オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか? 作:シフシフ
という事で12話です。
――ここは・・・・・・どこだ?・・・何も・・・見えない・・・ここは・・・あぁ、なるほど、あの駄神とあったところか・・・。
懐かしさを感じる空間に俺はいた、つまりは死んだのだろうか?あんな傷で死ぬほど耐久が低いわけでも心が弱い訳でも無いはずだが・・・。
「チョリーッス!どもどもー。ボクチン参上!」
―・・・さて、帰らせて?
「ファ!?それはないわー、神様に対してそれはないわー。」
―ワーカミサマダースゴイナーアコガレチャウナー。
「フッ、分かってくれたようだねっ!そうっ!ぼくこそは誉れ高き神!GOD!完全無欠にして最強!」
―存在自体が欠陥品だこの駄神。まじでなにしに呼んだんだよ。
「ふはははは、よくぞ聞いてくれた!そう、僕ちんがチミを呼んだのは君の・・・君のの・・・あれ?なんだっけ?」
―・・・・・・・・・(╬ ´ ▽ ` )おい
「ま、まぁあれだよ、ここから帰ればすぐに目が覚めるさ、・・・悪い夢も見ないだろ?」
―・・・お前・・・
「さぁ、頑張って物語を引っ掻き回して下さいな?そうじゃないとオレっちが楽しめない、って訳で言ってっしゃあぁい!あっ!思い出したらまたよぶからね!」
―え?いきなr
「・・・・・・・・・知ってる、天井です」
「!妖夢ちゃん起きた!」
あの駄神・・・。まぁいいか、にしてもデジャブだなー。目が覚めると自分の家じゃないのは。どうやら千草が誰かに伝えに行ったみたいだな。さっさと起きて顔を見せに行かなきゃ、タケも怒ってるみたいだし。体が痛いよー。
俺はいつの間にか着ていたパジャマみたいな奴をバッ!と脱ぎ捨て自分の洋服をとる、うわ、ボロボロじゃん、・・・どうするか。俺がそう悩んでいると足音が複数聞こえてくる。・・・ここで俺は失念していた、生前が男という事もあり、自分の下着姿を見られる程度どうという事は無い、そう思っていた。だけどよく考えれば相手からしてみればドア開けた途端下着姿の女の子がいる訳で。・・・そのことに気が付くのは大分あと。
「おーい、入るぞォ」
「おいおいべートそんな勝手に入ったらアカンで?妖夢たんやって女の子なんよ?」
「大丈夫だろ、そんな事頭に無いって顔してやがるし。入るぞ」
ん?べートとロキか、他にも足音はあったしみんな来たのかな?・・・まさか俺の御見舞に・・・嬉しい・・・なんだよべート、やっぱり俺達友達だったんだな!
「どうも・・・お世話になってます、それに、してもべートは何だかんだ言って、御見舞に来てくれるなんて・・・嬉しいですね、うんうん」
「悪ぃ出直す」
うん?どうしたんだ?俺は頭の上に?を3つ並べながら首を傾げる。それにしても体中が痛くて話しづらいなー。あ、そうだ、半霊モードで廊下に行って盗み聞きをしよう、あれなら怪我とか関係ないし。つーことで半霊に意識を移して壁抜けする
『何してんだろー』
と透明化しながら上から覗いてみる。すると何故がべートがorzしてた。そしてその肩にゆっくりと手を置くロキ。そして固く手を握りしめ「悪は滅ぶっ!」とか言ってるティオナ。
『え?何このシュールな現場、何だろう見ては行けない何か・・・なのかも知れない。』
恐らくはべートがティオナに腹パンされたのだろうが何故腹パンされるような事になったのか俺には分からない。この場にいるのはロキ、べート、フィン、ヒュリテ姉妹、アイズ、タケ、桜花、命、千草だ。
『どうしよう・・・ハルプモードで聞いてみるか?それとも普通に話しかける方がいいかな、いやでもハルプモードなら霊力の強化に繋がるしその方がいいか。体は傷だらけだし寝かせたままの方がいいだろ』
という事で実体化してみよう、とりあえず体は寝かせておこう、休ませておくのは大丈夫だからね。あ、やべここべートの真上じゃねぇか。
「ぐほっ!?」
「うわ何や!?上から妖夢たんが!?」
やっべー怒られるかな?まぁ、ツンデレべート君なら大丈夫な筈だ。あ、自己紹介とか必要かな?一応しておくか。
『あー・・・悪いなべート、少し降りるタイミングってか場所を間違えた』
ははは、と笑う俺を見てロキが固まる、べートも固まる。・・・まてよ、そう言えばこの形態ってきっとほかの人から見たらスキル又は魔法の何かだと思うんじゃないか?
