揮。
・任意発動(アクティブトリガー)
『剣神眷属』
・剣系統の武器、魔法に適性をえる。
・自らに降りかかる凶刃に直感的な反応が可能になる。
・剣を持つことでステイタスが上昇する。
【備考】
幼い時から妖夢と共に育ち、共に武芸を学んだ姉妹のような少女。正確は真面目で実直。妖夢の存在により原作よりも早い段階でレベルアップを果たしておりステイタスも恐らくこの時期なら原作よりも高めである。妖夢に対して尊敬と同時に劣等感も若干だが抱いている。
名前:猿飛 猿師
【ステイタス】
Lv.2
力F
耐久E
器用S
敏捷A
魔力B
アビリティ【薬師】:S
スキル
『鳥獣戯画:猿』
・器用と敏捷に向上補正
ちなみに奥さんは鳥獣戯画:ゴリラ。
・獣化。全ステイタス一時的上昇。獣化は任意発動。
・獣化する事でステイタスを更に上昇させる。
『応病与薬』
・病、怪我に対する認知速度、及び精度の向上。
・確信的な直感で薬を制作出来る。
魔法
『檻猿籠鳥』(かんえんろうちょう)
【自由は奪われた、折の中にて余生を過ごせ】
【羽ばたく事を望む鳥は、籠の外を睨むばかり】
・束縛魔法、対象を魔法の檻に閉じ込める。
対空、対地の二種類あり、双方とも小型の敵しか捕らえられない。
『ニン=ジツ』
火吹きから身代わりまでいろいろと出来る。
【備考】
極東のとある戦闘一族の1人。元アマテラスファミリア。妻子を持つ成功者でエリート。唯一の弱点が猿顔である事。彼のおかげでタケミカヅチ・ファミリアは貧乏では無くなってきている。幼い時から父や兄と共にモンスター退治に出かけ、少しづつ強くなったものの、戦闘に才は無く、強くなってゆく兄に嫉妬し、グレてしまう。しかしそこで医学に出会い、医学の道を進む事になる。18の時に現在の妻、清美に出会い交際をスタート。
しかし、清美は当時は不治の病とされた病気にかかっており、余命は余り無かった。猿師は治療法を探すために極東中を探し回り、その間たくさんのモンスターや妖怪と出くわし、しかし、2年間探し回り遂に治療法を見つけて見せた。その事が評価され20の時レベルアップを果たす。
性格は温厚で、常にニコニコしている。「ごザル」と語尾に付けるのは子供の診察の時に緊張を解くために使っていたのが染み付いてしまったもの。真剣になったり、怒ったりすると素がでる。
ちなみに『猿でもわかる医学の入門編』やそれに続く中級編、上級編はオラリオにも売っているベストセラーである。猿曰く「進歩しすぎた【薬師】は【神秘】と変わらない」らしい。
【戦闘力】
本編でも語られている通り、20年のブランクがある為戦闘はあまり得意では無い。しかし経験だけは無駄に豊富である。忍術、と呼ばれる物を使い、攻撃することが出来る。同じものを三角飛びお婆ちゃんも使う。
しかし、彼の恐ろしさは薬師Sという化け物じみたアビリティである、魔石に干渉する薬物を作り出したり、身体能力を爆発的に上昇させたりする危ないお薬も作れてしまう。条件が揃えばどんな相手にも何もさせず殺す事も出来る。(例、ある程度の広さの密室である事など)
PS、ヒロインX使いやすいですよね、俺のクイックパーティーのメインです!