『あー・・・俺は、いや、私の方がいいか?まぁ、同じ名前だと区別しにくいからハルプって名前を付けたんだが・・・聞いてる?』
なんかロキが嬉しそうにしてんだけど何んだろう、ろくでもないことの気がする。
「俺っ子きたーーーーーーー!」
ですよねー、まぁじゃあ俺でいいか。で、何をしに来たのか聞いておこうか。
『じゃあ俺で構わないな。で、何しに来たんだ?べートは入ってきたと思ったらすぐ出ていくし。』
俺の疑問にロキは疑問で返してくる。まぁ疑問だらけだろな、ロキがワクワクした感じになってるし。
「いや・・・何でもねぇよ」
「なあなあ!なんで話せるん?スキルやろ?」
『いや・・・なんかスキルとしてステイタスに出てはいるけど・・・これも俺の・・・あ、そうだなスキルだよ俺』
そう言えばこういう事は言うなってタケに言われてたんだった。あぶねぇ・・・あ、神の前で嘘はつけないんだった。チラッ?タケ怒ってない?
「うーん、嘘やないみたいやなー」
え?バレてない?何でだ・・・魂だよ?もっとわかり易い気がするのに・・・まいっか。ある程度説明はしておこうか。・・・タケがニヤってした、分ってたのか。
『わかった、ロキの事は好きだからな、説明してあげよう。俺はハルプ、妖夢の周りに浮いている白い球体、半霊が人間形態をとった時の名前だ。妖夢は体を休める為に寝ているぜ、何か言いたい事があるなら俺に言ってくれれば伝えておくよ。』
俺の説明にロキたちは「あの球体か」と頷き、本題へと入る。
「まぁ、何しに来たって言われても見舞いに来たとしか言うことないんやけどな」
『おー、嬉しい事言ってくれるねー。・・・でも流石に幹部全員来るなんて事は無いだろ?所詮レベル2の新米冒険者だぜ?』
俺がそう言うと全員から呆れた様な目を向けられる。え?なんで?事実だろうに。
「はぁ、ハルプ君、妖夢君がどんな事をしたのかわかっているのかい?」
『どんな事ってモンスターぶった斬っただけだろ?』
「その通り、妖夢君はレベル2でありながらレベル4、又はそれ以上に思われるモンスターに対して優位に戦って見せた、それがどれ程の事か・・・」
やれやれ、とフィンが額を押さえる。確かに原作ではステイタスが足りていないとシルバーバックにすらナイフが効かなかったしな、そう考えると凄まじい事かも知れない。・・・優位には立ってないけどな、気を抜けば即死だったし。1発目で死ななかった事がまず奇跡だ、頑張った。
『でも弱点を突いたし、そもそもそう言う技だからな、出来て当たり前だと思うぞ?』
「それもだよ・・・君はぼくたちですら見た事の無かったモンスターの弱点を初見で言い当てて見せた、それに君が繰り出すあの最早魔法としか言えないような剣技の数々・・・君は、君達は今やオラリオの神々の間でとても有名になっているよ。・・・特に特殊な性癖持ちの神に」
ま、まぁスキルですし?そういうスキルだからさ。てかあれだね、燕返しはどこの世界でも魔法扱いなのね、あれか、スターバーストストリームの無駄に派手なエフェクトのせいか?それにしてもロリコン神様から目をつけられたか・・・白楼剣で天界に強制帰宅させてもいいのよ?とりま簡潔に説明をバッ!
『相手の弱点がわかったのはスキルのおかけだ。それに剣技は剣技だろ。魔法はちゃんと他にあるぞ。あとロリコンは死すべし、天界への強制転送も辞さない。・・・ん?なんでみんな固まってるんだ?』
「・・・・・・・・・強制転送が出来るのかい?神を?天界に?」
『おう、多分出来るぜ、白楼剣に少しでも斬られたらサヨナラだ、まぁやったこと無いからわからないが』
「はぁ・・・ロキ、彼女の事は貴女に任せるよ、やっぱり僕には荷が重い」
「え、ちょ、え?嘘やろ?まじで?」
『な、なんでだ、俺何かした?フィン?』
「いや、何もしていないさ」
『解せぬ』
「それは僕のセリフだよ・・・」
何だろうこの謎の敗北感は・・・やっぱりコミュ力が足りなかったか・・・ぐぬぬ・・・ってのはまぁ冗談で、確かに一般人・・・では無いけど普通の感性をもってる人からすれば俺の使う技とかは理解不能なんだろう、いや、俺も理解不能なんだけどね?
「しゃーない、じゃあ・・・とりあえずお礼だけ言わせてくれ、ありがとうな、妖夢たんが居なければ街に被害が出ていたかもしれん。本当はギルドが言うことなんやけど、まる1日寝たまんまやったしウチから代弁って事で、それに魔力に反応するってのを教えてくれなければレフィーヤが危なかったかもしれへんし。ホンマありがとう。」
ロキが聖母のような微笑みを浮かべながらそう頭を下げる。頭を下げられる程俺が何かをしたという実感はないが、感謝されているのならそれを無碍に扱う事はできない。とりあえず頭を上げてもらおう、恐らくタケからお礼は言われていると思うが俺もお礼を言うべきだ。残念ながら俺個人からお礼と言っても渡せるものはほとんど無いが。
『とりあえず顔を上げてください、アイズ達が来てくれなかったら俺は死んでいました。お礼を言うのはこちらの方です、ありがとうございます。』
ビシッと頭を下げる、感謝の気持ちがこれで伝わればいいが・・・。そう言えば俺について知りたそうな感じだったし、これを機にいくつか教えてもいいかもしれない。
『お礼と言っては何ですが、俺・・・らの事、教えてあげようか?さっきも言ったが個人的にロキ達のことは好きなんだ。俺が使う技・・・少しだけお教えるよ』
「ええ?!いいっていいって!そんなん他人に教えたらアカンよ?好きって言ってくれるんは凄い嬉しいけど!」
俺がそう言うとロキは慌てたように首を横に振るがこちらとしてはそれ以外に特に渡せるものもないので・・・借りを作るのも何だかタケに迷惑になるし。
「・・・知りたい、私は、知りたいです」
「アイズたん!?」
アイズが反応したか・・・たしかアイズは強さを追い求めてる・・・だったか?なら技を知りたいと思うのも仕方ない、・・・ただ、教える事は出来ても俺以外に使えるかどうか分からないのが多いのが現状だ、明らかに物理法則に喧嘩を売った剣技など、能力なしに使えるとは思えない。
『・・・わかった、桜花達も来てくれないか?俺の使う技を小さい頃から見ているし、すぐに使える様になるかも知れないからね、アイズはレベル5らしいし皆に教えた技以外も覚えられるかも?』
「ああ、わかった。命、千草、準備してこい。ついでに猿師のおじさんから丸薬とか包帯の準備を頼んできてくれ、俺の装備も持ってきてくれると有難い。「はい!分かりました」・・・悪い、今はタケミカヅチ様の側を離れられないんだ、頼んだぞ」
桜花はロキ・ファミリアを警戒しているのだろうか?タケミカヅチの少し斜め後ろで守るように立っている、武器こそ持っていないがタケミカヅチ・ファミリアの団員は自分より高レベルの冒険者を圧倒するだけの戦闘技能を有している、冒険者と言うよりは武士の集まりみたいなものだし、とはいえこのメンツに攻撃されたら10秒と持たないだろうけど、俺も含めてね。ちなみに桜花達は俺の使う技の中で「人間の身体能力に収まる範疇」の技をいくつか習得している。今回はアイズに教える事になるから燕返しとか教えてみよう・・・武器が違い過ぎるからできそうにないな。
『・・・・・・とはいえ肉体の方は随分と疲れていてね、起きるのは随分と後になるだろうから、だから俺から説明するけど構わないだろうか?』
「うん、教えてくれるなら・・・別に気にしない」
つまりは普段の妖夢と言動が違い過ぎて違和感は感じてるのかな?仕方ないか、普段の方がおかしいんだし?謎の翻訳機能が付いてるからああなってるだけで普段はこんな感じの話し方だ。
『なら場所は訓練所でいいよな?今回話すのは俺の種族についての簡単な説明と俺の使う技についての説明だ。それでいいかなロキ』
「おお、平気やで・・・でもいいんか?大事な事なんやろ?」
『正直な話、アイズや他の人が同じ技を使えるという保証はない、・・・俺からしても実験、というか検証かな?が出来るなら利益もあるだろう、命の恩人であるアイズへの恩返しも出来て一石二鳥ってやつだよ。』
訓練場の端、テーブルと椅子を並べ、簡単なお菓子が用意されている。そこで俺についての説明が行われようとしていた、俺の口から。
『俺、いや、魂魄妖夢の種族は半人半霊、長命種だ。半分が人間で半分は幽霊ってやつだ。人間と幽霊のハーフって訳ではないぞ。人間の体と魂の体を持っている、・・・生物・・・だと思う、そこら辺はわからん。で、人間の体が妖夢、そして魂の体が半霊だ、その半霊が人間の形をとった時がハルプだな。簡単な説明だがわかったか?』
俺の説明にある程度の理解は示したのか全員が返事をする、タケミカヅチや桜花達にはだいぶ昔に伝えたものだ。
「「「へー、なるほど」」」
『・・・わかってる?まぁいいが。』
「ちょ、ちょっと待ってほしいんやけど・・・妖夢たん何歳なん?それと半霊ってのが妖夢たんの魂なんか?」
その中で唯一ロキだけが少し慌てたように俺の話を止める。妖夢と半霊は同じだが完全に魂が半霊として浮かんでいる訳では無い。
『いや?半霊は半霊だ。それと年齢については・・・良く分からん。はっきりと言えるのは5年は既に生きているって事くらいか』
「へー、・・・ん?どういう事なんや?一つの生物が二つの体を持ってる、そんで魂も二つ?それって一つとちゃうやん。て」
『あぁ、二つで一つ、ならわかるかな?俺達は半人半霊だぜ?』
俺の説明に腕を組みながら?を浮かべるロキ、確かにややこしいかもしれない、てか自分でもよく分かってない。
「半分ずつってことかいな、わかりづらいわー。・・・幽霊って事は死んでるんやろ?」
『うん、死んでるな。俺は』
「妖夢たんは?」
『見りゃ分かるだろ?』
「生きてるか・・・、死んでるけど生きてるっちゅうことかー、何やねんそれっ!死んでもないし生きてもないってことやないか!」
ロキが半人半霊の矛盾に気が付いたらしく声を大きくする、んな事言われても一番困ってるのは俺だ。身長は少しずつだが伸びてはいる、つまり成長してる!生きている!・・・暴論だかまぁいいだろ。
『そうだな、でも成長してるし生きてるって事でとりあえず良いだろうん。』
「それって戦闘で致命傷とか受けたらどうなるの?」
さっきまで黙っていたティオナが若干難しそうな顔をして聞いてくる、死んでるなら死ぬのか、そう聞きたいのだろう。だが正直今までこれと言って死にそうになったことは無いしな、よく分からん。
『うーん、普通の人間より遥かに死にづらい体だからなー、首とか飛ばされない限りよっぽどの事がないと死なないと思うぜ?』
「ほえ〜」
分かってるのか分かってないのか・・・、上を向いてうーんと唸るティオナ。
「・・・なんて言うかほんまに凄まじいな・・・おい!タケミカヅチ、お前アルカナムとか使ってへんよな?」
「使う訳ないだろ?・・・あぁ・・・初めの頃は驚きの連続だった・・・」
「うわ・・・過去を覗いて帰ってけーへん」
ロキはどうやらタケがアルカナムを使ったのでは?と言うことを疑い始めたらしい・・・まぁ正直言ってこの世界で自然には絶対に発生したりしなさそうだしな半人半霊。神を疑うのは間違ってない。だが違うんだロキ、やったのは駄神だ、タケじゃない。てかタケもどってこーい。
『おいおいタケを疑うのか?一人ぼっちの俺達を助けてくれたんだぞ?』
「一人ぼっちなのに達って、・・・家族はおらんのか?」
そこは言わんでくれロキ、俺は0.5ずつなんだよ、合わせて1なんだよ察して。
『当たり前だろ、俺には家族がいた、って言う記憶しか残ってない。まぁ正確には声だけしか覚えてない。それに、今はそこにいるタケや桜花達が家族だ』
「あぁー、その、ごめんな?」
『幽霊に謝ってどうするんだ・・・、まぁ許すけど。』
そんな話をしているとアイズがもじもじしながら声をかける、きっともじもじじゃなくてウズウズしてるんだろう、早く技を教えて貰いたいけどロキ達と話してるから声がかけずらい・・・みたいな感じで・・・。
「あの・・・あの剣技の数・・・師匠は、いるの?」
「確かに・・・私達が見ただけでも結構な数あったけど、それだけ凄い師がいるって事よね?」
「あー!だねー!いないわけないかー!」
アイズの質問にヒュリテ姉妹が頷く、ここも俺の矛盾点か、技を沢山知っていて、それらを不完全とは言え使う、しかしそれを教えた人物はどこにも、それこそ英雄譚にも存在しない・・・当たり前だがな。
『・・・・・・うーん・・・それは・・・まぁ確かに師匠はいる・・・。』
ゴクリとアイズが唾を飲み込んだ、アイズからしたら気になるところだろう、強くなれる可能性、それを誰よりも追い求めているのだから。・・・ここをどう乗り越えるか・・・うーん、皆に最も伝わりやすい説明は何だろう、本から学びましたー、なんて言ってもこの世界の本に「るろうに剣心」とかあるわけないし・・・じゃ平行世界のせいにするか?平行世界からいろいろと教わってる・・・あれ、意外といいかも?俺って生前15のはずだが・・・この歳じゃ絶対知らないような技とか無駄に知ってるし、いやいや、きっと生前の俺はアニメが好きすぎてめちゃくちゃ色んなの見てたんだろ。・・・自分の記憶も大部失ってきたなぁ、あぁ、燕返しとか例を言えば勝手に理解してくれるかも知れない、だってみんな頭いいし。
『・・・平行世界だ』
俺は呟く、間を開ける事で相手はよく聞こうと意識を集中させる。とくにアイズ。
「平行世界やと?」
ロキは目をさらに細め話しを促す。
『そう、平行世界。もしもの世界だ。』
「もしもの・・・世界」
アイズが俺の言葉を噛み砕いて理解しようとしているのか顎に手を当てうんうん唸っている、説明は終わってないんだが・・・。
『例えば俺の使う【燕返し】って技があるだろ?あの同時に3つ斬撃を放つって技だ、一切のズレも無く同時に。例えば俺が【真上から真下に斬り下ろした】としよう、しかしその瞬間もしかしたら俺が【右に逃げられない様に右から左へ切り払う】可能性もあるし、【囲うように逃げ道を塞ぐ左からの斬撃】を放つ可能性もある訳だ、そういった可能性の世界、もしもの世界から斬撃を放った自分を連れてくる。それが燕返しのタネだ。・・・わかったかな?説明は苦手なんだ』
「いや、妖夢よりかよっぽど解りやすかった。」
『そ、そうか・・・やっぱり伝わってなかったか(小声)、コホン【無明三段突き】も平行世界から自分を連れてきて、三つの突きを一つに重ねて放つ技だ、似ているけど少し違う。同じ事をしている自分を呼ぶか、違う事をしている自分を呼ぶかってだけだけどね』
ふぅ、説明はこれくらいでいいかな?燕返しと無明三段突きはこんくらいだろ。これで分かってくれるはず。
「・・・つまり・・・つまりは妖夢たんは・・・いや、有り得へん・・・そんなんアルカナムを使わな、どうなってんのや」
ロキはわかったみたいだけど確に個の人間が使えるなんて可笑しいぐらいの意味不明な技だからな、何で燕切ろうとしたらできちゃうの?。
『つまりは妖夢の師匠はこの世界線には居ないって事だ、妖夢が使う技は他の世界からの借り物・・・いや、伝授された物だ。・・・まだまだ半人前だからな、オリジナルの半分も威力が出ない物が殆どだし速度もまだまだ・・・、幸い時間だけは腐る程あるからな、いつかは全て完成させるさ』
「なるほどね、君の背後に感じたのはその師匠達だってことか・・・考えても無駄だった訳か、対策の仕様が無い」
『ははは、生憎と手札は多い物でね。』
「実質無限やないか・・・」
確かにロキの言う通りだ、時間さえあれば波紋の呼吸とかやってみたいし、ほかの武器で使える技を試してみたいものだ、魔術とかも試したい!今はいろいろと忙しくてそれが出来ないが。
その後はアイズや桜花達に技を伝授しようとあの手この手を使ったのだが、ついぞ使える様になる人は出なかった、俺は反則級の剣術を扱う程度の能力があるからすぐ様真似できるものの、ほかの人には無いからね。仕方がない。そんな感じで暖かな時間(剣を振り回す)は過ぎ去りホームに帰る、帰り際にそろそろ遠征に行くことを告げられた、誘われたけどそれは断った、強いやつに会えるのは確かにソード・オラトリアだろう、でも俺はベル君の物語の方が好きだったりする。早くリリに会いたいとかそんな事は思っていない。断じて!思ったりなんかしていない!
まぁそんな事は置いておいて、きっと明日とか、今日かも知れないけどベルは装備をエイナと買いに行っている頃だと思う。俺も加熱した状態で無茶な振り回し方したから刀曲がっちまったし、買いに行こう。・・・よし、千草とか誘おうか、20万位持っていけば足りるだろ。・・・武器がすぐに壊れるせいで金が貯まらん・・・デュランダルの刀を手に入れるのはいつになるやら・・・。
今回からこの後書きで、何らかの解説が入るようになります。
【ハルプについて。】
・ハルプの肉体的なステイタスは妖夢と同じ。
・殺す事が出来ない魂であるため殺せない、しかし妖夢の耐久ステイタスと同じ数値がハルプにも存在し、耐久を超える程の攻撃を受けると半霊に戻る。
・ハルプの状態でも技や魔法の詠唱が可能。
・ハルプ形態をとっている場合、常に霊力を消費し続ける。
・妖夢の肉体では無いからか、翻訳機能が存在しない。
・ハルプと妖夢が同時に動き回るのにはいくつかのバリエーションが存在する。例、妖夢とハルプに意識を半々に分け行動。妖夢にのみ意識を向け、ハルプはリモートコントロール。逆も然り。